NARBO10周年記念会議を開催 ∼10年の成果と将来∼ NARBO とは NARBO は、Network of Asian River Basin を契機に、これまでの活動の成果を総括し、今後 Organizations:アジア河川流域機関ネットワーク の取り組みを確認することを目的とするもので、 の略称で、アジアモンスーン地域における総合水 各国から事務局を含め約 80 名が参加しました。 資源管理(IWRM)の推進や優良事例の共有を図る ため、各国の河川流域機関(RBO)の能力向上を主 な目的とするネットワークです。 水資源機構(JWA)、アジア開発銀行(ADB)、ア ジア開発銀行研究所(ADBI)が中心となって、平成 16 年 2 月に設立され、現在 18 ヶ国 84 機関が加盟 しています。 初日は、10 周年記念会議に先立ち、RETA6470 完了ワークショップが開催されました。 RETA6470 とは、NARBO 事務局を構成する ADB が行っていた NARBO への支援を含むアジアの河 川流域管理に関する技術協力プロジェクトです。 このワークショップでは、NARBO 事務局本部で ある水資源機構から上村事務局長が、国内 7 水系 会議の概要 平成 26 年 11 月 19、20 日の 2 日間、フィリピン・ マニラにおいて、NARBO 設立 10 周年となる節目 の会議を開催しました。 この会議は NARBO が設立から 10 年を迎えたの パネルディスカッションの様子 (司会進行:ケイズル NARBO 議長 〔左奥〕) 会議の様子 16 ● 水とともに 水がささえる豊かな社会 を管理してきた経験に基づき、IWRM にかかる 9 康教授より、 「NARBO による国際河川問題の解決 回の研修実績や各国におけるその効果等について 事例の収集と共有」を強化してはどうかという提 報告しました。 案をいただきました。水資源機構からは木戸副事 ワークショップに続いて、NARBO10 周年記念会 務局長が、 「NARBO 事務局一極集中ではない、多 議が始まりました。はじめに ADBI の吉野所長より 方向的ネットワークの構築」が必要との考えを示 水分野への投資の必要性について講演いただきま しました。また、ブータン国の加盟機関代表から した。続いて、NARBO 活動に貢献した個人および は、NARBO による IWRM に関する能力開発や情 加盟組織の表彰や、現在までの活動のレビューと 報共有についての支援に期待する発言がありまし 意見交換が行われました。 た。このほか「都市用水問題、国際河川問題といっ 2 日目は、パネルディスカッションが行われま した。 セッション1では、IWRM について国連等国際 機関の方から講演いただき、その後「NARBO10 年 た個別問題へのトレーニングに焦点を当てるべ き」、 「水分野以外の組織と連携を強化すべき」と いった意見が出されるなど活発な意見交換が行わ れました。 の成果」として、インドネシア国、ベトナム国等の 加盟機関の代表者からそれぞれ「地域での水への かかわり方が改善された」 、 「水に関するマスター NARBO 活動の方向性 プランにおいて IWRM の考え方が取り入れられた」 今回の会議では、NARBO 活動のこれまでの成果 といった事例が紹介されました。上村事務局長は、 の有効性と今後の方向性について、参加者からの 「加盟機関の成長実績をふまえて、各機関のより積 極的な取り組みを期待したい」と提案しました。 セ ッ シ ョ ン 2 で は、 「NARBO の 将 来 」と し て、 国際流域管理を研究している東京大学の中山幹 意見も取り入れた上で、 「マニラ宣言」がまとめら れました。 内容は、①気候変動など水の安全に対する課題 への IWRM の有効性、②各国の RBO の重要性の再 認識、③国・地域レベルの積極的な NARBO 活動の 奨励、④若手リーダーの育成・支援、⑤国連等国 際機関が定める IWRM に関する国際的な目標を達 成することへの貢献、などです。 水資源機構は今後も NARBO 事務局本部として その活動の中核となり、アジアモンスーン地域に おける IWRM を推進していくことが必要と考えて います。 マニラ宣言を読み上げる参加者 "Congratulations" トピックス ● 17
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