ノーグルカンによる醸造用二粂 大麦麦芽晶質の一次選抜 1.試験のねらい 醸造用二条大麦(以下、ビール麦)のβ一グルカン含量は麦芽形質と関連が深く、今まで製麦 し分析しなければ評価できなかった麦芽晶質を、原麦β一グルカン含量で推定できる可能性が明 らかにされた。そこで:一育種の省ヵ化を車るため、同含量による麦芽晶質面での∵次選抜を検討 した。 2 試験方法 ,二遇奉に製麦・・麦芽分析による晶質選抜宇一切行っていない①1989年産の・・17組合せ2・・系 統および標準として栽植したミサトゴールデン、ミカモゴールデン各7反復、②1990年産のF. 36組合せユ74系統および同標準各8反復、を用い、原麦のβ一グルカン含量を定量し、これによ る選抜を試行した。なお、原麦β一グルカン含量はMc C皿蛆らの方法6)に準じ定量した。 3.試験結果およぴ考察 (1)原麦β一グルカン含量について、両年とも系統間差異が認められ、その分布は正規分布に近 く、立毛畢抜Fよる歪みはみられなかった.て図一1上)。ミサトゴールデン、ミカモゴールデ ンについて、1990年産は1989年産に比べ平均で各々0.5%程度高く、栽植年度による変動 がみられた。 (2)一製麦・麦芽分析の結果、.ミサトゴールデンに比べ麦芽晶質が優れる系統を良質系統・並およ び劣る系統を不良系統とした場合、’両年とも1■3が良質系統、2■3が不良系統と評価され た(図一1中、下)。なお、不良系統の平均原麦β一グルカン含量は良質系統よわ商年とも約 0.志%高かった。 (3)原麦β一グルカン含量で晶質の二次選抜を行ろ場合、本供試材料では淘汰圧20∼30%で良質 系統を捨てることなく不良系統の35∼40%を濁汰できた(図一2)。しか’し、淘汰圧は供試材 料で変わり、また、環境変異を考慮し、常に標準を供試し選抜することが妥当と考えられた。 (4)ミサトゴールデンを標準とし、その含量以上の系統を淘汰した場合、両年とも良質系統を捨 てることなく、一不良系統の半分近くを淘沐することができた。この場合ρ淘沐圧は25%であっ た。ミカモゴールデンを標準とした場合は不良系統をぼぼ淘汰できるが、良質系統の2■3を 捨てることとなった。 (5)当場ではF。世代から製麦・麦芽分析を実施している。この晶質一次選抜法を導入し、麦芽 晶質の低い系統を前もって除くことができれば、ビール麦育種にとって大きな省力化となる。 4.成果の要約 過去に製麦・麦芽分析による晶質選抜を一切行っていない材料について、原麦β一グルカン含 量苧こ幸る麦芋品質面下の一次選抜を試行した。本試験では淘汰圧20∼芦0%で、、製麦・麦芽分析に より良質と評価された系統をほとんど捨てることなく不良系統の35∼40%を淘汰できた。原麦β 一グルカン含量には環境変異があり、これによる晶質の一次選抜を行う場合は選抜の標準を供試 ’する必要がある。本試験では、ミサトゴールデンを選抜の標準とし、その原麦β一グルカン含量 以上の系統を淘汰した場合、良質系統を捨てることなく木良系統の半分近くを淘汰することがで きた。 ’ ’ ’ ’ (担当者栃未分場 伊藤 浩*)*)現育種部 一43一 B:ユ990隼産 ..A:.・1989年産一.. 80 ←一→ ←一→ ミカモ ミサト ←一→トー一→ ミカモ ミサト 全供試系続 60 系一 .統犯 数 20 ② 8② 60 系 良軍’采続 統柵 数 2② o 8② 不良系綾 60 系 続4② 糾 狐2⑦ o % ’ ’ ・・ 2−93.33.74.1 3.33.7.4.14.54.9,5.ユ灼 原麦β一ダルカン含量 .. 原麦β一グルカン含量 図一1 原麦β一グルカン含一量の頻度分布 □.□o o % A:1989隼産 .’一’♂ B:一1990隼産 ・一‘己一 □! .・ 一!貝 淘80 ノ/ ρ 口/! 。② 1 ! !!.・o 4② / 。・ .! ノ 。■ / ・’ 率20! o .ロク 。ノ 終圧厄・ρ‘ 嘉。ぴげ0‘ ② 2② 4② 60 ’ 8② % 0 20 40 6②. 8② % 淘汰圧 ’. 淘汰圧 図一2 原麦β一グルカン含量による選抜効率 □:不良系統 口:良質系統 一44一
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