船倉 里美さん

九州のがんばる農山漁村の女性たち Vol.15
取材日:H26.11.13
吹上黒豚 ふなくら
ふなくら さ と み
船倉 里美さん
〔プロフィール〕
就農のきっかけ
結婚後、経営移譲を期に養豚業を継ぐ
営農地・農産物
鹿児島県日置市吹上町で養豚業、精肉の製
造・販売
近年の主なネット
ワーク活動
H25「あぐりロマンひおき」の会長として
農林水産省女性経営者発展支援事業ワーク
ショップ開催
「鹿児島黒豚」の生産から飼育までの一貫経営、精肉の製造・販売を行いながら、
女性のネットワーク活動を積極的に行う船倉里美さんの取組をご紹介します。
受け継いだ「鹿児島黒豚」の種を守り、皆に食べてもらいたい!
もともと実家が養豚業を営んでおり、同業者の夫と結婚後は手伝いの期
間を経て、経営移譲を期に夫と共に営んでいます。鹿児島県の指定種豚農
場として原種豚販売と肉豚販売を行っており、生産から飼育までの一貫経
営です。黒豚は良い肉質を作るために、じっくり8ヶ月半∼9ヶ月かけて飼
育することが大切で、最後の2ヶ月でグッと大きくなるため、最後の追い込
みが重要です。豚の免疫力を高めて丈夫な豚を飼育し多くの方々に食べて
もらいたい、先代から受け継いだ「鹿児島黒豚」の種を守りたい、という
想いで、夫と作業を分担しながら励んでいます。
2年前、日置市の物産館から「カット黒豚を販売したい」と要望があっ
たことがきっかけで、加工室を設置しました。加工は主に里美さんの担当
で、現在地域の農産物販売所3ヶ所で少量パックを中心に販売しています。
惣菜・加工品についても、今後に向けて商品開発を検討中です!
※完成した加工室とロゴマーク
豚の高級ブランドとして
鹿児島県の「黒豚」が有
名ですが、鹿児島県では
独自の基準を設けており、
基準をクリアした豚だけ
が「鹿児島黒豚」として
商標登録されています。
∼ 「カット黒豚」売れ行きの傾向は?!∼
当初は300gずつパックして販売していましたが、売れ行きは伸
びませんでした。そこで、ワンコイン(500円)で手軽に買える少
量パックを増やしたところ好評!また、トンカツ用やしゃぶしゃぶ用
のほか、家庭ですぐに使えるよう、細かくカットした黒豚など販売し
ています。販売量を増やすには、工夫次第だと実感しました!
∼加工品開発に向けて、グループインタビューを行いました∼
今後の加工品開発に向けて、平成22年から先進地研修や試作品づくりなど
検討を重ね、平成23年にメンチカツのグループインタビューを行いました。
インタビューを行った結果、若い方はボリューム重視で、年配の方は量は少
なくても、より良いものが食べたいという傾向が見られました。消費者ニー
ズや原価を的確に把握することが大切で、商品の大きさや値段の決定に周囲
の声は重要なファクターです。
当初、メンチカツ・味噌漬け・塩 漬けなどのお惣菜を1頭の豚から効率
的に加工することを検討していましたが、通常業務をこなしながら1人で行
うには困難で、信頼できる仲間作りが重要だと実感しています。
∼消費者ニーズについて∼
田舎では野菜は自家栽培している家庭が多い
ですが、魚肉類は購入する必要があります。し
かし、高齢の方は遠方まで買い物に行くことが
困難です。「カット黒豚」はニーズがあり、現
在は実家の母も注文を受けてくれています。
ヨーロッパの海外研修に参加し、良い刺激となりました!
鹿児島県の支援により、県内女性農業者10名でヨーロッ
パへ海外研修に参加しました。グリーン・ツーリズムやレ
ストランなど先進的な農業経営を学び、この研修がきっか
けで6次産業化に目覚めました。10名の仲間とは現在も
年に一度懇親会を開き情報交換しています。広い世界を見
て視野が広がったこと、日常では出会うことのない仲間が
できたことは、私の財産です!
「あぐりロマンひおき」の先輩方は私の目標です!
女性農業経営者と農村女性ホームリーダーで構成されているネットワーク「あぐり
ロマンひおき」のメンバーとして活動しています。活躍されている先輩方の色んな経
験や知恵を聞くことは人生の勉強になり、先輩方は私の目標でもあります!
これからがんばる農山漁村の女性たちへのメッセージ
∼基本がどこにあるのか、しっかり見極めて!∼
黒豚の生産・飼育、加工など色々行ってきて感じ
たことは「基本がどこにあるのか、キチンと見極め
ること!」経営の基盤を固めながら、どこに重きを
置くべきか判断し、身の丈に合った方法で6次産業
化に進んでいくことが大切だと思っています。
また、6次産業化には仲間(ネットワーク)が必
要です。信頼できる仲間同士で意見を出し合いなが
ら取り組むことが理想ですね!