中国食品 安全法特集 2015/3/10 【 第1稿 】 中国食品安全法の改正案を発表 ~パブリックコメントは 11 月 29 日まで~ Food & Agriculture 2962(2013 年 11 月 11 日配信) 【 第2稿 】 中国「食品安全法」の改正案第二稿を発表 ~再度パブリックコメントを募集中~ Food & Agriculture 2997(2014 年 07 月 21 日配信) 【 第3稿 】 「食品安全法」の改正案第三稿を発表 Food & Agriculture 3023(2015 年 02 月 02 日配信) Food & Agriculture(F&A)PDF 版 の見本誌です。 ※ 米国に関する記事を抜粋してまとめています。 F&A は、ジェトロ農林水産情報研究会会員資料として、会員のみなさまに毎週月曜にお届けする 週刊誌です。電子媒体(メールマガジン+ウェブデータベース)で海外の農林水産・食品関連情 報(貿易、規制、産業、消費市場など)をお送りします。データベースは過去記事検索も簡単に できて大変便利です。また、規制情報など緊急のお知らせの際には臨時増刊号を発行し、最新情 報をお届けします。 農林水産情報研究会についてはこちらをご覧ください。 http://www.jetro.go.jp/members/food/ 毎週月曜日発行 発行所:日本貿易振興機構 お問合せ:[email protected] 〒107-6006 東京都港区赤坂 1-12-32 電話:03(3582)5019 FAX:03(3582)7378 URL:www.jetro.go.jp/biznews/ ジェトロ農林水産情報研究会会員資料/©JETRO 2015 禁無断転載 Food & Agriculture 2015 年 3 月 10 日発行 サンプル号 ©JETRO 2015 禁無断転載 1 【 第1稿 】 中国食品安全法の改正案を発表 ~パブリックコメントは 11 月 29 日まで~ (北京事務所発、2013 年 11 月 11 日配信) 中国国務院法制弁公室は 10 月 29 日「中華人民共 和国食品安全法」の改正案を発表し、同改正案に対 する意見募集を開始した。食品安全に関する問題が 後をたたないことから、管理監督体制を整えるとと もに、企業責任の強化や違反行為の厳罰化も盛り込 まれている。政府は従来の施策をさらに進めて食品 安全体制を確固たるものにする考えだ。 る内容が加わった。さらに、食品安全基準に合わな い商品に関し、消費者が賠償金の支払いを企業に求 めることを可能にする内容も加わった。違反時の罰 金額も最大で違反商品の総生産額の 15 倍以上 30 倍 以下(現行 5 倍以上 10 倍以下)とされ、現行法と比 べ 3 倍に引き上げられている。 ■企業の費用負担増も ■処罰対象を大幅に拡大 同改正案は現行法と同様、総則、食品安全リス クのモニタリングと評価、食品安全基準、食品生産 経営、食品検査、食品輸出入、食品安全事故の処置、 監督管理、法律責任、および附則の 10 章で構成され ているが、条文数は現行の 104 条から 134 条へと 30%増加している。 改正案は管理監督体制の改革と政府の役割転換 の実現、企業責任の強化、地方政府責任の強化、新 たな管理監督方法の創設、共同食品安全社会の構築、 違反行為への厳重処罰などを目指している。具体的 には、食品安全管理人員に関する資格制度創設と食 品生産企業への配置、商品のトレーサビリティ管理 制度の確立、食品安全責任強制保険制度の創設、乳 幼児用食品の生産管理厳格化、廃棄食品・期限切れ 食品の再流通防止への施策、インターネットでの食 品販売企業への規制などが新たに盛り込まれている。 また処罰対象の項目が大幅に拡大され、処罰内 中国では 2008 年に粉ミルクへのメラミン混入 などが大きな社会問題となったこともあり、09 年に 現行の食品安全法が制定された。しかし、その後も 食品安全に関する問題が恒常的に発生しており、食 の安全の確保は政府にとって引き続き大きな課題と なっている。今回の改正案は従来進めてきた施策を さらに進展させ、不足部分を補うとともに、違反行 為の厳罰化により食品安全体制を確固たるものにし ようという意図がうかがえる。