安平橋の談合疑惑(1 部)

談合疑惑シリーズ(第2回)
安平橋の談合疑惑 (1 部)
1,安平橋の場合 ・・・1億5750万円の工事
(指名競争入札)
安平橋の実際の入札参加企業は8共同企業体です。この時、落札した企業は、
8社中最安価格で入札した西村建設と八木建設でした。
どちらも追分の企業でした。
なお、西村建設と八木建設の落札については、事前に北海道新聞社に落札企業名を挙
げての通報がありました。言うなれば、談合の告発でした。
北海道新聞社は、直ちに、安平町役場に情報提供をしました。
この件の流れについては、、「談合疑惑シリーズ(1回目)」に掲載してありますが、
確認のため、再掲載します。
①10月8日・・・・通報者から北海道新聞社に「談合情報」が入る。
② 同日 ・・・・・北海道新聞社から役場に「談合情報」が入る。
③ 同日 ・・・・・談合情報調査委員会を設置
④10月14日・・・事情聴取(8企業体・16社の代表者又は代理人)
同日
・・・誓約書の提出
⑤10月24日・・・役場に直接、FAXで「談合情報」が寄せられる。
⑥10月25日・・・入札執行
⑦
(改札前に、積算内訳書の確認○
注)
同日
・・・・・役場に直接、FAXで「談合情報」が寄せられる。
【以上、町長の行政報告(平成22年10月臨時議会)】
⑧10月26日・・・「情報通りのJV落札」と新聞報道。
注 「積算内訳書に書かれている工事価格と
○
入札金額の一致の確認の為と思われる。
役場の調査結果
・・・「調査の結果、談合の事実は確認出来なかった」と結論。
この流れで注目されるのは、とにもかくにも、町は談合情報に真摯に対応しようとい
う姿勢を見せたことです。(追分中学校の時は、調査すらしていないからです。)
もう一つ興味深いのは、入札の前日と当日に、FAXで「談合情報」が役場に寄せられ
たことです。
新聞社に告発した企業からのものと推測されますが、入札の執行を止めたいという
気持ちがひしひしと伝わってきます。町長が言う「外された方」(10月臨時議会)
の無念さがもろに現れています。
-1-
2,町理事者とタイアップして
「談合疑惑」を否定する町長派議員の発言
(町長と町長派議員の猛反撃 )
私がこの「シリーズ」で最初に取り上げた談合疑惑が、最初の「安平橋」ではなく「追分
中学校」であったことに疑問をもった方がおられたかも知れません。
順番が違うからです。しかし、それには大きな理由がありました。
以下、議会で取り上げられた「談合疑惑」です。
1回目:安平橋の談合疑惑
2回目:追分中学校の談合疑惑
3回目:追分中学校の談合疑惑
(H22年10月臨時議会・・・谷村議員)
(H22年12月定例議会・・・谷村議員)
(H23年 3月定例議会・・・小笠原議員)
上記の「談合疑惑問題」での議論の中で、3回目は別な意味・目的を持っています。
1回目、2回目とも、谷村議員から「超能力者しかわからない」とか、「情報が100%
近くの確率で落札している」など、一方的に攻められ、理事者側が答弁に窮する状況で
した。その結果、安平橋談合疑惑が取り上げられたあと、入札を指名競争入札から一般
競争入札に変更になりました。「談合疑惑追及」の一つの成果と言えるものです。
しかし、新たに始めた追分中学校における一般競争入札にも、安平橋入札と同様「談合
情報」が新聞社に持ち込まれました。
この時、弁解に立った島田議員などは、「確率の高い低いは別にして、それぞれのプロ
が計算してやっていることだから、談合があったとかそういう問題ではなく、やっぱり
プロとして自覚を持って、町の入札に参加したと捉えたいと思いますので・・・賛成し
たい。」(12月議会)とトンチンカンな発言をして、談合疑惑を焦点から外す発言を
しています。これが、社民党の議員か。一度は、国会議員にまでなろうとした人の見識
かとあきれるばかりでした。
そんな中で、理事者側が、谷村議員の指摘に反論し「談合疑惑はなかったこと」に
するために準備されたのが、3回目の小笠原議員と財政課長との質疑応答でした。
その目的は、安平橋・追分中学校、両方の入札とも「談合はなかった」とするため
の「出来レース」の質疑応答で、しっかり準備していることを思わせる内容でした。
「入札の方法や仕組み」などの説明を小笠原議員との一問一答で行ったわけです
が、その内容が、私に「談合は疑惑」ではなく「事実である」との確信を与えたこ
とは皮肉なことでした。ただ、それは、議事録を精査した中で得られた確信であ
り、耳で聞き流した時点では、「かなり反論された」という印象を持ちました。従
って、「追分中学校校舎建築工事請負契約の締結」に反対した議員たち6名の中に
は、「反対」の論拠に確信を持てなくなった人も出たに違いないと思うほどでした。
この時の財政課長と小笠原議員の問答(3月議会)の分析は、「安平橋」「追分中
学校」の「談合」が、「三役」「役場内」からの「情報流出」なしには、説明出来な
いとの結論を得ることになりました。
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3,小笠原議員(民主)!
