パラグアイ海外邦人安全対策情報 (平成26年7月~9月) 1 社会・治安情勢 (1)本年4月2日にパラグアイ人民軍(以下 EPP)と称する武装グループに誘拐されたアルラン・フ ィック・ブレン(16歳)少年については、軍と警察で構成されている共同捜査部隊が引き続き捜索 を行っていますが、事態は未だ進展していません。本事件は、政府が EPP 対策に成功しているの か否かを推し量る象徴的な事件と見られており、当地メディアは本件にかかる政府の動きを高い 関心を持って報じています。 (2)昨年同時期より、犯罪数は減少していますが、強盗事件は増加、殺人事件はほぼ横ばいの 数字であり、当国の治安状況に改善は見られません。引き続き、窃盗等の一般犯罪を含め、十分 な注意を要します。 2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向 (1)国家警察庁がまとめた、平成26年度第2四半期(平成26年7月~9月)の犯罪認知件数に よると、総犯罪認知件数は4,271件であり、前年同期(平成25年7月~9月)と比較して116件 (前期犯罪認知件数:4,387)減少しています。犯罪種別の内容は以下のとおりです。 ① 殺人 355件 (前年同期比: 12件減) ② 傷害 521件 (前年同期比: 17件増) ③ 暴行・過失傷害 976件 (前年同期比: 14件減) ④ 強姦・強制わいせつ 64件 (前年同期比: 65件減) ⑤ 強盗 738件 (前年同期比: 74件増) ⑥ 窃盗 1,617件 (前年同期比:116件減) (2)主な事件概要 ○7月上旬 アスンシオン市ビスタ・アレグレ地区の路上で、買い物から帰宅中の男女が、車両で接近してき た男性グループに拳銃で脅迫され所持品を強奪される事件が発生しました。警察署のその後の 捜索で、19歳から22歳の男性2名が逮捕され、所持品から強奪品と薬物(マリファナ及びコカイ ン)が発見されました。 ○7月上旬 プレシデンテ・アジェス県プエルト・ファルコン市に位置する国道で、アルゼンチン国籍の63歳と 34歳の男性親子が車両で走行中に、警察官の検問を装った数名の武装グループから発砲を受 け、父親が死亡する事件が発生しました。武装グループは車両を強奪し逃走しました。 ○7月上旬 アルト・パラナ県エステ市サンタ・アナ地区の路上で、オートバイで帰宅途中の25歳男子大学 1 生が、同じくオートバイで接近してきた2人組の男に発砲を受け重傷を負う事件が発生しました。 犯人は、オートバイを盗み逃走しました。 ○7月中旬 コルディリェーラ県アロジョス・イ・エステロス市内の農業用機械の販売会社に、4人組の男が侵 入し、拳銃で職員を脅迫し現金9,000万グアラニー(約195万円)を強奪する事件が発生しまし た。警察署の捜索で、元交通警察官とその他3名が逮捕され、所持品から強奪された現金の一部 が発見されました。 ○7月中旬 セントラル県ルケ市ニュウ・グアス地区に所在するガソリンスタンド店で、客を装い車両で接近し てきた4人組の男が、拳銃で店員を脅迫し売上金4,000万グアラニー(約86万円)を強奪する 事件が発生しました。 ○7月中旬 セントラル県ルケ市内の路上で、26歳の女性通行人がオートバイで接近してきた男に拳銃で脅 迫されバッグを強奪される事件が発生しました。警察署の捜査で、容疑者として17歳の未成年男 性が逮捕され、所持品から被害者のバッグが発見されました。 ○7月下旬 アスンシオン市「メルカード・クアトロ」市場の路上で、女性通行人が男に凶器で脅迫され現金 及び携帯電話を強奪される事件が発生しました。警察署は容疑者として23歳の男性を逮捕しま した。 ○7月下旬 アスンシオン市ロマ・プタ地区の住宅に2人組の男が侵入し、家族(3名)を拳銃で脅迫し、現金 35万グアラニー、拳銃1丁及び車(NISSAN Sunny)を強奪する事件が発生しました。被害者 は犯人に暴行を受け負傷しました。 ○7月下旬 アスンシオン市セントロ地区の路上で、20歳の男性通行人が6人組の男に暴行を受け、所持品 及び衣類を強奪される事件が発生しました。近所の住民が犯人の一人を取り押さえ、警察署に身 柄を引き渡しました。警察署の調べで、容疑者らは通称チャカリータ地区と呼ばれる犯罪多発地 区に居住する未成年グループであることがわかりました。 ○7月下旬 セントラル県ルケ市に位置する国道で、金物加工工場の男性職員が車両で走行中に、交通警 察官を装った武装グループに拳銃で脅迫され、現金8,600万グアラニー(約186万円)及び小 切手166枚を強奪される事件が発生しました。被害者によると、強盗犯は交通警察官の検問を 装い、車両を停車させた際、拳銃でし脅迫していたことがわかっています。 ○7月下旬 アルト・パラナ県エステ市とグアイラ県イトゥルベ市でATMが爆破される事件が発生しました。 ○8月中旬 2 アスンシオン市セントロ地区に所在する銀行付近で、コロンビア国籍の男性が強盗容疑で逮捕 されました。男性は銀行に訪れている人物の車のタイヤを計画的にパンクさせ、持ち主が気を取 られているところを、車内に置いてある現金を強奪する手口で犯行を繰り返していたことがわかっ ています。 ○8月下旬 アスンシオン市内にある「AMAMBAY」銀行の駐車場で、建築会社の職員2名が同銀行から 現金2,000万グアラニー(約43万円)を引出し、車両に向かって移動していたところを、オートバ イで接近してきた2人組の男に拳銃で脅迫され現金が入ったカバンを強奪される事件が発生しま した。現場付近にいた警察官が犯人に対して発砲し、犯人は被弾しましたが、オートバイで現場か ら逃走しました。その後の捜査で犯行に使用されたオートバイが警察官の物であることがわかり、 同警察官を強盗容疑で逮捕しました。 ○8月下旬 アルト・パラナ県プレシデンテ・フランコ市サント・トマス地区のガソリンスタンド店に、2人組の男 が客を装いオートバイで接近し、店員を拳銃で脅し売上金1億7,000万グアラニー(約369万円) を強奪する事件が発生しました。 ○8月下旬 セントラル県サン・ロレンソ市レドゥクト地区の住宅に4人組の武装グループが侵入し、一家(5 人)を拳銃で脅迫し、現金2,000万グアラニー(約43万円)、宝石類、及び携帯電話機数台を強 奪する事件が発生しました。 ○8月下旬 アスンシオン市内の路上で、建築技師として勤める男性が運転手と車両で移動中に、3人組の 武装犯が乗った車両に道を遮られ、拳銃で脅迫を受け、現金1億3,000万グアラニー(約280 万円)が強奪される事件が発生しました。 ○8月下旬 アマンバイ県ペドロ・ファン・カバリェーロ市の中心部にある金融会社の前で、62歳と19歳の女 性が4人組の武装犯に発砲され重傷を負う事件が発生しました。犯人グループは被害者が所持 していた現金6,000万グアラニー(約130万円)を強奪し逃走しました。警察署の報告によると、 被害者は同金融会社で現金を引き出した直後の被害であったことがわかっています。 ○9月上旬 セントラル県イタグア市国道2号線26キロメートル地点にあるガソリンスタンド店で、オートバイ で接近してきた2人組の男性が拳銃で店員を脅迫し、売上金900万グアラニー(約19万円)を強 奪する事件が発生しました。 ○9月下旬 アスンシオン市内で、ルーマニア国籍の26歳の男性が偽装クレジットカードを使用し、買い物 等を行っていた容疑で逮捕されました。 ○9月下旬 3 セントラル県ルケ市内の路上で大学生の男性が、オートバイで接近してきた2人組の男に強盗 殺人に遭う事件が発生しました。目撃者の証言より、被害者は犯人に抵抗したため、発砲を受け たことがわかっています。 ○9月下旬 アスンシオン市内の路上で、女性通行人がオートバイで接近してきた2人組の男性に拳銃で脅 迫され、所持品を強奪される事件が発生しました。その後の捜査で、19歳と20歳の男性2名逮 捕されました。 3 テロ・爆弾事件等の発生状況 7月上旬、コンセプシオン県オルケタ市サンタ・リブラダ地区に所在する牧場地に設置されてい る、高圧電流用の電信柱2本が爆発による襲撃で倒され、コンセプシオン県、カアグアス県、サ ン・ペドロ県、アルト・パラグアイ県及びプレシデンテ・アジェス県で停電が発生した。警察庁及び 国軍の共同捜査部隊の報告では、「パラグアイ人民軍」(EPP)の犯行の可能性はあるとして警戒 態勢を強化した。 4 誘拐・脅迫事件発生状況 8月上旬、アマンバイ県ペドロ・ファン・カバリェーロ市から15キロメートルにあるチリグエラ地区 で、日本人が身代金目的の短時間誘拐被害に遭う事件が発生しました。被害者は約3時間後に 無事解放されました。警察署の捜査で、本事件には、同地域に住む2名の男の関与していること がわかり、1名は逮捕されましたが、もう1名は現在も逃走しています。 5 日本企業の安全に関わる諸問題 今期は、特になし。 6 安全に関する情報 (1)パラグアイ国内の都市部では、オートバイを使用し、けん銃や凶器で脅迫の上、現金や携帯 電話が強奪される手口の強盗が多発しています。また、銀行や金融機関に出入りする顧客を狙っ た強盗も多く発生しています。移動中等は、不審なオートバイが近付いてきていないか等、周囲の 状況を常に確認するようにし、警戒の意識を保ちながら行動しましょう。 (2)アマンバイ県とブラジルの国境付近においては、麻薬組織関係者の縺れが原因と見られる殺 人事件が多く発生していますので、これらの事件に巻き込まれないよう、十分に注意する必要が あります。 4
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