スライド 1

大都市部(横浜・川崎市内)における
ガンカモ調査地点のリスク評価
背景
「高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)」は
……家伝法が適用されるのは家きんのみ
……野鳥には法定殺,移動禁止等の措置は取れない
しかし,野鳥にも感受性があり,
発症例のある野鳥種(and/orリスク種)は
都市部にも多数飛来している
↓
都市部でもHPAI感染が広がる可能性
都市部での鳥インフルエンザの
危機管理の難しさ
・「餌付け禁止」を打ち出した場所も少なくないが,
給餌のメリット,デメリットについての理解を得にくい
・市民の過剰な反応は避けたいが,
全く無頓着になることも避けたい
・現状では各地での対応状況に差が大きい
↓
↓
鳥インフルエンザの発生に備え,
ある程度以上のコンセンサスの得られるような,
リスクの判断基準を作りたい。
都市部でHPAIのリスク評価をする意義
・都市部では養鶏場の立地がほとんど無い。
・しかし,HPAIの感染源となり得る野鳥は飛来。
・都市部における野生のカモと人の接点は大きい。
・2010-11シーズンには市街地の水面での
野鳥の発症例が少なからずみられた。
↓
↓
都市部の特性に合わせたHPAIのリスク評価が必要
都市部の鳥インフルエンザのリスク評価は…
誰に対して?
◎ ガンカモの飛来地(飛来水面)の管理者
○ 野鳥観察指導者,鳥類研究者
△ ガンカモ飛来地の利用者
(おもに管理者,観察指導者を通じて)
何を警告?
○ カモの越冬集団内における感染持続の危険
○ 越冬地間での病原体の持ち運び
(野鳥による輸送,人による輸送)
○ 保全生物学的な問題の1つとして
△ 野鳥の世界と人間社会の間で病原体が行き来すること
リスク評価の方針
都市部のHPAIのリスクを,
ガンカモ調査地点(環境省)ごとに評価
1.ガンカモの飛来数に応じた重みづけ
2.近隣(その場所に飛来しうる=10km圏内)の
ガンカモ飛来状況を考慮
3.カモと人の接点についての重みづけ
(餌付け,カモの糞のある場所に踏み込む可能性)
↓
各々に評価点を与え,
その合計点からリスクを3段階に評価
・さらに,緊急時対応の優先順位も検討したい
評価点の設定(その1)
1.調査地点のカモの数による重みづけ
いない:0→リスク0(ここで評価終了)
1羽でもいる→1
淡水ガモ100羽以上→加算点1
潜水ガモ1000羽以上→加算点1
取り得る値:0~3
2.近隣のカモの数による重みづけ
淡水ガモ 100羽以上→加算点0.5
1000羽以上→加算点1
潜水ガモ 1000羽以上→加算点0,5
10000羽以上→加算点1
取り得る値:0~2
評価点の設定(その1)
3.カモと人の接点についての重みづけ
3-1.餌付け(=リスク動物の人為的な集中)
餌付け実施(低頻度) →加算点2
餌付け実施(高頻度) →加算点3
餌付け実施(頻度不明) →加算点2.5
給餌の有無が不明→加算点0.5
取り得る値:0~3
3-2.カモの生息環境と人の接点
カモの糞を踏む可能性→加算点2
踏み込み不明→加算点0.5
取り得る値:0~2
評価点と警戒レベルの設定(平常時)
0
1.調査地点のカモの数
(0~3)
警戒レベル1
2.5
2.近隣(10km圏内)のカモの数
(0~2)
警戒レベル2
5
警戒レベル3
3.餌付け
(0~3)
4.カモの生息環境と人の接点
(0~2)
10
HPAI発生時を想定した,緊急時の評価点
加算値(取り得る値:0~3)
当該地:無条件で「厳戒レベル」とする
10km圏内で疫学関連が疑われる→+3
10km圏内で疫学関連が高くない→+2
10km圏外で疫学関連が疑われる→+1
合計値(取り得る値:0~13)
0
1~2.5
3~5
5.5~10
10.5~
→警戒レベル0
→警戒レベル1
→警戒レベル2
→警戒レベル3
→厳戒レベル(=当面,常時監視)
横浜・川崎エリア
ガンカモ飛来地の
リスク評価地図
● 警戒レベル0
● 警戒レベル1
● 警戒レベル2
● 警戒レベル3
シミュレーション
1.発生地として三渓園を想定
2.2013年ガンカモ調査に基づいて
警戒レベルを設定
平常時
三渓園
● 警戒レベル0
● 警戒レベル1
● 警戒レベル2
● 警戒レベル3
緊急時
三渓園
●
●
●
●
●
警戒レベル0
警戒レベル1
警戒レベル2
警戒レベル3
厳戒レベル
リスク評価の応用と今後の展望
都市部のガンカモ飛来水面のリスクを
仕分けすることにより
1.平常時の衛生管理体制指導体制の向上を期待する
2.緊急時に優先的に監視するべき地点を選択できる
さらに,地域の野鳥観察者,野鳥観察指導者と
協力することにより
1.定期的,高頻度に観察をすることで,
限りなくリアルタイムに近い形で,
観察結果をリスクマップに集約することが可能
2.観察者,指導者の危機管理意識の向上