通信融合時のテレビ受像機の今後の役割に関する研究 融合時のテレビ

通信融合時のテレビ受像機の今後の役割に関する研究
通信融合時のテレビ受像機の今後の役割に関する研究 2
~インターネット化、マルチデバイス化進展により変化する
テレビ受像機に求められる機能および操作性~
テレビ受像機に求められる機能および操作性~
テレビ受像機役割研究グループ
代表研究者
小泉
真理子
京都精華大学 マンガ学部
共同研究者
坂東
幸一
電気通信大学大学院 情報システム学研究科
目
専任講師
研究員
的
近年、テレビはネット接続などによりテレビ番組の視聴以外の用途も可能となり高機
能化している一方、携帯電話やパソコンでもテレビ番組が視聴できるマルチデバイス化
が進展している。この変化によりテレビと他の情報機器との境界が不明確になってきて
いる。テレビの操作は複雑化する傾向にあり、老人や子供も含めた誰にでも利用できる
という従来からのテレビの特長が失われる危険がある。これに対処するため平成22年度
(以下、研究1)では、テレビに加えてコンピュータや電話機などの情報機器の発展の
経緯を調査し、テレビと情報機器の比較分析を行った。その結果、情報機器ではICTの
進歩を活用して高機能を達成していること、操作も複雑となりGUI (Graphical User
Interface) を中心に操作簡易化の技術が開発されていることが分かった。一方、テレビに
関してはGUI の活用は遅れ、キー操作を中心としているためリモコンのキーの数が増加し
て煩雑化していた。普及が予想されているスマートテレビでは更に操作が複雑化する可能
性が高いなど、簡易な操作技術の開発が望まれる。そこで、本年度は研究1を深耕し、今後
のテレビに求められる機能や操作簡易化のための要件を検討し、テレビの具体的な操作
方法の枠組を提示することを目的とする。
方
法
以下の手順で調査および検討を行った。
1. 調査
(1)テレビの製品・技術の動向調査
研究 1 に引き続き、平成 24 年度を中心に調査する。
(2)テレビの操作技術の最近の動向調査
研究 1 に引き続き、平成 24 年度を中心に調査する。
(3)その他情報機器の最近の動向調査
研究 1 に引き続き、コンピュータ、情報通信、電話機などの製品・技術動向について平
成 24 年度を中心に調査する。
(4)その他情報機器の操作技術の最近の動向調査
研究1に引き続き、コンピュータ、情報通信、電話機などの操作技術について平成 24 年
1
度を中心に調査する。
2. 調査結果に対する考察
(1)今後のテレビに求められる役割と対処すべき課題
以上の 1. 調査(1)~(4)の結果を基に、まず研究 1 の結果の再評価を行い、その上で
テレビに求められる役割とそれを達成するための課題について検討する。
(2)具体的なテレビの操作法に関する検討
今後のテレビ操作の枠組およびリモコンのイメージ案を検討する。
結
果
1. 調査の結果
(1)テレビの製品・技術の動向(平成 24 年度中心)
2011 年~2012 年の情報機器メーカのカタログの比較などにより、下記の動向を抽出した。
・高画質化
現状より 4 倍の高精細化を実現した 4K テレビが一部のメーカ(東芝 1)、ソニー2)など)
から発売された。また省電力化、高画質化をより追求した大型有機 EL テレビを韓国の一
部のメーカ(Samsung3)など)が発表した。米国ラスベガスで開催された CES2013(2013
年 1 月 8 日~1 月 11 日)には、韓国のメーカからは大型曲面有機 EL テレビ(Samsung4)、
LG エレクトロニクス 5))が、日本のメーカからは大型 EL テレビまたはパネル(ソニー
6)、パナソニック 7)など)が出展された。
・ネット動画の視聴、SNS との連携、テレビ操作におけるスマホやタブレットとの連携
などを可能にしたスマート化の進展
各社はネット機能強化を進めており、例えばビエラ・コネクト(パナソニック)、Wooonet
(日立)、レグザクラウドサービス TimeOn(東芝)などがある。
SNS との連携では NHK 総合テレビの番組「NEWS WEB」8)などのように番組放送中
にツイッターのメッセージを画面に流す番組が見られるようになった。
テレビ操作におけるスマホやタブレットとの連携では、例えば各社のカタログによれ
ば、スマートフォンやタブレットによるリモコン機能(パナソニックのビエラリモート、
ソニーの Media Remote、日立の Wooo Remote LITE など)、リモート録画機能(東芝の
レグザ Apps コネクトなど)、テレビ番組の持ち出し機能(東芝の RECZA、日立の Wooo
など)などがある。
・テレビ番組のタイムシフト視聴(録画視聴)のサポート 9)
総務省編(2012)
「メディア利用の生活時間調査」10)によると、タイムシフト視聴は増
加している。各社の録画機能の強化はこの傾向と合致しており、例えばタイムシフトマ
シン(東芝)
、おまかせ録画(シャープ)、おまかせ・まる録(ソニー)などがある。
