ΔΣ/PCM対応USB レコーダ実験ボードの製作

連載 ウィークエンド電子工作コーナ
最大 11.2896 MHz の 1 ビット録再と
24 ビット/96 kHz マルチビット再生が可能
Windows,
Mac OS X,
Linux対応!
ΔΣ/PCM 対応 USB
レコーダ実験ボードの製作
第 4 回 実験ボードの回路設計
中川 裕三
PC
(Windows,
Mac OS X,
Linux)
ハイカット・フィルタ
(fC =500k∼600kHz)
単相
±12V
録音
入力R
入力GND
入力L
入力GND
前段アンプ
(約4倍)
OPA2134
2.0VRMS
(5.66VP-P)
再生
出力R
出力GND
出力L
出力GND
±12V
差動アンプ
OPA1632
差動アンプ
OPA1632
20VP-P
差動
+5V +3.3V
A-Dコンバータ
(ADC)
PCM4202
Yuzo Nakagawa
+5V
USB
ΔΣデータ
LPC4330 Xplorer
マイコン・ボード
クロック
PLL1708
(出力11.2896/
22.5792/
24.576MHz)
クロック
27MHz
−4.65±2.925V
±12V
±12V
+5V +3.3V PCMとΔΣ
差動-単相
(平衡→不平衡)
I -V 変換
D-Aコンバータ SPIによる制御
変換アンプ,
NE5532
(DAC)
ハイカット・
I -V 変換
PCM1792A
フィルタ
NE5532
(fC =217kHz)
OPA2134
電流差動出力,±3.9mA
(単相) クロック
[働き]
録音時にはADCからデータを取り込
み,USBに出力する
再生時にはUSBからデータを取り込
み,DACに出力する
DACのクロック入力は,PLL1708の
出力をLPC4330の中で分周して供給
する
PLL1708の発振周波数を設定する
ADCとDACのモード制御を行う
図 1 本器の録音回路と再生回路の制御はマイコン・ボード LPC4330 Xplorer で行う
ΔΣ変調された音源の録音再生と PCM(Pulse Code
Modulation)音源が再生できる「ΔΣ /PCM 対応 USB
レコーダ実験ボード
(以下,ΔΣレコーダ)
」を作りま
した.前回まではパソコンから USB 経由で D−A コン
バータにΔΣデータを送る転送方法などを説明しまし
た.
図 1 が本器の回路ブロックです.今回は,メインと
なる録音系の A−D コンバータ,再生系の D−A コン
バータとその周辺ハードウェアを解説します.
全回路図や部品が実装された状態の写真などは特設
サイト
(http://toragi.cqpub.co.jp/tabid
/742/Default.aspx)か連載第 1 回目(本誌 2014 年
10 月号)を参照してください.
録音系の回路
● A−D コンバータと差動アンプ IC
録音側の A−D 変換回路には,テキサス・インスツ
2015 年 2 月号
ルメンツの IC を使用しました.
●
差動アンプ…OPA1632
●
A−D コンバータ…PCM4202
A−D コンバータは差動入力なので,推奨回路にも
掲載されている差動アンプ IC を一緒に使いました.
録音時に使うマイク・アンプやプレーヤ出力のレベル
をコントロールしたいので,OPA1632 の前段には,
汎用 OP アンプ OPA2134 による入力増幅回路を入れ
ました.
▶差動アンプOPA1632とA−DコンバータのPCM4202
間の信号レベル
図 2 が OPA1632 のデータシートに掲載されている
回 路 で す.PCM4202 の ア ナ ロ グ 部 は 5 V 単 電 源 で,
2.5 V をコモン電圧とした差動入力です.1 相だけを見
ると 3 VP−P,差動で 6 VP−P がスペックの最大入力レ
ベルです.それぞれの差動入力電圧が 2.5 ± 1.5 V(1 ∼
4 V で互いの入力は逆相)となり,このレベルが A−D
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