研究施設等廃棄物埋設施設の立地の選定 に係る基準案について

研究施設等廃棄物埋設施設の立地の選定
に係る基準案について
独立行政法人日本原子力研究開発機構
バックエンド研究開発部門
廃棄物対策・埋設事業統括部
埋設施設の立地の選定に係る基準案
独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)は、
外部有識者等からなる「埋設施設設置に関する技術専門委員会」による技術
的検討の取りまとめを受け、研究施設等廃棄物埋設施設(以下「埋設施設」と
いう。)の立地の選定に係る基準案(以下「立地基準案」という。)を策定した。
立地基準案は、立地する地点における安全性を確保した上で経済的利便性
を持った埋設施設の設置ができることを大前提に、立地選定にあたり考慮す
べき項目と項目ごとの評価の指標とで構成している。
(1)立地の選定にあたり考慮すべき項目
立地の選定にあたり考慮すべき項目は、以下の4つの大項目とする。
(A)安全性
(B)環境保全
(C)経済性・利便性
(D)社会的要件
これらの内、(A)安全性、(B)環境保全、及び(C)経済性・利便性に分類した用地
面積は設置候補地の要件として「適合性評価項目」とする。
一方、 (C)経済性・利便性(用地面積を除く)及び(D)社会的要件は設置候補地と
しての好ましさを比較する項目として「比較評価項目」とする。
1
埋設施設の立地の選定に係る基準案
(2)項目ごとの評価の指標
1)適合性評価項目と評価の指標
検討対象地点について、適合性評価項目の指標を満足しているか否か(適否)を確認する。
(A)安全性の観点から考慮すべき項目
• 設置候補地の自然環境として、火山、津波、陥没、地すべり、洪水、断層(活断層)を考慮す
べき項目とし、設置候補地が当該事象に関して安全確保上支障がないことを確認する。
(B)環境保全の観点から考慮すべき項目
• 設置候補地の環境保全の観点における規制等の現状として、土地利用に係る規制・計画及
び文化財の保護を考慮すべき項目とし、設置候補地の土地利用が限定的で取得が極めて
困難でないことを確認する。
(C)経済性・利便性の観点から考慮すべき項目
• 事業用地(用地面積)については、埋設事業の実施に際して所要の面積が確保できることを
確認する。
※ 設置候補地は、適合性評価項目のすべての指標を満足することを必要な条件とする。
2
埋設施設の立地の選定に係る基準案
2)比較評価項目と評価の指標
適合性を確認できた検討対象地点が複数の場合において、それぞれ好ましさを評価する。
(C)経済性・利便性(用地面積を除く)の観点から考慮すべき項目
経済性・利便性の観点から、事業用地、輸送の利便性、事業の効率性を考慮すべき項目とする。
• 事業用地については、当該事業の実施に必要な用地取得及び造成工事等に係る費用の
合理性及び用地形状の好ましさを評価する。
• 輸送の利便性については、利用可能な港湾から埋設施設までの距離や幹線道路からのア
クセスの状況を評価する。
• 事業の効率性については、原子力機構の業務運営効率化の観点から設置候補地の立地
条件を評価する。
(D)社会的要件の観点から考慮すべき項目
社会的要件の観点から、用地取得の容易性、地域社会の受容性を考慮すべき項目とする。
• 用地取得の容易性については、土地利用の規制解除や地権者との交渉が円滑かつ迅速に
進められる見通しを評価する。
• 地域社会の受容性については、農業、水産業等の生産者から協力が得られる見通し、自然
環境に与える影響の度合い、輸送経路の周辺社会や候補地の地域社会の理解と協力の
見通し等を評価する。
※ 比較評価においては、複数の検討対象地点の中から数理学的手法を用いて順位付
けを行う。
3
立地基準案
- 適合性評価項目 -
評 価 項 目
評価の指標
立地基準項目としての設定根拠
当該事象に関して、安全確保上に支
障がないことを確認する。
大きな事故の誘因を排除し、また、万
一事故が発生した場合における影響
の拡大を防止する観点から、埋設施
設の敷地及びその周辺における当該
事象を考慮して、安全確保上に支障
がないことを確認することが必要。
(B11)
自然環境
自然環境保全、鳥獣保護、生物多様
性の確保等のために限定的に利用さ