そこまで言い切っていいのか?
(1)「談合疑惑」を否定する小笠原議員の発言
小笠原議員は、財政課長の「安平橋」「追分中学校」入札に関する答弁を聞いた上で、
次のように発言しました。
(小笠原議員)「落札額を決めた町長、副町長、財政課長が①業者に情報提供しなけ
ればならない理由もないし事由もないので、そのような疑念も疑惑も
沸きません」(H23年 3月議会)
さらに、小笠原議員は、町民向け「おがさわら直治 議会報告」の中で、
「②町の入札に職員が関与出来ないことが議会で明確になる!」と見出しをつけ、
町内に配布しました。
①
小笠原議員!
そこまで言っていいいのですか?
小笠原議員が主観的に町理事者をどのように信じようとそれは自由ですが、
町民の付託を受けた議員が、「談合疑惑に向かう姿勢」として、あの程度の
町理事者の説明で、「業者に情報提供しなければならない理由もないし事由もな
い」とまで発言するのは、町長派議員とは言え良識を疑います。
新聞報道によって「落札業者があらかじめわかっていた」事実を前にしても
「疑念も疑惑も沸きません」と公言。信じがたいことです。
役職の高いことが、秘密保持の絶対的保証ではない。
(2)市や町の幹部が逮捕された例。
繰り返しますが、追分中学校の入札問題では、財政課長は「予定価格」や「最低
制限価格」を知る人は、三者(町長、副町長、財政課長)しかいないと答弁しま
した。しかし、この答弁が、三者から情報漏れがなかったという何の証拠にも
論拠にもなりません。役職の高いことが秘密保持の絶対的保証ではないからです 。
私たちは、「高い役職の人」が、たくさん逮捕、起訴された例を知っています。
以下の例は、北海道の比較的最近の事例です。
例1、長万部町 官製談合(保育所改築工事)で、町長、助役、産業建設課長が逮捕
(2009年)
例2、深川市 官製談合(小学校の改築工事)で市長が逮捕。(2006年)
例3、森町官製談合(町消防防災センター建設工事)で町長の逮捕。(2009年)
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例4、札幌市
官製談合
市民生活部長
アイヌ施設課長関与
(2014年)
以上の例はほんの一部です。なぜ逮捕されたのか。金品の授受があったからです。
町長だから、副町長だか、何とかの課長だからなどの肩書きは「情報流出」の可能性
を否定する何らの根拠にはならない事の例です。
「業者に情報提供しなければならない理由」は、常に、何処にでも存在するのです。
世の中には、上記の例のようなことが、うんざりするほどあるのです。
①「業者に情報提供する理由」は、「誰にでも」「常に」存在します。
実際に情報が流れてしまえば、「情報を知っている人の全て」が、第1次容疑
者になるのです。役職や地位は関係ありません。
なぜなら、情報は知っている人からしか流れないからです。
もし仮に、財政課長答弁のように、本当に三者(町長、助役、財政課長)以外
に、知っている人がいないとすれば、その三者のうちの誰かから情報流出があ
ったと考えるのが、論理的、且つ、常識的な考えです。
4,安平橋における「指名業者」の名前」は、
三役以外の役場職員からも漏れる可能性」がある!
まず、最初に頭に入れておく必要があるの次のことです。
●安平橋の入札は、「指名競争入札」による。
●追分中学校の入札は、「一般競争入札」である。
財政課長は、小笠原議員の質問に答えて次のように答弁しています(要約)。
(1) 財政課長答弁
①入札のシステムといたしましては、・・・・・
業者を決め、入札執行を行う財政課、
②(業者の)指名は財政課が担当し事業課(建設課・施設課)には
知らせない。また、指名業者を知る職員を最小限度に留めるている。
(H23年3月議会)
(2)10名前後の役場職員が、「指名業者名」を知ることが出来る。
財政課長は「(業者の)指名は財政課が担当し事業課(建設課・施設課)には
知らせない。また指名業者を知る職員を最小限度に留めるている。」と答弁。
疑問点 (1)(業者の)指名を「財政課が担当って」本当か?
