糖尿病患者と医師の治療と行動に関する意識調査(T;pdf

2015 年 3 月 24 日
報道関係各位
「糖尿病患者と医師の治療と行動に関する意識調査(T-CARE Survey 2)」結果発表
糖尿病患者と医師の間にある“意識”や“認識”の差は?
「脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなる」合併症などのリスク説明した医師 9 割超、
説明を受けた患者約 5 割
「医師に指示された運動・食事管理を実践している」患者約 3 割
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)
は、2015 年 1 月に、糖尿病患者 3,580 名と医師 298 名を対象に「糖尿病患者と医師の治療と行動に関する意識調
査(T-CARE Survey 2)」を実施しました。
当社では、糖尿病という疾患だけでなく、糖尿病をもつ患者さまへの『トータルケア』の重要性に着目し、2013 年
10 月に、糖尿病患者 3,437 名を対象にした「糖尿病患者の意識と行動」調査「T-CARE Survey」を実施しました。そ
の結果、前向きに治療に取り組むためには患者さまの「効果認識・病状理解」の向上が不可欠であり、そこには患
者さまと医師との関わりが大きく影響しているという結果が得られました。
そこで、2015 年 1 月に患者さまと医師の“意識”や“認識”を調査するため、「糖尿病患者と医師の治療と行動に
関する意識調査(T-CARE Survey 2)」を実施しました。その結果、患者さまと医師の間にさまざまな“意識の差”が
認められましたのでご報告いたします。
横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学教授 寺内 康夫 先生は、今回の調査結果を受
けて、以下のように述べられています。「患者さんが前向きに治療に取り組んでいただくためには、患者さんと医師
の質の高いコミュニケーションが重要です。しかし本調査結果では、医師が期待するほど患者さんは診療以外の生
活レベルの治療実践や医師以外のサポートが十分ではないことがわかりました。糖尿病治療をまだ十分に実践で
きていない患者さんを“前向き治療意識や行動”に導くためには、患者さんと医師がトータルケアの意識や実践状
況を両者で確認しながら治療を進めていくことが大切です。」
塩野義製薬は、『トータルケア』という新たな切り口で、糖尿病患者さまの
QOL 向上に貢献できるように、“Risk Care(リスクケア)”、QOL の維持・向
上をめざす “Lifelong Care(ライフロングケア)”、“Team Support(チームサ
ポート)”、“Community Support(コミュニティサポート)”の 4 つをキーワード
として、これまでも様々な情報提供活動に取り組んでまいりましたが、本調
査結果を踏まえ、今後もさらに活動を充実してまいります。
<糖尿病患者と医師の意識差>
1.医師による”合併症などのリスク“に関する説明は思っているほど患者に伝わっていない。
合併症などのリスクに関する説明について、「脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなる」ことを「説明している」と回
答した医師が 93.3%であるのに対し、「説明を受けたことがある」と回答した患者さまは 49.1%であり、リスクに関する医
師の説明が患者さまに認識されにくいことが明らかになりました。
2.患者は医師が思っているより“治療継続意識・合併症予防の必要性”を認識している。
糖尿病の治療について、「継続しなければならない」と回答した患者さまは 89.4%であるのに対し、「治療を継続
しなければならないと患者自身が思っている」と回答した医師は 62.1%であり、医師が思っているより、患者さまは治
療継続が必要だと認識しているという結果になりました。
3.患者は医師が期待するほど生活習慣の改善を実践できていない。
医師に指示された「運動をしっかりやっている」と回答した患者さまは 30.3%、「食事の管理をしっかりやっている」
と回答した患者さまは 32.5%と、運動・食事管理を実践している患者さまは約 3 割に留まり、医師が期待するほど生
活習慣の改善は実践できていないという結果となりました。
4.医師以外の治療サポート(メディカルスタッフや家族)がある患者はまだ少数。
糖尿病治療に関して、「医師以外に関わりのある医療関係者はいない」と回答した患者さまが 64.9%にものぼり、
医師の考えるメディカルスタッフの役割との意識の差がみられました。また、糖尿病治療において、家族が「治療や
