第 3 回国連防災世界会議

欧州委員会ファクトシート
第 3 回国連防災世界会議
欧州委員会は防災に関連する多くの政策分野において活動している。以下、そのうち
欧州委員会の展示ブース
にお越しください
の 6 つを紹介する。
日時:
3 月 14 日~18 日、10:00-20:00
人道援助・市民保護
会場:
せんだいメディアテーク ギャラ
リー 5・6F(仙台市青葉区 2-1)
欧州委員会は、その人道援助・市民保護部門を通じ、
毎年 1 億 2,000 万人以上もの紛争・災害被害者に援助
を提供している。
欧州委員会の関連イベン
トにお越しください
政策実行に向けて:イノベーショ
ンと共同体としての備え
日時:
3 月 16 日(月)14:00~17:00
会場:東北大学川内北キャンパス
マルチメディアホール
使用言語:英語
(日本語通訳付き)
お問い合わせ先:
[email protected]
EU は、貧困削減や持続可能な開発に必要な前提条件と
して、紛争や災害などの将来的なストレスやショック
に対する脆弱性を低減しレジリアンスを作り上げると Photo credit: ECHO
ともに、あらゆる分野や文脈において、リスク管理手
法を自身の人道援助や開発援助計画の全てに組み込む
ことに尽力している。
EU の危機に対するレジリアンスや、そのリスク(特に国境をまたぐリスク)を予見し、
対策を準備し、対応する能力を強化することは、「Europe 2020」と銘打った成長戦略
の目標の中に含まれる。競争力と持続可能性は、被害を抑え、増加傾向にある地球規
模の衝撃や脅威に対するレジリアンスを強化する一助となる、効果的な災害リスク管
理を拠り所としている。過去 10 年間において EU の政策や財政援助を通じて、かなり
の成果が挙がっている。
EU 市民保護法制の改正により、防止・準備・対応という災害管理サイクルの全ての段
階を通じ、全ての自然・人為的リスクに対する包括的アプローチを推進し、分野横断
的な災害リスク管理政策の実施に向けた枠組みの土台ができた。
公開データに基づき、あらゆる人道支援関係者の災害リスク管理の調和を目的とした、
共通かつ透明で科学的根拠のある人道的リスク指標(2014 年に導入されたリスク管理
指標「InfoRM」)の開発(国連機関間常設委員会、欧州委員会および援助提供国、非
政府機関、EU 加盟国などの共同取り組み)を通じた危機・脆弱性評価にも進展が見ら
れた。
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第 3 回国連防災世界会議
気候行動
危険な気候変動を防ぐことは、欧州連合(EU)にとって重要な優先事項である。欧
州は、域外の国・地域に対して同様に削減に取り組むよう促しながら、域内の温室
効果ガス排出量の相当な削減を達成すべく最大の努力をしている。
EU は、域内の温室効果ガス排出量を 2020 年までに 1990 年比で 20%削減するという
自身の目標を達成する見込みである。2030 年までには排出量を少なくとも 40%削減
し、再生可能エネルギーの比率を 27%以上に引き上げ、エネルギー効率を 27%以上
高めることを目指している。
気候行動の EU の政策分野への取り込みはますます進んでおり、総額 9,600 億ユー
ロの 2014 年~2020 年の EU 予算の 20%以上が気候変動に関連する行動に支出される。
Photo credit: cookelma | iStock
EU の開発政策も、途上国における 2014 年から 2020 年までの気候関連支出として推計 140 億ユーロを拠出し、この全
体的な取り組みに貢献する予定だ。これは、気候変動や防災に直接関係する計画のみならず、エネルギーや農業など、
EU のパートナー国が指定した他の優先的協力分野に気候変動を完全に統合することで達成される。
国際的レベルにおいては、EU は 2015 年 12 月にまとめられ、2020 年に発効する予定の新たな地球規模の気候合意に
向けた国際交渉の最前線に立っている。
環境
ここ数十年来、EU は幅広い環境関連法体系を構築してきた。その結果、大気・
水・土壌の汚染は大幅に減少した。化学品に関する法制は近代化され、多くの危
険もしくは有害な物質の使用は規制されてきた。
しかしながら、今なお多くの課題が残されており、これらに対しては体系化され
た方法で対応しなければならない。
第 7 次環境行動計画(EAP)は、欧州の 2020 年までの環境政策の指針である。さ
らに、長期的な方向性を打ち出すため、同行動計画では 2050 年までに EU が環境
的側面においてどのような社会になっているべきかを示す、以下のビジョンを提
示している。
「我々は、2050 年には地球の生態学的限界内で、豊かな暮らしを享受している。我々の繁栄と健全な環境は、何も無
駄遣いされず、天然資源が持続可能な形で管理され、生物多様性が社会のレジリアンスを高めるような形で保護され、
尊重され、回復されるような革新的な循環型経済によってもたらされる。我々の低炭素成長は長らく資源の利用から
切り離され、安全かつ持続可能な地球社会の最先端を行っている」
EAP は、3 つの主要目的を通じて実施される。

