ヒト ES 細胞の樹立及び使用計画申請に関する Q&A(案)2

資料 32-4-2
ヒト ES 細胞の樹立及び使用計画申請に関する Q&A(案)2
問 6-1. 大学院生やテクニカルスタッフを研究に参加させる場合は、どのような手
続きをすればよいですか。
答 1. 器具の洗浄等を行い直接 ES 細胞を取り扱わないテクニカルスタッフ(技術者)
については、使用計画書に研究者として記載する必要はありません。直接 ES
細胞を取り扱う者(大学院生及びテクニカルスタッフ(技術者))は研究者として
使用計画書に記載しなければなりません。
2. ヒト ES 細胞を使用するにあたっては、マウス及びサルの動物 ES 細胞を用い
た研究において、指導者のもとでその取り扱いに習熟することが必要です。
3. また、ヒト ES 細胞を取り扱うためには、指針を十分に理解することが必要で
す。使用機関は、生命倫理に関する基本的な考え方や指針の背景、指針の内
容等について、教育研修等により十分な理解がなされるようにしてください。
4. 手続きとしては
マウス及びサルの ES 細胞の取扱いの実績(研究業績である必要はありま
せんが、研究業績がある場合には記載してくだい。)
「ヒト ES 細胞の樹立及び使用に関する指針」を理解するために受講した教
育研修等の生命倫理に関する理解への取り組みの実績について使用計画
書に記載し、倫理審査委員会において審査を行い、指針に則して妥当である
と判断された後、使用計画について、文部科学省の確認を受けることが必要
です。
5. 既にヒト ES 細胞の使用を行っている使用機関又はその機関と共同研究を行
う場合、使用機関内のヒト ES 細胞の使用に習熟した研究者が、新たに参加す
る研究者に対してヒト ES 細胞の取り扱いについて指導することであれば、サル
ES 細胞の取扱い経験がなくても構いません。
この場合、使用計画書に、マウス ES 細胞の取り扱いの実績を記載するととも
に、新しい研究者に対するヒト ES 細胞の取り扱いの研修計画を使用計画書に
添付し、その内容を倫理委員会が確認することが必要です。
問 6-2. 動物の ES 細胞の取扱い経験が十分でない大学院生、テクニカルスタッフ
を使用計画に加えることは可能ですか。
[動物の ES 細胞の取り扱いを習熟するための研修計画を添付する。]
問 23. ヒト ES 細胞の使用の要件として掲げられている「ヒト ES 細胞を使用するこ
とが科学的合理性及び必要性を有すること」を満足するためには、使用計画
書にどのようなことを記載すれば良いですか。
答 1. 指針第 26 条第 1 項第 2 条では、ヒト ES 細胞の使用は、その目的が、
発生、分化、再生機能等の解明を目的とした生命科学の研究、又は、新しい診
断法や治療法の開発や医薬品開発のための研究に限ることとしています。この
ため、使用計画書の「ヒト ES 細胞の使用の目的及び必要性」に、このことが満
たされていることを示さなければなりません。
2. その上で、当該使用計画がヒト ES 細胞を使用する段階にあることに関する十
分な科学的合理性及び必要性を示す必要があります。
3. 具体的には、初めてヒト ES 細胞を使用する研究に着手する場合には、当該
使用計画に記載されている研究者によって、当該使用計画に関するマウス等
の動物の ES 細胞を用いた研究が十分に行われていること、もしくはヒトの組織
幹細胞を用いた研究が十分に行われていることなどにより、ヒト ES 細胞を使用
することが妥当と考えられる段階にあることを合理的に説明する必要がありま
す。
なお、動物の ES 細胞を用いた研究として、サル ES 細胞を用いた研究は必ず
しも実施する必要はありません。
サル ES 細胞を用い但し、カニクイザルを用いたパーキンソン病に関する研究
等のように、既にサルを用いた研究が十分になされており、サル ES 細胞を用い
た研究を行うことが科学的に妥当であると考えられる場合には実施をすること
が必要です。た研究を行っても、その評価を行うことが可能なデータが十分に
得られない場合には、実施する必要はありません。
4. 既に、ヒト ES 細胞を使用した研究を実施してきた研究者が、新たな使用研究
課題に着手する場合には、使用計画書にこれまで実施してきたヒト ES 細胞の
使用研究の実績を記載した上で、新たに着手する使用研究課題が当該研究者
によってヒト ES 細胞を使用することが妥当と考えられる段階にあることを示す
必要があります。
この場合は、必ずしも自らが実施した動物等の ES 細胞を使用した研究を行っ
ていなくてもかまいません。他の研究機関が発表したヒト ES 細胞又は動物の
ES 細胞を使用した研究論文等を引用することにより、その科学的妥当性を合
