超高温高純度 単結晶育成技術 日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター 芳賀芳範 発表の内容 3000℃を超える超高温環境下での単結晶育成が可能。 代用的な例として、 (1)水冷るつぼを使用したチョクラルスキー法 (2)フラックス法 (3)高蒸気圧物質を対象としたブリッジマン法 (4)気相成長法 を紹介する。 単結晶の必要性 物質の基本特性の理解につながる。 結晶構造 電気伝導 磁気特性 力学特性 など、物理量の本質的振る舞いを、異方性も 含めて観測可能。基本的メカニズムの理解。 単結晶育成:従来技術の一例 シリコンウェハー 育成温度(〜1400℃) 石英るつぼ 引き上げ法(チョクラルスキー法) 種結晶 結晶 溶融原料 時間 http://wikipedia.org 従来技術とその問題点 研究開発における単結晶育成法: 新材料の探索 → 様々な元素への対応が必要物質の数だけ育成方 法の開発が必要 物質固有のパラメータ 融点、蒸気圧、溶解度、るつぼ材の選択 etc 活性元素の代表例ーU, Puなどのアクチノイド 様々な物質への対応 高融点物質の単結晶育成 (例)UB4 : 融点〜2500℃ 大型単結晶を得るための条件 ◎コングルエントメルト ◎低い蒸気圧 △高融点 ×適当なるつぼ材がない http://crystdb.nims.go.jp チョクラルスキー法 種結晶 加熱電極 (テトラアーク) 試料 水冷銅るつぼ 単結晶 テトラアーク炉 加熱温度:〜2500℃ 引き上げ速度:〜10 mm/h 単結晶とその評価(X線回折) 結晶サイズ: 最大φ 10 mm x 150 mm 程度まで育成可能 単結晶X線回折による評価 黒い点が結晶からの回折 構造パラメータ、方位の決定 フラックス法 URhGa5 様々な手法による単結晶育成 超高真空アニール フラックス法 気相成長法 6/18 ブリッジマン法 UFe4 P12 金属るつぼ 高純度の追求 なぜ高純度を目指すか? 大きな不純物効果(例:半導体、磁性不純物) 超伝導特性の改善 原料の問題 一般に、希土類元素、アクチノイド元素では、高純度 原料の入手が困難 金属ウランの精製法 超高真空エレクトロトランスポート法 直流電流で材料を直接加熱することにより 脱ガス、拡散、固相電解 ウランの精製 超高真空エレクトロトランスポート 不純物濃度(ppm) ウランの精製 超高真空エレクトロトランスポート 精製前 陽極 陰極 超高真空(10-10 Torr)での加熱 直流電流加熱により: (1) 温度勾配による拡散 (2) 揮発性不純物の蒸発 (3) 電場による移動 Fe : 40 ppm → 1 ppm 単結晶の評価手段 EDX/EPMA : 組成比、不純物 粉末XRD : 格子定数、組成比、不純物 単結晶XRD : 格子定数、組成比、不純物、原子座標、熱振動 電気抵抗 : 絶対零度での残留抵抗→不純物による散乱 磁化 : 磁性不純物の高感度検出 単結晶の評価(X線回折) 2次元検出器 2θ 管球 2θ 単結晶試料 〜0.05 mm 最近の成果 純良化の効果 不純物減少 不純物による電子の散乱減少 超伝導転移温度の上昇 本質的な散乱の検出 → メカニズム解明へ 電気抵抗 ウラン化合物超伝導体:URu2Si2 「重い」伝導電子が担う特異な超伝導特性 (未知のメカニズム) 温度(K) まとめ 高融点への対応 水冷るつぼを用いてチョクラルスキー法 試料との反応を回避 金属タングステン(3300℃)も可能 金属溶媒によるフラックス法(低温での結晶成長) ブリッジマン法(高蒸気圧物質への対応) 化学気相成長 高純度化への対応 超高真空エレクトロトランスポート 想定される用途 物質探索、材料探索 精密な結晶構造決定 電気伝導、磁気特性の異方性 高純度化による特性の改善 想定される分野 エレクトロニクス材料 磁性材料 超伝導材料 弾性材料 熱電材料 企業への期待 種々材料の開発には単結晶による物性の測定評価が重要 JAEAは高度のノウハウが必要な超高温単結晶育成技術を 有している この技術を共同研究により企業の新材料の開発に生かして いただきたい。 お問い合わせ先 独立行政法人 日本原子力研究開発機構 研究連携成果展開部 TEL : 029-282-6934 Email : [email protected]
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