9月「事例を共有化しよう」改革賞 重点テーマについて、推進月間を設けて取組の質の向上を目指しています。 件 名 所 属 電子データの活用による他都道府県への課税標準額等通知 1 システムの作成 静岡財務事務所 直税第1課 2 民間賃貸住宅を活用した借上げ型応急住宅の登録制度の創設 県民部 住まいづくり室 3 経営事項審査における利用者の利便性向上 建設部 建設業室 戦略広報誌「ふじのくに防災(賀茂版)∼安全・安心だより∼」 4 の創刊 賀茂危機管理局 危機管理課 全国的なコンクールの活用で一石三鳥∼成果を見せて 5 進める“静岡型農業構造改革” 産業部 農業振興室 6 遠隔地にある組織の情報の共有 農林技術研究所 果樹研究センター 7 コーヒー粕を使って良質たい肥作りを実現 産業部 畜産技術研究所 1.電子データの活用による他都道府県への課税標準額等通知 システムの作成 【静岡財務事務所 直税第1課】 ︻課税標準額通知書の例︼ 他の都道府県に課税標準額等を通知するにあたって、必要 なデータを紙台帳から帳票に転記し、コピーする等の作業を 行い、多くの時間がかかっていました。 そこで、紙台帳を電子データ化した上で、大型コンピュータ から毎月配信される課税標準額通知データと結合するシステ ムを開発し、通知書を自動作成できるようにしました。 その結果、転記等の単純作業がなくなり、事務の正確性・効 率性が向上し、通知書作成に要する時間を年間で11,520分間 節減することができました。 明治大学公共政策大学院 北大路教授から一言 常にさらなる正確性と効率性を追求し続けるという、この職場の強い意欲が伝わってきます。 善は急げという姿勢も、この職場で共有されている改善改革の極意のように思われます。 2.民間賃貸住宅を活用した借上げ型応急住宅の登録制度の創設 【県民部 住まいづくり室】 災害発生後の避難所生活の長期化を避けるため、必 届出 [ 協 会名 等 ] 【届出済住宅に設置するパネル】 要な応急住宅を早期に確保できるようにすることが課題 となっていました。 そこで、応急仮設住宅の建設に加えて、民間賃貸住宅 を借上げて応急住宅として使用できるよう、関係団体と協 定を締結し、物件の事前登録制度を創設しました。 その結果、平成21年9月の制度運用開始から1ヶ月間で 200戸の登録があり、応急住宅の早期確保が可能となり ました。また、今後目標とする1万戸の登録が実現すれば、 全戸を応急仮設住宅として建設した場合に比べて、約 200億円の経費節減が期待できます。 明治大学公共政策大学院 北大路教授から一言 避難所暮らしをできるだけ短くし、被災者に早く住まいを提供したいという思いから、素晴ら しい取り組みが始まりました。入居までの時間、コスト等の全ての面で、仮設住宅建設よりずっ と有利なこの方式を、もっともっと拡げようと働きかけを続けているそうです。 3.経営事項審査における利用者の利便性向上 【建設部 建設業室】 公共事業を請け負う建設業者は経営事項審査を受 【審査風景】 けることが義務付けられており、年間で約5,000社が 受審していますが、①遠隔地の申請者にとって関係 書類の入手が不便である、②申請書類の作成ミスの ため事前審査の時間が長くなる、③データ処理に時 間がかかる、といった問題が生じていました。 そこで、①関係書類をホームページに掲載、②提出 書類の簡素化やミス防止のための情報提供の実施、 ③データ処理に必要な書類を一括して提出、といった 改善を行いました。 その結果、事前審査の時間を1件当たり10分間、デー タ処理の時間を10日間それぞれ短縮できました。ま た、利用者からも「とても便利になった」との声が多く 寄せられました。 静岡産業大学 大坪学長から一言 利用者に利便を提供して好感を得ただけでなく、審査側の効率も向上させた一石二鳥の改革 です。行政改革の本筋をおさえた取組と評価できます。こうしたWIN-WINの改革は、他部 署でもぜひ参考にしていただきたいと思います。 4.戦略広報誌「ふじのくに防災(賀茂版)∼安全・安心だより∼」 の創刊 【賀茂危機管理局 危機管理課】 ︻ふじのくに防災∼安全・安心だより∼︼ 地域をあげて防災に取り組む環境づくりを促進するため、 住民目線で幅広く情報発信をしていくことが課題となってい ました。 