横岫沢砂防堰堤用地調査等業務における安全対策について

横岫沢砂防堰堤用地調査等業務における安全対策について
発注者 新庄河川事務所
施工者 株式会社寒河江測量設計事務所
工事名 横岫沢砂防堰堤用地調査等業務
発表者 ○主任担当者 安孫子文剛
担当技術者 松田 健一
担当技術者 髙橋 正雄
1.はじめに
本業務は、新庄河川事務所管内の寒河江川流域横岫沢流域に於いて、砂防施設建設の事業用地と
して必要となる土地を取得するための用地調査、物件等調査算定を行うものであり、その他に岩菅
沢第七砂防堰堤における事業用地として必要となる土地を取得、借用するための用地調査、物件等
算定を行うものでありました。
なお、横岫沢砂防堰堤においては用地調査について地元との調整や要
望の聞取り、貸付資料権利者の整理と相続者の確定が複雑であったため
権利者の整理に想定外の時間を要し、用地調査現場作業は行っていなか
ったため、現場調査業務を行った岩菅沢第 7 砂防堰堤の測量調査におけ
る安全対策について報告するものです。
2.安全対策の事前調査、安全管理基準の設定
図 1:作業対象地
作業実施にあたって、あらかじめ現場状況(地形等)
、交通状況、季節
等の気象条件等の事前調査を行いました。作業員の配置と作業工程の確
認、作業内容等の条件を検討し、安全な計画を策定するためです。
①現場状況について
現場は、湯殿山スキー場に隣接する砂防堰堤工事に伴う法枠工施工箇
所の追加買収等に伴う用地調査を行うものであり、作業対象箇所(図 1)
図 2:安全対策(スパイク靴)
は急峻な地形となるため、滑落等の危険性を伴いました。
作業においては足元の確保と転落転倒防止に努めました。歩行は滑り
止め用が付いたスパイク靴(図 2)の着用を行い、急傾斜地は迂回をし、
斜面移動は立木のみに頼らない様にしました。また、山間部において熊
に出会わない様に熊鈴(図 3)の着用を行いました。
図 3:安全対策(熊鈴)
②交通状況について
現場までは国道 112 号を通り湯殿山スキー場方面へ 5 分ほど山道を通
り到着します。
山道の運転は落石、路肩決壊等に注意しスピードを控えた運転としま
した。駐車中は他の車両の通行の妨げにならないような場所を選び「測
量作業中」の表示(図 4)を行いました。
図 4:車両表示
③気象条件について
11 月であったため現場において降雪が予想され、季節柄落ち葉も散乱している状況でした。降雪
時の現場作業は細心の注意を払い、積雪箇所の踏み抜きや落ち葉による滑落がない様に注意し、ス
パイク長靴の着用を実施しました。
3.作業前ミーティング実施
業務開始前会議(図 5)に現地踏査や事前調査における作業内容、工程
説明の他、現地における安全対策の事前確認を実施しました。当日は作業
前ミーティングを実施し、健康状態の確認と当日作業の確認、作業中に予
測される危険を事前に注意点として作業員に周知させる目的で現場KY
(図 6)を実施しました。同時に作業員全員の
図 5:業務開始前会議
安全意識向上を行い、現場作業における正確な
知識と継続的な安全管理に繋げる目的で実施し
ました。
4.岩菅沢第七砂防堰堤における
安全対策の実施について
事前調査でも述べたとおり、早い時期の降雪
が予想される地区であり、高山地での作業とな
ったため、工程に遅れの無い作業策定と滑落防
止等の安全装備が重要な事項となっていました。
図 6:現場KY(作業手順書)
弊社では作業員一人ひとりにスパイク長靴の支給を行い、山間部作業で着
用を徹底しています。また、足場の確保が困難な場合など必要に応じ安全
ロープ等命綱での固定を行い、移動の際、急傾斜地は迂回するような安全
対策を実施しました。熊に対する安全対策として爆竹の使用と熊鈴やラジ
オを携帯し、こちらの存在を知らせる対策(図 7)を行いました。
作業終了時は携行品や機器の点検を行い、作業班長へ報告と反省ミーテ
図 7:安全装備品
ィングを実施し、改善点がある場合は社内管理者へ報告したうえで情報の
共有を実施しました。帰路は交通規則を守り、安全運転に心掛け帰社しました。
5.おわりに
安全対策を実施した結果、本業務において事故はなく調査を終えることが出来ました。労働災害
はあってはならないもの、起こしてはならないものとして事故の発生を未然に防止し、業務の円滑
な遂行を実施しています。また、他業務においても年次安全計画の策定や情報の共有等を行い、現
場作業の変化や新たなリスクの多様化に対応し、安全対策を進化させながら実施しています。
今後も取り巻く環境は日々進化しており、新たな安全対策が必要になる事があるかもしれません。
常に初心にかえり新たな決意をもって安全対策を重点的な課題と捉え、今後も労働災害防止に努め
てまいりたいと思います。