芝居町道頓堀の景観復元プロジェクト 道頓堀商店会と連携し共同で、芝居町道頓堀の景観復元を目指した関連資料の収集や CGによる街並み復元などの調査・研究、成果公開事業を行っています。 角座モニュメントの銘板 道頓堀連続フォーラムの様子 ◇ 大学の役割 ◇ 「再現!道頓堀の芝居小屋∼道頓堀開削399年∼」 (大阪くらしの今昔館)での展示の様子 ◇ 活動の概要 ◇ 本プロジェクトは、大阪都市遺産研究センターが進める大阪の都市景観変遷の調査・研究の一環であるが、そ の契機は、関西大学校友から寄贈された山田伸吉画・長谷川幸延賛「道頓堀今昔」という絵画にある。道頓堀川 北側から芝居小屋が立ち並ぶ街の景観を描いたもので、作者の山田伸吉は松竹座開館の1923年(大正12年)か ら舞台芸術を手がけた人物であった。センターでは、「道頓堀今昔」のほか、道頓堀の景観を描いたさまざまな 資料を収集して調査・研究を進め、明治末期から大正初年の道頓堀の街並みをCGで再現する一方で、山田伸吉 に関する資料の収集と調査・研究を行い、本学博物館で展覧会を開催した。いずれの調査・研究においても、道 頓堀商店会の関係者からの資料や情報の提供は不可欠であり、そのため適宜連携しながら進められ、CGは道頓 堀商店会の新年互礼会において一般公開に先駆けて披露された。芝居町の記憶が甦るとの評価とともに、芝居小 屋内部の再現を望む声が寄せられた。道頓堀の芝居小屋の図面を含む「大阪の劇場大工 中村儀右衛門資料」の 入手が契機となって、道頓堀商店会と本学との連携協力協定が締結されるに至り、以降は協定にもとづいて、本 プロジェクトの成果公開の場として、道頓堀商店会と共催で、道頓堀連続フォーラム(4回)・大阪都市遺産 フォーラム(1回)を開催したほか、本プロジェクトの成果を一堂に会し、大阪くらしの今昔館での展覧会「再 現!道頓堀の芝居小屋∼道頓堀開削399年∼」では協力を、なんばオリエンタルホテルでの写真展「牧村史陽の 写真でめぐるミナミ∼道頓堀・千日前の風景∼」では後援・協力を得て開催している。 ◇ 成果 ◇ 目 的 連携メンバー および役割 大阪の都市遺産としての道頓堀の歴史的・文化的価値の再発見と活性化 道頓堀商店会・・・調査協力、資料・情報の提供、成果公開事業の共催・協力 松竹芸能株式会社・・・DAIHATSU MOVE 角座のモニュメント制作・成果公開媒体の提供 大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)・・・成果公開の展覧会の共催・会場提供 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館・・・資料調査・展覧会開催の協力 ◇ 現場の声 ◇ (1)フォーラムの開催を通じて得た資料や情報の提供による 調査・研究の推進 ・井上宏氏 (2)対象地域(道頓堀・千日前)や大阪くらしの今昔館など (一般社団法人生活文化研究所 幹事/ 学外での成果発信 日本笑い学会 顧問) (3)『マンスリー角座広場』の連載など、冊子媒体での成果発信 (4)関西大学と道頓堀商店会の連携協定締結 活動地域 大阪府大阪市(道頓堀、千日前) 活動期間 2010年9月∼(継続中) ◇ 今後の展望 ◇ 費 文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 / サントリー文化財団 / 三菱財団 / 学内の各種研究費の助成 (1)「芝居町の記憶」をたどる聞き取り調査の実施 (2)CGなどによる景観復元の正確性を高めるための現地調査 (3)芝居町を核とした道頓堀の活性化 用 「道頓堀の景観復元」では、その「視覚化」へ の努力がある。保存されてきた「写真コレク ション」や絵画の活用、データのデジタル化、 立体的なCG化というように、できるだけ「見 える」ようにしてきた努力が実ってきたと思わ れる。 ◇ 連携の経緯 ◇ 関西大学大阪都市遺産研究センターが取り組む研究テーマのひとつである「近代大阪の失われた景観復元」の 一環として、芝居町から食い倒れの街へと変化し、多くの資料が残存する道頓堀に焦点を当てて調査・研究を進 める過程で、調査への協力や資料・情報の提供などで道頓堀商店会との連携が不可欠となり、大正初年ごろの街 並みを再現したCG制作を契機として本格的な連携に至った。 ◇ 研究者の紹介 ◇ 関西大学大阪都市遺産研究センター センター長:文学部教授 薮田 貫 (やぶた ◇ 解決すべき課題 ◇ (1)大阪有数の繁華街「道頓堀」における、かつては芝居町として栄え大阪文化の発信地であったという歴史的 アイデンティティの喪失 (2)(1)に伴う道頓堀の環境悪化 (3)「芝居町としてのDNA」(商店会会長 今井徹氏)を呼び覚ますこと ゆたか) 大坂築城から現代に至る都市大阪の景観変遷を史的に検証し、「都市遺産」の継承・発展・発信をめざす総合的研究拠点。 大阪の都市遺産の現代的意味を広く社会に発信する(文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業)。 センター長ほか、研究員10名、学外研究員3名、非常勤研究員2名、特別任用研究員2名、ポスト・ドクトラル・フェロー (PD)1名・リサーチ・アシスタント(RA)2名の体制で、都市景観の変遷というテーマのもと、それぞれの専門領域か ら調査・研究を推進している。
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