ケアに協力してくれる」と回答した患者さまが 55.2%、「診療に一緒に同行してくれる」と回答した患者さまは 10 人に 1
人と家族の協力やサポートがある人はまだ少数であることが分かりました。
≪調査結果概要≫
○調査概要
<患者調査>
<医師調査>
【調査対象】 20~60 代 男女
【調査対象】 全国の糖尿病患者を診療している医師
【有効回答数】 糖尿病患者 3,580 名
【有効回答数】医師 298 名
【調査手法】 インターネット調査
【調査手法】 インターネット調査
【調査時期】 2015 年 1 月
【調査時期】 2015 年 1 月
【調査地域】 全国
【調査地域】 全国
○調査内容について
糖尿病に対する患者の意識や行動に関して、同内容の質問項目を患者調査、医師調査の双方に設定。患者調査では「そのような
こと(質問内容)について、自身はどう考えるか」として聴取、一方、医師調査では「そのような(質問内容)人は 糖尿病患者のうち、
どれくらいの規模(0~100%の割合)になると想定するか」として聴取しており、双方の値を比較しています。
※医師調査では、「普段の自身の行動(患者への説明など)」に関する質問など、一部、上述とは異なる形式の質問もあります。
※調査内容詳細については、「調査結果 詳細データ」にてご確認ください。
※本資料中の数値は、全て少数点第 2 位以下を四捨五入しています。
1. 医師による“合併症などのリスク”に関する説明は医師が思っているほど患者に伝わっていない。
合併症などのリスクについて、医師の「説明をしている」より、患者さまの「説明を受けたことがある」がすべての項
目で下回っており、リスクに関する医師の説明が患者さまに認識されにくいことが明らかになりました。
<医師調査> Q. あなたは【糖尿病患者】に対して、以下のような説明をしていますか。
<患者調査>Q. あなたはこれまで医師から【糖尿病】について以下のような説明を受けたことがありますか。
あてはまるものをすべてお答えください。
(%)
※医師調査は「必ずしている+たいていしている」
※患者調査は「あてはまるもの全て」
2. 患者は医師が思っているより“治療継続意識・合併症予防の必要性”を認識している。
糖尿病の治療について、「継続しなければならない」と回答した患者さまは、89.4%であるのに対し、「患者自身
が治療を継続しなければならないと思っている」と回答した医師は、62.1%に留まりました。また、「治療を続けること
で合併症を予防できる」という質問には、「そう思う」と回答した患者さまが 84.6%であるのに対し、「患者はそう思って
いる」と回答した医師は 57.6%であり、患者さまは医師が思っているより“治療継続意識・合併症予防の必要性”を認
識しているという結果になりました。
<医師調査>Q. 【糖尿病患者】は、【糖尿病】の治療について、どのように考えていると思いますか。
(それぞれについて,そのように考えている糖尿病患者はどれくらいいると思いますか。)
<患者調査>Q. あなたは【糖尿病】の治療について、どのように思いますか。
(%)
※医師調査は「0~100%の平均値」
※患者調査は「そう思う+ややそう思う」
3. 患者は医師が期待するほど、生活習慣の改善を実践できていない。
医師に指示された「運動をしっかりやっている」と回答した患者さまは 30.3%、「食事の管理をしっかりやっている」と
回答した患者さまは 32.5%と、運動・食事管理を実践している患者さまは約 3 割に留まり、医師が期待するほど生活
習慣の改善は実践できていないという結果となりました。
<医師調査>Q. 【糖尿病患者】は、【糖尿病】の治療について、どのように考えていると思いますか。
(それぞれについて、そのような糖尿病患者はどれくらいいると思いますか。)
<患者調査>Q. あなたは【糖尿病】の治療について、どのように思いますか。
(%)
※医師調査は「0~100%の平均値」
※患者調査は「そう思う+ややそう思う」
4. 患者自身の血糖の治療目標値は医師が思っているほど認知されていない。
患者自身の「血糖値の治療目標値」について、「正確に知っている」と回答した患者さまが 48.0%で「正確に知っ
ていると思う」と回答した医師が 62.1%でした。血糖の治療目標値の正確な認知状況について、患者さまと医師で差
があることが明らかになりました。また、糖尿病患者タイプ分類の「しっかり治療模範タイプ」の患者さまであっても、
血糖の治療目標値の認知状況は 59.4%と、4 割以上が血糖値の治療目標値を正確に知らないという結果になりまし
た。
<医師調査>Q. 【糖尿病患者】は、患者自身の以下のような値について、正確に知っていると思いますか。