EU の自然資本を保護・保全・増強する

EU を資源効率の高い、環境重視型の競争力ある低炭素経済にする

EU 市民を、環境に関する圧力や健康・福利への脅威から守る(例として、洪水指令などを通じて)
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第 3 回国連防災世界会議
国際協力と開発
EU の開発協力は、防災に関するさまざまなプログラムを支援している。
アフリカ・カリブ海・太平洋地域(ACP)諸国間協力は、自然災害による既存およ
び新たなリスクに対処するために 2008 年以降 1 億 8,000 万ユーロを支出してきた。
これは、アフリカ連合、アフリカ開発銀行、カリブ災害緊急管理機関、カリブ開発
銀行、太平洋共同体、世界銀行の防災グローバル・ファシリティおよび国連国際防
災戦略事務局など、防災に取り組む主要な関係者と協働することで可能であった。
防災や気候変動対応のための政策・法的枠組み、リスク確認、リスク削減と準備、
リスク資金および耐性ある復興といった分野において、具体的な行動が取られてい
Photo credit:
UNEP Disasters & Conflicts
る。
グローバル気候変動同盟(GCCA)は、2007 年に発足した EU のイニシアチブで、気候変動に対する適応や影響緩和、
主流化、防災、および森林減少・劣化に由来する温室効果ガス排出の削減(REDD)に取り組んでいる。GCCA は既に
ACP および東南アジアの 38 カ国と 8 地域・準地域の 50 ものプログラムを支援すべく、3 億 1,650 万ユーロを提供し
てきている。防災に特化したプログラムは 9 カ国で実施されている。
2009 年以降、開発途上国での防災支援に関する EU 戦略が採択され、欧州委員会は自身の開発協力政策やプログラム
において防災を主流化している。欧州委員会は 2013 年にはレジリアンス行動計画を採択し、EU の対外支援の主要目
的にレジリアンスの向上を掲げ、防災は天災の根本原因への対処の大きな役割を担っている。
緊急時に利用できる宇宙からのデータ
「コペルニクス」は民間が管理する EU の地球観測計画である。コペルニクスは、
環境保護と市民保護・市民安全保障努力の支援のために地球を観測しており、国際
的イニシアチブも促進している。コペルニクスは危機管理、大気観測、海洋環境観
測、陸域観測、気候変動および安全保障という 6 つのサービスを提供している。コ
ペルニクスの宇宙部門は、センチネルと呼ばれる 24 基の衛星で構成されており、
2014 年 4 月に打ち上げられたセンチネル 1-A のデータは、既に危機管理サービスに
利用されている。2020 年末までにセンチネル 8 基、2040 年までには 24 基が軌道に
乗り、コペルニクス計画が必要とするデータのほとんどを提供する予定である。
Photo credit:
ECHO/Viktorija Jeras
コペルニクス危機管理サービス(EMS)は、2012 年 4 月より機能している。自然災
害、人為的緊急事態および人道的危機に対応する危機管理官、市民保護当局関係者や人道支援関係者のほか、危機へ
の備えや復興に携わる関係者も支えている。EU が提供するサービスとして、EMS は欧州内の一国で起きた、もしくは
国境をまたぐ災害、および EU 域外の大規模災害への対応を最優先にしている。このサービスは地図製作と早期警報
の 2 つの主要部門で構成される。コペルニクスの EMS 地図製作サービスは、危機時の高速地図作成サービスを 365 日、
24 時間提供している。同サービスはまた、予防、備え、防災および復興活動を支援するため、危機発生前もしくは終
息後の状況に対応したリスク・復興地図作成サービスも提供している。さらに、早期警報に関しては、EMS は洪水や
森林火災に絡む警報やリスク評価データを提供している。
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第 3 回国連防災世界会議
研究とイノベーション
EU は、1980 年代後半より、自然災害の分野において多国間また学際的な研究とイノベーシ
ョンを支援してきた。主に洪水、干ばつ、土砂災害、雪崩、森林火災、地震および火山噴
火といった気候や地質学的脅威に焦点が置かれた。これまでに EU の研究とイノベーション
は、災害やリスクの評価向上、予測と監視、管理と影響緩和および危機管理のための手法
や技術の開発に貢献してきた。こうして開発されたさまざまなツールは、リスク軽減連鎖
全体に対応しており、あらゆるレベルでの意思決定を支えることのできる強靭な枠組みの
中に統合されている。さらに、科学技術の関連分野の発展を導くべく、革新的な研究イン
フラも開発された。
2014 年から 2020 年までの EU の研究とイノベーションのための枠組み計画である「ホライ
ズン 2020」は、革新的で系統だったリスク軽減ソリューションの開発などを促進する。全
体としての目標は、経済的・環境的・社会的目標に対応しながら、自然災害に対する社会
や生態系のレジリエンスの強化である。
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Photo credit: Galló Gustav