「週刊VISION岡山 3/2発行号」にて

人材育成のタネ⑮
リーダーシップを発揮するためには
今回は、リーダーシップを発揮す
るために求められる具体的な理論を
1つ紹介したいと思います。
「PM理
論」と呼ばれるものです。PM理論
とは、社会心理学者である三隅二不
二(みすみ じゅうじ)氏によって
1966年に提唱されたもので、リー
ダーが集団に働きかける機能とし
て、P機能(Performance
function:目標達成機能)とM機能
(Maintenance function:集団維持
機能)の2つがあると提唱していま
す。それぞれの機能を具体的に言う
とP機能は、目標設定や計画立案、
メンバーへの指示などにより、集団
が生産性を高められるような働きを
することで目標を達成すること。
「課題・TASK志向」ともいいま
す。M機能は、メンバー間の人間関
係を良好に保ち、集団のまとまりを
維持しチームワークを強固にするこ
とで、「人間関係・Relation志向」
ともいいます。
この理論では、2つの機能の強弱
によってリーダーシップを4つの類
型に分類し評価します。アルファ
ベットの大文字はその面が強いこ
と、小文字は弱いことを示していま
す。PM型(P・Mともに大きい)
は、目標を明確に示し、成果を上げ
られると共に、集団をまとめる力も
ある理想型です。Pm型(Pが大き
く、Mが小さい)は、目標を明確に
示し、成果を上げるが、集団をまと
める力が弱い。成果は上げるが人望
がないタイプです。pM型(Pが小さ
く、Mが大きい)は、集団をまとめ
る力はあるが、成果を上げる力が弱
い。人望はあるが、仕事は今ひとつ
というタイプ。pm型(Pが小さく、
Mも小さい)は、両方できないリー
ダー失格タイプです。
では、P機能を向上させるために
は何が必要か。まずリーダーは目標
に対しての具体的な計画と行動への
ブレイクダウンを部下に示すことが
必要です。その強化策は現状業務の
見直しです。目標に対する行動計画
や支持、命令の具体化、特に、現場
を任す場合は何をどこまで任すかを
ハッキリさ
せることで
す。また結
果のフィー
ドバック、
システムの
構 築 と 実
行、問題解
竹本幸史氏
決、役割・
責任の明確化などが問われます。職
場改善で「問題意識が弱い」などを
原因にせず、
「やる気がない」「問題
意識を持たない」という状況に陥っ
ていると考えるべきです。そのよう
な状況をつくり出している業務の問
題点を発見することが本質的な改善
課題となります。
M機能の向上についてですが、メ
ンバー全員が参画できるT(時
間)、P(場)、O(状況、場面)を
作ることです。コミュニケーション
が重要であり、相互によく知り合う
という関係が大切になりますから。
キーワードは思い、受容、共感など
です。また、社会での存在意義もM
機能向上に大きな影響を持ちます。
竹本 幸史 元㈱リクルート岡山支社長。現在は人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH
WORKSを立ち上げ奔走中。くらしき作陽大の非常勤講師も務める。またリーダー養成スクール「法人会員
制・定額制ビジネススクール」を開講中。
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