本体 その7

10.合算状況リストへの対応【課税の正確性】(意見)
合算状況リストへの対応漏れを防ぐため入力者、点検者のダブルチェッ
クを行っているとのことであったが、下記のとおり、実地調査対象市税事
務所のうち弁天町市税事務所、あべの市税事務所では証跡を残していたが、
梅田市税事務所は証跡を残していなかった。
市税事務所
実地調査
梅田
弁天町
あべの
合算状況リストにつき担当者が処
入力者が印を押
合算状況リストの処理の証跡
理済欄印を押し、実施後、入力者、
している。
点検者が印を押している。
対応漏れの有無をチェックする観点から、チェックリストへ「入力・点
検」欄を作成し、ダブルチェックする仕組を構築し、その旨マニュアル等
に明記することが望まれる。
11.給与支払報告書未提出調査の結果が「不明」「返戻」の分析【課税調
査の有効性】(意見)
船場法人市税事務所では、給与支払報告書未提出調査の「不明」分につ
いては、継続調査の対象として、翌年度に給与督促はがきを送付している。
また、個人照会返戻分については、返戻の記録を残し、翌年度の給与支払
報告書の提出状況を確認することとしている、とのことである。
平成 25 年度においては、5,965 件の給与支払報告書未提出調査に対して
1,428 件の提出を受けているが、3,545 件については「不明」「返戻」と
なっており、その原因分析がされていない。
給与支払報告書未提出調査は、課税の公平性の観点から、また、78,261
千円の調定異動額のある重要な調査であることから、担当部署の責任者は、
調査を行ったが「返戻」や「不明」となってしまった件数について、経年
比較や給与督促はがき送付件数等関連指標との分析を実施し、「返戻」や
「不明」件数が異常に増加していないか、増加しているならばその原因や
対策はどうするかについて分析することが望まれる。
12.減免申請書類の添付書類提出漏れ【減免事務の合規性】(結果)
弁天町市税事務所における平成 25 年 6 月上旬に提出された減免申請書
16 件を査閲したところ、大阪市市税条例施行規則第 4 条第 1 項で提出が求
められている申請者の収入状況を示す書類 8 件及び預金残高を示す書類 11
53
件の添付漏れが発見された。
大阪市市税条例施行規則第 4 条第 1 項において「市税の減免を受けよう
とする者は、その理由を記載した申請書にその証拠となる書類を添付」す
ることが求められている。しかし、弁天町市税事務所によると、平成 25 年
度から市の減免に関する規程が見直され、預金通帳・収入を証明する書類
の添付が新たに必要となったことについて職員への周知が足りず、書類の
確認を行い減免要件を満たすことは確認したものの書類が添付漏れとなっ
てしまったとのことである(ただし、市は 6 月中旬に再度周知を行ってお
り、それ以降の減免申請書を査閲したところ、当該書類の添付漏れの状況
は改善されていた)。
他の市税事務所では、減免申請書類の添付漏れを防ぎ、減免の要件を満
たすことの確認を行うために、減免申請書類に、必要書類等に関する
チェックリストを添付している。弁天町市税事務所においても、減免申請
書類にチェックリストの添付をすることが望まれる。
13.減免申請受付時のすべての口座残高の確認【減免事務の有効性】(意
見)
減免要件の趣旨から考えると、減免申請を受け付けるにあたっては給与
受取等に使われる等のメイン口座を含むすべての口座の預金残高を確認す
ることが、預金残高の網羅性確保の観点から重要である。12.「減免申請書
類の添付書類提出漏れ」に記載のチェックリストには「すべての口座の預
金残高が確認できる書類」を必要書類として記載し、減免申請受付時には、
給与受取口座等のメイン口座を含むすべての預金口座の預金残高が提示さ
れているかについて疑義のある場合はさらに詳しく調査を行い、未提出の
口座があるならばすべての預金口座残高の提示を指導した上で、減免の可
否を判断すべきである。
14.減免申請書類における添付資料の追加【減免事務の有効性】(結果)
あべの市税事務所の平成 25 年度減免申請受付番号 398 番については、減
免申請時の「預金の残高を証明する書類」として、名義人の名前が確認で
きないネットバンキング画面の写しが提出されていた。提出されたネット
バンキング画面の写しの預金残高は減免の申請要件を満たすものではあっ
たが、申請者が、預金通帳を紛失し、通帳の再発行には再発行手数料
1,050 円を要するため、経済的負担が大きく、再発行は困難と主張したこ
とから、あべの市税事務所では通帳の再発行までは求めず、ネットバンキ
ング画面の写しによる預金残高の証明を「預金の残高を証明する書類」と
54
して、認めたとのことである。
口座の残高の確認は名義人の確認をあわせて実施するために、預金口座
の名義及びその残高の記載を含む書類の添付を求める必要があった。
なお、個人市民税減免事務取扱要領において、「預金の残高を証明する書
類」として「名義人と預金残高が確認できる書類」を追加することが望ま
れる。
55