「規則」では、そうなっていません!
-4-
町条例には、財政課長の答弁のように、「指名業者の決定を財政
課で行う」とは、書かれていません。
指名業者の選定等は、「安平町契約規則」第7条により設置され
た「安平町競争入札参加資格者等選考委員会」で行われるのでは
ありませんか? 財政課ではないはずです。
しかも、委員会のメンバーは、副町長、総務課長、財政課長、建設課長、
水道課長とあり(9条)、すでにここで6人の人が、指名業者を
知ることになります。 (副町長は二人)
また、財政課長は、
「指名業者を知る職員は、財政課の少人数(最
小限度)」と、言ってますので、それは財政課に設置される事務
局のこと(9条)を言っているものと思われます。
従って、指名業者を知ることが出来る人数は、先の競争入札参加
資格者等選考委員会の6名と事務局の数名となり合計10名前後
となります。
新聞報道の「談合疑惑」は、役場から情報が漏れ、業者間の内輪もめを推測
させます。当然、業者はお互い、指名業者名を知っています。
だから、「談合」が出来たのです。
「情報は、知っている人からしか漏れない。」との自明の前提に立てば、
上記の10人前後の役場職員の中から「漏れた」と言うことになります 。
5,
「予定価格」も「最低制限価格」も施設課・建築課で計算できる!
財政課長答弁
「入札予定価格を決めるのは(入札当日)三者(町長・副町長・財政課長)」と、
述べた上で、「それらを(予定価格と最低制限価格を)知りうるのは、先程申し
上げました三者以外にございません。」
(H23年3月議会、)
いかにも、「入札当日決めるのだから誰も知りようがない」と思わせる答弁でした。
実は私もだまされた一人です。
しかし、ここに「カラクリ」がありました。
その「予定価格」が、「設計金額」と同じだったのです。
事実を示します。
安平橋・・・・・・予定価格=設計金額= 162,351,000 円
追分中学校・・・・予定価格=設計金額= 394,317,000 円
-5-
6,設計金額を計算するのは、施設課・建設課の仕事です。
財政課長答弁
①入札のシステムといたしましては、・・・・・
設計を行う事業課(建設課・施設課など)と・・・
(H23年3月議会)
実は、この「設計を行う」という意味の中に「設計金額の計算」が含まれるのです。
役場が業者に示す設計図書に基づいて算出した工事の見積額が、設計金額だったの
です。
つまり、安平橋を作る時は、
「建設課」が、追分中学校を建てる時は「施設課」が、
それぞれ、予定価格の基礎となる設計金額を計算していたはずです。
「見積額」(設計金額)の計算は担当課の仕事だからです。
7,サギとどれほど違うのか?
町長の意向を受け、答弁に立った財政課長は、「予定価格」に関して次のように答弁
しました。
「予定価格は、一般的に入札当日、町長、副町長、財政課長の
三者で決定する。設計金額を基に・・・取引の実例価格・需要
の状況・履行の難易度、契約数量の多寡、履行期間の長短等を
考慮して決定する。」
問題点
財政課長の答弁は、「予定価格」と「設計金額」が違うという印象を与える
ために、安平町契約規則18条3の「予定価格を定める場合は」の文言を
そのまま述べていますが、実際は、安平橋も追分中学校も「予定価格」と「設
計金額」は同じ金額だったのです。
あたかも、「安平橋・追分中学校」の工事において、予定価格と設計金額が
違い、しかも、予定価格は当日決めたかのような答弁は、「談合疑惑」が
生じている中では、議員を含め我々素人を相手に、「だました」という印象
以外、例えようもありません。
世間ではこういうのを「サギ」というのではありませんか?
三役の誰かが、「予定金額は設計金額を同じだよ」というサインを送ってお
けば、設計金額を知っている担当課職員の誰かは、自動的に予定価格を知
ってしまうことが出来たのです。
落札の3分の1が、予定価格と設計金額が同じ金額 (平成22年度)
財政課で公表している「入札の結果資料」(22年度分)を調べてみますと、
目見当で言えば、(いずれ正確に数えておきますが)およそ、3分の1程度が、
「予定価格」と「設計金額」は同じ金額になっています。
これは、安平橋や追分中学校と同様の「情報漏れ」が、幾つもあることのサイン
とも受け取れます。
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次回は、以下に関して掲載します。多分数日後になります。
「最低制限価格」も施設課・建築課で計算できる!
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