CIO Monthly Letter

CIO Monthly Letter
Chief Investment Office WM | 2015年2月26日
オルタナティブ投資、
もう一つのルート
„„流動性の高い上場資産から構成される分散ポートフォリオを長期間保
有することは、投資を適切な方向に維持する上で重要な方針の一つで
ある。
Mark Haefele
Global Chief Investment Officer
Wealth Management
„„各国の中央銀行が最近実施した様々な緩和策は、我々の分散ポートフ
ォリオをしっかりと支えるはずである。
„„しかし、金利が低下する環境下の投資で成果を上げようとするなら、状
況の変化に合わせて投資手法を適応させる必要がある。
„„1月に恒例の世界の投資家訪問を行った際には、オルタナティブ投資に
ついてこれまでになく多くの質問を受けた。
先月のCIOレター「凍った路面を進む」を発行後、様々な運転上のアドバイスをい
ただき感謝している。最も優秀なドライバーの皆さんからは、滑りやすい路面では
アクセルを調整するのが得策と言われた。ブレーキではなくアクセルの方が車を
制御できるとは直感に反するかもしれないが、これは、金利がマイナスとなって中
央銀行が名目成長率を焚きつけるのが困難な、いわば状況が反転してしまった今
の投資の世界にはうまい例えである。
各国の中央銀行は、マイナス金利と最も望まれるインフレの狭間で、我々がポート
フォリオに一定のアクセルを踏まないと後退しかねない状況を作り出した。
毎月のレターでお伝えしているように、流動性の高い上場資産から構成される分
散ポートフォリオを長期間保有することは、投資を適切な方向に維持する上で重
要な方針の一つである。しかし、例年通り、今年1月に世界の投資家を訪問した際
には、オルタナティブ投資(代替投資)についてかつてないほど多くの質問を受け
たので、今月のレターの主題を「オルタナティブ投資」とすることにした。
各国の中央銀行が最近実施した様々な緩和策は、我々の分散ポートフォリオをし
っかりと支えるはずである。原油価格の暴落からユーロの大幅下落まで、2015年
の年初からこれまでの間に様々なイベントが発生したが、こうしたリスクからポート
フォリオを守るには、分散がとりわけ有効であることがはっきりした。米国が3ヶ月
で雇用を100万人増加し、ユーロ圏の国内総生産(GDP)成長率の伸びも予想を
上回るなど、先進国の経済成長率は相変わらず好調である。
ab
本書はUBS AGによって作成されました。巻末の重要免責条項と開示事項をご覧ください。過去のパフォーマンスは将
来のパフォーマンスを示すものではありません。本書に記載される市場価格は各主要証券取引所の終値です。これ
は本書に記載のすべてのパフォーマンスの図表および表に適用されます。
CIO Monthly Letter 2015年3月
>> 流動性が低下すると
高リターンを実現しやすい
>> 投資期間を長くすることで
行動上のバイアスを回避
する
>> オルタナティブ投資は
他の資産クラスからの
分散投資の機会を提供
する
金利が低下して短期的なリターンが上昇しているが、勘違いしてはならないのは、
これは将来のリターンをある程度犠牲にして実現しているという点だ。金利が低下
する環境下の投資で成果を上げようとするのなら、状況の変化に合わせて投資手
法を適応させる必要がある。実際、我々は最近の戦略的(長期的)資産配分の調
整でこれを実施した。オルタナティブ投資への配分を引き上げたのである。
オルタナティブを選ぶべき理由
個人投資家の皆さんはオルタナティブ商品に投資すべきだ。そう私が考える第1の
理由は一部の投資家がオルタナティブに投資すべきではない理由と全く同じであ
る。それは非流動性(非換金性)だ。低金利環境の世界では、多くのオルタナティ
ブ資産クラスが提供する非流動性プレミアムは、自分の資産の一部を頻繁に動か
す必要のない投資家には投資上強力な優位性となる。最近の学術論文
