3月18日 - 東京都立三田高等学校

平成27年3月18日
東京都立三田高等学校長 笹 のぶえ
裏面の大使館マップは、1年5組の二人のユネスコ委員が作成してくれました。東京の
真ん中の三田高校の周辺には、こんなにたくさんの外国の大使館があります。
3月11日に、275名の卒業生が本校を巣立っていきました。式辞の中で卒業生に餞
に送った言葉を引用します。
◆◆◆
世界の真ん中にある三田高校
卒業生の皆さんが、これから進む目の前には、様々な課題を抱え、激しく変化する世界が
待ち受けています。
政治・経済、文化など、様々な分野において、従来の国家・地域の垣根を越え、地球規模
で 資本や情報、人や物資のやり取りが行われるグローバル化は、一層進展していきます。
こ れ ま で と は 、比 べ 物 に な ら な い 速 さ と 大 き さ で 、様 々 な こ と が 変 化 し 、進 ん で い き ま す 。
皆 さ ん は 、こ の よ う な 未 来 の 世 界 で 、三 田 高 校 で 培 っ た 様 々 な 力 を 核 に 、大 き く 強 い「 翼 」
で 力強く羽ばたき、リーダーとして活躍していく人材です。本校から巣立っていく卒業生
の 皆 さ ん に 、私 か ら 、
「 世 界 を 動 か す チ ー ム の よ り 良 き 一 員 た れ 」と 言 う 言 葉 を 餞( は な む
け)に贈ります。
南極地域観測隊 第五十四次 越冬隊長 橋田氏が、
「 南 極 は 、ど こ の 国 に も 属 し て い な い
大陸です。南極点には、原署名国十二カ国の旗が 常時はためいています。南極に行くのに
ビ ザ は 必 要 あ り ま せ ん 。」と 話 し て お ら れ る の を 伺 い ま し た 。ま さ に 南 極 は グ ロ ー バ ル 社 会
だ と 思 い ま し た 。ま た 、橋 田 氏 は 、
「 南 極 越 冬 隊 員 に な る に は 、ど う し た ら な れ る の か と 、聞
いた幼稚園の子どもに、
『 い ろ ん な 仕 事 が あ り ま す か ら 、い ろ ん な こ と に 興 味 を 持 つ こ と も
必要ですけれど、その中で 自分が得意なものを見つけて、それに打ち込む。いろんな人と
話をして 工夫すべきところ、取り入れるところがあれば、どんどん自分の得意なほうに生
か せ る 、 そ う い う こ と が 大 事 か と 思 い ま す 。』」 と 答 え た 、 第 五 十 五 次 牛 尾 越 冬 隊 長 の 言 葉
も紹介していました。
さて、
「 世 界 を 動 か す チ ー ム の よ り 良 き 一 員 」に な る た め に は 、何 が 必 要 な の で し ょ う か 。
まずは、
「 自 分 の 専 門 性 」を 高 め る こ と で す 。環 境 問 題 、エ ネ ル ギ ― 問 題 を は じ め 、現 在 の
世界や日本を取り巻く多くの課題の要因は、単一ではなく、様々な要素が複合的に混ざり合
っています。これは、私達の身の回りの身近な課題についても同様です。これらの課題を、
包括的に一刀両断に解決できるような オールマイティな方法はありません。混ざり合った
一つ一つの課題にふさわしい、知恵と働きをして、解決していくことになります。確固たる
自分の専門性を提供して、チームの課題解決に貢献できるようになってください。
次に、
「 質 の 高 い コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 」を 身 に 付 け る こ と で す 。文 化 や 価 値 観 の 異 な る
チームの一員と共に 課題解決に当たるには、チームの中での意思の疎通、協働意識の確立
が 不 可 欠 で す 。自 分 の 考 え や 論 理 を 正 確 に 表 現 し 、相 手 に 伝 え る と 共 に 、相 手 が 何 を 考 え 、
何を伝えようとしているか 理解する努力が求められます。自らの表現力を磨くと共に、相
手を受け止める理解力や 寛容さを、相手と分かりあうために 粘り強く努力する根気強さ
を 身に付けてください。質の高いコミュニケーション能力を 十分に発揮して、チームの
円滑な活動に寄与してください。
私 は 、 卒 業 生 の 皆 さ ん が 、 こ の 三 田 高 校 の 、「 高 い 志 の 進 路 指 導 と 国 際 理 解 教 育 」 の 中 で 、
身 に 付 け た 多 く の 力 を 核 に 、 こ れ か ら の 人 生 で の 、 様 々 な 体 験 を 通 し て 、「 自 分 の 専 門 性 」
と「質の高いコミュニケーション能力」を獲得してくれることを、願います。
激しく変化する グローバル化した世界の中で、
「 高 い 志 」を も っ て 、自 ら の 夢 の 実 現 に 向
か っ て 努 力 し 、「 世 界 を 動 か す チ ー ム の よ き 一 員 」 に な っ て く だ さ い 。
そして、社会の様々な分野で リーダーとして、大きく羽ばたいていくことを、心から期
待しています。