第2回(2013年)報告

日本地震工学会第2回国際シンポジウム報告
清野 純史
●京都大学大学院地球環境学堂
1.はじめに
3.当日の各セッションの概要
日本地震工学会の第2回国際シンポジウムが、平成
シンポジウム初日の11月11日(月)の第1セッションか
25年11月11日~ 12 日にかけて、昨年同様東京・代々
ら、外国人学生や留学生、研修員を始め、日本人学生
木の国立オリンピック記念青少年総合センターで年次
や若手研究者など多数の参加を得て、発表が行われた。
大会と同時に開催された。この国際シンポジウムは、
地震工学に関する全国レベルの発表の場が限られてい
海外からの留学生や日本の研究者・実務者に英語での
るため、特に留学生からはこのような機会をぜひ継続
発表や討論の機会を与え、昨今の国際化やグローバル
して欲しいとの声が多く寄せられた。また、外国での
化の中で日本の地震工学研究を国際的に発信すること
発表経験の少ない若手研究者が経験を積む場として活
を目的としたもので、昨年度に第1回のシンポジウム
用する例も見られた (写真1)。
が開催された。
基本的に日本地震工学会の年次大会とは独立な運営
としているが、第2回となる平成25 年度は、昨年度と
同様に大会実行委員会2013の古屋実行委員長(埼玉大
学)の支援の下に、年次大会との同時開催とし、東京・
代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで
約80名の参加を得て行われた。
ここでは、昨年度に引き続きシンポジウム論文受付
へ至る工程やシンポジウム当日の各セッションの概要、
次年度へ向けた課題等を報告する。
2.国際シンポジウム論文の投稿
シンポジウム論文は、アブストラクト査読付の英文
写真1 国際シンポジウム会場と聴衆
論文であり、平成25年度は、アブストラクト受付のた
めのシステムを改良したために、受付は実質8月の初
めからの開始となった。8 月末締め切りの後、国際
シンポジウム委員会委員の専門家5名がアブストラク
ト査読を行い、その後10月中旬までにJAEE英文論文
フォーマットに従ってフルペーパーが提出された。最
終的に、論文申込35編、シンポジウム掲載論文28 編と
いう結果であった。残念ながら、本年の発表数は昨年
の件数(65 件)を大きく下回った。論文投稿システム
の改良などが8 月初めまで続いたため、会員への周知
が遅れたことは否めない。今後は、早めの広報、留学
生を多く抱える教員への直接の働きかけ、企業等若手
研究者への英語発表の勧めなど、更なる底上げを図る
必要があると感じている。
しかし、国際シンポジウムへの参加者は59名(正会
員5名、学生会員12 名、非会員42 名)と、多くの参加
者を得ることができ、どのセッションも熱のこもった
議論が展開された。
34
Bulletin of JAEE No.21 February 2014
セッション構成は、論文のカテゴリーと同様、昨年
度と同じ以下のa ~ dの4部構成であった。
a. Natural Phenomena (earthquake, underground profile,
ground motion, tsunami, historical earthquake, etc.)
a-1 focal mechanism, a-2 underground profile, a-3 ground
motion, a-4 liquefaction/landslide, a-5 tsunami/historical
earthquake/others
b . S t r u c t u re s ( e a r t h q u a k e re s p o n s e , s t r u c t u r a l
experiment, seismic design, base isolation, structural
control, retrofitting/reinforcement/inspection, inter-
action, etc.)
b-1 underground structure/dam, b-2 pile and foundation,
b-3 soil-structure interaction, b-4 structures, b-5 buildings
b-6 machinery, b-7 base isolation/structural control/health
monitoring, b-8 retrofitting/strengthening, b-9 innovative
structures and materials/others
c. Social Issues (lifeline, disaster information, risk
management, disaster mitigation plan, reconstruction
plan, etc.)
かりやすさ、質疑応答の的確さを総合的に判断し、優
秀論文発表賞として5 名の若手研究者を選出した(表1)。
c-1 lifeline, c-2 early warning/disaster information, c-3
受賞者はHP等を通じて公表し、後日賞状が贈られる
issues, c-4reconstruction/others
www.jaee.gr.jp/en/)を参照されたい。
disaster mitigation plan/risk management/socio-economic
d. Earthquake Damage Investigation/Reconnaissance
ことになる。詳細は日本地震工学会HP(英語版: http://
シンポジウム初日には、年次大会交流会と合わせて、
オープニングレセプションが開催され、多数の年次大
会参加者やシンポジウム参加の外国人留学生が親睦を
深めた。
4.おわりに
日本地震工学会第2回国際シンポジウムは、多くの
方々の協力により無事終了し、USBメモリに収録した
プロシーディングスも配布した。
また、優秀論文発表賞として5 名の若手研究者を選
出したが、この賞を設けたことは、発表者への大きな
インセンティブになっており、今後もぜひ継続すべき
イベントである。
写真2 質疑応答の様子
来年度は日本地震工学シンポジウムが開催されるた
本 年 度 の シ ン ポ ジ ウ ム 初 日(11/11) は、 午 前 中 に
め、第3回は27 年度の開催となるが、会員各位には今
Natural Phenomena (1) [ 座長: 高井伸雄( 北海道大学)] 、
後ぜひ国際シンポへの英文投稿・英語発表の機会を積
午後にNatural Phenomena (2) [座長:清野純史(京都大学)],
Structures (1) [座長:高橋良和(京都大学)]の計17 編の発
極的にご活用いただきたい。
最後に、年次大会と同時開催ということで会場の設
表、2日目(11/12) は、午前中にStructure(2)/Social Issues
営から運営まで全てにご尽力いただいた大会実行委員
[ 座長: 小檜山雅之( 慶應義塾大学)] の計11編の発表が
を割いていただいた査読者各位、各セッションの司会
行われ、いずれも活発な質疑応答、ディスカッションが
をご担当いただいた座長各位、ならびに日本地震工学
行われた(写真2)。
会事務局の方々に、国際シンポジウム実行委員会から
(1) [座長: 豊岡亮洋( 鉄道総研)] 、午後に Social Issues (2)
また、シンポジウム終了後、論文の内容、発表の分
会2013 関係者各位、アブストラクト査読に貴重な時間
この場を借りて厚く御礼申し上げる次第である。
表1 Excellent Paper Award の受賞者
The Second international Symposium on Earthquake Engineering (Nov.11-12,2013)
Japan Association for Earthquake Engineering
Bulletin of JAEE No.21 February 2014
35