(Ibbotson, 2012)によると、米国株式市場で最も流動性の低い下位25%の1972
年から2011年の平均リターンは16.4%で、最も流動性の高い銘柄群が11.0%、
市場全体では14.5%だった。同様に、米国プライベート・エクイティ・グロース・キャ
ピタル・ファンド(企業の成長段階、資本構成・事業特性に応じて企業に出資する
PEファンド)に10年前に投資し現在まで運用した場合の平均年率リターンは、株式
指数よりも5%近く高い。
年率5%の非流動性プレミアムは、どのような状況下でもかなり魅力的である。そ
れが現在のような低金利環境となって、必要不可欠なものとなった。バランス運用
のポートフォリオは幅広い性質の資産で構成される必要がある。「幅広い性質」に
は当然「異なる水準の流動性」も含まれるべきなのだ。
第2に、投資期間を長くすると、最も洗練された投資家でさえ陥りやすい行動上の
バイアスをある程度防ぐことができる。ダルバー(米国ボストンに拠点を置く金融サ
ービス調査会社)の調査によると、2013年の「行動ギャップ」は4.2%だった。「行
動ギャップ」とは、一つの戦略を守ることなく高値をつかみ、底値で売ってしまうこと
で平均的な投資信託の投資家が失うパフォーマンスを意味するが、流動性の低い
投資ではこの誘惑が大幅に低下する。
オルタナティブ投資を検討すべき3番目の理由は、株と債券のような伝統的資産ク
ラス運用からの分散を図れるからだ。相関性が低いので、オルタナティブの保有
比率を増やせば、リターンを犠牲にすることなくポートフォリオのリスク全体を低下
できる確率が高まるのである。例えば、株式42%、債券40%、オルタナティブ18%
のポートフォリオを組むと、株式48%、債券52%と同じリターンを低リスクで実現で
きる計算になる(図表1を参照)。
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>> 債券と株式という簡易な
組み合わせの期待
リターンは5.5%、期待
ボラティリティは8.1%、
分散ポートフォリオの
期待リターンは5.6%、
期待ボラティリティは
7.7%である
18
48
42
52
40
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不動産
ほとんどの人々にとって、最初の家を購入する時がオルタナティブ投資の初体験
となる。しかし、不動産投資には、単に自分の住居を持つ以上の意味があること
は明らかだ。
>> 不動産は、利回りと実物
資産を物色するここ数年
のトレンドの恩恵を主に
受けている
不動産は、利回りと実物資産を物色するここ数年のトレンドの恩恵を主に受けて
いる。例えば、米国商業用不動産の価格は金融危機の際の底値から44%上昇
し、今や金融危機前の最高値よりも2%高い。香港、ニューヨーク、ロンドンをはじ
めとする主要都市の高級オフィス物件の利回りは4%未満で、これは2008年のお
よそ6%を下回る。
しかし、選択眼の厳しい投資家から見れば価値ある物件を探せる余地はある。電
子商取引の隆盛は小売店舗の所有者にとって痛手ではあるが、物流施設や工業
用地への需要を拡大させている。超一流の巨大都市以外にも高い価値を提供で
きる地域が見つかるかもしれない。 不動産はインフレに対する比較的優れたヘッジ手段にもなる。長期的に見れば、
所有者はインフレ率に連動した賃貸収入を期待できるからだ。 >> 我々の試算では、ビルの
ポートフォリオは、国債に
対しておよそ250ベーシス・
ポイント(bp)のプレミアム
を提供できる
>> ヘッジファンドは、
最近はかつての光彩を
放っていない
>> しかし、ボラティリティを
考慮したリターンで見ると、
ヘッジファンドはポート
フォリオに分散された
リターンを追加してきた
我々の試算では、ビルのポートフォリオは、国債に対しておよそ250ベーシス・ポイ
ント(bp)のプレミアムを提供できるので、流動性の低い資産を含む戦略的資産配