(正確に知っている糖尿病患者はどれくらいいると思いますか。)
<患者調査>Q. あなたは自身の以下の値について、ご存知ですか。
(%)
※医師調査は「0~100%」の平均値
※患者調査は「正確に知っている・おおよそ知っている・知らない」のうちの
「正確に知っている」の値
<患者調査>Q. あなたはご自身の以下の値について、ご存知ですか。
(%)
※「正確に知っている・おおよそ知っている・知らない」のうち
の「正確に知っている」の値
【糖尿病患者のタイプ分類について】
2013 年 10 月に実施した「糖尿病患者の意識と行動に関する調査(T-CARE Survey)」の調査結果より、
「効果認識(治療方針に納得している・効果があると思う)・病状理解(自分の病気の状態や治療方法についての理
解度)」の組合せにより患者を 5 つのタイプに分類。
・ 「効果認識 高 ・ 病状理解 高」 = 『しっかり治療 模範タイプ』
・ 「効果認識 高 ・ 病状理解 低」 = 『医師におまかせタイプ』
・ 「効果認識 低 ・ 病状理解 高」 = 『治療に不満タイプ』
・ 「効果認識 低 ・ 病状理解 低」 = 『疾患放置タイプ』
・ 「重篤な疾患を併発している」 = 『すでに重篤化タイプ』
5. 7 割弱の患者は、医師以外の医療関係者との関わりがなく、もっと相談したいと思っている患者は 2 割程度。
糖尿病治療に関して、「医師以外に関わりのある医療関係者はいない」と回答した患者さまが 64.9%にものぼりま
した。「医師以外の医療関係者(看護師・栄養士・薬剤師など)にもっと相談したい」と回答した患者さまは、21.7%に
留まりました。
<患者調査>Q【糖尿病】の治療において、
医師以外に医療関係者の中で関わりのある方はいますか。
<医師調査>Q. 【糖尿病患者】は、【糖尿病】の治療について、どのように考
えていると思いますか。 (それぞれについて,そのように考
えている糖尿病患者はどれくらいいると思いますか。)
<患者調査>Q. あなたは【糖尿病】の治療について、どのように思いますか。
(%)
(%)
※回答対象は、これまで糖尿病の治療経験のある人
※医師調査は「0~100%」の平均値
※患者調査は「そう思う+ややそう思う」
6. 医師は初診時には「10 分以上」かけて診療しているが、通常は「10 分以内」が約 8 割。
診察時間は、初診時に、「10 分~15 分程度」と回答した医師が 39.6%、「15 分~20 分程度」と回答した医師が
22.1%ですが、通常は「5 分~10 分程度」と回答した医師が 50.3%、「3~5 分程度」と回答した医師が 27.5%と、初診
時には通常より時間をかけて診療しているが、通常は 10 分以内で診療しているという結果になりました。
<医師調査(n=298)>
Q.あなたは【糖尿病患者】に対して、1回あたりどのくらい時間をかけて診察を行っていますか。
(%)
7. 家族の協力やサポートがある患者は約半数。家族の診察同行は 10 人に 1 人。
糖尿病治療において、家族が「治療やケアに協力してくれる」と回答した患者さまが 55.2%、「病気や治療のことを
理解してくれる」と回答した患者さまが 58.3%と、家族の協力やサポートがある人は約半数に留まりました。また、「診
察に一緒に同行してくれる」と回答した患者さまは、10 人に1人という結果になりました。
<医師調査>Q. 【糖尿病患者】とその家族(または身近にいる方)との関係は、どのようになっていると思いますか。
(それぞれについて、そのように考えている糖尿病患者はどれくらいいると思いますか。)
<患者調査>Q.あなたは【糖尿病】において、家族(または身近にいる方)との関係については、以下のように思っていますか。
(%)
※医師調査は「0~100%」の平均値
※患者調査は「そう思う+ややそう思う」
8. 家族のサポート有無によって、治療意識・治療実践に変化。
「前向きに治療に取り組んでいる」患者さまのうち、「家族の診察同行がある」と回答した人は 82.4%、「診察同行が
ない」と回答した人は 67.4%と、家族のサポート有無が、治療意識・治療実践に大きな影響を与える結果となりまし
た。
<患者調査>Q.あなたは【糖尿病】の治療について、どのように思いますか。
(%)
※患者調査は「そう思う+ややそう思う」
なお、調査結果の詳細データについては(http://www.shionogi.co.jp/static/tcare_survey1503.pdf)でご確
認ください。
【本件に関するお問い合わせ先】
塩野義製薬株式会社 広報部
大阪 TEL:06-6209-7885
FAX:06-6229-9596
東京 TEL:03-3406-8164
FAX:03-3406-8099