IE04 プロジェクトマネジメントオフィス 要旨 1.背景 開発案件が大規模かつ複雑化してきている昨今、7割のプロジェクトが『時間/費用/ 何をどこまでやる』という点において目標を達成できていないという統計情報がある。 近年、プロジェクトを成功に導くための役割として「プロジェクトマネジメントオフィ ス(以下 PMO)」が注目されている。 PMBOK では PMO を「複数プロジェクトを一元的に管理するグループ」と定義しているが、 それ以上具体的な記述は少なく一般的な情報(書籍等)も多く無い。 試しに実例を調べてみたところ、PMO が行う業務は数多く存在する事は判明したが、一体 どの業務を優先して行えば良いのかが不明であった。また PM との違いも定義されていな い為、明確な PMO 像がイメージ出来なかった。 そのため当研究グループでは、これから PMO になる方が役目を理解し業務を行えるよう になるため「PMO を具体化する」研究を行う事とした。 2.研究概要 書籍/実例/セミナー等で情報収集を行い、PMO について研究を進めていくと、一言で PMO と言っても大きく分けると2つのタイプが存在することがわかった。 ・個別プロジェクトにてプロジェクトマネージャ(以下 PM)のサポートを実施する。 「プロジェクト付 PMO」 ・経営者層近くに常設組織として位置する。 「全社 PMO」 当研究グループでは、個別プロジェクトにおけるチーム間の横断・統合管理組織が多く 存在し、今の現場ではこちらの解釈が一般的と考え、 「プロジェクト付 PMO」を研究の対 象とした。 PM と PMO の違い PMO は PM のサポートを行うのが主たる役目だが、実施する業務は PM と変わらない。 PMO を正しく機能させるには「PM との違い」を明確にすべきであると考え、協議の結果 以下と定義した。 ① PMO は PM を支援する者であって、決定権は無い。 ② プロジェクトマネジメントや開発の基準・標準を策定して、組織内のプロジェクト に基準・標準の適用を促す。 PM が個別のプロジェクトに対して責任を負う以上、個別最適を優先する傾向が強い。 PMO は全体視点に立った監視という役割を負うが、PM の後方支援部隊という役割こそが 存在意義である。 2014 Beacon Users' Group IE04 プロジェクトマネジメントオフィス 要旨 行うべき役割/機能 簡潔に言えば、PM が行うプロジェクトマネジメントの支援を行うことだが、プロジェ クトの規模や状況等により求められる役割は変化する。 本研究では PMO を以下の3タイプに分類し、それぞれの役割と果たすべき機能を明確 にすることで、PMO がより適切な支援活動を行えると考えた。 PMO タイプ 事務局型 PMO 管理実行型 PMO 役割 プロジェクトに関わる事務 手続きを行う。 PM に代わり、プロジェクト 管理を行う。 果たすべき機能 基本情報整備 作業環境整備 各種社内手続き プロジェクト管理の徹底 プロジェクト状況の可視化 プロジェクト管理の標準化 コンサルティング 参謀型 PMO PM と共にプロジェクトの 意思決定支援 リスク/課題を等の対応を トラブルシュート 行う。 メンタリング 臨機応変な対応 3.考察・まとめ 今回の研究対象は多岐に渡る PMO の一つの類型にすぎないが、PMO の役割は非常に多い。 正しく PMO の役割を理解せずにプロジェクトに参画しても、無駄な作業を増やしてしま い、PM やプロジェクトメンバーから不信を買うだろう。 しかし、 「プロジェクトの状況/特性」や「PM が求めている役割」を考慮すれば、実施し なければならない役割は限られており、的確な役割を行う事で PM やメンバーからも信頼 が得られるだろう。 本研究を通じて、PMO としてプロジェクトへ参画する事への不安が少しでも拭えれば幸いで ある。 2014 Beacon Users' Group
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