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Title
結核免疫に関する研究: 第16報 結核菌菌体蠟質の免疫学的性状に関
する研究 [第4篇] 蠟脂質感作モルモットにおける Römer 反応,
Middlebrook-Dubos 反応および Schultz-Dale 反応について
Author(s)
宮森, 正孝; 森永, 健市
Citation
金沢大学結核研究所年報 = Annual report of the Research Institute of
Tuberculosis, Kanazawa University, 16(1): 27-30
Issue Date
1958-06-20
Type
Departmental Bulletin Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/2297/41210
Right
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http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/
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結核免疫に関する研究
第16報
結核菌菌体蝋脂質の免疫学的性状に関する研究
第 4 篇
蝋脂質感作モルモットに於けるR6mer反応,Middlebrook-Dubos
反応及びSchultz-Dale反応について
金沢大学結核研究所細菌免疫部(主任:柿下正道教授)
宮 森 正 孝
森 永 健 市
(受付:昭和33年2月21日)
緒
著者の一人宮森')はさきに結核菌の菌体構成
言
われは更にモルモットに同様の方法にて抽出し
上他の細菌と比較してきわめて特徴のある菌体
た人型菌H37Rv株のWaxを注射し,R6mer
脂質に注目し,人型結核菌H2株の加熱死菌よ
反応(66T''反応)の出現及びM−D反応の抗
り蝋脂質(Wax)を抽出し,そのウサギに対す
体産生の有無を追究するとともに,易I出腸管に
るツベルクリン・アレルギー(ツ・ア)賦与能
ついてSchultz-Dale反応(S-D反応)を試み
及びMiddlebrook-Dubos反応(M-D反応)に
た.以下その成績について述べる.
対する抗体産生能を実証した.よって今回われ
実験材料並びに実験方法
1)動物:体重500gm前後の健常モルモットで,
10倍稀釈OTO.1mlによるGGT''反応陰性のものを
使用した.
2)モルモット感作方法:SautOn培地10週間培養
の人型結核菌H37Rv株の乾燥加熱死菌体より,
Anderson2)の方法により抽出したWaxを各頭当り
(OA-Azo-T)及び結核菌菌体の多糖体分画(CF)
及び蛋白分画(PF)を使用した.
4)・6T''反応:10倍稀釈OTO.1mlを使用し,48時
間後の硬結径を測定した.
5)M−D反応:心臓穿刺血より型の如く血清を分
離し,山下4),中島5)の報告に準じて行った.血球
40mgを流動パラフィン1.5mlに浮遊し,両側肩
は自家血球を使用し,無感作対照を置いて実施し
岬筋肉内に分割注射した.
た
.
3)S-D反応原として使用した標本:森永3)の報告
と同一のOT,その多糖体分画(CFI,CFII)及び蛋
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6)S-D反応:森永3〕の報告に準じて行った.な
おMagnus装置は25ml容量のものを使用した、
28
宮 森 ・ 森 永
実験
成績
I.
Wax感作モルモットについて感作後3,4,
あったが,4週に至り陽性反応を示し,以後お
6,及び8週にそれぞれ1ないし匹2あてM−D
おむね同程度の感受性を維持した.しかし<GT''
反応並びにS−D反応試験を行った.なお6lT''反
応は経過を追って全例について観察した.
反応の弱いNo.83は陰性であった.
b)OA-Azo-T添加:全例において反応
成績は表及び図に示した.
を認めなかった.
すなわち,
c)OT分画添加:OT添加によって陽性
1)<6T''反応:1例(No.83)を除き3週
には6例共に陽性を示し,以後観察期間中おお
反応を認めた4例において,CFII,PFI及びPFI
むね同程度の陽性値を維持した.またNo.83
の反応原性の強さにおいて,1例(No.97)を
によりすべて陽性を示し,且3分画の間にはそ
も6週に至り陽性に転化したが他に比較して弱
除いてPFIIZPFI>CFIIの関係が認められた.
かった.
なおCFIによっては全例に反応が認められなか
2)M-D反応:全例に弱いながら反応の出
現が認められ,4週∼8週で抗体価1:8∼1:
った.
32を示した.
反応が認められなかったが,PFによっては1
3)S-D反応
d)菌体分画添加:CFにより全例において
例(No.78)に弱い反応が認められた.
a)OT添加:感作3週後に2例共陰性で
総括並びに考按
Waxのツ・ア賦与能及び抗体産生能に関し血清抗体との間には異なる所があるのではない
ては,Anderson2)によりリポイド分劃が系統かとみられ,Wax免疫の複雑性が窺われる次第
的に抽出されて以来多くの研究者によって攻究である.しかも森永3)はさきに流動パラフィン
されて来たが,いずれもこれを認めており,著者結核死菌浮遊液により感作したモルモットにお
の一人宮森1)もWaxのツ・ア賦与能及びM−DいてOTによるS-D反応が主としてその多糖
反応抗体産生能を確認した.今回われわれもま体分画CFIIに由来する事を認めておるので,
たWax感作モルモットにおいてツ.ア及び武田Wax感作時と全菌体感作時とにおいてはS−D
6)と同じくM−D反応の出現を認め,更に易リ出腸反応が異なった反応系によるものの如く窺わ
管についてS−D反応を検討した結果S−,反れ,結核免疫の本態究明にはなお幾多の困難の
応はC{T''反応より遅れて4週より陽性となり,存する事を予想せしめるものであるが,Wax
且OTによる陽性反応が主としてその蛋白分劃に関する研究の今後の進展はこの問題解明への
に由来する事を確めた.この事からWax免疫一手段であると考える次第である.
により得られた組織アレルギーに対する抗体と
人型結核菌H37Rv株の加熱死菌より抽出し
たWaxを40mgあてモルモットに筋注し,(lT''
反応,M-D反応及び易I出腸管のS−D反応の変
動を観察し,次の成績を得た.
1)比較的強いツ・ア賦与が認められた.
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結
2)弱いながら血清抗体の産生が認められ
た.
3).@T"反応より遅れて,4週よりOTに
よるS−D反応の出現が認められたが,同反応
は主としてOTの蛋白分画に由来し,OT多糖
反応に比して著しく弱かった.
った.
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なお菌体分画による反応はOT分画による
体分画CFIIによる反応はこれに比して弱か
29
結核免疫に関する研究
1)宮森正孝:金大結研年報,16(上),17,1958.
(上),153,1954.5)中島滋:金大結研年報,
2)Anderson,R,J.:Physiol.Rev.,12,166,
10(下),312,1952.6)Takeda,Y・etal.:
1932.3)森永健市:金大結研年報,15(中),
Jap.J・Tuberc.,2,216;361,1954.
163,1957.4)山下文雄:金大結研年報,12
一
30
宮 森 ・ 森 永
Wax感作モルモットにおける3反応の消長
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註:モルモットNo.83を除き表示した.
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モルモットNO.78Wax感作4週モルモットNo.78Wax感作4週モルモットNo.80Wax感作8週