分の中で不動産をおよそ5%保有すべきだと考える。このもう一つの利点を利用す
るために、我々は株式市場の変動の影響を受けやすい不動産関連の上場株式以
外にも目を向けるべきである。
ヘッジファンド
私は自分のキャリアの多くをヘッジファンド業界で培ってきたが、ここ数年のヘッジ
ファンドの大半はかつての光彩を放っていない。ヘッジファンドの広範なインデック
スはこの1年でわずか3.0%しか上昇していないのだ。
しかし、ボラティリティ(変動率)を考慮したリターンで見ると、ヘッジファンドはポー
トフォリオに分散されたリターンを追加してきた。ヘッジファンドのバランス型ポート
フォリオは、過去10年で年平均5.2%のリターン(手数料控除後)を実現してきた。
昨年ですら、リターン3.0%に対しボラティリティはわずか3.2%だったので、絶対リ
ターンをボラティリティで除したリスク調整後パフォーマンスは(0.9倍)と比較的良
好だった。これに対し株式は0.6倍と低く、国債は2.0倍と高いが、国債のパフォー
マンスは今後数四半期のうちに著しく低下するだろう。
ᅗ⾲2:䝦䝑䝆䝣䜯䞁䝗䜈䛾㈨⏘㓄ศ䜢ቑ䜔䛩䛣䛸䛷䚸ᖺ⋡㻠䡚6%䛾ᮇᚅ䝸䝍䞊䞁䜢┠ᣦ䛩
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>> オルタナティブは、分散
ポートフォリオの重要な
一角を占めている
38
5
27
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5
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リターン自体がかなり低いので、リスク調整後のリターンを見るのはあまり意味が
ないことは承知している。しかし、今日のような低金利環境ではあらゆる金融資産
のリターンが低下すると思われるため、不動産と同様、相対的にはヘッジファンド
の魅力が次第に高まっているように見える。 我々は最近、長期にわたって推奨してきたヘッジファンド・ポートフォリオへの資産
配分を、これまでの12~15%から14~18%へと引き上げた。景気の全サイクルを
通じた期待リターンは年率4~6%である(図表2を参照)。
>> レバレッジド・バイアウト・
ファンドへの投資は
同様の上場インデックス
を726bp上回った
プライベート市場
私のこれまでのキャリアで最も利益の高かった投資として、プライベート市場(非
上場の株式、債券、不動産など非流動的な投資機会全般)への投資が挙げられ
る。しかしこの資産クラスで成果を上げるには、相応のリスクを取り、低い流動性
に耐え、長期投資を覚悟しなければならない。投資顧問会社ケンブリッジ・アソシ
エイツの追跡しているファンドで測定したところ、米国グロース・キャピタル・ファンド
の株式市場インデックスに対する過去10年間の平均超過リターンは年率819bpだ
った。一方、レバレッジド・バイアウト・ファンドへの投資は同様の上場インデックス
を726bp上回った。ケンブリッジ・アソシエイツは最も優れた最大規模のファンドを
選んでいることが多いため、これらのリターンはプライベート市場のパフォーマンス
を実態よりもよく見せているかもしれない。しかし、データは実際の投資リターンに
基づくもので、トップ・マネージャーによって達成された結果をよく反映している。
私が話した超富裕層顧客は不動産、ヘッジファンド、プライベート・エクイティへの
配分を増やしているが、これは最も興味深い長期投資テーマから恩恵を受けるた
め、というのも理由の一つである。例えば、世界では高齢化が急速に進んでい
る。80歳を超える人の数は、2015年の1億2,400万人から2030年には1億9,200
万人に増加すると予想されている。今後は、高齢者の生活の質向上に重点を置い
たビジネスが増えていくはずだ。その他にも、巨大都市の勃興、データ・ストレー
ジ、あるいはタンパク質の消費拡大といったビジネスも広がりそうで、我々はすで
にこうした分野において興味深い調査を行っている。
金は素晴らしいのか?
