Ⅰ 計画の策定にあたって 1 計画策定の背景

Ⅰ
計画の策定にあたって
1
計画策定の背景
(1)国におけるこれまでの少子化対策
国は、平成 2 年の 1.57 ショックを契機に、出生率の低下と子どもの数が減少傾向にあることを
社会問題として認識し、子どもを生み育てやすい環境づくりに向けて検討を始めました。平成 6
年にエンゼルプランを策定し、また平成 11 年には、これを見直した新エンゼルプランを策定して、
保育だけでなく、雇用や母子保健など様々な分野から少子化対策に取り組んできました。
また、平成 15 年には「次世代育成支援対策推進法」を制定し、次世代を担う子どもや子育て家
庭を社会全体で支えるため、地方自治体や企業の行動計画策定を義務づけ、平成 17 年から 10 年
間の集中的・計画的な取り組みを進めてきました。また、同年には「少子化社会対策基本法」も
制定し、全閣僚によって構成される少子化社会対策会議の設置など、同法に基づく取り組みも、
同時に進めてきました。
しかしながら、平成 17 年には出生数と合計特殊出生率がいずれも過去最低を記録しました。こ
うした予想以上の少子化に対処するため、国は、
「新しい少子化対策について」、
「子どもと家族を
応援する日本」重点戦略、
「新待機児童ゼロ作戦」をまとめ、保育の充実やワーク・ライフ・バラ
ンスの実現など多方面から検討を行い、施策を推進してきました。
(2)子ども・子育て支援新制度の創設
子どもや子育てをめぐる環境は、依然として厳しく、核家族化や地域のつながりの希薄化によ
り、子育てに不安や孤立感を覚える家庭も少なくありません。また、待機児童や、仕事と子育て
を両立できる環境の整備などが問題となっています。こうした課題に対処し、子どもがほしいと
いう希望が叶い、子育てしやすい社会にしていくために、国や地域社会が一体となって、子ども
や子育て家庭を支援する新しい支え合いの仕組みの構築が求められています。
そこで、国では、少子化社会対策会議の下、新たな子育て支援の制度について検討を進め、社
会保障・税一体改革関連法として、平成 24 年 8 月に子ども・子育て関連 3 法を制定し、平成 27
年 4 月から、子ども・子育て支援新制度が始まることとなりました。
この新制度では、消費税の引き上げによる増収分を活用し、
「質の高い幼児期の学校教育・保育
の総合的な提供」「保育の量的拡大・確保」「地域の子ども・子育て支援の充実」の 3 つを軸とし
て取り組みを推進することとなっています。
一方、平成 26 年度末に終了予定であった次世代育成支援対策推進法は 10 年間延長されること
となりました。
1
(3)市川市における取り組み
本市では、平成 11 年度から 10 年間の計画として「市川市エンゼルプラン」を策定しました。
その後、次世代育成支援対策推進法の成立を受け、
「市川市エンゼルプラン」を発展させた「市川
市次世代育成支援行動計画」
(前期・後期)を平成 17 年度から平成 26 年度を期間として策定し、
地域社会で子どもと子育て家庭を支援するための取り組みを、総合的・計画的に推進してきまし
た。
今後は、子ども・子育て支援法に基づく「市川市子ども・子育て支援事業計画」
(本計画)によ
り、すべての子どもが健やかに成長できる地域社会の実現に向けた取り組みを推進していきます。
2
2
子ども・子育て支援新制度の概要
平成 24 年 8 月に子ども・子育て関連 3 法が成立し、平成 27 年 4 月から「子ども・子育て支援
新制度」が始まります。本計画に関係する「子ども・子育て支援新制度」の概要は以下の(1)~
(3)のとおりです。
子ども・子育て関連 3 法
○子ども・子育て支援法
○就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正す
る法律
○子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に
関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
(1)施設型給付等の創設
就学前児童の教育・保育について、下表の施設・事業を利用する子どもについて施設型給付等
が支給されます。(個人給付であるが、施設・事業者が代理受領)
施設・事業
特定教育・
保育施設
認定こども園
幼稚園・保育園の機能を併せ持つ施設
対象年齢:3~5 歳
保育園(※2)
対象年齢:0~5 歳
小規模保育事業
特定地域型
施設型
給付
対象年齢:0~2 歳
利用定員 5 人以下
対象年齢:0~2 歳
利用定員 6 人以上 19 人以下
対象年齢:0~2 歳
居宅訪問型保育事業
給付
対象年齢:0~5 歳
幼稚園(※1)
家庭的保育事業
保育事業
施設・事業の概要
保育を必要とする子どもの居宅で保育を
地域型
保育給付
行う事業
対象年齢:0~2 歳
