Economic Indicators 定例経済指標レポート 指標名:家計調査・商業動態統計(2015年1月) 発表日:2015年2月27日(金) ~消費の足取りは鈍いまま~ 担当 第一生命経済研究所 経済調査部 副主任エコノミスト 高橋 大輝 TEL:03-5221-4524 (単位:%) 実質消費支出 合計 (二人以上世帯) 前年比 実質可処分所得 (勤労者世帯) 除く住居等(※) 前月比 前年比 前月比 前年比 1月 1.1 1.0 1.0 2.1 ▲ 0.5 2月 ▲ 2.5 ▲ 0.7 ▲ 2.2 ▲ 2.3 ▲ 1.3 3月 7.2 10.9 8.6 9.8 ▲ 3.2 4月 ▲ 4.6 ▲ 13.8 ▲ 6.6 ▲ 13.6 ▲ 7.0 5月 ▲ 8.0 ▲ 2.9 ▲ 6.4 0.5 ▲ 3.4 6月 ▲ 3.0 1.8 ▲ 3.7 0.6 ▲ 8.0 7月 ▲ 5.9 ▲ 0.1 ▲ 6.3 ▲ 0.3 ▲ 5.2 8月 ▲ 4.7 ▲ 0.1 ▲ 3.4 1.2 ▲ 5.2 9月 ▲ 5.6 1.1 ▲ 5.8 ▲ 0.2 ▲ 5.9 10月 ▲ 4.0 0.7 ▲ 2.0 0.9 ▲ 2.4 11月 ▲ 2.5 0.4 ▲ 0.9 0.6 ▲ 3.9 12月 ▲ 3.4 0.2 ▲ 2.1 0.2 ▲ 0.3 2015 1月 ▲ 5.1 ▲ 0.3 ▲ 4.7 ▲ 0.3 ▲ 2.5 (出所)総務省「家計調査報告」 ※「住居」、「自動車購入」、「贈与金」、「仕送り金」を除いている 消費性向 (勤労者世帯) 前月比 2014 商業販売額 前年比 2014 2015 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 4.4 2.5 8.5 3.4 1.0 0.6 0.1 1.6 1.6 0.3 2.7 1.4 2.9 卸売業 前期比 小売業 前年比 2.2 ▲ 1.5 5.6 ▲ 10.3 3.1 ▲ 0.6 1.0 ▲ 1.9 4.1 ▲ 1.2 ▲ 2.3 1.4 0.4 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 4.4 2.0 7.5 3.0 1.3 0.5 0.1 2.8 1.3 0.1 4.1 2.0 3.4 前期比 2.6 ▲ 2.1 5.3 ▲ 9.7 3.1 ▲ 1.1 1.0 ▲ 1.7 2.8 ▲ 0.4 ▲ 2.0 ▲ 0.1 2.8 前年比 4.4 3.6 11.0 ▲ 4.3 ▲ 0.4 ▲ 0.6 0.6 1.2 2.3 1.4 0.5 0.1 ▲ 2.0 大型小売店 前期比 1.6 0.3 6.4 ▲ 13.6 4.6 0.5 ▲ 0.5 1.9 2.8 ▲ 1.4 ▲ 0.2 ▲ 0.4 ▲ 1.3 前年比 0.7 2.4 17.0 ▲ 6.1 ▲ 0.5 ▲ 1.2 0.3 2.8 1.7 1.0 1.9 0.7 0.6 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 季調値 1.4 1.3 0.3 3.3 3.0 3.2 1.0 0.5 0.4 2.0 0.9 2.3 0.6 百貨店 スーパー 既存店 既存店 既存店 前年比 前年比 前年比 0.0 3.3 ▲ 1.8 1.3 2.9 0.6 16.1 25.2 11.1 ▲ 6.7 ▲ 10.0 ▲ 5.1 ▲ 1.2 ▲ 2.1 ▲ 0.8 ▲ 1.8 ▲ 2.4 ▲ 1.5 ▲ 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.7 1.6 2.0 1.4 0.5 1.8 0.0 0.0 0.2 ▲ 0.1 1.1 1.5 0.9 0.1 0.6 ▲ 0.2 0.0 ▲ 0.4 0.3 75.3 75.3 84.4 74.6 71.3 74.8 75.0 73.6 75.1 74.2 75.5 73.8 74.6 (単位:%) コンビニ 販売額 既存店 前年比 ▲ 0.1 0.9 2.8 ▲ 0.3 1.3 0.2 0.8 ▲ 0.3 0.9 1.1 0.6 0.9 1.6 (出所)経済産業省「商業動態統計」 ○家計調査:消費の足取りは重い 本日総務省から発表された1月の家計調査によれば、実質消費支出は前年比▲5.1%(コンセンサス:同▲ 4.1%、レンジ:同▲5.7%~▲1.1%)とコンセンサスを下回った。