宮大工の概念をハイテクで具現化した 骨折手術支援

山陰(鳥取・島根)発新技術説明会 2014
宮大工の概念をハイテクで具現化した
骨折手術支援システム
島根大学医学部 整形外科
助教 今出真司
教授 内尾祐司
Department of Orthopaedic Surgery, Shimane University Faculty of Medicine
整形外科医の仕事
整形外科医が得意な仕事 → 骨接合
金属材(チタンなど)で
固定する治療が一般的。
すでに確立された治療法・・・?
異物は異物!
抜去が必要!
患者のニーズに合わせた改善点を探す
古から伝わる宮大工(材木加工)技術
出雲大社
平成の大遷宮
留め具を使わず木材を固定する技術
骨折治療へ応用
目標
宮大工が木組みで神社仏閣を造るように、骨で骨折を治す。
自家骨を用いた骨折手術
テーラーメイドの骨ネジ
Step 3
Step 2
製作機械
3mm
骨折を固定
(株式会社ナノと共同開発)
Step 1
骨採取(ピーナツ大)
特許4737595号(出願人:国立大学法人島根大学、株式会社ナノ)
イノベーションジャパン2005 医療福祉部門賞受賞
臨床応用
期間:2005年~2013年
医の倫理委員会承認:273号
症例内訳
・手舟状骨骨折
4例
・膝骨軟骨骨折
2例
・第1趾基節骨偽関節
1例
・指節関節変形性関節症 1例
★若い健康な患者に対処を絞った結果、現段階の症例数は8例。
手舟状骨偽関節例
18歳・男性.転倒し受傷.
単純X線像(受傷後6ヵ月)
骨折部は癒合せず,偽関節と診断.(
)
脛骨から骨採取
精密加工機へ
作製した骨ネジで
偽関節部を固定
(Imade S, et al. J Hand Surg Eur 37: 2012)
参考:金属ネジの場合
異物(金属)が残る!
単純X線像(術後6ヵ月)
骨折部は癒合.骨ネジは母床骨と同化.(
)
3次元骨形成支援装置
すでに開発した骨ネジ作製装置に
骨片を骨接合に最適な形状に形成する装置を組み合わせた
骨折手術支援システムを構築する.
(3次元加工機は既存の株式会社ナノ社製精密機器を基盤に
医療用として共同開発)
3次元加工動画
新技術の特徴
1.手術室という特殊な清潔環境下で使用可能。
丸ごと滅菌は不可能。
必要はパーツに分けて滅菌。
2.精度は ± 5 µmで、独自の高い技術を提供。
機
械
製
手
製
手作業で不可能は精度を提供。
3.プログラミングなど特殊技術は不要。
生データから加工まで
オートマチックに展開。
患者生データ
電算処理
加工
(最終調整は医師に委ねる)
想定される用途 1
~サイズの合わない小骨片形成~
膝蓋骨
大腿骨
骨折部
骨軟骨片
脛骨
骨軟骨片
CT
骨軟骨片は時間と共に変形し、母床とぴったり合わない。
(従来は手作業で形成し、なんとか合わせている。)
母床に不適合で固定困難
骨片が変形
×
画像データから適合性をシュミレーション
画像解析データから
至適形状を推定
インクジェット
最適な形状を解析
骨片を専用台固定
コンピュータ制御で
正確に骨片を形成
骨-骨間は
多少オーバーでも
プレスフィット可能
細かな最終調整は
人の手に任せる
安全性を担保
形成した骨片を内固定
(骨ネジあるいは人工骨ネジ)
金属なしで
関節面の再生!
想定される用途 2
~人工関節~
骨欠損!
人工股関節術後ゆるみ症例
再手術
骨欠損部を
骨で補填
欠損部を補填するため骨を手作業で形成
手間がかかる!
よく見ると隙間がたくさん。
失敗(圧壊や転位)の原因になる。
術前のCTでフィットする形状を抽出
術中に3D加工機で加工し移植
誰がやっても
一定時間で正確な
移植骨を作製できる。
★この症例は同種骨を使用。人工骨でも同様に加工可能。
市場規模
関節内骨折
5000件/年
★骨折:50万件/年
大きな骨欠損を伴う症例:5000件/年
人工関節(股関節,膝関節)
10万件/年
再手術例:1000件/年(約1%)
3D形成システムを要する症例は概算で11000件/年
現状では形成技術に対する医療点数での加算はできない!
宣伝効果に期待(人工骨製品に付加価値,集客効果)
実用化に向けた課題
△
画像処理
データ変換のノウハウ
(特に軟骨と骨の分別)
3D加工機
株式会社ナノと
共同開発
○
PC処理
CT
×
販売網
販売に関する
ノウハウ
患者の生データ
市場
3D加工技術
※薬事法
薬事法が定義する
医療機器に該当しない。
⇒認可必要なし
企業への期待
1.医療機器業界
→ システムの製造販売
2.画像解析関連企業
→ スキャン画像やCTから立体像を再構築し
3D加工機へ電算データとして送る技術
★建築関連企業
→ 大工技術の医療応用
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称:プログラミング装置、NC加工機および骨部材加工
システム
• 出願番号:特願2014-6567
• 出願人:国立大学法人島根大学,株式会社ナノ
• 発明者:内尾祐司,今出真司,飯島大典,小山洋悦
問い合わせ先
島根大学研究機構産学連携センター 地域医学共同研究部門
教授 中村 守彦
TEL : 0853-20-2916
FAX : 0853-20-2913
e-mail: [email protected]
島根大学研究機構産学連携センター 知的財産創活部門
教授 阿久戸 敬治
TEL : 0852-60-2290
FAX : 0852-60-2395
e-mail: [email protected]