薬局だより 3月号 ができあがりました。

白庭病院
2015 年 3 月
みなさん、「胸やけ」を感じたことはありませんか?
食べ過ぎやストレスなどによって胸やけが起こります。胃液は強い酸性のため、これと混ざり合
わさった食物や胃液などが食道に逆流して、食道の粘膜を刺激すると胸やけが起こります。
最近、これら胸やけなどの症状がみられる病気が注目されています。今回はこの病気、「逆流
性食道炎」についてご紹介します。
逆流性食道炎ってどんな病気?
逆流性食道炎は、食事の内容、肥満、
加齢、姿勢などによって下部食道括約筋
等の食道を逆流から守る仕組みが弱まっ
たり、胃酸が増えすぎることで起こります。
強い酸性の胃液や、胃で消化される途
中の食物が食道に逆流して、そこにとどま
るために、食道が炎症を起こし、びらん
(粘膜がただれること)や潰瘍(粘膜や組
織の一部がなくなること)を生じる病気で
す。このため胸やけや胸の痛みなどさま
ざまな症状が生じます。
逆流性食道炎の原因
★脂肪・タンパク質の多い食事、食べ過ぎ
…脂肪の多い食事をとった時に十二指腸から分泌されるコレシストキニンと
いうホルモンの働きや、たくさんの食事で胃が引き伸ばされることで、下部食
道括約筋がゆるむと考えられています。タンパク質の多い食事は消化に時間
がかかり、胃に長くとどまるため、胃液の逆流が起こりやすくなります。
★加齢…人の体は加齢とともに、下部食道括約筋の機能が低下します。
★前屈みの姿勢や猫背…おなかが圧迫され、胃の中の圧力が高くなるため、
胃液の逆流が起こりやすくなります。
★肥満…中高年になると増えてくる食道裂孔ヘルニアは、食道と胃のつなぎ目
である噴門がゆるくなった状態で,肥満とも大きな関係があります。
治療について
発症した場合、まずはきちんと通院し、薬を服用することが大切です。
逆流性食道炎は、胃酸の逆流で食道に炎症が起きます。
そのため、胃酸の分泌を抑える薬を服用すれば、胃酸の逆流
を効果的に防ぐことが出来ます。
治療薬一覧(一旦症状が良くなったからと言って、自己判断で薬をやめるのは危険です。逆
流性食道炎の治療には長い期間が掛かります。薬を長期的に飲み続ける必要があります。)
種類
効果
胃の壁細胞に存在するプロトンポンプの働きを妨げる働きが
プロトンポンプ阻害薬
あり、胃酸の分泌を抑える効果があります。
(ランソプラゾール、
症状がある時に使われるほか、再発を繰り返す場合には、
タケプロン、パリエットなど)
再発防止のために薬を服用し続けることもあります。
ヒスタミンと、胃の壁細胞に存在するH2受容体の結合を防ぐ
ヒスタミンH2受容体拮抗薬
働きがあり、胃酸の分泌を抑える効果があります。
(ガスター、ラニチジンなど)
胃の粘膜を保護する働きがあり、粘膜の修復を手助けする
胃粘膜保護薬
(マーズレンS、アルロイドG、 効果があります。また、胃の粘膜の血流をアップさせる働き
ムコスタ、セルベックスなど) があり、胃の粘膜を丈夫にする効果があります。
制酸薬
(酸化マグネシウム、
マーロックスなど)
胃酸を中和する働きがあり、胃の粘膜を保護する効果があり
ます。
生活の中で心がけること
●脂肪分やタンパク質の多い食事をとりすぎないようにし、胃酸を増やしたり胸やけの症状を悪く
したりすることのあるチョコレート・ケーキなどの甘いもの、唐辛子・コショウなどの香辛料、みかん
やレモンなどの酸味の強い果物、消化の悪い食べ物などはとる量を減らす。
また、一度にとる食事の量を減らし、腹八分目を心がける。
●アルコール、コーヒー、緑茶の摂取を減らす。(アルコールは、胃酸の分泌を増やすと同時に、
食道下部括約筋をゆるめることが分かっています。またコーヒーや緑茶などに含まれるカフェイン
も、胃酸の分泌を増やします。)
●食生活の改善とともに、適度な運動を行い、肥満を解消する。
食後すぐに横になったり、寝る前に食事をとることは避ける。姿勢に注意する。
ベルト、コルセット、着物の帯など、おなかを締めつけるものは、身につけないようにする。
●禁煙する。(タバコは逆流性食道炎を悪くします。)
逆流性食道炎は、悪化すると食道がんになる場合もあると言われています。胸焼けや痛みを
感じたら、「たかが胸焼け」と決して放置せず、病院に行くことをおすすめします。