1 和歌山県那智勝浦町、世界遺産、熊野那智大社の参詣道と環境 A Prayer Way of Kumano-Nachi-Taisha and its Environment, World Heritage, Nachi-Katsuura-cho,Wakayama 1.熊野那智大社の由来(大社の栞) 紀伊半島の東南を古来熊野という。熊野とは奥深く、神秘的な神々の住まえる所である。住吉神武天皇が 御東征の折、この地に上陸され、那智の滝に大巳貴神を祀り八咫烏の案内で山々を越えて大和に入られる。 仁徳天皇 5(318)年那智の滝より社殿をこの地に移し、天須美大神を祀られたのが「熊野那智大社」の起りで ある。後に仏教、修験道の隆盛と共に熊野権現として崇められ上皇、女院、武将や庶民の参拝が増し継続と して詣でる様子を「蟻の熊野詣」と称す。 御社殿は熊野造りと申し、現在の建物は豊臣の世に再興し享保・嘉永の大改修を経て昭和 10(1935)年の御 修覆で、平成 7(1995)年国指定文化財となっている。社前には後日河上皇御手植と伝える枝垂桜や平重盛 の手楯と申す大柄、八咫烏にまつはる烏石等がある。 新宮市の熊野速王大社・本宮町の熊野本宮大社と共に熊野三山の一社で、全国約4千社と云ねれる熊野神 社の御本社でもあり、日本第一大霊験所根本熊野三所権現として崇敬の社である。一方、近くには南紀勝浦 温泉があり、黒潮洗う太平洋を眼下にする御社域は吉野熊野国立公園特別地域である。 熊野古道、樹齢 800 年の杉の空洞と夫婦愛の木 樹齢 800 年、杉の空洞 大社の鳥居と樹木洞窟 熊野古道:住吉熊野詣の人々が通った道を指し、京洛の他より山川 8O 里片道 l5 日間の行程で、熊野九十 九王子で有名である。当社附近には、大雪取・小雪取越えや 800 余年を経た夫婦杉のある大門坂が昔の石 畳の姿のまま今に残って居り国指定歴史の道として保護されている。 熊野古道の地図 世界遺産の参熊野那智大社と紀伊の霊場・参詣道 熊野那智大社の紅葉 2 熊野古道にある熊野那智大社の本殿 熊野那智大社の社殿 熊野那智大社の兒宮 御神徳:古来老杜は御祭神「天須美大神」「結ぶ」として諸願成就「結の宮」と称し、諾々の願を結ぶ宮として 崇められる。那智の御滝は自然を尊び無事息災を祈る人々が多く、また八咫烏の神事等により導きの神とし て交通・海上の安全の守護を祈り、更に御神木の椰の木は無事息災を表すものとして崇められる。熊野の自 然と共に神々の恵み深し御神徳のある御社である。 熊野那智大社の神木 熊野那智大社の祭神札舎 和歌山県文化財服装 熊野那智大社の宝物殿 那智田楽は室町時代から伝えられた古式そのままに演ぜられ、所作も服装も楽器も伝統を良く守り、地元那 智山の人々により毎年 7 月 l4 日の例大祭に演せられます。宝物殿である熊野文化は奈良時代に始まり、その 遺物として那智経塚の出土品があり、更に熊野那智大社交書(国指定文化財)等、熊野権現信仰の歴史を語 る重要質料を展示し一般の閲覧に供しています。 熊野那智大社の神門 熊野那智大社の一の鳥居と偏額 熊野那智大社の二の鳥居 表 1.和歌山県、熊野那智神社の詳細資料 1 主祭神 熊野夫須美大神。伊弉冉尊とも言われる夫須美神は、万物の生成・育成を司るとされ、 農林・水産・漁業の守護神、縁結びの神様、諸願成就の神としても崇められている。 3 2 神社創建 3 勧請神 伝仁徳天皇 5 年(317年) 神武東征以前から熊野の原住民が神としてまつっていたと考える。那智の滝を神 とする自然崇拝。 第一殿は滝宮(大己貴神(オオナムチ-ノ-カミ/大国主神)、第二殿は証誠殿(家都御子神(ケツ ミコ-ノ-カミ/素戔嗚尊) 、第三殿は中御前(御子速玉神(ミコハヤタマ-ノ-カミ/伊弉諾尊)、第四殿 4 祭 神 は西御前( 熊野夫須美神(クマノフスミ-ノ-カミ/伊弉冉尊)、第五殿は若宮(熊野夫須美神 (クマノフスミ-ノ-カミ/伊弉冉尊)、第六殿は八社殿(天照大神(アマテラスオオカミ)。 