当日配布資料(2.86MB)

摩擦攪拌(Friction Stir Welding)
を用いた鋳鉄・金属接合技術
岩手大学工学部マテリアル工学科
大学院金型・鋳造工学専攻
晴山 巧
緒言
球状黒鉛鋳鉄
強度は鋼に匹敵する
耐食性はステンレス鋼の方が優れている
球状黒鉛鋳鉄+ステンレス鋼
複合化
・球状黒鉛鋳鉄にない特徴を補う
・フランジの無い構造による軽量化
緒言
溶融接合法
溶融熱により共晶点温度
以上になる
急冷
セメンタイト晶出 (チル化)
脆化
溶接部のチル化を防ぐことが課題である。
固相接合法
母材の融点以下で接合
チル化防止
摩擦撹拌接合(FSW)
過去の研究からオーステナイト系ステンレス鋼と球状黒鉛鋳
鉄(FCD)の重ね接合が固相接合法の一つである摩擦攪拌接
合(FSW)によって可能であるという報告がされている。
緒言
摩擦攪拌接合
AS
Advancing Side (AS)
RS
ツールの回転方向と
進行方向が一致する側
Retreating Side (RS)
ツールの回転方向と
進行方向が逆になる側
回転
ツール
プローブ
溶融溶接と異なり、金属組織は強加工された組織
となり機械的性質に優れている。
緒言
FSW後のミクロ組織
球状黒鉛が引き延ばされ
て、変形する。
50μm
引張応力を加えると黒鉛変形層に応力
が集中し、破断の起点となる。
目的
鋼とステンレス鋼のFSWは可能
球状黒鉛鋳鉄をFSW領域のみ鋼化
鋳鉄の表面を脱炭(脱黒鉛)し、ツールのプ
ローブ長と入熱量を変化させることで、黒鉛変
形層を形成せずに接合を可能か検討する。
供試材の化学成分と機械的性質
FCD450-10とSUS304を用いる。
化学成分(mass%)
FCD450-10
SUS304
C
Si
Mn
P
S
Mg
3.56
2.55
0.21
0.017
0.005
0.039
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
0.08
以下
1.00
以下
2.00
以下
0.045
以下
0.030
以下
8.00~
10.50
18.00~
20.00
機械的性質
引張強さ(MPa)
伸び(%)
ブリネル硬さ(HB)
FCD450-10
465
24
153
SUS304
520以上
40以上
200以下
脱炭処理
基礎実験として、
FCD450(200×100×5mm
)相当の脱炭処理温度と時
間の関係について調べた。
高温保持炉
970℃ 24時間熱処理
脱炭層 700µm
サンドブラスト後、フライス加工
脱炭層
図 FCD450相当の組織写真
図 脱炭処理後の組織写真
実験方法
FSWの条件
使用ツール:超硬合金ツール
プローブ長:1.6mm,2.0mm
ツール傾斜角:3°
荷重:1.6ton
回転数:200~400rpm
接合速度:25~150mm/min
SUSの板厚:1.5mm
FCDの板厚:3mm
以上の条件で重ね接合を行う
プローブ
ツール写真
評価方法
引張せん断試験、組織観察、ビッカース硬さ試験
超硬合金ツール
SUS304
FCD450
接合条件と入熱量の関係
接合条件
入熱量大
回転数
大
接合速度
小
ツールが1回転する間に移動する距離
回転ピッチの値が小さいとき入熱量は大きくなる
摩擦攪拌接合後の断面模式図
回転ツールによる著しい塑性流動を受けた領域
攪拌部
熱加工影響部
熱の影響を受けた領域
熱影響部
実験結果
試験後の外観
プローブ長1.6mm
回転ピッチ
0.20mm/r
回転ピッチ
0.33mm/r
回転ピッチ
0.38mm/r
プローブ長2.0mm
回転ピッチ
0.25mm/r