・無線 LAN や家庭内ネットワークによる家庭内どこでも視聴
家庭内の各種機器とテレビを接続するために、お部屋ジャンプリンク(パナソニック)、
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ソニールームリンク(ソニー)、レグザリンク(東芝)などのサービスがある。
・省エネ、節電機能のサポート
節電機能の段階別表示機能(パナソニック)、最適状態の自動調整機能(日立)、きめ
細かい節電機能(各社)などの強化が行われている。
(2)テレビの操作技術の最近の動向(平成 24 年度中心)
テレビの操作性の発展の歴史はリモコンの歴史でもある。これまでは機能の増加に対し
リモコン上にキーを増設することにより主に対処してきた。しかし、研究 1 で示したよう
にキーの数が増加して操作が煩雑化している。本調査ではこれに対処する操作法として以
下の方式が開発されていることを確認した。
第一にタッチパネルによる操作である。タッチパネルによる操作はスマートフォンで発
展し、パソコンでも利用されるようになってきたが、キー操作よりも人の直感に即した操
作ができるためテレビ操作にも採用されるようになってきた。テレビ操作におけるタッチ
パネルの採用は現段階ではスマートフォンやタブレットに専用アプリをダウンロードする
ことによりリモコンとして使えるようにする方式が各社から発売されている。リモコン専
用としてタッチパネルを採用した例はソニーが CES2012 で発表した Google TV 用リモコ
ン 11)があるが、まだ少ない。
第二は音声による操作である。本方式は音声認識によりキーの押下を不要とする方式で
ある。テレビにおける採用の例はパナソニックの VIERA タッチパッドリモコン 12)、LG エ
レクトロニクスの LG Smart TV リモコン 13)などがある。用途はチャンネル切換や音量調
整など従来のキー操作の代替に加え、文字入力、インターネット検索、地図検索、番組表
検索と多岐に亘っている。
第三は動作(ジェスチャ)による操作である。画面に向けて手を振ったり、目や顔の動
きでキーや画面に触れずに操作を可能にしている。本技術は任天堂のゲームで採用された
14)
リモコン自体を動かす方式
やマイクロソフト社のゲーム機で採用されたカメラで人の動
15)
きを認識する方式(Kinect
)などがあるが、最近一部のテレビでも採用されている。例
えば、LG エレクトロニクスの一部のテレビでは身振りでチャンネル選択や音量調節の操作
ができる機能がサポートされている 13)。
(3)その他情報機器の最近の動向(平成 24 年度中心)
第一にアップル社の iPad で始まったタブレット端末の普及と多様化である。モデルとし
ては画面サイズが 10 インチ前後と 7 インチ前後の 2 領域が各社から多数製品化された。ま
た、電子書籍に特化した電子書籍専用端末がアマゾンなどから発売された。さらにタブレ
ットの普及はマイクロソフト社の Windows OS にも影響を与え、タッチパネルも可能にし
た Windows 816)が発売され、タブレットにもノートパソコンにもなるパソコンが各社から
製品化された。
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第二の動向はスマートフォンの普及と高性能化・高機能化である。第 4 世代通信方式 LTE
の採用により最大 75Mbps まで高速化し、さらに多様なアプリを使用可能にした。
その他には、システム関係としてクラウドコンピューティングの多様な分野への普及、
SNS 活用の進展、ビッグデータの利活用の進展などがあった。
(4)その他情報機器の操作技術の最近の動向(平成 24 年度中心)
大きな傾向としては、物理的なボタンやキーボードによる操作方式よりもディスプレイ
上のアイコンなどを選択する GUI 方式の採用が増加していることである。そのアイコンは
マウスで選択するものが主体であるが、新しい傾向としてはタッチパネルやレーザポイン
タによる方式も採用されつつある。更に新しい方式としては動作(ジェスチャ)や音声に
よる方式が一部採用されつつある。
具体的には、第一にアップル社の iPhone や iPad で採用されたタッチパネルによる操作
は、タブレットやスマートフォンで全面的に採用され、広く普及した。また、パソコン領
域でもマイクロソフト社の Windows 8 がサポート 16)し、ノートパソコンでも使用されつつ
ある。
第二にスマートフォンやタブレットにおける音声入出力機能である。具体的には、アッ
プル社の iPhone および iPad でサポートされた「Siri」17)、NTT ドコモのスマートフォン
の「しゃべってコンシェル」18)、KDDI のスマートフォンの「おはなしアシスタント」19)
などである。これらは検索キーワード入力、アプリの呼び出しなどを会話風に行う。
第三にスマートフォン向けの動作による操作機能である。例えば、Samsung の新スマー
トフォン向け「画面に触れず、指、目、顔の動きで操作する機能」などがある 20)。