前月比でみても、▲0.3%と5ヶ月ぶり に減少した。10-12 月期実質消費支出と比較しても、+0.1%とほぼ横ばいに留まっており、実質消費支出 は、非常に緩慢な改善に留まっている。また、振れの出やすい項目を除いた「除く住居等」も前月比▲0.3% と減少した。 項目別に実質消費指数(季節調整値)をみると、「食料」が前月比▲2.4%と大幅減少した。外食が特殊要 因によって下押しされている可能性もあるが、その他の項目も持ち直しが弱いことを踏まえれば、消費の基 調が弱いという評価に変更は無いだろう。その他、「住居」(同▲6.2%)、「被服および履物」(同▲ 4.2%)、「家具・家事用品」(同▲1.6%)などが減少した。一方で増加に寄与したのは、「交通・通信」 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 (同+4.7%)、「光熱・水道」(同+2.1%)などだ。 持ち直しペースは緩慢なものに留まっている実質消費支出だが、実質可処分所得の改善という明るい材料 もある。賃金上昇や物価上昇率の鈍化を背景に実質所得は足元で持ち直しつつあり、今後、消費増加に繋が っていくことが期待される。 ○小売業販売額:実質小売業販売額は改善に一服感 経済産業省から発表された1月の小売業販売額は、前年比▲2.0%(コンセンサス:同▲1.2%、レンジ: 同▲3.0%~+0.1%)とコンセンサスを下回る結果となった。前月比では、▲1.3%と4ヶ月連続のマイナス だ。物価上昇の影響を除いた実質小売業販売額(実質化、季節調整は当社)でみても、前月比▲1.1%と減少 した。実質小売業販売額は、11 月、12 月と小幅ながらも増加を続けていたが、1月は減少に転じ改善に一服 感が漂っている。 業種別に名目季節調整値をみると、セールが低調な推移に終わった百貨店を含む「各種商品小売業」(前 月比▲3.7%)をはじめ、原油価格下落の影響を背景に「燃料小売業」(同▲8.8%)、「織物・衣服・身の 回り品小売業」(同▲3.4%)などが減少に寄与した。「自動車小売業」が同+4.4%と高い伸びになり、3 ヶ月ぶりに増加したが、総じてみれば、物足りない推移となっており、小売業販売額からみても消費の回復 の鈍さが窺える。なお、商業販売統計は 2015 年1月より「商業動態統計」に名称が変わった。 ○雇用と賃金の改善、物価上昇率の鈍化が個人消費の下支えに 以上のように、2015 年入り後も個人消費の足取りが鈍いことが確認された。冬のボーナスは増加したとみ られるが、2014 年夏のボーナス同様あまり消費には結びつかなかったようだ。 もっとも、先行きの個人消費は、実質所得の増加や雇用の増加などを背景に徐々に明るさを増してくるも のと予想している。足元の雇用環境をみてみると、雇用者数が好調を維持している上、雇用に先行する新規 求人数の改善も続いている。引き続き企業の人手不足感が強いことを併せて考えれば、先行きも雇用者数は 増加基調で推移することが期待できよう。賃金については、労働需給の逼迫を通じた賃金の押し上げが見込 まれるほか、連合が2%以上のべア要求を掲げたことなどを受けて 2015 年も賃上げ機運は高まっている。 「賃上げに関するアンケート調査」(労務行政研究所)をみると、ベア実施予定企業の割合が上昇している など企業側の歩み寄りが窺え、昨年を上回る賃上げ率の実現が現実味を帯びている。また、先行きの消費者 物価は原油価格の下落を背景に一段の上昇率鈍化が見込まれ、実質所得の増加を通じて家計の購買力上昇に 寄与するだろう。既に、毎月勤労統計では実質賃金の前年比マイナス幅は縮小傾向であるほか、前述したよ うに家計調査では実質可処分所得が持ち直しつつある。先行きの個人消費は、こうした要因が下支えとなる ことで緩やかな改善基調を辿ると予想している。 2010=100 115 実質消費支出(季節調整済) 115 (2010=100) 商業販売額指数(小売業、季調値) 実質消費指数 除く住居等 名目 105 105 100 100 95 95 90 90 12 13 (出所)総務省「家計調査」 実質 110 110 14 15 12 13 14 15 (注)実質小売業販売額指数の実質化、季節調整は第一生命経済研究所 (出所)経済産業省「商業動態統計」 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
© Copyright 2025 ExpyDoc