熊野那智大社は古くは「那智山熊野権現」 「那智権現」名乗っていた。また、熊野十 二所権現や十三所権現、那智山権現ともいう。 5 社格等 社格等:官幣中社、別表神社 6 例 祭 例祭:7 月 14 日(扇祭、那智の火祭り)。日本3大の火祭りである那智の田楽。 7 宮 司 朝日 芳英 8 鎮座地 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山 1 9 交通手段 10 位 置 位置:北緯 33 度 40 分 7.464 秒 東経 135 度 53 分 24.651 秒 11 標 高 288m 12 電 話 電話:0735-55-0321、FAX:0735-55-0643 仁徳天皇の御世(317 年)に現在の位置に創建され、平重盛が造営奉行となってから装 13 社 殿 いを改め、やがて、織田信長の焼討に遭ったのを豊臣秀吉が再興しました。徳川時代 に入ってからは、将軍吉宗の尽力で享保の大改修が行われています。 本 殿 滝宮(第一殿)、証誠殿(第二殿)、中御前(第三殿)、西御前(第四殿)、若宮(第五殿) 文化財 と第六殿(八社殿)は重要文化財(建築物)。本殿の様式:切妻造向拝付。 15 拝 殿 拝殿の奥には鈴門・瑞垣を挟んで本殿がある。 16 鳥 居 3 基は、1 の鳥居・2 の鳥居と大楠の空洞にある鳥居。 17 境内末社 樹齢約 850 年の大楠、 18 熊野三山 熊野本宮大社、熊野速玉大社と熊野那智大社。 19 那智滝 20 遺 産 21 その他 22 札 所 青岸渡寺は西国一番札所、神仏霊場巡拝の道第 3 番(和歌山第 3 番) 23 大門坂 467 段の石段で、長さ約 600m。 14 那智の滝は「一の滝」で、上流の滝と合わせて那智四十八滝があり、熊野修験の修行 地となっている。 2004 年 7 月、ユネスコの世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録。 那智の田楽(4月 14 日)は国の重要無形民促文化財[室町時代から]。 古来、神武天皇東征の折、熊野の地に上陸され、八咫烏の道案内で山々を超え大 和の国に入られる前に那智の滝に大己貴神をお祀りしました。 4 2.世界遺産の青岸渡寺 那智山、青岸渡寺正面 世界遺産の青岸渡寺、 世界遺産の青岸渡寺 西国第一番札所 青岸渡寺(せいがんとじ)はユネスコの世界遺産である。本堂および宝篋印塔は国の重要文化財である。す なわち、本堂、宝篋印塔、那智山経塚出土品 8 点(重要文化財) 、熊野三山(史跡)である。札所は 西国三十三所第 1 番、神仏霊場巡拝の道第 2 番、東海近畿地蔵霊場特別、東海白寿三十三観音特別で ある。 青岸渡寺の3重塔 青岸渡寺の3重塔と滝 青岸渡寺の3重塔内 青岸渡寺の紅葉 表 2.和歌山県、青岸渡寺の詳細資料 1 創 建 創建年:伝・仁徳天皇治世(4 世紀) 伝承では仁徳天皇の時代(4 世紀)、天竺(インド)から渡来した裸形上人による開基とさ 2 勧請神 れ、同上人が那智滝の滝壺で得た金製の如意輪観音を本尊として安置。後に推古天 皇の勅願寺となり、6 世紀末-7 世紀初に生仏聖(しょうぶつひじり)が伽藍を建立し、丈 六の本尊を安置して、その胎内に裸形上人感得の如意輪観音を納めた。 3 祭 神 那智滝を中心とする自然信仰 4 住 職 高木 亮亨 5 所在地 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山 8 5 6 位 置 北緯 33 度 40 分 9 秒: 東経 135 度 53 分 24 秒 7 標 高 287m 8 文化財 9 本 尊 本堂および宝篋印塔は国の重要文化財。本堂、宝篋印塔、那智山経塚出土品 8 点 (重要文化財) 、熊野三山(史跡) 如意輪観音菩薩 隣接する熊野那智大社とともに神仏習合の修験道場であり、如意輪堂と称された 10 堂 舎 その堂舎は、那智執行に代表される社家や那智一山の造営・修造を担う本願など の拠点であった。 