ただ食品安全管理人 員に関する資格制度や食品安全責任強制保険制度の 創設は、企業にとって新たな費用負担が発生する可 能性もある。 意見募集の期限は 11 月 29 日で、国務院のホー ムページ上での投稿フォームへの投稿、郵送、電子 メールの 3 つの方法で受け付けている。改正案は以 下の国務院ホームページで参照可能。 http://www.gov.cn/gzdt/2013-10/29/content_2 517471.htm 容も罰金や営業許可の取り消しなどに加え、公安機 関による責任者の拘留や刑事責任の追及を可能とす (島田 英樹) Food & Agriculture 2015 年 3 月 10 日発行 サンプル号 ©JETRO 2015 禁無断転載 2 【 第 2 稿 】s 中国「食品安全法」の改正案第二稿を発表 ~再度パブリックコメントを募集中~ (北京事務所発、2014 年 07 月 21 日配信) 中国全国人民代表大会常務委員会は 6 月 30 日 管理機関職員に関する規定が盛り込まれたことが記 「中華人民共和国食品安全法」の改正案を発表した。 同改正案は 2013 年 10 月に国務院法制弁公室から発 事としてとりあげられた。背景には、食品生産者や 販売者に一次的な責任を負わせて厳罰を課すだけで 表された改正案に、前回のパブリックコメントで寄 せられた 5,600 件余りの意見、いくつかの地方都市 は片手落ちであり、監督管理機関の対応に関する批 判的な意見もあったのではないかと予想される。 での実地調査の結果、関係各部門との議論等の内容 また、商務部研究員消費経済研究部趙萍副主任 が反映された第二稿にあたる。現在、同改正案に対 するパブリックコメントが募集されており、締め切 は、違法行為を働いた際の罰則、罰金が軽微である ことが食品安全問題を引き起こしている主要因の一 りは 7 月 31 日となっている。 つであるとして、今回の改正案では違法行為に関す る処罰規定を厳格化したこと、生産企業だけでなく ■幅広い問題に対する網羅的な規定整備 改正案第二稿は第一稿に比べて、条文数が 134 関係する政府および政府機関も処罰対象の範囲に含 めたことを強調している。 条から 159 条へとさらに増加している(現行法の条 中国国務院は 2014 年 4 月 29 日に「2014 年食 文数は 104 条)。改正案が公布されれば 2009 年に現 行法が公布されて以来、初の改正となる。 品安全重点作業計画」を発表しており、同計画には 食品安全を保証するための作業項目が記載されてい 改正案第二稿では、健康食品に関する規定、乳 幼児向け食品に関する規定、学校や託児所・建設現 る(注 1) 。各項目の内容を見ると、食品衛生の向上 というより、食品安全を脅かす違反行為・犯罪行為 場等で食事を提供する場合の規定、食器や消毒に関 の抑止に重点が置かれており、中国の食品安全が抱 する規定が追加されているほか、インターネット販 売の場を提供するプロバイダーに関する規定、法律 える事態の深刻さがうかがえる。今回の食品安全法 の改正案第二稿も、こうした状況を法制度面から改 執行時の問題に対する通報制度、輸入食品が問題と なった場合の規定、食品安全監督管理を担当する行 善しようとするものである。 意見募集は 7 月 31 日締め切りで、全国人民代表 政機関職員の処分に関する規定、食品検査機関の処 分に関する規定、デマ情報を流した場合の処分に関 大会のホームページ上での投稿フォームへの投稿、 郵送、電子メールの 3 つの方法で受け付けられてい する規定等が新たに盛り込まれている。 る(注 2)。改正案は以下の全国人民代表大会のホー 改正案第二稿の基本的な考え方は第一稿と変わ っていないが、多くの意見を取り入れ、身近に発生 ムページで参照可能。中国日本商会、ジェトロ北京 事務所でも日本企業からの意見取りまとめを行って している諸々な問題をできるだけ幅広く、漏れなく 規定しようとする意図が一層感じられる。また、第 いる。 一稿に存在する規定でも内容が加筆あるいは削除さ (注 1) 「2014 年食品安全重点作業計画」 れている部分がある。 (注 2) 中華人民共和国食品安全法 改正案(全国人 ■パブリックコメント募集は 7 月 31 日まで 2014 年 7 月 15 日付京華時報では、今回の改正 民代表大会) (島田 英樹) 案の注目点として、職責を果たさない食品安全監督 Food & Agriculture 2015 年 3 月 10 日発行 サンプル号 ©JETRO 2015 禁無断転載 3 【 第3稿 】 「食品安全法」の改正案第三稿を発表 (北京事務所発、2015 年 02 月 02 日配信) 中国全国人民代表大会常務委員会は「中華人民共 総局)が一方的に在外食品生産企業の現場検査がで 和国食品安全法」の改正案を発表した。同改正案は きる規定が削除されたことに関する部分などが確認 2013 年 10 月の第 1 回、2014 年 7 月の第 2 回に続 くものであり、第 2 回に寄せられた意見を踏まえ、 できる。 14 年 12 月の第 12 回全国人民代表大会常務委員会に おいて審議を経た内容が反映された第三稿にあたる。 ■さらなる改正が必要と思われる条文も 今回、告知から意見締め切りまで 10 営業日程度 本改正案に対するパブリックコメントは、2015 年 1 しかなく、極めてタイトな意見募集スケジュールと 月 19 日に締め切られ、ジェトロが取りまとめ、中国 日本商会名で意見を提出した。 なった。中国全国人民代表大会常務委員会ウェブサ イトによれば、パブリックコメント募集開始から ■食の安全確保や消費者保護を念頭においた監督 強化 改正案第三稿は第二稿に比べて、条文数が 159 2015 年 1 月 16 日時点で 1,969 件の意見提出があっ たようだ。日系企業関係者からは、準備期間が少な すぎて十分に中身を確認しきれないとの不満も漏れ る。管理基準やスケジュールが曖昧で、当局に一定 条から 145 条に減少している。もっとも第一稿は の裁量の余地が残りそうな条文もあり、企業にとっ 134 条、現行法では 104 条あり、それらと比べると 増加している。 て運用の透明性について懸念の声がある。さらには、 外国からの輸入品に対する規制については、実態に 改正案第三稿では第二稿時と比べ、条文の合算、 簡略化が見られるが、引き続き重複感のある条文や そぐわない条文も散見されることから、これらにつ いて今回意見として改善を指摘すべきとの声があが 文言も多い。今回の改正では、食品事業に無関係の っている。 企業(例えば物流業者、倉庫業者)や個人が食品を 取り扱う場合も規制の対象となること、政府機関間 3 回に亘る改正案をみる限り、食の安全のため にどう防御策を講じるかという点にウエイトが置か の縦割り構造に伴う情報共有の弊害を排除し、消費 者保護を目的に関連団体間の情報や対応の共有を図 れていると感じる。厳格なルールを策定し、監督管 理を強化して、現存する諸問題を減らしていくとい ること、整合性が確保されていない食品関連基準の 統一化、食品添加物・健康食品・乳幼児用食品の衛 う強い姿勢が改正案を追うごとに明確になっている ようにみえる。 生管理の強化、遺伝子組み換え食品の製造販売時の 一方で、現状では、輸入品と国内品、国内企業 表示義務化と違反時の罰則などが明記されている。 食の安全確保、消費者保護を念頭におき、監督 生産品と外資企業生産品との間で管理方法や品質基 準に大きな差があることも事実であり、これらを 1 管理を強化するという基本的な考え方があり、これ は第一稿から変わっていない。なお、通常、パブリ つの法律で管理していくことの難しさもある。 ックコメントを 3 度も募集するケースは多くないこ とから、多くの国民に関わる重要な法律として中国 政府が慎重に立法作業を進めようとしていると推察 改正案(日本語仮訳)は以下のジェトロのホー ムページで参照可能。 される。 前回提出意見あるいは中国日本商会作成の白書 食品安全法改正案の新旧対照 (日本語仮訳) で指摘されている建議が反映されていると思われる 点は、科学的な判断に基づくリスク分析を行うこと、 食品安全法改正案の全文 (中国語) (島田 英樹) 行政手続きの透明化、AQSIQ(国家質量監督検験検疫 Food & Agriculture 2015 年 3 月 10 日発行 サンプル号 ©JETRO 2015 禁無断転載 4
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