月刊しばうら3月号

小動物事業部
<3 月の牛肉輸入量予測>
財務省の貿易統計によると、12 月の輸入牛肉通関量は前
年対比 12.5%減の 3 万 3,961tと 4 万tを下回った。内訳
は、チルドが 1 万 8,226t(前年実績対比 7.5%減)と 2 万
大動物事業部
tを下回り、フローズンは 1 万 5,735t(同 17.5%減)と
<1 月の相場動向>
2.4%減、米国産が 19.5%減と、ともに前年対比割れとなり、
前年水準を割り込んだ。国別でみるとチルドが豪州産で
1 月の牛枝肉相場は、和牛去勢の規格すべてにおいて前月
フローズンでは豪州産が 8,000t台にとどまった。年明けの
実績を上回る相場展開となった。その要因は、枝肉の高値
日豪EPA発効を見据えて通関を抑えたことが影響したと
を警戒し、年末の手当買いを控えたことで、年明けの在庫
みられる。2014 年の牛肉輸入量は 51 万 9,000tで前年を
量が少なく、在庫補充とオーダーに応えるための手当買い
2.9%下回った。これは、新興国との競合や産地価格の高騰、
が集中した為である。その背景には、出荷頭数の減少傾向
急激な円安に伴うコスト高などで輸入量が抑えられたこと
が定着したことや、これまでの枝肉相場の高騰で冷凍在庫
が原因とみられる。3 月の牛肉輸入量は、日豪EPA発効に
を持たないようにしてきたことなどが、相場に影響してい
よるさらなる関税率の低下や米国西海岸の物流の混乱に伴
る。交雑去勢牛はB3 が前月に比べ若干下げたものの、B2
い、数量が変動する可能性があるが、3 万t台後半の数量に
は 39 円高の 1,314 円と上伸し、いずれも高値の相場展開と
なると予測される。
なった。
<3 月の牛枝肉価格予想>
<1月牛枝肉月間価格>
[ 和牛去勢 ]
前年同月比
前月比
<3 月の豚枝肉相場見通し>
食肉流通統計によると、1 月の全国と畜頭数は 134 万
8,767 頭(前年同月比 92.8%)となり前年より減少した。
一方、豚肉通関実績は、総量で 5 万 3,981t (前年同月比
80.9%)となり、うちチルドが 1 万 9,036 t(同 74.6%)と
減少した。国別輸入量は米国 9,760 t(同 58.1%)、カナ
ダ 8,638 t(同 104.9%)、メキシコ 636 t(同 91.6%)と
なった。フローズンは、3 万 4,945 t(同 84.7%)とこちら
も前年を下回り、国別輸入量はデンマーク 7,628 t(同
58.0%)、米国 5,660 t(同 106.7%)、カナダ 2,240 t(同
63.8%)、メキシコ 4,398 t(同 96.8%)となった。
農水省による 3 月の全国と畜頭数は、135 万 6,000 頭(前
年同月比 99.0%)と予測しており一日当たりの頭数は約 7
万 400 頭である。当市場の 3 月の集荷予定頭数は約 2 万頭
となっており、一日当たりでは約 900 頭の見込みである。
一方、農畜産業振興機構による 3 月分の豚肉輸入見込数
量は、総量で 5 万 1,200 t(前年同月比 82.7%)の予測と
なっている。内訳はチルドが 1 万 7,800 t(同 71.4%)、
フローズンは 3 万 3,400 t(同 90.3%)である。
また 12 月における豚肉推定在庫量は、国産が 1 万 9,884 t
(前年同月比 90.5%)、輸入は 16 万 9,078 t(同 131.8%)
<2 月の豚取引の推移>
となり、合計 18 万 8,962 t (同 125.8%)となった。推定出
上旬
全国と畜頭数
上物価格
中物価格
上場頭数
回り量は 15 万 898t(前年比 100.8%)となり、2 ヶ月ぶりに
2日
3日
4日
5日
6日
63,700
63,700
63,000
63,400
65,700
562
609
624
639
694
559
599
619
623
683
910
1,266
821
1,096
903
前年を上回った。うち国産品は 7 万 8,615 t(同 94.7%)
上旬の全国と畜頭数は、前年同時期に比べ大幅に少なく 6
万 4,000 頭前後であった。当市場の上場頭数は平均で 1,000
頭前後と前年をやや上回った。枝肉相場は 500 円後半から
始まり 6 日には前日から 55 円上げ、初日から 132 円上げと
3 月の相場動向は、1 月に引続き 2 月も枝肉高の相場形成
急騰した。米港湾ストによる輸入量減少により、国産物に
となり、国産牛の出荷頭数の減少や輸入牛肉の品薄感など、
引き合いが集中し、国内も出荷頭数が少なかったため需要
に供給が追い付かない状況となった。
と減少し、輸入は 7 万 2,253 t (同 108.3%)と前年を上回
った。国内生産量は 7 万 9,424 t(同 94.6%)と 3 ヶ月連
続で前年を下回り、輸入量は 5 万 6,676 t(同 90.0%)と 2
ヶ月連続で前年割れとなった。
こうした需給の状況下、3 月は農水省の予測で微減として
いるが PED の再発やその他疾病の影響で出荷頭数は少ない
見通しの為、前半の相場は堅調に推移すると思われる。こ
の先も供給減が懸念されるが、一方で決算期である事や、
春休みとなり給食需要の減少もあり、中旬から後半にかけ
A5
2,473 円
(115.9%) (101.2%)