11 寺 号 秀吉が大政所の菩提を弔うために建てた高野山の青巌寺に由来 12 開 基 13 遺 産 ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』 (2004 年〈平成 16 年〉7 月登録) 14 山 号 山号は那智山。宗旨:天台宗 15 札 所 16 信 仰 伝・裸形上人 西国三十三所第 1 番、神仏霊場巡拝の道第 2 番、東海近畿地蔵霊場特別、東海白 寿三十三観音特別 熊野三山の信仰が都の皇族・貴族に広まったのは平安時代中期以降 3.那智の滝「飛滝神社」の由来 那智の奥、大雪取連山から流れ出ている流水が那智 48 滝であり、全国に最高である。規模は、滝の水量 は普通毎秒約1トン、高 133m、銚子ロの幅 l3m、滝壺の深さ 10m 以上である。この滝の上流には二の滝、三 の滝を総称して那智の大滝という。下流には、滝修行で有名な文覚滝がある。那智の滝は熊野那智大社の 別宮宮飛滝神社で、大巳貴神としてお祀りしている。 水は生命の母であり、那智山信仰の根元である。古来延命長寿の信仰が篤く数多の滝修行者や参拝さ れ、滝の水は長生の霊水として尊ばれている。此の付近の一帯は吉野熊野国立公園特別地域であり、那智 の大滝は国の名勝、附近の山は那智原生林として国の天然記念物であり、高浜虚子は「神にませばまことう るほし那智の滝」と詠んでいる。那智の火祭はこの参道で毎年 7 戸 l4 日(午後 2 時頃)に斎行されている。 飛瀧神社の一の鳥居 飛瀧神社の案内文 飛瀧神社の参道 飛瀧神社の二の鳥居 6 飛瀧神社の一の鳥居 飛瀧神社の参道 飛瀧神社の 飛瀧神社の 表 3.和歌山県那智勝浦町の那智滝 1 主祭神 大己貴神 2 祭 神 主な神事:御滝注連縄張替行事(7 月 9 日・12 月 27 日) 3 例 祭 那智の火祭り(7 月 14 日)。毎年 7 月 9 日と 12 月 27 日に御滝注連縄張替行事。 4 宮 司 朝日 芳英 5 鎮座地 和歌山県那智勝浦町那智山 6 位 置 北緯 33 度 40 分 27.4 秒: 東経 135 度 53 分 14.8 秒 7 標 高 287m 8 社 殿 熊野那智大社の別宮であり、那智滝自体が御神体。 9 本 殿 なし(御神体:那智滝) 10 拝 殿 拝殿もなく、直接滝を拝むこととなる。滝の飛沫に触れるこ。 11 鳥 居 2基は、1の鳥居と滝前の鳥居である。 銚子口の滝(3 段に流れ落ちる迫力のある滝)の岩盤に切れ目があって、三筋に分 12 滝形態 かれて流れ落ちるから、 「三筋の滝」と呼ばれる。石英斑岩からなる垂直の断崖 に沿って落下。 那智の滝は、日本三大名滝の一つである。水量は毎秒1トン、落差 133m、銚子 13 那智滝 口(落ち口)の幅 13m、滝壺の深さは 10m の落差日本一の名瀑。那智滝」とは、 本来は、那智山の多くの滝のうち、瀧篭修行の行場として扱われた 48 の滝(那 智四十八滝)の総称であった。 ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』 (2004 年〈平成 16 年〉7 月登録) 14 遺 産 15 長 寿 延命長寿の霊験があるという伝説がある。 16 指 定 国の名勝として 1972 年 7 月に指定、指定名は那智大滝〈なちのおおたき〉 。 17 那智四十 八滝 18 の一部。 これらの滝では、青岸渡寺開祖と伝えられる裸形上人をはじめ、花山法皇も二の 滝の断崖上に庵を設けて、千日滝篭行をしたと伝えられている 総合落差では日本 12 位だが、一段の滝としては落差日本 1 位。 その他 華厳滝、袋田の滝と共に日本三名瀑に数えられている。 7 那智詣の案内(大社の栞) 熊野は本州の最南端の地であり、太平洋の黒潮潮流により気候は温暖にして山は重畳と連なり、山柴水明の 景勝の地であります。 