れている地域ではないことを確認する。
環境保全の観点で、規制・計画の対
象となる地域ではない地点を選定する
ことが必要。
(B12)
土地利用
土地利用が限定的で、取得が極めて
難しい地域ではないことを確認する。
(B2)
文化財の保護
(B21)
文化財
保存が定められた文化財が存在して
いる地域ではないことを確認する。
(C1)
事業用地
(C11)
用地面積
埋設事業の実施に際し、地形等を考
慮した上で、対象廃棄物の埋設に必
要となる所要の事業用地面積が確保
できることを確認する。
大項目
中項目
小項目
(A)
安全性
(A1)
自然環境
(A11)
自然現象
細 目
(A111)火山
(A112)津波
(A113)陥没
(A114)地すべり
(A115)洪水
(A12)
地質及び地形等 (A121)断層(活断層)
(B)
環境保全
(C)
経済性 ・ 利便性
(B1)
土地利用に係る
規制・計画
埋設施設の設置に際し、所要の事業
用地面積が確保できる地点を選定す
ることが必要。
4
立地基準案
– 比較評価項目(1/2) –
評 価 項 目
評 価 の 指 標
大項目
中項目
(C)
経済性 ・ 利便性
(C1)
事業用地
(C2)
輸送の
利便性
小項目
(C12)
用地取得及び必要な造成工事等に係る費用が、
用地取得及び造成工事 合理的な範囲に収まることが好ましい。
等に係る費用
(D1)
用地取得
の容易性
埋設事業の安全性に加えて、経済的
合理性を満足する地点を選定すること
が望ましい。
(C13)
用地形状
トレンチ埋設施設及びコンクリートピット埋設施
設が、合理的にレイアウトできるような形状を有す
る用地であることが好ましい。
事業用地の効率的な利用や、操業時
の利便性に優れた用地形状が得られ
る地点を選定することが望ましい。
(C21)
利用可能な港湾
からの距離
積載重量3千トン級以上の船舶を対象とする岸壁
及び埠頭を備える港湾施設からの輸送距離が、
合理的な範囲内にあることが好ましい。
輸送の利便性の観点から、利用可能
な港湾からの距離が、合理的な範囲
にある地点を選定することが望ましい。
(C22)
幹線道路からの
アクセス
事業用地までのアクセス道路が、現状のままで
廃棄体や各種資材の輸送に利用できる状態にあ
ることが好ましい。
事業用地までのアクセス道路が整備
されている地点を選定することが望ま
しい。
原子力機構の業務運営効率化の観点から埋設
事業の運営において効率的な体制が整えられる
ことが好ましい。
独立行政法人が公共上の見地から、
適正かつ効率的に埋設事業を運営で
きる体制が整えられる地点を選定する
ことが望ましい。
(D11)
規制の解除
土地利用の規制の解除が、円滑かつ迅速に進め
られることが好ましい。
事業用地を円滑かつ迅速に取得でき
る地点を選定することが望ましい。
(D12)
用地取得
の交渉
土地に係る地権者との交渉が、円滑かつ迅速に
進められることが好ましい。
(C3)
事業の効率性
(D)
社会的要件
立地基準項目としての設定根拠
5
立地基準案
– 比較評価項目(2/2) –
評 価 項 目
評 価 の 指 標
立地基準項目としての設定根拠
大項目
中項目
小項目
(D)
社会的要件
(D2)
地域社会
の受容性
(D21)
地域産業
への影響
埋設施設の設置や操業に対し、農業、水産業等
の生産者から協力を得られることが好ましい。
地域産業に対して、影響が小さい地
点を選定することが望ましい。
(D22)
自然景観
の保全
埋設施設の設置が、自然景観に大きな変化をも
たらさないことが好ましい。
埋設事業の円滑な推進と、自然景観
の保全との両立を図れる地点を選定
することが望ましい。
(D23)
輸送経路
(周辺社会の
理解と協力)
廃棄体や資材等の輸送を行う上で、紛争や障害
等が少ないことが好ましい。
埋設事業の円滑な推進に向けて、廃
棄体や資材等の円滑な輸送が可能な
輸送経路が得られる地点を選定する
ことが望ましい。
(D24)
地域社会の
理解と協力
原子力関連施設に対する地域社会の理解と協力
が得られ易いことが好ましい。
地域に貢献し、埋設事業を円滑かつ
迅速に推進する上で、地域社会全体
の理解と協力が得られる地点を選定
することが望ましい。
6