2. 調査結果に対する考察
(1)今後のテレビに求められる役割と対処すべき課題
研究 1 の調査、本研究の 1. 調査(1)~(4)の結果もふまえて、情報機器を操作する方
式につき、大分類として操作情報入力の媒介手段、中分類としてそれらの操作方式とし、
長所、短所、適用例を表 1 に纏めた。
テレビ以外の情報機器は、近年機能面ではタブレットやスマートフォンの普及、通信の
高速化に伴うネット機能の拡大など人々の生活に浸透する方向にある反面、操作性面では
GUI やタッチパネルなどによる進化はあるものの簡易さではテレビに劣っていた。テレビ
が特別な知識や訓練を要せずに誰にでも利用できるという誕生以来の特長を維持すること
は、テレビに対し今後も求められる大きな優位点と考えられる。
現在、テレビ以外の情報機器でもテレビ番組は視聴可能であるのに対し、テレビではイ
ンターネット上の情報などの閲覧が必ずしも容易ではなく、機器の大きさや可搬性などで
テレビでは不可能でスマートフォンなどのみで可能な利用法もある。このため、テレビの
みしか利用できない視聴者が入手できる情報は限られたものとなり情報格差が生じる危険
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がある。Lotz(2007)21)が述べる「テレビとは教養を入手する道具であり、世界中の情報
の窓である」であり続けるには、テレビの操作簡易性を維持しながら、テレビとネット動
画の視聴や SNS との連携の強化が求められる。
ネットとの情報格差への対応として、NHK 放送技術研究所ではネットワークを利用して
放送サービスを高機能化するための技術基盤 HybridcastTM を開発中である 22)。本システム
の機能の例としては、テレビ視聴場面における SNS との連携、放送システムとしてクラウ
ドコンピューティングの活用によるコンテンツ管理配信サービスなどがある。さらにネッ
ト上に蓄積されているビッグデータのテレビ放送における活用事例としては、2013 年 3 月
3 日に NHK 総合で放映された「NHK スペシャル
震災 BIG DATA」がある 23)。
総務省編(2012)10)によると情報の内容により入手するメディアは異なり、テレビの利
用率が高い情報は、国内・海外・地域ニュース、天気予報である。その一方、ネットの利
用率が高い情報は、観光情報、ショッピング・商品情報となっている。そして、テレビが
ネットよりわずかに高い情報は、娯楽エンタメ情報、グルメ情報であった。このことから
毎日定時に視聴する報道や天気予報はテレビを利用していることが分かり、生活情報とし
て必要なものは、人々はテレビより入手することを求めている。このことからテレビにお
いて、例えば、政府や自治体からの SNS による情報を表示する機能、特に地震、災害情報
は、ニーズが高いと推測される。そして、高齢者の介護支援における活用など、高齢化社
会で望まれる機能もニーズが高いことが考えられる。
また、テレビで得られる情報が他の情報機器に比して限定されていることは、情報格差
だけでなく、テレビ離れをも引き起こしていると推測される。志岐ら(2012)の多メディ
ア環境下におけるテレビの役割に関するウェブ・モニター調査 24)によると、若年層はテレ
ビ離れの傾向があり、特に 10 代、20 代は 4~5 割がここ(2011 年)数年でテレビ視聴時
間が減ったと感じている。減った理由は「パソコンや携帯電話など他のメディアを利用す
ることが多くなった(57.9%)」、
「おもしろそうな番組が減ったから(52.8%)」、
「以前より
忙しくなって時間の余裕がなくなったから(46.8%)」の 3 項目が多い。
5
6
(2)具体的なテレビの操作法に関する検討
テレビには、操作の簡易性を維持しつつ、より多くの情報にアクセスできる機器となる
ことが求められていることを前項(1)において導出した。本研究では具体的なテレビの操
作法について検討した。同様の検討が、既にテレビ受像機のメーカでは多数検討、試作さ
れているであろう。個々の機能に対する操作法は各テレビ受像機の機能、設計思想により
異なり、本研究ではあくまで操作法の枠組を提案したい。
①
操作法の枠組の検討
第一に操作の対象となるテレビ機能面から、第二にそれらの機能の選択方式面から、
第三にネット機能サポート時に必要となる文字入力方式面から検討した。
・操作の対象となるテレビ機能の検討
操作の対象となるテレビ機能を基本機能と拡張機能に分類する。
基本機能とは、必須の機能で手元のリモコンで即座に操作すべき機能とし、物理的ボ
タンで実現する。基本機能は概念的には現在のリモコンとは大きな変化はない。現行の
製品を調査して多くのリモコンに用いられている機能を選び出すと下記となる。
電源オン/オフ、音量調節/消音、スピーカ切替、地デジ/BS/CS/ケーブル切替、
チャンネル切替、青/赤/緑/黄ボタン、入力切替、画面切替、2D/3D 切替、
メニューキー、ヘルプキー
