武者小路実篤記念館春季展「野菜の美」(PDF文書)

春季展「野菜の美」
会期:3月7日(土)〜4月12日(日)
「武者小路実篤といえば?」こう尋ねると、
「南瓜の画の人」という答えが多
く返ってきます。40 歳を過ぎてから絵筆をとった実篤は、亡くなるまでの約 50
年の画業のなかで、南瓜をはじめとした多くの野菜の画を描きました。
若い頃から、画を見ることは好きでも描くことは苦手だった武者小路実篤で
したが、子どもが生まれたのをきっかけに画を描き始めます。初めのうちは何
を描いても下手すぎると感じていました。下手なのはいいとしても、目で見え
ているのに描けないことに納得がいかず、くり返し、くり返し描いているうち
に少しずつ進歩することに喜びを覚えていきます。病気で寝込む日以外はほぼ
毎日、画を描き続けたというその姿は「いくら下手でも上手くなる」と娘に言
われるほどでした。
描きたい気持ちになるとモチーフを買いに行く時間さえ惜しみ、台所に行け
ば手に入る野菜は、美しさも兼ね備えた良い素材でした。
「自然のつくったもの
はいくら見ても見飽きず、見ているとかきたくなる」といった実篤。彼にとっ
て野菜の画を描くことは、あたりまえにある美しさを再発見する作業のひとつ
でした。
自然が作る野菜の形や色、その内に存在する新鮮な生命力に感動し、自分の
力の限り写生したいと願った実篤。本展覧会では、スケッチ、淡彩画、油彩画、
彫刻、言葉や文学で表現した「野菜の美」をご紹介します。
※展示作品の写真をデータで提供可能です。
◎展示解説
解説:佐藤杏(専門員)
日時:4月5日(日)
午後 1 時 30 分〜2 時 30 分
※申込み不要。時間までに展示室へお集まり下さい。
問合せ
調布市武者小路実篤記念館 担当:佐藤・伊藤
・ 03-3326-0648
<主な展示作品>
■初期の作品
『南瓜』(最初の油画)昭和2年
『馬鈴薯五つ』昭和 20 年
■実篤らしい表現と力強さが充実している八十歳代の作品
『馬鈴薯群居図』昭和 42 年
『冬瓜と南瓜』昭和 41 年
■晩年の作品
『蔬菜図』(最後の油絵)昭和 49 年
『野菜図』昭和 50 年