2号機原子炉建屋大物搬入口屋上部の溜まり水調査結果

2号機原子炉建屋大物搬入口屋上部の溜まり水調査結果
2015年2月27日
東京電力株式会社
福島第一廃炉推進カンパニー
福島第一原子力発電所
1
1.報告概要
排水路を流れる雨水・地下水等については、2014年より濃度測定を行
い、その流域の除染(フェーシング含む)、道路・排水路の清掃を実施
してきている。
除染や清掃等が進捗し、2014年12月頃から排水路排水口の濃度に低
減傾向は見られるものの、K排水路の排水口濃度は、その他の排水路
(A,C,物揚場)に比べ上回っている。
この結果を踏まえ、K排水路へ流れ込む上流部を調査したところ、2号
機原子炉建屋大物搬入口屋上に確認された溜まり水に比較的高い濃度
(例:Cs137で約2万3千Bq/L)の測定結果が得られた。
なお、K排水路排水口の濃度については、2号機原子炉建屋大物搬入口
屋上に比べ低い値(例:Cs137で十~数百Bq/L)が測定されており、
また排水される海域である南放水口付近T-2-1地点の海水について有為
な濃度上昇は認められていない。
2
2.1
排水路の位置図
 排水路の位置図を下記に示す。
物揚場排水路
K排水路
2号機原子炉建屋及び
大物搬入口付近
A排水路
C排水路
:排水口測定地点
:排水路
:側溝
B排水路
3
2.2
建屋屋根面の水質分析結果(2号機原子炉建屋屋上,大物搬入口屋上)
 K排水路に流れ込む枝排水路の上流に位置する建屋屋根面の雨水を調査した。
 建屋屋根は高線量で網羅的な調査は作業被ばくの懸念があったため,雰囲気線量・アクセス性等を考慮
して2R/B屋上・大物搬入口屋上を代表箇所に選定した。
 調査の結果,大物搬入口屋上の雨水で比較的高い放射性物質の濃度を検出している。
【凡例】
採水地点
①
②
③
写真②:2号R/B屋上
⑤
④
枝排水路
K排水路
採水位置図
写真④:大物搬入口屋上
分析結果一覧表
(単位:Bq/L)
No.
水質調査箇所
Cs134
Cs137
全β
Sr90
H-3
採水日
①
2号R/B屋上(北)
200
650
920
10
ND(<100)
H27.1.16
②
2号R/B屋上(中)
340
1,100
1,900
12
ND(<100)
H27.1.16
③
2号R/B屋上(南)
300
990
1,900
20
ND(<100)
H27.1.16
④
大物搬入口屋上
6,400
23,000
52,000
分析中
600
H27.2.19
⑤
大物搬入口竪樋(東)
920
3,200
9,700
分析中
ND(<100)
H27.2.18
4
各排水路の排水口の状況(1/2)
K排水路放射能濃度
70
60
1.0E+03
50
1.0E+02
40
1.0E+01
30
20
1.0E+00
1.0E-01
14/4/16
降雨量(mm/日)
放射能濃度(Bq/L)
1.0E+04
降雨量
Cs-134
Cs-137
全β
H-3
10
0
14/6/16
14/8/16
14/10/16
14/12/16
A排水路放射能濃度
1.0E+04
70
60
1.0E+03
50
1.0E+02
40
1.0E+01
30
20
1.0E+00
1.0E-01
14/4/16
降雨量(mm/日)
放射能濃度(Bq/L)
2.3
降雨量
Cs-134
Cs-137
全β
H-3
10
0
14/6/16
14/8/16
14/10/16
14/12/16
5
各排水路の排水口の状況(2/2)
C排水路放射能濃度
1.0E+04
70
60
50
1.0E+02
40
1.0E+01
30
20
1.0E+00
1.0E-01
14/4/16
降雨量(mm/日)
放射能濃度(Bq/L)
1.0E+03
降雨量
Cs-134
Cs-137
全β
H-3
10
0
14/6/16
14/8/16
14/10/16
14/12/16
物揚場排水路放射能濃度
1.0E+04
70
60
1.0E+03
50
1.0E+02
40
1.0E+01
30
20
1.0E+00
1.0E-01
14/4/16
降雨量(mm/日)
放射能濃度(Bq/L)
2.3
降雨量
Cs-134
Cs-137
全β