上記基本機能以外を拡張機能と呼ぶ。拡張機能により、情報リテラシーの高い人はそ
の能力に応じた利用が可能となる。煩雑化の原因となるため基本的にはリモコン上で固
有のキーを設けることは行わず、代わりにリモコン上に画面を設けるかテレビ画面を利
用して操作ガイドを表示して選択する方式が有望と考える。
・機能の選択方式
機能の選択は基本的には、基本機能は物理的なボタンで実現し、拡張機能はタッチパ
ネルまたはテレビ画面上にソフトボタン、アイコン、WYSIWYG などで表示し、選択す
る。アイコンまたは WYSIWYG の場合、ポイントなどを動かすことによりこれらを選択
した上で決定する操作が必要である。これらの方式には、十字ボタン方式、ジョグダイ
ヤル方式、レーザポイント方式、タッチパネル方式、音声方式、ジェスチャ方式が考え
られる。現状では、十字ボタン方式が最も多く使用されており、操作ミスは少ない方式
である。ジョグダイヤル方式は操作速度は速いが、慣れが必要である。レーザポイント
方式とタッチパネル方式、音声方式、ジェスチャ方式は最近一部で使用されているが、
未だ普及しておらず、評価が定まっていない。
・文字入力方式
文字入力方式には下記方式が考えられる。
ハード KB 方式:テンキーまたはフル KB(QWERTY)
ソフト KB 方式:テンキーまたはフル KB(QWERTY、abc 順、あいうえお順)が切
替により使用可能である。
7
TV 上の文字をポイントする方式:文字のポイントの仕方には、十文字キー、ジョグ
ダイヤル、レーザがある。
音声入力方式:リモコンに向かってキーワード等を音声入力することにより、チャン
ネル切換、音量調整、文字入力、インターネット検索などを行う。
今後のテレビで必要とされる文字入力量は、検索キーワード、ツイッターや Facebook
の入力などのある程度のテキスト入力が考えられる。また操作を行う人の利用経験を考
えると、携帯電話、パソコン、iPad など多様である。上記入力方式のうち、どのような
文字入力方式が最適かについては今後さらに検討が必要である。
②
テレビのリモコンイメージ案
以上の枠組を基に利用目的別に下記 4 種類のリモコン案を検討した。
・リモコン 1:超簡易タイプ
リモコンに表示される機能を基本機能のみに絞った超簡易型リモコンである。テレビ
視聴が決まり切った限定的な機能の場合に向いている。
・リモコン 2:現状に近いタイプ
基本機能+拡張機能を物理的ボタンで実現するタイプであり、現状のリモコンに近い
タイプである。
・リモコン 3:基本機能+タッチパネル(縦置き)タイプ
基本機能は物理的ボタンで、拡張機能はタッチパネルで実現する。
・リモコン 4:基本機能+タッチパネル(横置き)タイプ
リモコン 3 の横置きタイプである。
以上 4 種類のリモコンのイメージを図 1 から図 4 に示し、それぞれの長所や短所などの
比較を表 2 に示す。
なお、リモコン 1~4 においては、リモコン上の「メニュー」キーおよび「選択」キー
またはタッチパネルと連携して図 5 に示したテレビ画面上にウィンドウを設定し、アイ
コン、WYSIWYG などで操作することも可能とする。
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図 1
リモコン 1:基本機能のみ
図2
リモコン 2:基本機能+拡張機能
:基本機能+拡張機能
図 4 リモコン 4:基本機能+タッチパネル
図 3 リモコン 3:基本機能+タッチパネル
図5
9
テレビ画面上のウィンドウ
10
図 1~図 4 に示した 4 種のリモコンのうち、リモコン 1 および 2 は現状のリモコンに近い。
それに対してリモコン 3 および 4 はタッチパネルを採用しており、現在のリモコンとは異
なったイメージである。このため、特にリモコン 3 および 4 について具体的イメージの検
討を行った結果を図 6 と図 7 に示す。
図6
リモコン 3 のイメージ案
11
図7 リモコン4のイメージ案
おわりに
研究 1 および 2 の目的は、通信融合時のテレビ受像機の今後の役割、求められる機能お
よび操作性とは何かを研究することであった。
まず、研究1では今後のテレビ受像機の役割は、半導体やネットワーク技術の進歩により
各種情報機器が類似化する傾向の中で、Lotzが述べる「テレビとは教養を入手する道具で
あり、世界中の情報の窓である」とする機能を保持し、機能が増加し複雑化しても特別な
知識や訓練を要せずに誰にでも簡易に利用できると云う誕生時の特徴を維持して発展すべ
きであるとした。研究2では、まず最近1年の情報機器の動向を調べた上で研究1の結論を見
直した結果、本方向性は変わらないことを確認した。
そして、テレビには映像視聴の中心装置としての役割が求められるため、ネット情報と
の連携などが必要であることを検討した。本前提のもとに今後のテレビのリモコンについ
て、情報システムで採用されているディスプレイ上のアイコンなどを選択する GUI 方式や、
タブレット端末・スマートフォンで普及しているタッチパネルによる直観的操作や音声入
