オオカミの

カラス
オオカミの
復活と
生態系の変化
オオカミが復活した
イエローストーン
1995 年∼現在
ポプラ
エルク 個 体 数 が 半 減した。
1995 年と 96 年にオオカミが
再導入されてからしばらく、厳
しい冬と日照りが続いたこと
も、数の減少に追い打ちをか
イエローストーンでは、食物
け た。 それ でも、オオカミを
連鎖の頂点に立ち、もっぱら
恐れる野生の本能が復活し、
エルクを獲物にしていたオオ
襲われても逃げ場のない水辺
カミが 70 年間不在だった。し
にとどまることがなくなった。
かし現在、オオカミの復活に
エルク
ポプラの若木
ポプラ 新芽を食べていたエ
よって、公園の生態系に連鎖
プロングホーン
ルクが減ったおかげで、大幅
的な変化が起こっている。
に増加。新しく育った木は、場
所によって高さ 3 ∼ 4.5 メート
グリズリー
ルに達する。
オオカミのいない
イエローストーン
1926 ∼ 95 年
コヨーテ オオカミに 食 べら
れて減少。プロングホーンの数
エルク 岸辺に生えるヤナギ属
が復活したのは、コヨーテの
の木や灌木を食べつくしたせい
コヨーテ
で、土手の浸食が進み、鳥たち
減少も一因かもしれない。
水辺の植生 川岸に植物が増
は巣作りの場所を失った。川幅
えたことで、土壌が安定し、自
が広がって水深が浅くなったた
然な水の流れが復活した。川
め、魚をはじめとする水生生物
面にかかる枝が木陰を作り、
の生息域が狭くなった。木陰を
鳥たちが集まるようになった。
作っていた岸辺の木々がなくな
ったことで、水温は上昇。
ポプラ エルクが冬を越 すイエ
ビー バ ー イエローストーン
北 部 の 個 体 群 が 1 個 から 12
ローストーン北 部の渓 谷では、
個に増加。川岸にはビーバー
ポプラ の 生 育 が 阻 害され て い
の主食のヤナギをはじめとす
た。エルクが新芽をほぼ食べつ
エルク
くしていたのだ。
キタメジロ
ハエトリ
ヤナギ属の木
アメリカコガモ
る植物が茂り、ビーバーのダ
ムのおかげでできた池や沼に
カットスロート・トラウト
(サケの仲間)
は魚や両生類、鳥、小動物が
コヨーテ 個体数が増加。主に
ビーバー
生息していて、餌となる昆虫
ジリスや ハタネズミなどの 小 動
もたくさんいる。
物を食べるため、キツネやアナ
獲物の死骸 オオカミは捕っ
グマ、猛禽類の獲物が減った。
た獲物を埋めないので、コヨ
ーテやカラス、クマなどがおこ
ぼれにあずかることができる。
ART BY FERNANDO G. BAPTISTA, NG STAFF;
AMANDA HOBBS, NG STAFF
SOURCES: ROBERT L. BESCHTA AND
WILLIAM J. RIPPLE, OREGON STATE
UNIVERSITY; DOUGLAS W. SMITH,
YELLOWSTONE NATIONAL PARK
コーラスガエルの
仲間
ヤナギ属の木
オオカミ