平成 23 年度 家庭用品規制基準調査 繊維製品に含まれるトリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェイト(略称:TDBPP)の分析 法の検討 国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部 河上強志、伊佐間和郎/大阪府立公衆衛生研 究所 中島晴信、味村真弓、吉田仁、吉田俊明 -------------------------------------------------------------------------------概要 「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」により、繊維製品への使用が禁止 されている、トリス(2,3-ジブロモプロピル)フォスフェイト(TDBPP)の公定法を改定 するために、キャピラリーGC/MS を用いた分析法の検討を行った。検討の過程で、TDBPP はキャピラリーカラムによる GC/MS 測定時に分解する現象が観察された。しかし、メガボ アカラムを用いた GC/FPD 測定では、分解現象が観察できなかった。そこで、分析法の検 討は、メガボアカラムを用いた GC/FPD で行った。検量線は、2.0~100 µg/mL の範囲で、 Y=2572X1.416 の 2 次曲線を示す検量線が得られた。検出限界は、S/N=3 として 1.0 µg/mL であった。繰り返し注入の再現性も良好であった。メタノール抽出後、シクロヘキサン- 精製水での液-液分配及びフロリジルカラムによる精製を行うことで良好な回収率を得る 前処理法を確立した。この分析法で、市販製品 5 製品を分析調査したが、いずれの製品か らも TDBPP は検出されなかった。市販製品に添加回収率実験を行い、ほぼ 100%の良好な 回収率が得られた。 次に、TDBPP が GC/MS 測定時に分解する原因を究明するため、化学イオン化法(CI)で の GC/MS 測定、GS/FPD や GC/FID 測定を行った。TDBPP は、GC の注入時、特にスプ リットレス注入法で熱分解すること、さらにカラム及びイオン源内でも分解する可能性が 示唆された。そこで、市販 TDBPP 標準品を LC/MS で同定し、GC/FID で純度検定を行っ た。その結果、標準品は、ほぼ TDBPP 純品であることが判明した。 公定法改正に向けて今後改良すべき点が明らかとなった。そこで、TDBPP の熱分解をさけ るため、公定法には、(1) メガボアカラム GC/FPD 測定後に GC/MS での判定、(2)石英ラ イナーを用いたスプリット注入と短尺カラムによる GC/MS 測定、さらに、(3)LC/MS 法の 導入などが考えられる。 -------------------------------------------------------------------------------論文発表 味村真弓・中島晴信・吉田仁・吉田俊明・河上強志・伊佐間和郎:有害物質含有家庭用品 規制法で規制されている繊維製品中のトリス(2,3-ジブロムプロピル)ホスフェイト分析法 の改定に向けた検討, 薬学雑誌, 134, 259-268 (2014) -------------------------------------------------------------------------------- 学会発表 味村真弓・中島晴信・吉田仁・吉田俊明・河上強志・伊佐間和郎:有害物質含有家庭用品 規制法で規制されている繊維製品中のトリス( 2,3-ジブロモプロピル)ホスフェイト (TDBPP)分析法の改定に向けた検討, (2014.3, 熊本市)
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