理的に説明する妥当性を示すことで構いません。
問 3-1. ヒト ES 細胞が分化した細胞を他の機関に持ち込み、分化細胞のみを使用
する場合、この機関も使用計画の確認を受ける必要がありますか。
(例えば、動物実験施設を有する機関に持ち込み、分化細胞を移植する実
験を行う場合)
答 1. ヒト ES 細胞が分化した細胞は、それが人の生命の萌芽たるヒト胚を滅失させ
て樹立したヒト ES 細胞に由来していることから、無制限に分配され、その結果と
してヒト ES 細胞が濫用されることのないよう、当分の間はヒト ES 細胞の使用と
同様の枠組みに従って使用されることとするとの考え方から、指針第 29 条にお
いて、「分化細胞の使用は、当分の間、ヒト ES 細胞の使用とみなすものとす
る。」とされています。
2. 従って、分化細胞のみを使用する機関であっても、ヒト ES 細胞の使用計画に
ついて文部科学大臣の確認を受けなければなりません。
3. なお、使用機関が他機関の施設を借りて分化細胞を使用する場合、使用計
画の「使用機関の基準に関する説明」に当該施設に関する説明を記載して、文
部科学大臣の確認を受けていれば、使用することが認められます。
但し、この際に分化細胞を取り扱うことができる者は、使用計画に記載されて
いる研究者に限られます。
4. 分化細胞を動物に接種するなど特殊な技術を有する者や、分化細胞を移植し
た動物の飼育管理のみを行う者は、ヒト ES 細胞を使用する研究者として使用
計画に含める必要はありません。従って、これらの者は、ヒト ES 細胞を取り扱う
研究者として使用計画書に記載する必要はありません。
5. しかしながら、使用計画において十分な技術的能力として必要な要件である
ことから、使用計画書には、この研究に参加する者についてはその役割等の説
明を記載してください。
問 3-2. 分化細胞を移植した動物から、分化細胞を含む組織を取り出して解析を
行う場合、この解析だけを行う機関は、使用計画の確認を受ける必要があ
りますか。
答. 動物に移植した分化細胞は、既に ES 細胞としての性質が失われ、動物組織の
一部になっていると見なせることから、分化細胞を含む組織を取り出して解析を
行うだけの機関は、指針に基づく文部科学大臣の確認を受ける必要はありませ
ん。また、それを行う研究者は ES 細胞を使用する研究者として使用計画に含め
る必要はありません。
なお、ヒト ES 細胞の使用の一環として、他機関において解析を行うことであるか
ら、あらかじめその内容が決まっている場合には、ヒト ES 細胞の使用機関の使用
計画の中に、それらの解析を行う機関とその役割を記載してください。
問 24. ヒト ES 細胞を直接取り扱うことのない研究者が、使用計画に参加する場合
には動物等の ES 細胞の取り扱い経験が必要とされますか。
答 1. 直接ヒト ES 細胞を取り扱わない研究者が研究に参加する場合は、その研究
者は、マウス及びサルの動物 ES 細胞の取り扱いの経験は必要としません。
2. また、その研究者は、研究計画書に記載する必要はありません。ただし、その
研究者が、指針第 30 条第 1 項第 1 号、使用機関の基準であるヒト ES 細胞を
使用するに足りる十分な技術的能力の一部を担う場合は、使用計画書の中の
使用機関の基準に関する説明として、参加する研究者についてその役割やそ
れに関する業績等の説明を記載してください。
3. なお、ヒト ES 細胞の使用研究に参加する研究者は指針を十分に理解すること
が必要です。ヒト ES 細胞を取り扱う研究者と同様に使用機関は、生命倫理に関
する基本的な考え方や指針の背景、指針の内容等について、教育研修等によ
り十分な理解がなされるようにしてください。
問 25.学部学生を研究者として使用計画に加えることは可能ですか。
答 1. ヒト ES 細胞の使用研究に参加する研究者は、以下の要件を満たしていること
が必要です。従って、学部の学生であってもその要件が満足されていれば、ヒト
ES 細胞の使用研究に参加することは可能です。
マウス及びサルの動物 ES 細胞の取り扱いに習熟していること
ヒト ES 細胞の樹立及び使用に関する指針を十分に理解していること
生命倫理に関する基本的な考え方や指針の背景などについて講習会に参
加する等、倫理的な知識を備えていること
2. ただし、サルの ES 細胞の使用実績がない場合でも既にヒト ES 細胞の使用を
行っている使用機関の場合では、ヒト ES 細胞の使用に習熟した研究者が、新
たに参加する研究者に対してヒト ES 細胞の取り扱いについて指導するという研
修計画を使用計画書に添付し、ヒト ES 細胞の研究に携わるまでにヒト ES 細胞
の使用に習熟できることが担保されていれば結構です。