平成25年度レギュラトリーサイエンス新技術開発事業 中間

平成25年度レギュラトリーサイエンス新技術開発事業 中間評価結果
課題
番号
2402
試験研究課題名
実施研究機関
肉用牛農場にお
ける腸管出 血性
大腸菌及びカン
ピロバクター低減
技術の開発
(一財) 東京
顕微鏡院
実施
期間
H24
~26
(株)三菱総合
研究所
研究概要
評価所見
(背景・目的)
2011 年 4 月の富山県等の焼肉店で提供されたユッケを原因食品とした腸管出
血性大腸菌による集団食中毒事件では、死者 5 名を含む患者数が約 200 名にの
ぼった。農林水産省では、同年 8 月に農場段階における食中毒菌の汚染低減の
ための「牛肉の生産衛生管理ハンドブック」を発出したが、今後、より効果の高い
対策を提示していくことが求められている。
本研究では、農場で使用される生菌剤や食品添加物等の微生物制御物質につ
いて比較試験を行い、各物質の排菌抑制効果を検証するとともに、肉用牛におけ
る対象有害微生物の保有率・保有量と牛肉における保有率・保有量の関連性を
分析し、研究結果を「牛肉の生産衛生管理ハンドブック」に反映させるなど、汚染
低減対策の実施に資する。
・それぞれの課題については、概ね計画どおりに研究が進行している。分離菌株に
関する解析では予定されていた以上の成果を上げている。データの不足・強化につ
いて、データ解析を実施している(株)三菱総合研究所と情報交換して実施されたい。
(研究項目)
①腸管出血性大腸菌及びカンピロバクターの汚染実態調査
②分離菌株の解析による動態・汚染の伝播の解析
③新たな衛生対策の導入とその効果の検証
④微生物制御物質(生菌剤等)の投与による肉用牛腸内の腸管出血性大腸菌及
びカンピロバクターの影響評価
⑤肉用牛と牛肉の腸管出血性大腸菌及びカンピロバクター保有の関連性に関す
る調査
2403
寄生虫(クドア・セ クドアのリスク
プテンプンクター 管理技術開発
タ ) に 対 す る リ ス 共同研究機関
ク管理に必要な
技術開発
H24
~26
(背景・目的)
2011 年、薬事食品衛生審議会において、生鮮食品による病因不明の有症事例
について、ヒラメ寄生虫のクドア・セプテンプンクタータの関与が示唆された。また
今後の課題として、ヒラメの養殖段階でのクドア保有稚魚の排除、飼育環境の清
浄化、養殖場における出荷前のモニタリング検査等の対策が必要であるとされた
ところである。
本研究では、ヒラメの種苗生産・養殖施設において、クドア・セプテンプンクタータ
の生活環や感染経路を解明し、飼育方法、宿主である環形動物の除去、供給水
の殺菌等の効果的な感染防除策を開発するほか、ヒラメ成魚の検査法の改良、ヒ
ラメ稚魚での検査法の開発、ヒラメの鮮度を落とさないための冷蔵によるクドア失
活法を開発する。
(研究項目)
①ヒラメの種苗生産・養殖施設等でのクドアの感染防除策の開発
②感染したヒラメ排除のための効率的な検査法等の開発
③商品価値を低下させずにクドアを冷蔵等により失活させる処理方法の開発
④ヒラメ以外の魚種におけるクドアの感染状況調査
総括
評価
・初年度の研究見直しを含め、汚染実態調査(研究項目①関係)などについては、
計画どおりに進行している。研究項目③④については、期待どおりに進行していな
いことが懸念される。このため、最終年度に向けて十分な協議や調査について検討
されたい。
・引き続き行政と連携しながら、定量試験に重点化した調査・研究を計画、実行され
たい。モデルについては、実態に即したものとなるよう、生産者、加工・流通業者へ
の聴き取りを十分行い、得られたデータを基になるべく早期に最終モデルを構築し、
重要管理点の抽出を行われたい。
B
・既に本研究によって、ヒラメの検査法など、多くの技術が開発されている。この成果
を十分に対策に活用してもらいたい。なお、交互宿主の特定については、環形動物
のうち、多毛類に絞りこんでいいのではないか、また、専門家の協力を得た方がい
いのではないかと考える。
・運営チームと十分な連携をとっており、概ね研究計画どおりに研究が進められてい
る。残りの期間では出すべき成果、その達成見込みを精査して、引き続き研究を実
施されたい。
・概ね計画どおりに進んでいるといえる。食中毒の原因と特定されて間がないため、
情報が乏しいクドア・セプテンプンクタータやクドア属に関する新たな知見が集積さ
れつつある。
B
課題
番号
2404
試験研究課題名
実施研究機関
高 病 原 性 鳥 イ ン 鳥取大学
フルエンザの野
生動物による感
染の確認及び消
毒方法の開発
実施
期間
H24
~26
研究概要
評価所見
(背景・目的)
2010 年の高病原性鳥インフルエンザの発生は 9 県 24 農場に及び、国内最大
の事例となった。農林水産省が設置した疫学調査チームの中間とりまとめでは、
