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【経営・会計】 丸山 佳久 ゼミ
演習テーマ :環境会計の考え方を用いて、地域活性化をビジネスプランとして具体化させる
<活動内容>
東日本大震災の被災地の復興や中山間地域における活性化(地方創生)が課題となっています。農林漁業や地域
にある資源を活かして、できるだけ補助金に頼らずに地域活性化を図るためには、地方自治体や企業、NPO 法人等
が連携して、新たなビジネスモデルを作っていかなければなりません。例えば、太陽光やバイオマス等の再生可能エ
ネルギーを利活用することで、過疎化・高齢化に悩む中山間地域の活性化をさせて、地域のサステナビリティ(持続可
能性)、すなわち地域の自立と安定化を図ることができるかもしれません。
本ゼミは、サステナビリティ報告・統合報告やマテリアルフローコスト会計等の組織を対象としたミクロ環境会計、国家
規模を対象としたマクロ環境会計、それらの中間にあるメソ会計に取り組みます。メソ会計は特定の地域や資源を単位
とする環境会計で、2015 年度のゼミでは、メソ会計の実践として、被災地や中山間地域等を事例として、その地域の復
興や活性化をビジネスプランとして具体化させます。
資料を用いた先行事例の調査だけではなく、実地調査・体験学習(農林業体験やヒアリング調査、施設見学等)を行
なったり、企業や地方自治体等の環境報告/サステナビリティ報告を用いたりすることがゼミの特徴です。実地調査は
春と夏の年 2 回行ないます。ビジネスプランの具体化にあたっては、売上のあがり方やコストのかかり方、地域的サプ
ライチェーン/クラスターを通じた経済効果・環境影響等に対して、経営・会計手法を用いて分析を行ないます。
具体的な活動内容(予定)は、以下の通りです。
2年次:テキストの輪読を通じて、環境会計の基本的な概念や手法を理解したり、地域活性化に取り組む各地の先行事
例を収集・整理したりします。
3年次:グループワークと実地調査を通じて、課題の発見、資料収集、プレゼンテーション・ディスカッション等を行ない、
最終的には、被災地の復興や中山間地域等の活性化をビジネスプランとして具体化させます。また、4 年次の卒業
研究をイメージして、レポートの作成に取り組みます。
4年次:3 年次におけるグループワークと実地調査をもとに、ひとりひとり研究テーマを見つけて、演習論文を取りまと
めます。
<ゼミ紹介>
本や論文をいくら勉強しても、実際に施設見学をしてみたり、企業の担当者に話しを聞いてみたり、あるいは、農業や
林業を体験してみたりしないと、農林漁業や地域にある資源を活かして、地域活性化を図るビジネスプランを作成する
ことはできません。そこで、文献調査だけではなく、施設見学・体験学習や、企業のサステナビリティ報告/環境報告の
利用を体験学習を積極的に行っていきます。
例えば、2014 年度は、9 月に夏合宿として、NPO 法人紫波みらい研究所の案内のもと、岩手県紫波町において農林
業体験を行なったり、バイオマス資源化事業、地域活性化事業(オガールプロジェクト)等の調査を行なったりしました
(紫波町アグリプロジェクト)。また、3 月に春合宿として、富士ゼロックス株式会社復興推進室の案内で、同社の遠野み
らい創りカレッジをベースに、3 月に岩手県遠野市及び釜石市にて、農林業体験を行なったり、木材/木製品の 6 次産業
化に向けた展開を探ったり、被災地の復興支援事業の調査を行なったりしました。これらの春合宿及び夏合宿におけ
る具体的なコンテンツは、ゼミ生が、受け入れ先の企業や自治体・NPOの担当者と交渉して全て計画をたてています。
2015 年度も紫波町・遠野市・釜石市での実地調査は継続する予定です。
また、2012 年度と 2013 年度には、環境省からの委託による「サステナビリティ報告の環境レビュー」をゼミとして行
いました。環境レビューは、企業等によるサステナビリティ報告を読んで(環境省の環境報告ガイドラインを参考に)項
目別のコメントを作成し、それを環境省経由で作成企業に送付します。私たちのコメントをもとに、企業はサステナビリ
ティ報告を改善していくわけです。ゼミ生が環境省や企業等の担当者からレクチャーを受けて、環境レビューの具体的
な作業を進めました。
2015 年度は、春合宿及び夏合宿の実地調査を踏まえ、遠野市・釜石市・紫波町を事例とした地域活性化のビジネス
プランを作成し、レポートとして取りまとめ、学内の研究報告会や、他大学との学生経済ゼミナール大会(インナー大会
及びインター大会)に出場し発表します。ビジネスプランの作成は、経営学・会計学の知識や、経済分析・環境影響評
価の能力を活用するチャンスです。