検証に使用した刺激文について(PDF)

<使用した刺激文について>
●文の数
刺激文に使った文の数は、一連文当たり 5~6 文とした。これは、広報車の多くが実際に
流している文が 5〜6 文の繰り返しからなることによる。
●拍数
拍数は、
「長くても 30 拍以内にする」という研究室の考えに基づいている。1 文における
拍数の長さは、最も短くて 11 拍、最も長くて 27 拍と差があるが、実際に広報車が流して
いるものを参考にしている。また、1 つの問における連文全体の拍数を 100 拍程度と揃えた。
●使用した語彙
使用する語彙は、旧日本語能力試験 3、4 級程度のものに限った。
●ポーズの取り方
ポーズの取り方は、基本的には「やさしい日本語」の分かち書きルールに則っている。
2012 年度卒業の伊藤の卒業論文である『外国人に支持される「やさしい日本語」の読み
方に関する一考察―聞きやすいポーズの多さ・ポーズの時間・速さについて―』1では、ポ
ーズの取り方を「多い」
「分かち書き」
「1 つ」
「なし」
「中間」の 5 種類に分けており、そ
れぞれのポーズの取り方の定義は以下の通りであった。
○「多い」…………分かち書きのルールによるポーズより多いもの
○「分かち書き」…分かち書きルールに則ったもの
○「中間」…………「分かち書き」と「1つ」の中間
○「1つ」…………文の中に 1 つだけポーズをいれたもの
○「なし」…………ポーズを入れない
伊藤の調査によると、
「中間」
「1 つ」
「なし」の 3 つが多く支持された。本来であれば、
この結果を基に 3 つの中からポーズの取り方を決めるのが良い。しかし今回の調査では、
「聞きやすさを測るテスト」に加え、「理解率を測るテスト」も行ったため、文が複雑にな
りすぎないようにしたいと考えた。そこで、伊藤の調査結果を参考にしつつ、基本的には
「分かち書き」の方法に則ることとした。
1
伊藤友佳子(2013)
『外国人に支持される「やさしい日本語」の読み方に関する一考察―
聞きやすいポーズの多さ・ポーズの時間・速さについて―』
(弘前大学人文学部卒業論文)
1
●刺激文の内容
災害時は、様々な情報を聞き取る能力が求められる。そこで情報の基本である 5W1H を
含む内容にした。以下はその例である。
【例】 弘前大学からの お知らせです(17 拍)
Where
留学生が 相談できる ところが あります(22 拍)
Who
<検証する読み方スピードについて>
今回の調査で検証した読み方スピードは、320 拍/分、360 拍/分、400 拍/分、440 拍
/分の 4 種である。
・320 拍/分、360 拍/分、400 拍/分は前回の調査(単文)でも用いたスピードだが、今回
使用しなかった 280 拍/分は、
「聞きやすさを測るテスト」で最も支持率が低かったため、
使用しなかった。
・最も遅い読み方スピードである 320 拍/分は、前回の調査で問題文に不備があり正確な
結果を得られなかったことから再検証するために設定した。
・360 拍/分は、NHK の WEB ニュース「NEWS WEB EASY」2(やさしい日本語で読ま
れるニュース)で、あるニュースでのアナウンサーの読むスピードが 360 拍/分であっ
たため設定した。
・400 拍/分は、前回の単文調査で「日本語能力検定 3,4 級程度の外国人にとって最も理
想的な読み方スピード」と結果が出ていること、
「NHK ラジオニュース」3のホームペー
ジ上にある「ふつう」の読み方スピードであることから設定した。
・最も速い読み方スピードである 440 拍/分は、
「NHK ラジオニュース」のホームページ
上にある「ふつう」の読み方スピードであるため、また、400 拍/分を設定した際の上限
の幅を設けることから設定した。
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3
「NEWS WEB EASY」http://www3.nhk.or.jp/news/easy/
「NHK ラジオニュース」http://www.nhk.or.jp/r-news/
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