長い投資の歴史の中で、金はオルタナティブ投資商品として見られてきた。これま
で私が行った最も素晴らしい金投資は妻への結婚指輪であるが、問題は、他の投
資可能資産と比べて金はどの程度価値があるのか?という点である。客観的に言
うと、金はキャッシュフローをもたらさないし、明白なリスク・プレミアムもないうえ、
ここ数年はリスク調整後のボラティリティは債券や株式をはるかに上回っている。
ᅗ⾲3:⡿ᅜ䛾฼ୖ䛢ほ 䛿㔠౯᱁䛻䛿ᝏᮦᩱ
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1.2
1.0
>> 金利が上昇すると金の
パフォーマンスは悪化
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0.2
0
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戦術的ベースで見ても、金価格の見通しは芳しくない。米国で、金を保有する「機
会費用」としての認識が一般化している10年国債利回りは、今後12ヶ月で2.4%ま
で上昇すると我々は予想している。過去20年の平均を見ると、米国債利回りが上
昇した時には金のリターンは0.2%、米国債利回りが低下した時には1.1%となっ
ている(図表3を参照)。
>> 金のリスク調整後
リターンが良くないため、
現時点では戦略的資産
配分ポートフォリオに
金を保有しない
私は金について重要な点を見落としているとの指摘をよく受ける。たとえ何が起こ
ろうと、顧客はUBSの金庫に保有している金地金を担保に資金を得ることができる
のだから、ほかの人々がパニックに陥っているときに従業員に賃金を支払ったり、
物を買えたりできるではないか、というのである。しかし金のこうした保険的機能は
常に投資と同一視できるわけではない。金のリスク調整後リターンが良くないた
め、我々は現時点では戦略的資産配分ポートフォリオに金を保有しない。
サステナブル(持続可能な)投資
最近「インパクト投資」、すなわち社会や環境に及ぼす影響を考慮した投資につい
ての関心が高まっている。今月のレターはこのトレンドを紹介して締めくくることに
する。以前、インパクト投資は、疾病の防止や犯罪行為の減少といった社会的目
的を果たすための投資のニッチ分野であった。ところが、先進主要8ヶ国(G8)や
世界経済フォーラムの報告によって、インパクト投資の重要性がここに来て脚光を
浴び始めている。このサステナブル投資を実現するために我々が選好するのは、
社会的利益を高めながら大きな金融上の成果も上げられる投資商品を追求する
アプローチである。
例えば、私の同僚たちは画期的な腫瘍治療に関する調査レポートをまとめた。こ
のテーマへの投資は、様々ながんの治療方法の発見に貢献しながら、力強いリタ
ーンも約束してくれる。またアフリカでは発電と水供給のニーズが急速に高まって
いる。リターンを期待できると同時に社会的な利益にもかなう投資テーマとして、我
々はこうした分野に注目している。
戦術的資産配分
市場が比較的落ち着いている月は、長期的に投資を検討する良い機会である。も
ちろん、我々は戦術的(短期的)な投資機会をもう探していないというわけではな
い。
>> 今はユーロ圏への
エクスポージャーの
増加を検討すべき
絶好のタイミング
今はユーロ圏へのエクスポージャーの増加を検討すべき絶好のタイミングだと判
断し、ユーロ圏株式のオーバーウェイト幅を拡大し、ユーロ圏のハイイールド社債
のオーバーウェイトを開始する。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和プログラムは、
投資家が高リスク資産を積極的に物色する強い動機づけとなっており、景気指標
も事前予想を上回る勢いで改善している。ギリシャ問題はまだ解決していないが、
最近の金融支援延長の合意は短期的には市場に安心感をもたらしており、今後
数ヶ月のうちに何らかの妥協点が見つかり、ギリシャはユーロ圏にとどまることに
なると我々はみている。
>> スイス・フランに
対する英ポンドの
オーバーウェイト・
ポジションを除外する
通貨では、スイス国立銀行(SNB)によるスイス・フランの対ユーロでの上限撤廃を
受けて、英ポンド(GBP)は対スイス・フラン(CHF)でいったん暴落してその後16%
上昇し、現在は2014年の平均値に近づいている。そこでスイス・フランに対する英
ポンドのオーバーウェイト・ポジションを除外する。イングランド銀行は今年中に利
上げに踏み切ることが予想されるため、中期的には英ポンドへの強気の見方を維