感染拡大の要因としてねずみ等小型野生動物の関与が示唆された。このため、
ねずみ(イエネズミ)等が鳥インフルエンザウイルスの感染源となり得るかどうかを
明らかにする。
また、鳥インフルエンザは冬の厳寒期に発生する傾向があるが、低温下での消
毒薬効果、消毒薬に不凍液を添加した場合の消毒効果への影響を明らかにし、
低温下での効果的な消毒方法を開発する。
・研究計画どおりに進捗し、生産現場で活用できる着実な成果が得られていること
から、引き続き行政と連携し、継続して研究を実施することが妥当である。
総括
評価
・現状において研究工程は順調に進捗しており、かつ、各研究課題について有益な
成績が得られているものと判断される。
・既に現場の防疫対策に活用できる多くの成果が得られている。特段のトラブルもな
く、順調に進んでいるように見受けられる。残り1年半だが、この調子で進めていた
だき、より多くの成果が得られることを期待したい。
A
(研究項目)
①高病原性鳥インフルエンザウイルス感染に対するイエネズミの感受性と鶏への
ウイルス伝播に関する研究
②高病原性鳥インフルエンザウイルスに対する低温下での消毒効果と効果的消
毒方法の開発
2406
代替動 物を 用い 東京大学大学
た ワ ク チ ン の 有 院農学生命科
効性確認試験プ 学研究科
ロトコールの開発
H24
~26
(背景・目的)
近年、アジア熱帯地域から侵入した病原体による感染症で牛の異常産が増加し
ており、その防あつにはワクチンの開発が必要だが、牛の妊娠牛を用いた感染及
び効果試験は、場所や供試牛の制約が多い状況。
本研究では、山羊や羊を用いた病原体の感染試験及びワクチンの効果試験を
行い、代替動物を用いたワクチン有効性確認試験プロトコールを開発する。
・残る研究期間で初期の全体目標達成は実際上見込めない状況。25 年度内に実
施可能な検討課題を絞り込み、行政と連携して研究計画を見直すことが妥当であ
る。
(研究項目)
①代替動物を用いた感染試験系モデルの確立
②代替動物を用いたワクチンの有効性確認試験プロトコールの確立
・26 年度のみで目標を達成することは困難であると考えられることから、中止するこ
とも含め計画を見直すことが妥当である。
・動物の感染実験の施設の制約から、当初の研究目標達成は困難と思われる。研
究目標の修正又は再設定を行い成果ととりまとめるべき。
→ 本課題については、行政と連携して研究計画を見直し、25 年度内に実施可能
な課題に絞り込み実施した(25 年度で終了)。
C
課題
番号
2407
試験研究課題名
実施研究機関
ジャガイモシスト
センチュウの根
絶を目指した防
除技術の開発と
防除モデルの策
定
(独)農業・食
品産業技術総
合研究機構
(北海道農業
研究センター)
北海道大学大
学院理学研究
院
北海道立総合
研究機構
長崎県農林技
術開発センタ
ー
実施
期間
H24
~26
研究概要
評価所見
(背景・目的)
馬鈴しょ等ナス科作物の重要害虫であるジャガイモシストセンチュウは、環境耐
性等があるため、既存の防除技術では発生密度の低下は図れるものの、根絶は
困難な状況となっている。このため、発生地域の拡大防止及び根絶技術の開発
が喫緊の課題となっている。
本研究では、ジャガイモシストセンチュウの防除効果が高い技術を開発し、既
存の防除技術と組み合わせて、根絶を目指した防除モデルを策定するとともに、
ジャガイモシストセンチュウを高感度に検出するための技術を開発し、根絶を確認
するための手法を構築する。
・概ね計画どおり進行している。ただし、ふ化促進物質に関しては、現場への適用に
関してまだ多くの不安定要素があるように思われる。
(研究項目)
①ジャガイモシストセンチュウの新たな防除技術の開発
②ジャガイモシストセンチュウの根絶を目指した防除モデルの策定
③ジャガイモシストセンチュウの根絶を確認するための手法の構築
雪印種苗株式
会社
<総括評価の説明>
A:引き続き行政と連携し、継続して研究を実施することが妥当である。
B:行政と連携して研究計画を見直し、研究を実施することが妥当である。
C:研究計画を見直しても目標を達成できる見込みが低いことから、研究課題を中止することが妥当である。
総括
評価
・天然ふ化促進物質の取扱い(農薬又は土壌改良材等)を早急に検討する必要が
ある。なお、ジャガイモシストセンチュウの根絶を目指した防除モデルと根絶確認手
法を構築するため、これまで以上に研究機関と運営チームが連携して実施された
い。
・本研究の目的であるジャガイモシストセンチュウ根絶を目指したモデルを構築する
ためには、まず、厳選した線虫汚染ほ場において、開発した防除技術を適用し、防
除効果を左右する要因の解析と、精度の高い根絶確認法の確立が必要である。
B