力機能などの操作技術の応用を検討し、具体的なリモコンの枠組を提案した。本リモコン
12
を実用化するには、プロットタイプを作成して多くの実験や詳細な検討が必要であり、本
研究は一つの叩き台にすぎないが、今後のリモコンの発展に少しでも資することができれ
ば幸いである。
参考文献
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2) http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201208/12-111/
3) http://www.samsung.com/us/news/newsRead.do?news_seq=20077
4) http://www.samsung.com/us/news/20352
5) http://www.lg.com/jp/press-releases/20131009oledtv
6) http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201301/13-002/
7) http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/2013/01/jn130109-1/
jn130109-1.html
8) http://www3.nhk.or.jp/news/newsweb/
9) 諸藤絵美:浸透するタイムシフト視聴の現在~「メディア利用の生活時間調査」から①
~、放送研究と調査、OCTOBER 2012、pp.2-14.
10) 総務省編:平成 24 年度情報通信白書、p.239 (2012).
11) http://gpad. tv/tv/sony-nsz-gs7-stb/
12) http://panasonic.jp/viera/voice_remocon/index2.html
13) http://www.lg.com/jp/lgtv/control
14) http://www.nintendo.co.jp/wii/controllers/index.html
15) http://www.xbox.com/ja-JP/kinect/home
16) http://windows.microsoft.com/ja-JP/windows-8/meet
17) http://www.apple.com/jp/ios/siri/
18) http://www.nttdocomo.co.jp/service/information/shabette_concier/
19) http://www.au.kddi.com/mobile/service/smartphone/life-support/
ohanashi-assistant/
20) http://www.samsung.com/jp/consumer/mobilephone/smartphone/docomo/SGHN045ZBEDCM-features
21) Lotz, Amanda D.: The television will be revolutionized, New York University Press,
New York (2007).
22) 松村欣司、金次保明: HybridcastTM の概要と技術、NHK 技研 R&D、No.124、2010、
pp.10-17.
23) http://www.nhk.or.jp/datajournalism/about/
24) 志岐裕子、李
光鎬、小城英子、上瀬由美子、萩原
滋、渋谷明子:多メディア環境下
におけるテレビの役割、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所紀要、No.62、
13
2012、pp.33-56.
25) http://www.ntt.co.jp/RD/OFIS/history/vol1.html
26) 長尾哲男:道具の変化と生活支援、保健学研究、第 22 巻、第 1 号、2009、pp.1-8.
27) http://www.sharp.co.jp/aquos/lineup/f5/20f5/useful.html
28) http://www.apple.com/jp/iphone/
29) http://www.apple.com/jp/ipad/
ホームページは全て 2013 年 6 月確認。
研究発表
(1)坂東幸一、松野
裕:新聞報道による情報システム事故の信頼性・安全性の分析、情報
処理学会、Software Japan 2014 (2014.2).
(2)コンピタンス研究所ホームページでの公開(URL:http://www.itcl.jp/、2015 年 2 月)
連 絡 先
坂東
幸一
電気通信大学大学院情報システム学研究科
研究員
E-mail [email protected]
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