熊野は古代より、神の国、常世の国、美しい国として栄えている。熊野三山は、熊野速玉大社・熊野本宮大 社・熊野那智大社が鎮座し、「帝王編年記」「扶桑略記」「水鏡」などに著わされている。「古事記」「日本書紀」 には国生み神話とともに、イヴナギ・イザナミ・スサノオをはじめ神々が熊野を舞台である。神武東征説話に熊 野は、古代から大和、出雲と共に栄えた地であり、今にして未知の世界である。 熊野は、自然を畏敬した古代山岳信仰が始まり、仏教の伝来により密教思想が山岳信仰と合致し、神仏習合 の世界が開け永くその伝統が続いたものである。 この神仏習合の信仰は、平安初期に熊野別当が 認められ熊野は聖域として朝廷からも敬ねれることになりま した。この様なことを熊野比丘・ 比丘尼・修験者達が全国の熊野信仰と共に広め、慈愛の精神文化は人々を 熊野詣へと駆りたてたのです。那智とは、この地方の方言で「ナグチ」とか「ナギタ」など、山の入口といったこ とから出たといわれたことから出たといわれています。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ◎1.日本三大の川・滝 三大河川:信濃川、利根川、石狩川 三大暴れ川:利根川(坂東太郎) 、筑後川(筑紫次郎)、吉野川(四国三郎 三大急流:最上川、富士川、球磨川 三大清流:柿田川、長良川、四万十川 三大峡谷:清津峡(新潟県) 、黒部峡谷(富山県) 、大杉峡谷(三重県) 三大瀑布:三名瀑華厳の滝(栃木県) 、袋田の滝(茨城県)、那智の滝(和歌山県) 、 《秋保大滝(宮城県) 》 三大神滝:那智の滝(和歌山県)、華厳の滝(栃木県)、布引の滝(兵庫県) :::::::::::::::::::::::: ◎2.日本三大の神社 三大鳥居:厳島神社(広島県、高さ 16.8m)、《伊勢神宮(三重県)、春日大社(奈良県)、 大神神社大鳥居(高さ約 32m) 、気比神宮鳥居(高さ 10.93m)のいずれか》 三大住吉:住吉大社(大阪府大阪市) 、住吉神社(山口県下関市) 、住吉神社(福岡県福岡市) 三稲荷:伏見稲荷大社(京都市伏見区) 、豊川稲荷(愛知県豊川市)、祐徳稲荷神社(佐賀県鹿島市) 伏見稲荷大社(京都市伏見区) 、祐徳稲荷神社(佐賀県鹿島市)、 笠間稲荷神社(茨城県笠間市) 三大天神:太宰府天満宮(福岡県太宰府市) 、北野天満宮(京都市上京区) 、 防府天満宮(山口県防府市) 、《荏柄天神社(神奈川県鎌倉市)》 三大厄神石:清水八幡宮(京都府八幡市)、門戸厄神東光寺(兵庫県西宮市) 、 8 天野明神(和歌山県伊都郡かつらぎ町) 三大八幡宮:宇佐八幡宮(大分県宇佐市)、石清水八幡宮(京都府八幡市) 、 筥崎宮(福岡県福岡市) 、 《鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)≫ 清和源氏三社:六孫王神社(京都市南区)、多田神社(兵庫県川西市)、壺井八幡宮(大阪府羽曳野市) 三大下り宮:一之宮貫前神社(群馬県富岡市)、鵜戸神宮(宮崎県日南市) 、 草部吉見神社(熊本県阿蘇郡高森町) 三社家: 三神山: 渡会家(伊勢神宮) 、津守家(住吉大社)、千家家(出雲大社) (徐福による)富士、熊野、熱田 三大弁財:天都久夫須麻神社(竹生島神社、宝厳寺)(滋賀県竹生島) 、 江島神社(神奈川県江の島) 、厳島弁財天本堂(広島県厳島)、 《天河大弁財天社(奈良県) 》 三水天宮:久留米水天宮(福岡県久留米市) 、水天宮(東京都中央区)、土浦水天宮(茨城県土浦市) 三社詣り:日前宮(和歌山市) 、竈山神社(和歌山市)、伊太祁曽神社(和歌山市) 三大怨霊(三大祟り神):菅原道真(太宰府天満宮、北野天満宮)、平将門(築土神社、神田明神)、 崇徳天皇(白峰宮、白峯神宮)
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