鳥取県子どもの貧困対策推進計画(素案) 1 計画の趣旨 「子どもの貧困対策の推進に関する法律」 (以下「法」という。 )が平成26年1月に施行され、同法 第9条第1項において、都道府県は政府が定める子どもの貧困対策に関する大綱を勘案して子どもの貧 困対策についての計画を定めるよう努めることが規定されました。そして、平成26年8月に「子供の 貧困対策に関する大綱」が策定されました。 こうした動きを踏まえ、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることなく、全ての 子どもたちが夢と希望を持って成長していけるよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよ う、子どもの貧困対策を総合的に推進するための基本指針となる計画を策定します。 なお、この計画は、鳥取県ひとり親家庭等自立促進計画、とっとり若者自立応援プラン及び鳥取県子 ども子育て支援事業支援計画との関連性を踏まえ、各計画に記載されている関連施策と一体的に推進し ていくものとします。 2 計画の位置付け この計画は、法第9条第1項に定める都道府県計画として策定します。 3 計画期間 この計画の期間は、平成27年4月から平成32年3月までの5年間とします。 4 具体的な取組 これまで取り組んできた各種施策を引き続き実施するとともに、次の4つの柱の施策について重点的 に取り組みます。 (1)教育の支援 家庭の経済状況にかかわらず、全ての子どもが学ぶ意欲を喚起され、質の高い教育を受けて能力・ 可能性を最大限伸ばし、それぞれの夢に挑戦できるようにすることが一人一人の豊かな人生の実現 につながります。経済的な問題で子どもたちが夢をあきらめることがないよう、学習環境の整備等 に取り組みます。 ○ 家庭環境や住んでいる地域に左右されず学校に通う子どもの学力が保障されるよう少人数学級 等をはじめとしたきめ細かな指導を行います。 ○ 子どもたちが抱える様々な問題に寄り添い、成長をしっかりと支えていくため、スクールカウン セラー、スクールソーシャルワーカー等の専門員による相談体制・支援体制の充実を図ります。 ○子どもたちの放課後や土曜日等における教育活動の充実を図るため、学校・家庭・地域が連携協 力して、学校や地域における多様な学習や体験活動の機会を提供します。 ○ 生活保護世帯の子どもを含む生活困窮世帯の子ども、 ひとり親家庭の子ども及び児童養護施設等 に入所している子どもを対象に学習支援を行う取組を推進・支援します。 (2)生活の支援 貧困世帯は心身の健康、家庭、人間関係など複合的で多様な課題を抱えていることが多く、また、 地域社会からの孤立や理解者不在などにより、 一層困難な状況に置かれてしまう可能性があるため、 貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、子どもとその保護者の生活支援を展開します。 ○ 複合的な課題を抱える生活困窮者に対し、生活困窮状態からの自立を支援するため、就労その他 の自立に関する包括的な相談支援を行うとともに、必要に応じて適切な関係機関につなぎます。 ○ ひとり親家庭が安心して子育てを行いながら就業及び就職活動等を行うことができるよう、 市町 村との連携のもと、多様な保育・子育て支援サービスの提供、保育所への優先入所、放課後児童 クラブの充実、公営住宅の優先入居などの支援を行います。 ○ ひとり親家庭の就業者の子育てをはじめとした様々な悩みや相談を身近な場所で受け付け、 支援 策等に関する情報を提供するとともに、支援機関等に適切につなぐ相談機能の充実を図ります。 (3)保護者に対する就労の支援 保護者の就労は、生活の安定を図る上で重要であることはもちろん、家族がゆとりを持って接す る時間の確保や、保護者が働く姿を子どもに示すことによって、子どもが労働の価値や意味を学ぶ ことにもつながり、教育的意義からも重要です。関係機関と連携しながら、保護者の就労支援の充 実を図ります。 ○ 生活困窮者や生活保護受給者に対し、就労支援員による支援、ハローワークと福祉事務所等のチ ーム支援、各種就労支援機関等との連携による就労準備段階での支援、求職活動中の家賃相当額 の給付など、きめ細かい支援を行います。 ○ ひとり親家庭の職業能力向上のための訓練、効果的な就業あっせん、就業機会の創出など、就業 面での支援の充実を図ります。 (4)経済的支援 子どもの貧困対策を進めるに当たっては、 教育や就労、 生活に係る様々な取組を進めていくほか、 生活保護や各種手当など、金銭での給付や貸与、現物給付(サービス)等を組み合わせた形で世帯 の生活の基礎を下支えしていく必要があり、経済的支援に関する施策については、子どもの貧困対 策の重要な条件として確保していく必要があります。 ○ 生活保護世帯の子どもが高等学校等に進学する際に入学料、入学考査料等を支給します。また、 生活保護世帯の高校生の就労収入が本人の高校卒業後の進学費用に充てられる場合は収入とし て認定しない取扱いとするなど、安心して就学できるよう引き続き支援します。 ○ 児童扶養手当の支給、母子及び父子福祉資金の適切な貸付や医療費の助成等を行い、ひとり親家 庭の生活の安定と向上及び自立を図ります。 ○ 両親の離婚後、 養育費の支払いが適切に行われることは親としての経済的な責任を果たすだけで はなく、子どもの福祉の観点からも望ましいことであることから、養育費の取り決め及び取得が 可能となるよう、その手続等を支援します。 ○ 勉学意欲がありながら経済的な理由により就学が困難な生徒に対し、授業料の減免を行います。 また、高校生が等しく教育を受ける機会を確保するため、高等学校等就学支援金を支給します。 さらに、授業料以外の教育費負担を軽減するため、平成26年度以降の市町村民税非課税世帯の 入学者を対象に返済不要の奨学給付金を支給し、子どもの就学を支援します。 ○ 経済的理由で就学が困難な者に対して奨学金制度により引き続き支援します。 ○ 特別支援学校に就学する幼児・児童・生徒の保護者等に対し、 就学に必要な経費の一部を助成し、 保護者等の経済的負担を軽減します。 5 計画の推進体制及び進捗管理 この計画の着実な推進を図るため、市町村をはじめ、県民、事業者、関係団体等と相互に連携・協力 するとともに、毎年度、子育て王国とっとり会議において、計画の進捗状況を点検・評価し、適切な進 行管理を行います。
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