回転ピッチ
0.33mm/r
回転ピッチ
0.38mm/r
回転ピッチ
0.45mm/r
バリが少なく、外観上欠陥はない
ミクロ組織観察
回転ピッチ:0.33mm/r
プローブ長 :1.6mm
RS
CENTER
AS
黒鉛変形層なし
100μm
50μm
ミクロ組織観察
回転ピッチ:0.33mm/r
プローブ長: 2.0mm
RS
RS
CTR
Center
100μm
100μm
50μm
50μm
ASAS
ミクロ組織観察
回転ピッチ:0.45mm/r
プローブ長 :2.0mm
RS
CTR
AS
黒鉛変形層なし
100μm
50μm
ミクロ組織観察
表 回転ピッチと黒鉛変形層
プローブ長
1.6mm
回転ピッチ
0.20mm/r
黒鉛変形層
無し
プローブ長
2.0mm
回転ピッチ
0.25mm/r
黒鉛変形層
有り
回転ピッチ
0.33mm/r
無し
回転ピッチ
0.33mm/r
有り
回転ピッチ
0.38mm/r
回転ピッチ
0.50mm/r
無し
回転ピッチ
0.38mm/r
有り
回転ピッチ
0.45mm/r
無し
プローブ長2.0mmでは回転ピッチ0.45mm/rの
条件のみ黒鉛変形層が発生しなかった。
引張せん断試験
接合部の強度を測るため、FSW後の試料をビード方向に
対して幅10mmに垂直に切断し、階段状に加工
FCD
SUS304
引張せん断試験後の外観
母材破断
プローブ長
1.6mm
回転ピッチ
0.33mm/r
攪拌部と熱加工影響部で破断
プローブ長
2.0mm
回転ピッチ
0.33mm/r
攪拌部で破断
プローブ長
1.6mm
回転ピッチ
0.38mm/r
熱影響部で破断
プローブ長
2.0mm
回転ピッチ
0.45mm/r
引張せん断試験結果
黒鉛変形層なし
黒鉛変形層あり
強度低下している箇所では黒鉛変
黒鉛変形層が発生していない条件に関
入熱量大
形層が発生している
しては脱炭処理した方が高強度である
ビッカース硬さ分布
‐3
0
3
0.1
2.0
700~800
接合部中央からの距離(mm)
‐3
深さ方向(mm)
深さ方向(mm)
接合部中央からの距離(mm)
0
3
マルテンサイト
0.1
600~700
500~600
400~500
パーライト
0.5
1.0
1.5
2.0
300~400
200~300
フェライト
100~200
(HV)
RS
AS
プローブ長1.6mm 回転ピッチ0.33mm/r
攪拌部のSEM像
マルテンサイト
入熱量が最大となる
摩擦攪拌プロセス中
にオーステナイト領域
まで温度上昇した後、
急激な温度降下が
あったものと推測され
る。
結言
FCD450-10とSUS304に重ねFSWを施した後、組織観察、
引張試験を行い、以下のことが得られた。
強度の低下は黒鉛変形層に起因し、黒鉛変形層が形成さ
れていないものは強度が増加した。
全ての条件で攪拌部と熱加工影響部にマルテンサイトが形
成され、硬さが増加した。
過去の実験結果と比較すると黒鉛変形層が形成されない
ものに関しては、強度が2倍以上であった。
これより、鋳鉄に脱炭を施すことはFSWに有効であると考
えられる。
本技術に関する知的財産権
•
•
•
•
•
発明の名称 :鋳鉄材の接合方法及びそれ
により得られる接合部材
出願番号
:特願2013-60853
出願人
:大阪大学、岩手大学
発明者
:藤井 英俊、森貞 好昭、晴山 巧
お問い合わせ先
岩手大学
研究推進機構プロジェクト推進部門・URA
(研究交流部研究推進課・主任)
佐藤 裕文
TEL 019-621-6494
FAX 019-604-5036
e-mail iptt@iwate-u.ac.jp