グリーンレポートNo.549(2015年3月号) 奈良県 三重県 京都府 和歌山県 ジェネリック農薬「ペンコゼブ水和剤」 で コスト抑制 大阪府 JAならけん(奈良県)発 現地レポート ∼いにしえの都が育むかき産地での取り組み∼ 奈良県中西部を流れる吉野川。その川を流れる山々を ている。低コストや省力化が見込める取り組みは必ず農 切り開いて栽培されるかきの作付面積は1,870ha、生産 家に支持される。ジェネリック農薬である『ペンコゼブ 量は 2 万8,500tを誇る(平成25年) 。紀伊半島中央に 水和剤』をかき生産者に広めていきたい」とJAならけ 位置する奈良県は、林野率が77%と高く耕地面積は全 ん西吉野白銀営農経済センターの職員はいう。 国第44位である。しかしながら、とりわけ、かきに関し また、かき生産者の上西さんも「昨年『ペンコゼブ水 ては生産者の絶え間ない努力によって山間地を切り開き、 和剤』を使用したが、以前使っていたマンゼブ剤と効果 生産量全国第 2 位の大産地をつくり上げた。 は遜 色 がなかっ た。 大消費地への出荷はもちろんのこと、最近では地元の 『ペンコゼブ水和剤』 消費者を取り込んだ「地産地消」にも積極的に取り組ん を使ってよかったと思 でいる。平成25年 4 月、JAならけんは橿原市にファー う。ジェネリック農薬 マーズマーケット「まほろばキッチン」をオープンした。 がもっと増えれば農薬 橿原市といえば、万葉集や古今和歌集で詠まれた大和三 代も抑えられる。今後 山(耳成山・畝傍山・天香具山) 、そして持統天皇が もジェネリック農薬の 694年に藤原京を築いたいにしえの都であり、今もその 種類が増えてほしい」 面影が残る風光明媚な土地である。 「まほろばキッチン」 と期待を寄せている。 には、地元で採れた新鮮な農産物を目当てに一般客や観 光客が訪れ、連日 ▲「これからもジェネリック農業に期待 したい」と語るかき生産者の上西さん 「ペンコゼブ水和剤」がジェネリック農薬普及へのカギ 大変な賑わいをみ 農産物の価格が低迷するなか、農薬代の抑制を求める せている。 かき農家の声は大きい。特に、近年では、有機リン系殺 今回は日本屈指 虫剤を中心にメーカーが販売の継続を断念する動きがあ のかきの産地、J り、防除に使用できる安価な農薬が減る傾向にある。か Aならけんが取り きなど果樹の防除では新規系統の高性能農薬を取り入れ 組むジェネリック ながらも可能なかぎりコストを抑えることが要求される。 農薬「ペンコゼブ したがって、 「ペンコゼブ水和剤」のようなジェネリッ 水和剤」をレポー トする。 ク農薬を導入することが解決策のひとつとなる。 ▲ファーマーズマーケット「まほろばキッチン」 かき農家を悩ます炭疽病 かきの炭疽病は、果実や新梢、葉柄に発生する厄介な 病気である。病原菌は主に枝の部分で越冬し、春先から の降雨によってかきの枝や葉、実へと広がっていく。病 気が進むと落葉や落果を招くだけでなく、被害が大きい 場合には枯死することもある。炭疽病の被害を抑えるに ▲JAならけん西吉野白銀営農経済センター 職員の皆さん ▲ペンコゼブ水和剤 は、早めの対応がポイントとなる。12∼ 3 月の休眠期か JAグループが開発した日本で最初のジェネリック農 ら「落葉の焼却」と「病枝のせん除」を徹底し、殺菌剤 薬「ペンコゼブ水和剤」 。今年で発売からちょうど20周 「ホーマイコート」を散布する。春先からは炭疽病を中 年。このような節目を迎えられたのもJAグループが率 心に落葉病などの薬剤防除も行う。 先してジェネリック農薬の市場を開拓してきたからでは 「どの農家も、少しでも農薬代を安くあげたい、と考え ないだろうか。【全農 近畿・東海・北陸肥料農薬事業所 推進課】 17
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