供給不足が顕在化している状況などから下げ気配はない。
A4
2,295 円
(125.3%) (104.7%)
また、春先の行楽需要や歓送迎会による宴会需要の手当て
中旬
全国と畜頭数
上物価格
中物価格
上場頭数
輸入量が正常に戻るまでまだ時間を要する為その動向に注
9日
10 日
12 日
13 日
16 日
17 日
18 日
19 日
20 日
68,200
73,300
71,900
69,800
65,100
64,800
62,300
64,100
66,000
742
767
688
560
543
575
595
618
640
740
710
597
524
522
560
584
612
625
758
1,231
1,190
1,288
1,128
1,183
842
777
905
視したい。以上のことから 3 月の加重平均は上物 550 円前
A3
2,127 円
(130.1%) (107.6%)
買いなどが見込まれるため、堅調な相場展開になると思わ
A2
1,970 円
(133.7%) (111.9%)
れる。
[ 交雑去勢 ]
B4
1,536 円
(112.8%) ( 96.3%)
B3
1,422 円
(116.6%) ( 98.5%)
B2
1,314 円
(120.9%) (103.1%)
[ 乳牛去勢 ]
B3
B2
上場なし
698 円
(
- %)
( 88.2%)
(
-
%)
(107.1%)
<3 月の全国出荷頭数予測>
農水省が発表した昨年 12 月の食肉流通統計によると、全
和牛去勢
価格予測
交雑去勢
価格予測
A5
2,300~2,400
B4
1,550~1,600
A4
2,150~2,200
B3
1,500~1,550
A3
2,000~2,100
B2
1,400~1,450
A2
軟調と予測する。米港湾労使交渉は暫定合意に至ったが、
中旬の全国頭数は、11 日の祝日前後の 2 日間のみ 7 万頭
を超えたが、それ以外はほぼ 6 万 5,000 頭前後であった。
1,800~1,900
当市場は、ばらつきはあったが平均で 1,000 頭の上場とな
乳牛去勢
り前年を上回った。枝肉相場は 9 日に、この時期に異例の
B3
1,050~1,000
700 円台となった。しかし、13 日には急落するも国内の出
B2
950~1,000
荷量が少なく、後半には 600 円台に回復した。末端の荷動
後、中物 520 円前後と予測する。
豚日別相場表(2 月度)
850
800
750
700
650
600
550
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
上
中う
並
等外
2 3 4 5 6 9 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2
日日日日日日 0 2 3 6 7 8 9 0 3 4 5 6 7
日日日日日日日日日日日日日
きは輸入品の代替でロイン系の引きが強かった。
国の成牛と畜頭数は 3.4%減の 10 万 8,869 頭であった。主
な内訳は、和牛 4.7%減の 5 万 1,994 頭、交雑種 3.9%減の
2 万 1,906 頭、乳牛去勢 1.2%減の 1 万 8,304 頭となった。
同月過去 5 ヵ年の平均値でみると成牛合計で 6.8%減、和牛
は 9.4%減と大きく減少し、品薄感につながっている。農畜
産業振興機構によると、2 月の全国出荷頭数は前年比 5.0%
減の 8 万 1,700 頭、一日当たりのベースでも 4.3%減を予測
している。3 月はと畜稼働日が多いこともあり、わずかに上
回る 9 万 2,900 頭と予測し、昨年並の出荷頭数になると思
われる。東京食肉市場の 3 月と畜頭数は 8,350 頭前後を予
定している。
和牛去勢日別相場表(2 月度)
2,600
2,400
2,200
2,000
1,800
1,600
1,400
1,200
1,000
A5
A4
A3
A2
下旬
全国と畜頭数
上物価格
23 日
24 日
25 日
26 日
27 日
63,500
65,700
63,100
63,700
67,100
636
610
610
604
592
中物価格
607
569
578
567
563
上場頭数
671
980
936
931
1,038
下旬の全国と畜頭数は 6 万 4,000 頭前後と前年実績を下
回った。当市場の取引頭数は平均 900 頭と前年をやや下回
った。枝肉相場は北関東の PED 発生よる地方と場の頭数の
減少があったが、米港湾ストも暫定合意に至り、緩やかに
落ち着きを取り戻した。しかし、2 月の枝肉相場は予想を大
2 3 4 5 6 9 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2
日日日日日日 0 2 3 6 7 8 9 0 3 4 5 6 7
日日日日日日日日日日日日日
幅に上回る展開となり、過去 20 年を遡っても平成 20 年の
上物相場 563 円を超える高値である為、本年の 625 円は異
例と言える。
出荷者の皆様へ
PEDをはじめとする様々な病気を予防するた
め、東京食肉市場では防疫体制を強化しております。
来場の際における生体車の消毒など、衛生担保のた
め、引き続き皆様のご協力をよろしくお願いいたし
ます。