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5.5 水質(水の濁り)
1.調査の手法
(1)調査項目
a.現地調査
①
河川水
一般項目
:6項目(気温、水温、色度、臭気、透視度、電気伝導度)
生活環境項目:2項目(水素イオン濃度、浮遊物質量)
(2)調査地域
調査地域は、対象事業の工事の実施による水質が環境に影響を及ぼすと予想され
る地域とした。
(3)調査方法
調査は、現地調査による。調査方法は、以下に示すとおりとする。
a.水質の状況
①
調査地点
対象事業の工事の内容を勘案し、調査地域の範囲内において水質の状況を的
確に把握できる地点として、千束川の工事排水合流点下流(千束川 御所舟橋)
及び千束川の赤淵川合流前(千束川 桑崎橋)の2地点とした。
現地調査地点位置は、図 5-5-1 に示すとおりとした。
②
調査期間等
平常時は千束川の河川水がほとんどないため、河川水の流れがある時(降雨
時等)とした。
③
測定方法
測定方法を表 5-5-1 に示す。
表 5-5-1 測定方法(水質
調査項目
一般項目
生活環境項目
河川水)
調査方法
1
気温
JIS K 0102 7.1
2
水温
JIS K 0102 7.2
3
色度
JIS K 0102 11
4
臭気
JIS K 0102 10.1
5
透視度
JIS K 0102 9
6
電気伝導率
JIS K 0102 13
1
水素イオン濃度
JIS K 0102 13
2
浮遊物質量
JIS K 0102 12.1
5-5-1
滝 川
千束川
赤淵川
花沢川
東
凡
沢
例
N
事業実施位置
普通河川
準用河川
一級河川
◆
0
調査地点
千束川(御所舟橋、工事排水合流点下流)
調査地点
千束川(桑崎橋、赤淵川合流前)
0.3
0.6km
1:15,000
図 5-5-1 水質の現地調査地点
5-5-2
2.調査結果
調査結果を表 5-5-2 に示す。
表 5-5-2 調査結果(水質 水の濁り)
項
目
工事排水合流点下流
赤淵川合流前
千束川
千束川
赤淵川
御所舟橋
桑崎橋
東橋
単位
試料採取日
―
平成 25 年 9 月 2 日
平成 25 年 9 月 2 日
平成 25 年 9 月 2 日
試料採取時刻
―
16:00
16:20
16:10
気
温
℃
23.5
24.7
24.0
水
温
℃
23.1
23.4
22.1
色
度
度
20 以上
20 以上
―
臭
気
―
土臭
土臭
なし
透視度
度
4
3
50 以上
電気伝導度
mS/m
4.3
22
―
pH
―
7.6
7.6
―
SS
mg/L
230
230
―
3.予測の手法
(1)予測項目
建屋工事等で発生した濁水による水質への影響とした。
(2)予測地域及び予測地点
調査地域のうち、環境影響を受けるおそれがあると認められる地域及び環境影響
を的確に把握できる地点として、表 5-5-3 に示すとおりとする。
(3)予測対象時期
造成及び建屋工事等の時期で、対象事業に係る水質の状況を的確に把握できる時
期等とした。
5-5-3
(4)予測方法
予測の方法は、表 5-5-3 に示すとおりとする。
表 5-5-3 予測の手法(水質)
影響要因
工
事
の
実
施
造成等
の施工
による
一時的
な影響
建屋工
事等に
よる建
設機械
の稼動
予測項目
予測方法
予測対象時期
予測地域・地点
建屋工事等
で発生した
濁水による
水質への影
響
コンクリー
ト工事施工
時のアルカ
リ性排水に
よる水質へ
の影響
既存事例、類似事例等
に基づき、濁水に対す
る保全対策を踏まえ、
水質 への影響の 程度
を定性的に予測した。
造成及び建屋工
事等の時期で、対
象事業に係る水
質の状況を的確
に把握できる時
期等
調査地域のうち、環
境影響を受けるおそ
れがあると認められ
る地域及び環境影響
を的確に把握できる