そこで、戦略広報誌「ふじのくに防災(賀茂版)∼安全・安 心だより∼」を創刊し、メーリングリストでのメール発信やホー ムページへの掲載、管内市町での全戸回覧などを行うよう にしました。なお、創刊にあたっては、発行手続きを簡素化 してタイムリーに情報発信できるように工夫しました。 その結果、地域の方から記事への関心が寄せられ、また 自発的に防災活動に参加する方が増加するなど、防災に 対する意識が向上しました。 静岡産業大学 大坪学長から一言 住民は身近な情報にこそ関心を持つということに着目して、地域の防災情報に絞込み、その 地域の住民をターゲットに情報を発信する仕組みを作ったよい事例です。網羅的、包括的に なりがちな行政の情報発信を転換しており、今後の他の部署でも参考になる方法です。 5.全国的なコンクールの活用で一石三鳥∼成果を見せて 進める“静岡型農業構造改革” 【産業部 農業振興室】 静岡型農業構造改革の核となる企業的な大規模経営 【全国コンクールでの表彰式】 を行う“ビジネス経営体”を育成するにあたって、“ビジネ ス経営体”は従来にない概念であることから、具体像を 示して関係者の理解を深めることが課題でした。 そこで、農業の経営面を評価する全国規模のコンクー ルに県内の優れたビジネス経営体を推薦し、その成果 を県内外にPRすることにしました。 その結果、毎年、コンクールで優秀な成績を収めて広 範なPRをすることができ、ビジネス経営体に対する理解 の拡大にもつながりました。 静岡産業大学 大坪学長から一言 新しいビジネスモデルの構築とその有効性の検証にコンクールの場を活用した興味深い、意 外性のある取組です。コンクールにこんな活用方法があることに驚きました。広範なPRに 成功し、モデルの構築と情報共有化の推進につながったことも注目されます。 6.遠隔地にある組織の情報の共有 【農林技術研究所 果樹研究センター】 農林技術研究所内の果樹研究センター、落葉果樹研究 【各所のカレンダーが閲覧可能に】 拠点、伊豆農業研究センターは旧柑橘試験場の分場であり、 互いに関連した研究業務を行っているため、個々の職員の 予定などの情報を共有することが必要でした。 そこで、それぞれ遠隔地にある情報を共有するにはSDO の機能を活用することが最適であると考え、電子県庁室に 申請を行い、所属メールのカレンダー機能を相互に閲覧で きるようにしました。 その結果、各所の予定やその変更がリアルタイムに把握 可能となり、スケジュール調整がスムーズに行えるようにな りました。 静岡産業大学 大坪学長から一言 遠隔地がITの活用で「遠隔地」ではなくなりました。ITの活用で、お互いに他部署の活 動を知り、行政活動をより一体化、効率化することができることを、この取組は示していま す。全庁的にもこの手法は活用できるのではないでしょうか。 7.コーヒー粕を使って良質たい肥作りを実現 【産業部 畜産技術研究所】 牧草地ではふんだんに牛ふんたい肥を散布して草作りを 【たい肥の上に散布されたコーヒー粕】 していますが、観光シーズンや観光道路沿いには臭いの問 題から散布することができませんでした。 そこで、静岡県はお茶だけでなくコーヒー飲料の生産量も 全国有数であり、大量に排出されるコーヒー粕をたい肥に混 合することにより、臭気の低いたい肥を作ることができるよう、 研究開発していた技術を現場に応用しました。 その結果、たい肥散布時の苦情がなくなったほか、コーヒー 粕は短時間でも高い発酵熱が発生するので、たい肥作りの ための作業時間や労力を減少させることができました。 明治大学公共政策大学院 北大路教授から一言 単なる産業廃棄物であった大量のコーヒー粕が資源として利用され、牧草の育成に欠かせな い堆肥が短時間・低負担で生産され、観光資源としての草原も悪臭という弱点が克服される という、一石数鳥の画期的な研究成果が実用化されました。畜産農家、缶コーヒーメーカー 等たくさんの人々にとってのメリットとなるノウハウが、静岡県の研究機関から全国へ発信 されることになります。心から拍手を送りたいと思います。
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