持するが、英国は5月に総選挙を控え、短期的には潜在リスクが高いと判断する。
一方、対ユーロでの米ドルのオーバーウェイトは継続する。米ドル建て資産の相
対利回りが高いため、今後も米ドル建て資産への資金流入が予想されるからだ。
一例を挙げると、ユーロ圏で米10年国債と同じ利回りを得るためには、投資家は
ポルトガル10年国債を保有する必要がある。
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最後に、新興国債券のポジションを調整する。新興国の米ドル建てソブリン債をニ
ュートラルに引き上げるが、新興国の米ドル建て社債のアンダーウェイト幅を拡大
する。
結論
「CIO Year Ahead 2015(CIOの年次見通し、2015年版)」で、我々は今年の主要テ
ーマとして「分岐する世界」を掲げた。分岐が進めば資産価格のリターンにも格差
が生じ、市場のボラティリティも高まるだろう。一方、キャッシュは僅かな(場合によ
ってはマイナスの)実質リターンしか生み出さないため、投資を続けなければなら
ない。大半の投資家のポートフォリオは、圧倒的に流動性の高い上場資産で占め
られているが、過去のどの時代と比べても、現在ほどオルタナティブ投資を検討対
象に加えるのに絶好のタイミングはないだろう。
Mark Haefele
Global Chief Investment Officer
Wealth Management
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UBS Chief Investment Office WMの投資見解は、UBS AG(スイスのFINMAの管轄下にある「UBS」)のウェルス・マネジメント&リテール&コーポレートおよびウェルス・マネジメント・アメリ
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vecchio politecnico 3 – Milanoの顧客に配布されます。UBS (Italia)S.p.A は、本レポート、およびそれにに記載されている投資調査および財務分析には、関与していません。ジャージー:
UBS AG Jersey支店は、銀行業務、投信及び投資業務について Jersey Financial Services Commissionの監督と承認を受けています。ルクセンブルク:本レポートは、ルクセンブルグ法に
言う募集・売出しを意図して作成されたものではありませんが、Commission de surveillance du Secteur Financier(CSSF)の監督下で規制対象銀行となっているUBS (Luxembourg) S.A.の
顧客に対する情報提供を目的として交付する可能性があります。かかる出版物についてはCSSFの承認取得のための申請は行われておりません。メキシコ:本レポートはUBS
Asesores
México, S.A. de C.V.により配布されたもので、同社はNational Banking and Securities Commission of Mexicoの監督下にはなく、UBS Grupo Financiero, S.A. de C.V. またはその他
メキシコのいかなる金融グループにも属しておらず、その債務はいかなる第三者によっても保証されていません。また、UBS Asesores México, S.A. de C.V.はいかなる種類の利益も保証
するものではありません。オランダ:本出版物は、オランダ法に基づく募集・勧誘を意図して作成されたものではありませんが、“De Nederlansche Bank” (DNB) and “Autoriteit Financiële
Markten” (AFM)管轄下にあるUBS Bank (Netherlands) B.Vのお客様に対する情報提供を目的として交付される可能性があり、承認を目的として提出されません。ニュージーランド:本レ
ポートは、UBS Wealth Management Australia Limited(住所:ABN 50 005 311 937 (オーストラリア金融サービス登録番号231127), Chifley Tower, 2 Chifley Square, Sydney, New
South Wales, NSW 2000)に登録しているお客様に配布されます。現在お客様がUBSの発行物または資料を配布されているのは、お客様がニュージーランド在住のホールセール投資家・
