2014(平成26)年度卒業式告辞

平成26年度卒業式告辞
日増しに暖かさを増し、春の到来を感じることができるこの日、比治山大学現代文化学部二六
二名、大学院現代文化研究科七名、子ども発達教育専攻科一名、短期大学部三〇八名、同専攻科
一六名、合計五九四名に卒業証書学位記・修了証書を授与しました。この中には留学生が一名含
まれています。
比治山大学・比治山大学短期大学部の教職員を代表して、これまで学業に専心し、日々精進し、
この日を迎えられた卒業生・修了生の皆さんに心よりお祝い申し上げます。本式典にご出席いた
だいておりますご家族の皆様におかれましては、これまで多くのご苦労もあったことと思います
が、ご卒業・修了おめでとうございます。また卒業生・修了生の新たな門出を祝福するためにご
多忙のなかご臨席を賜りました来賓の方々、本学ゆかりの皆様に厚く御礼申し上げます。私ども
教職員にとりましても、多くの卒業生・修了生が社会に巣立っていく日を迎えることができるこ
とは大きな喜びであり、感激ひとしおであります。
卒業生・修了生の皆さん、入学した時の夢や志を叶える第一歩を踏み出す準備はできましたか。
新たな人生の門出を迎え、再び大いなる希望と志をもち、胸を膨らませていること拝察します。
本学で学んだことを誇りに思い、ご家族への感謝の気持ちをもち、よりよき社会を築くために貢
献され、建学の精神「悠久不滅の生命の理想に向かって精進する」を忘れないで、立派な社会人
として活躍されることを期待しております。
さて皆さんの門出を祝福する者の一人として、また学長として、次のことをお願いし、
「はなむ
け」の言葉としたいと思います。
ご案内のとおりいま世界では様々な考え方や価値観が対立し、自己の価値を強烈に主張する傾
向が強くあります。その結果、部族間の対立が深まったり、民族間で国家を分断する争いが頻発
したり、宗教的価値観から自らの生き方を主唱したりと争いが高まりつつあります。グローバル
化する現代社会において、世界が非常に不安定化しつつありますし、人々の暮らしや経済社会的
地位の配分についても格差がますます拡大していると言われています。我が国でも人口減少社
会・超高齢社会に直面し、社会の活力が失われ、地域社会、村落社会が崩壊の危機に直面すると
警鐘がならされています。
自分の生活さえよければ世界のことは考えなくてもよい、といった閉塞的な思考に閉じこもら
ないでください。皆さんこそが、世界や社会の問題を解決し、人々が住みやすい社会を築く人で
あるからです。本学で多くのことを学んでくれたと思いますが、学んだ知識や技能はそのままで
は意味がありません。知識や技能は社会のために活用するためにあります。そうして初めて学び
の意味が出てくると思います。グローバル化した社会では私たちの身近な小さなことも世界の大
きな動きと密接に関係しています。身近な小さな問題の解決を考えることは翻って世界の大きな
問題の解決を考えることにつながっています。地球温暖化と地域の想定外の災害、世界経済の動
静が地域の労働環境や貧困と結びついていることなどから考えると、広い視野から地域の問題解
決を考え、取り組むという姿勢が大切になります。同時に地域の小さな問題が世界の大きな問題
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に結びついているという視点も忘れないでください。
また多様な価値観や考え方、そこから生じる紛争や対立に対処するに、非難するだけでは解決
しそうにありません。日々の人間関係でもそうだと思います。一方的に相手が悪いと決めつける
だけでは何も解決になりません。世界の国民や民族の争いや紛争を調定するためには、非難する
という方法論では通用しません。まさにコミュニケーション力・対話力が必要です。そして双方
が納得できるコンセンサス(合意)を形成する力が必要となります。日々の生活の中で、自分と
異なるものを尊重し、異なるものと落ち着いて、短絡的にならないで、根気よく対話し続ける力
を磨いてください。平和都市広島で学ぶ意味はここにあると思います。不安定さを増しつつある
今の社会を改めて成熟した安定した社会にすべく卒業生の皆さんこそが頑張っていただきたいと
思います。
繰り返しますが、毎日の身近な問題を直視しその解決に努める、と同時に異なるものを排斥し
ないで根気よく理解し、対話し続けることの大切さを忘れないでください。
希望に胸を膨らま
せて、新たな出発をする卒業生・修了生の皆さん。自信と勇気をもって、比治山で学んだことを
誇りとし、今日の日に感謝し、建学の精神を胸に社会人としての第一歩を踏み出してください。
比治山大学は、自立・共生・想像(イマジネーション)
・創造(クリエティビティ)という四つの
資質・能力の育成を目標に向けて努力しています。このキーコンペテンシーを土台として皆さん
の人生を切り開いてください。皆さんの門出が幸多いものであり、そして同時に皆さんの活躍が
よりよき社会を創生する力となることを祈って、告辞といたします。
平成27年(2015年)3月20日
比治山大学・比治山大学短期大学部
学長 二宮 皓
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