H-3
10
0
14/6/16
14/8/16
14/10/16
14/12/16
6
2.4
海水の状況(サンプリングポイント)
海水については、以下の地点において放射能濃度のモニタリングを行っているが、大きな変動は見ら
れていない状況。
港湾口北東側
(T-0-1A)
港湾口南東側
(T-0-3A)
港湾口東側
(T-0-2)
北防波堤北側
(T-0-1)
南防波堤南側
(T-0-3)
5,6号機
放水口北側
(T-1)
南放水口付近
(T-2-1)
6号機
取水口前
6号機 5号機
1号機
1u 2号機
2u
3u
3号機
4号機
4u
シルトフェンス
海側遮水壁
7
2.4
海水の状況(港湾外海水核種分析結果推移:γ核種, 全β, H-3, Sr-90)
港湾内海水核種分析結果推移(γ核種)
(Bq/L)
1.0E+03
Cs-134(検出限界値)
Cs-137(検出限界値)
Cs-134
Cs-137
5,6号機放水口北側(T-1)
1.0E+02
1.0E+01
1.0E+00
1.0E-01
2013/5/6
2013/8/14 2013/11/22 2014/3/2
2014/6/10 2014/9/18 2014/12/27 2015/4/6
港湾内海水核種分析結果推移(全β、H-3、Sr-90)
(Bq/L)
1.0E+04
1.0E+03
1.0E+02
1.0E+01
1.0E+00
1.0E-01
1.0E-02
1.0E-03
全β(検出限界値)
H-3(検出限界値)
Sr-90(検出限界値)
全β
H-3
Sr-90
2013/5/6
(Bq/L)
1.0E+03
Cs-134(検出限界値)
Cs-137(検出限界値)
Cs-134
Cs-137
南放水口付近(T-2-1)
1.0E+04
1.0E+03
1.0E+02
1.0E+01
1.0E+00
1.0E-01
1.0E-02
1.0E-03
1.0E+02
1.0E+01
1.0E+00
1.0E-01
2013/5/6
(Bq/L
1.0E+03
2013/8/14 2013/11/22 2014/3/2
Cs-134(検出限界値)
Cs-137(検出限界値)
Cs-134
Cs-137
港湾口東側(T-0-2)
2013/8/14 2013/11/22 2014/3/2
全β(検出限界値)
H-3(検出限界値)
Sr-90(検出限界値)
全β
H-3
Sr-90
2013/5/6
2014/6/10 2014/9/18 2014/12/27 2015/4/6
(Bq/L
1.0E+04
南放水口付近(T-2-1)
2013/8/14 2013/11/22 2014/3/2
全β(検出限界値)
H-3(検出限界値)
全β
H-3
2014/6/10 2014/9/18 2014/12/27 2015/4/6
2014/6/10 2014/9/18 2014/12/27 2015/4/6
港湾口東側(T-0-2)
1.0E+03
1.0E+02
1.0E+02
1.0E+01
1.0E+01
1.0E+00
1.0E+00
1.0E-01
2013/5/6
(Bq/L)
5,6号機放水口北側(T-1)
1.0E-01
2013/8/14 2013/11/22 2014/3/2
2014/6/10 2014/9/18 2014/12/27 2015/4/6
2013/5/6
2013/8/14 2013/11/22 2014/3/2
2014/6/10 2014/9/18 2014/12/27 2015/4/6
8
3.1
2号機原子炉建屋 大物搬入口屋上部への対策
2号機原子炉建屋 大物搬入口屋上部の雨水の汚染防止対策を実施する
・屋根排水口廻りにゼオライト土嚢を設置する。(準備ができ次第実施予定)
・汚染源と考えられる屋上のルーフブロック、敷き砂等の撤去を実施する。(3月末までに実施予定)
汚染防止対策を実施する範囲
ゼオライト土嚢
2号R/B
排水口
ルーフブロック・砂撤去
ルーフブロック・砂撤去
ゼオライト土嚢
排水口
竪樋
建物
竪樋(東)
ゼオライト土嚢 設置イメージ
A
凡例
ゼオライト土嚢
大物搬入口建屋
ルーフブロック・
砂撤去
竪樋(西)
配置図
A断面図