事業所内保育事業
従業員の子ども及び地域の子どもの保育
を行う事業
※1 幼稚園については、施設型給付の対象となる「確認を受ける幼稚園」と、施設型給付の対象
とはならず現行制度における補助等の対象となる「確認を受けない幼稚園」のいずれかを、
設置者が選択することになります。
※2 私立保育園については、施設型給付ではなく委託費が支弁されます。
3
(2)支給認定の実施
市町村は、施設型給付等の支給にあたり、就学前児童の保護者の申請に基づき、下表の 3 つの
区分により「支給認定」を行います。
認定区分
対象となる子ども
1 号認定
満 3 歳以上で、幼稚園等での教育を希望
2 号認定
3 号認定
利用施設・事業
認定こども園
幼稚園
満 3 歳以上で、保護者が「保育の必要な事由」に
認定こども園
該当し、保育園等での保育を希望
保育園
満 3 歳未満で、保護者が「保育の必要な事由」に
該当し、保育園等での保育を希望
認定こども園
保育園
特定地域型保育事業
「保育の必要な事由」については、子ども・子育て支援法施行規則(内閣府令)及び市川市子
ども・子育て支援法施行細則において定めており、下記のとおりです。
保育の必要な事由
○月 64 時間以上の就労
○妊娠、出産
○保護者の疾病、障害
○同居又は長期入院等をしている親族の介護・看護
○災害復旧
○求職活動(起業準備を含む)
○就学(職業訓練校等における職業訓練を含む)
○虐待や DV のおそれがあること
○育児休業取得中に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること
○その他、上記に類する状態として市が認める場合
4
(3)市町村子ども・子育て支援事業計画の策定
市町村は、内閣総理大臣が定める基本指針(※)に即して、5 年を 1 期として「市町村子ども・
子育て支援事業計画」を定めることとされています。この事業計画における基本的記載事項、任
意記載事項は下記のとおりであり、本計画においては「Ⅳ
子ども・子育て支援の新たな取り組
み」において記載しています。
(※教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業の提供体制の整備並びに子ども・子育て支援給
付及び地域子ども・子育て支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針(内閣府告示)
)
《基本的記載事項》
①教育・保育提供区域の設定に関する事項
②各年度における教育・保育の量の見込み並びに実施しようとする教育・保育の提供体制
の確保の内容及びその実施時期に関する事項
③地域子ども・子育て支援事業(※)の量の見込み並びに実施しようとする地域子ども・
子育て支援事業の提供体制の確保の内容及びその実施時期に関する事項
④子ども・子育て支援給付に係る教育・保育の一体的提供及び当該教育・保育の推進に関
する体制の確保の内容に関する事項
《任意記載事項》
①産後の休業及び育児休業後における特定教育・保育施設又は特定地域型保育事業の円滑
な利用の確保に関する事項
②子どもに関する専門的な知識及び技術を要する支援に関する都道府県が行う施策との連
携に関する事項
③労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整
備に関する施策との連携に関する事項
※地域子ども・子育て支援事業
:子ども・子育て支援法第 59 条において定められる市町村実施事業
①時間外保育事業
②放課後児童健全育成事業
③子育て短期支援事業
④地域子育て支援拠点事業
⑤一時預かり事業
⑥子育て援助活動支援事業
⑦病児保育事業
⑧乳児家庭全戸訪問事業
⑨妊婦健診
⑩養育支援訪問事業及び要保護児童対策地域協議会その他の者による要保護児
童等に対する支援に資する事業
⑪利用者支援事業
⑫実費徴収に係る補足給付を行う事業
⑬多様な主体が本制度に参入することを促進するための事業
5
3
計画の位置づけと期間
本計画は、子ども・子育て支援法に基づく市町村子ども・子育て支援事業計画と、次世代育成
支援対策推進法に基づく市町村行動計画を、一体的に策定するものです。また、本市の総合計画
(I&Iプラン 21)の部門別計画に位置づけられるもので、他の部門別計画と連携・整合を図る
ものです。
本計画の期間は、平成 27 年度から平成 31 年度の 5 年間とします。
《計画の位置づけ》
【
国
】
【
市
】
市川市総合計画(I&I プラン 21)
行動計画
支援対策推進法
策定指針
4
連携・整合
市川市障害者計画
次世代育成
市川市教育振興基本計画
基本指針
支援法
市川市地域福祉計画
市川市子ども・子育て支援事業計画
子ども・子育て
計画の対象
本計画は、本市に生活する 18 歳未満の子どもとその育成に関わりのあるすべての人々・関係す
る機関等を対象とするものです。
6