地球温暖化問題を巡る国際交渉 2015,2,25、 朝海和夫 1,地球規模環境問題とは 経済活動は発展を続け、地球上の環境はますます悪化;オゾン層破壊、地球温 暖化、生物多様性の喪失、熱帯林の破壊など;国際協力を要する問題 産業革命以前に比べ世界平均気温上昇を2.以内に留めるためには2050年 に温室効果ガスの排出を00年比50%減に(IPCC報告、2007年) 2、国際社会の取り組み 1972年:人間環境会議(ストックホルム、「かけがいのない地球」) 1987年:ブルントランド報告、「持続可能な発展」:将来の世代のニーズを 満たす能力を損なうことなく今日の世代のニーズを満たす (1989年:ベルリンの壁崩壊) 1992年:環境と開発に関するサミット(リオ、気候変動枠組み条約、森林、 生物多様性等採択) *1997年:温暖化に関する京都議定書採択 *2002年:日本が京都議定書批准 2002年:持続可能な開発に関するサミット(ヨハネスブルグ) *2005年:京都議定書発効 *2010年:日本、議定書の第2約束期間を 否定 (2011年:東北大震災) 2012年:持続可能な開発に関するサミット(リオ) 2015年12月:CoP21で新たな合意を目指す 3,温暖化についての国際交渉 1)92年枠組み条約:条約の目的は温室効果ガス濃度の安定化;先進国は排 出量を1990年代の終わりまでに従前のレベルに回帰させることが排出の傾 向変更に寄与すると認識;途上国に配慮、「共通だが差異のある責任」;途上国 への資金。技術協力 2)1995年CoP1、ベルリン・マンデート:数値目標等を定めた議定書を1 997年に採択する;途上国には新たな義務を課さない 3)1997年12月CoP3、京都議定書採択:先進国全体で2012年までの 期間に1990年比5%減、EU8%減、米国7%減、日本・カナダなど6%減; 排出量取引・吸収源などの柔軟性あり;途上国への資金協力 注①1997年の世界の002排出量シェアは米国24%、EU17%、中国1 4%、日本5% 注②97年7月、米国議会の「バード・ヘーゲル決議」:途上国による排出制限 がない条約には署名すべきでない 4)2001年1月:ブッシュ政権発足;3月:京都議定書を否定 5)2001年4月:2002年発効を目指して日本は早期批准すべしとの日 本の国会決議 6)2001年9月:米国同時多発テロ 7)2001年11月:マラケシユ合意(吸収源問題を含む→「6%削減」の うち吸収源3.8%、京都メカニズム1.6%、真水0.6%) 8)2002年6月:日本が批准 9)2005年2月:京都議定書発効(ロシアが2004年に批准) 10)2007年5月:安倍総理演説「美しい星へのいざない」(ハイリゲンダ ム・サミット直前) 11)2009年12月:CoP15(コペンハーゲン、オバマ・温家宝会談;米国 は2020年までにCO2排出を05年比17%減、中国は2020年までに GDP単位当たり排出を40~45%減) 12)2010年12月:日本が2013年以降の「第2約束期間」不参加: 理由は、世界の総排出の3割をカバーするに過ぎず公平性、実効性に欠けるか ら(2011年3月:東北大震災;12月:カナダが京都議定書から脱退) 13)2014年11月11日:APEC米中首脳会談、温暖化についての米中 合意(米国は2025年に05年比26~28%減、中国は2030年頃にピ ーク) 注①米国の中間選挙(11月4日)で共和党が多数派に 注②気候変動問題での米中協力は「相互信頼。尊重を築き、より強固な協力関係 への道を開くもの」との米中発表あり(2013年4月) 注③中国の「ピーク」(反転)表明は初めて、但し数量不明、「経済成長のピー ク乃至減速」?原発? 注④2010年のCO2排出量のシェアは中国24%、米国18%、EU12%、 日本4% 注⑤日本は「2020年に2005年比3.8%減」を2013年11月に表明、 原発を含まない「現時点での目標」、「今後エネルギー政策等の検討の進展をふ まえて確定的な目標を設定」 注⑥EUは「2030年に1990年比40%減」 14)2015年12月:CoP21(パリ);「充分先立って」(3月末までにも) 削減目標「など」を示す;「全ての国が参加する公平且つ実効的な新たな国際枠 組みの合意」を目指す 6月7,8日:独エルマウ・サミット
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