屋上写真
9
3.2
K排水路主要部への対策(浄化材の設置)
<排水路主要部>
3月末までに設置予定。(2月9日から順次実施)
ゼオライト土嚢を排水路底面部へ敷き詰める
フィルターユニット網
ゼオライト土嚢
【平面図】
10m
ゼオライト土嚢は流出防止のためフィルターユニット網に複数個単位で入れて、網をボルトで固定する。
2m
アイホ ゙ル トM - 1 2 ( 6 ヶ 所 / マッ ト)
フィル ーユ ニッ ト( マッ トタイプ)
フィルターユニット網
【断面図】
ゼオライト土嚢
2/10撮影(K排水路)
10
3.2
K排水路東側枝排水路への対策(浄化材の設置)
 <枝排水路流入部> 3月末までに設置予定
 堰(土嚢)を設置し、モール状吸着材全体が浸るように水位をあげる。
 雨天時には越流するよう、上部は十分に開けておくとともに、流出防止のため、金網等に入れて固定す
る。
 流入部全体の下部を、流量に応じて塞ぐようにモール状吸着材を設置する。
矩形流入部
ヒューム管流入部
土嚢(ゼオライト)
モール状吸着材
柵(グレーチング等)
土嚢
(ゼオライト)
K排水路
モール状吸着材
柵(グレーチング等)
鉄棒
(らせん状に巻き付け)
11
【参考】各排水路の排水口の流量(1/2)
70
0.18
60
0.16
0.14
0.12
40
0.1
30
0.08
0.06
20
降雨量
流量
0.04
10
0
2014/4/16
降雨量
流量
流量(m3/sec)
50
流量(m3/sec)
降雨量(mm/日)
K排水路流量
0.02
0
2014/6/16
2014/8/16
2014/10/16
2014/12/16
降雨量(mm/日)
A排水路流量
70
0.08
60
0.07
0.06
50
0.05
40
0.04
30
0.03
20
0.02
10
0
2014/4/16
0.01
0
2014/6/16
2014/8/16
2014/10/16
2014/12/16
12
【参考】各排水路の排水口の流量(2/2)
70
0.45
60
0.4
0.35
50
0.3
40
0.25
30
0.2
0.15
20
降雨量
流量
0.1
10
0
2014/4/16
流量(m3/sec)
降雨量(mm/日)
C排水路流量
0.05
0
2014/6/16
2014/8/16
2014/10/16
2014/12/16
物揚場排水路流量
70
0.025
0.02
50
40
0.015
30
0.01
20
降雨量
流量
0.005
10
0
14/4/16
流量(m3/sec)
降雨量(mm/日)
60
0
14/6/16
14/8/16
14/10/16
14/12/16
13
4.K排水路の放射能濃度に関する情報発信について
<K排水路の初回サンプリング結果のお知らせ>
●平成25年12月13日にK排水路において高い放射性物質が検出されたことをお知らせ(定例記者会見)
<その後の対応方針、状況のお知らせ>
●特定原子力施設監視・評価検討会等において、排水路の汚染の状況ならびに清掃、除染の方針等をお知らせ
●排水路の清掃や除染の状況については、廃炉汚染水対策現地調整会議において写真等でご報告
●一方、清掃、除染作業は個別の対策の効果を確認するためにデータを取得しながら進められたが、 作業に集中するあま
り平成26年4月から採取したデータについて、公表することに思い至らず
●清掃、除染等が進捗し、平成26年12月頃から排水路排水口の濃度に低減傾向は見られるものの、 K排水路の排水口濃
度は、期待したほどの効果が見られず
<今回の大物搬入口屋上部溜まり水調査結果のお知らせ>
●上記を踏まえ、K排水路へ流れ込む上流部を調査したところ、2号機原子炉建屋大物搬入口屋上に確認された溜まり水
において、高い放射能濃度を確認し、今回お知らせ
<今後の対応>
●平成27年2月26日、高木経済産業副大臣から「雨水やダストなど敷地境界外に影響を与える可能性のあるリスクにつ
いては、被災された住民、また国民の視点に立って改めて網羅的に総点検を行い、その上で、現在の状況に見合った対
策を示して、必要な情報提供を行うこと」というお話をいただいており、真摯に対応してまいる
14