適格投資家(「公認顧客」)として証明されていることをUBSに示しているからです。本発行物または資料は「公認顧客」以外のお客様(「非公認顧客」)を対象から外しておりますので、もし
お客様が「非公認顧客」の場合、本発行物または資料に依存すべきではありません。本警告にもかかわらず、お客様が本発行物または資料に依存した場合には、お客様は、(i)本発行
物または資料の記載内容に依存してはならないこと、本発行物または資料にある推奨または意見を提供される対象外であることを認め、(ii)法律で認められている最大限の範囲におい
て、(a)本発行物または資料への許可なき依存に起因してUBS, UBSの関連会社および関連団体(それぞれの取締役、役員、代理人、顧問(それぞれの「関係者」)が被るすべての損失、
損害賠償、クレームを補償しなければならず、(b)本発行物または資料への許可なき依存に起因してお客様が被る可能性のあるすべての損失、損害賠償、クレームについて、「関係者」
に対する権利と賠償を放棄するものとします。サウジアラビア:本発行物は、登記した事務所(住所:Tatweer Towers, P.O. Box 75724, Riyadh 11588, Kingdom of Saudi Arabia)を有する
サウジアラビア王国商業登記番号1010257812 の、サウジアラビアにある非公開株式会社、UBS Saudi Arabia(UBS AGの子会社)より承認されています。UBS Saudi Arabiaは、Capital
Market Authority of Saudi Arabiaの認可を受けており、その規制下にあります。シンガポール:本レポート掲載の分析内容、および本レポート自体についてのお問い合わせは、Singapore
Financial Advisers Act (Cap. 110)の適用免除を受けるファイナンシャル・アドバイザーで、Singapore Banking Act (Cap. 19)の銀行免許(ホールセールバンキング)を受け、Monetary
Authority of Singapore(MAS)の管轄下にあるUBS AG Singapore支店にご連絡ください。スペイン:本レポートは、スペイン銀行に登録されたUBS España, S.A.により、UBS España, S.A.の
顧客に配布されます。台湾:本書は、UBS Securities Pte. Ltd. Taipei Branchの(適格な)顧客に配布されます。本書はUBS Securities Pte. Ltd. Taipei Branchの関係会社によって適宜編
集され、もしくは提供されます。台湾:本資料は、お客様の同意または要望に応じて、ROC(中華民国)の法律に基づいて提供されます。アラブ首長国連邦(UAE):本レポートは、UAEの
法律に規定する株式またはその他の有価証券の売買または売買に関する勧誘を意図していません。本レポートの内容は、UAE Central Bank、Emirates Securities and Commodities
Authority、Dubai Financial Market、Abu Dhabi Securities market等の証券取引所、その他関連当局による承認は得ておらず、今後も承認を得る予定はありません。英国:本レポートは、
スイスの金融市場監督庁に権限を与えられ、ロンドン証券取引所の会員であるUBS AGより承認されます。英国では、UBS AGはプルーデンス規制機構に権限を与えられ、金融行動監督
機構による規制およびプルーデンス規制機構によって限定された規制に従います。プルーデンス規制機構による規制範囲の詳細については請求すれば入手できます。本レポートは、英
国内のUBS Londonの個人顧客に配布されます。商品、またはサービスが英国外から提供される場合、英国の規制、Financial Services Compensation Schemeによるカバー対象となりま
せん。米国:本文書は米国または米国人への配布を意図したものではありません。UBSセキュリティーズLLCはUBS AGの子会社であり、UBSフィナンシャル・サービシーズ・インクの関連会
社です。UBSフィナンシャル・サービシーズ・インクはUBS AGの子会社です。
2014年11月版。
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UBS CIO WM 2015年3月
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