地点
4.予測結果
(1)工事の実施
a.造成等の施工による一時的な影響
工事にあたっては、土砂流出を防止するため沈砂槽の設置等、環境の保全のた
めの措置を実施する計画である。特に濁水の発生が予想される激しい降雨時には、
シート等により裸地を被覆し、濁水の発生を防止する。
これらの方法により、工事の実施時の土砂流出は最小限に抑えられるため、放
流先水路に対して与える影響は極めて少ないものと予測される。
b.建屋工事等による建設機械の稼動
コンクリート工事施工時等の際に発生する排水は、必要に応じてpHを調整し
て放流する。
これにより、工事時のアルカリ性排水の影響は最小限に抑えられることから、
放流先水路に対して与える影響は極めて少ないものと予測される。
5.評価
(1)評価の手法
水質の影響が、事業者の実行可能な範囲でできる限り回避または低減されている
ものであるか否かについて見解を明らかにし、かつ、国、県等による環境の保全の
観点からの施策によって基準又は目標が示されている場合は、予測結果との間に整
合が図られているか評価した。
環境保全目標は、「周辺地域における生活環境に影響を及ぼさないこと」とした。
5-5-4
(2)環境の保全のための措置
水質への影響を低減させるため、環境の保全のための措置として以下の事項を実
施する。
a.工事の実施
①
造成等の施工による一時的な影響
・降雨時に発生する濁水は沈砂槽で滞留させ、自然沈降後の上澄水を放流する。
・造成範囲(改変区域)外の雨水等が沈砂槽に流入することがないよう、側溝や
土嚢などを設置して、造成範囲内の雨水と分離する。
・造成範囲内の雨水は仮設ポンプを用いるなどにより適切に沈砂槽へ導水し、造
成範囲外の雨水は、必要に応じて浸透ます等により適切に処理する。
・特に濁水の発生が予想される激しい降雨時には、シート等による裸地の被覆
(ビニールシート工事)を実施し、濁水の発生を防止する。
② 建屋工事等による建設機械の稼動
・建設地全面に砕石を敷き、雨天時に泥状になるのを防ぐ。
・雨水、湧水及び汚濁水(工事車両のタイヤ洗浄水)は新設する沈砂槽で処理し
た後に放流する。なお、沈砂池の最大容量は 200tとする。
(負担敷地面積×20mm)
・pHはコンクリート工事施工後に作業員による計測を数回実施する。SSは定
期的に作業員または自動警報機器で測定する。排水処理の流れは図 5-5-2 に示
すとおりである。
・計量槽における計測結果が自主管理値の範囲内であればそのまま放流する。範
囲外であれば凝集剤及び中和剤を直接投入(または排水処理機を使用)し、再
確認後に放流する。自主管理値は表 5-5-4 に示すとおりである。なお、当該施
設は 50m3/日未満のため、特定施設の法的規制は受けない。
沈砂槽
(荒砂沈殿)
原水槽
計量槽
(ノッチタンク)
(pH・SS測定)
処理槽
放流
図 5-5-2 排水処理の流れ
5-5-5
表 5-5-4 自主管理値
自主管理値
省令規定
静岡県の上乗せ基準
pH( ― )
5.8~8.6
5.8~8.6
5.8~8.6
SS(mg/L)
80
200
80
注)静岡県の上乗せ基準は、特定施設(既存パルプ工場)が受ける田子の浦水域の基準を示す。なお、本施設は規制対
象外のため、上記上乗せ基準は適用されない。
(3)評価の結果
a.造成等の施工による一時的な影響
①
環境への負荷の回避又は低減に係る評価
降雨時に発生する濁水は、沈砂槽を設置し滞留させ、自然沈降後の上澄み水
を放流するなどの環境の保全のための措置を講じることから、工事の実施時の
土砂流出による影響は低減される。
b.建屋工事等による建設機械の稼動
①
環境への負荷の回避又は低減に係る評価
コンクリート工事施工時等の際に発生する排水は、必要に応じてpHを調整
して放流する。これにより、工事時のアルカリ性排水の流出による影響は回避・
低減される。
5-5-6