インターネットでの情報提供 提供予定日 2月14日 平成27年2月13日(金) 県政記者クラブ配布資料 担 当 課 担 当 係 担当者 産業技術課 技術支援係 山口 農 政 課 農業研究推進係 石垣・宮崎 林 政 課 政策企画係 小木曽 電話番号 内線 3099 直通 058-272-8366 内線 2804 直通 058-272-8415 内線 3019 直通 058-272-8470 安全安心の清流の国づくり研究開発プロジェクトについて ~安心して暮らせる岐阜県づくりをめざして~ 県では、東日本大震災を契機に、近い将来に発生が危惧されている「南海トラフ巨大地震」や近年多 発している豪雨災害などから県民の生命財産を守るため、「安全安心の清流の国づくり研究開発プロジ ェクト(平成24年度から平成26年度)」に取り組んできました。 このプロジェクトでは、「防災・減災」と「環境・エネルギー」の2つのテーマから、災害時に懸念 される8つの課題について、県試験研究機関と民間事業者、大学が英知を結集し研究開発を行ってきま した。 このたび、このプロジェクトから生まれた研究成果をご紹介します。 記 1 安全安心の清流の国づくり研究開発プロジェクト課題 (1)防災・減災をテーマとした研究課題 県試験研究機関名 研究課題名 産業技術センター ① 被災者のストレスを緩和する機能性繊維素材の開発 情報技術研究所 ② 防災情報システムの高機能化に関する研究 セラミックス研究所 生活技術研究所 中山間農業研究所 ③ 停電時に有効な非常誘導用建材の開発 ④ 避難所における快適環境を提供する高機能建材の開発 ⑤ 農地被災を克服する農産物の低コスト隔離栽培技術の開発 ⑥ 園芸作物の高品質生産を可能とする汎用性低コスト雨よけハウスの開発 (2)環境・エネルギーをテーマとした研究課題 県試験研究機関名 研究課題名 産業技術センター ⑦ バイオ燃料の効率的生産技術の開発 森 林 研 究 所 ⑧ 森林の水土保全機能を高める森林制御方法の開発 2 研究開発成果の概要 ① 被災者のストレスを緩和する機能性繊維素材の開発(産業技術センター) 開発の目標 避難所等での被災者のストレス緩和を図るため、軽量性、吸水速乾性、汗をかい た時でも肌がドライに感じる特殊繊維を開発し避難所生活に役立つ安価な衣料品 を提供する。 成果の概要 産業技術センターのオリジナル技術である、染色することができるポリプロピレ ン※(可染 PP)繊維の製造基本技術を発展させて、可染 PP 繊維わたを試作し、イ ンナー素材用の可染 PP 紡績糸を試作した。この可染 PP 紡 績糸と綿糸を混用して 2 層構造等のニット生地を企画・作 製することで、染色ができ、軽量で、保温性、吸水速乾性、 着用時のドライ感に優れる素材を提 供できることがわかった。 今後は、可染 PP 繊維わたの量産 化に関する課題を解決し、平成 27 年度の商品化を目指す。 ※従来のポリプロピレン繊維は染色加工が非 常に難しく、衣料では使用用途が限られる。 成果のHP 試作したインナー 可染 PP 紡績 http://www.iri.rd.pref.gifu.lg.jp/html/news/2014/news20150215-1.php ② 防災情報システムの高機能化に関する研究(情報技術研究所) 開発の目標 災害情報の収集・公表において地理情報システム(GIS)の活用は不可欠だが、県 統合型 GIS を活用したシステムでは、スマートフォン非対応などの課題があった。 そこで、スマートフォンを用いた情報インターフェイスの開発などによりこれらの 課題を解決し、システムの高機能化を図る。 成果の概要 スマートフォン非対応の県統合型 GIS をスマートフォンのアプリから利活用でき る機能を開発した。 この機能を活用し、スマートフォン非対応で試 験的に運用していた「防災リポート ch」用に、 スマートフォンから利用できるアプリ(android 版、iPhone 版)を開発した。 これにより、防災リポート ch はスマートフォ ンにも対応するシステムとしてリニューアルし、 平成 26 年 3 月に本運用への移行を実現した。 防災リポート ch アプリ(Android 版) また、この技術を応用することで、他の県統合 型 GIS を活用するシステムも容易にスマートフォンに対応させることが可能となった。 成果のHP http://www.imit.rd.pref.gifu.lg.jp/research_bosai.php ③ 停電時に有効な非常誘導用建材の開発(セラミックス研究所) 開発の目標 災害発生時は、暗所での避難経路の確保が重要となるが、樹脂製の非常誘導標識 は、熱に弱く火災時には機能を喪失する場合がある。そこで耐熱性・耐久性に優れ た低コストなセラミックス製の蓄光材を開発し、非常誘導標識等への応用を図る。 成果の概要 蓄光顔料に配合するガラス粉末の成分を改良する事で美濃焼タイルに適した低 コストな蓄光材を開発した。この蓄光材を用いることで消防法の基準を満たす高輝 度かつ長残光な非常誘導標識の作製に成功した。また、転写技術を用いることで、 既存のタイル製品に簡便に蓄光材料を塗布することができ、意匠性の高いスタイリ ッシュな美濃焼製品の創造を実現した。 明るい時の状態 暗い時の状態(発光) 高輝度蓄光式非常誘導標識 スタイリッシュ製品の応用例 成果のHP http://www.ceram.rd.pref.gifu.lg.jp/picup/yuudouyoukenzai.html ④ 避難所における快適環境を提供する高機能建材の開発(生活技術研究所) 開発の目標 避難生活での快適環境を提供するため、吸音・遮音性、抗菌・防臭性などの機能 を備えた、環境にも配慮したパーティション、仮設住宅用建材を開発する。 成果の概要 原材料に抗菌やリラックス作用があると言われている県産ヒノキ間伐材木削片 とい草を用いて、吸音性と吸音・遮音性を有する2タイプのパネルを開発した。 パネルは素材や密度の異なるボードを積層す ることで、ヒノキ無垢板に近い遮音性を有したう えで、人の耳の最も感度が高い周波数帯(1kHz~ 3.5kHz)において、ヒノキ無垢板の6倍以上の吸 音性を実現した。 これら開発したパネルは、避難所におけるパー ティションや仮設住宅における壁材などへの利 用が可能なほか、一般建築における高機能建材と しての利用も期待される。 写真左:吸音・遮音型(表面 ヒノキ) 写真右:吸音型(表面 い草) 成果のHP http://www.life.rd.pref.gifu.lg.jp/pdf/kenzai.pdf ⑤ 農地被災を克服する農産物の低コスト隔離栽培技術の開発(中山間農業研究所) 開発の目標 農地への火山降灰や土砂流入など、時間をかければ復旧可能であり、かつかん水 は可能であるという被災条件を想定し、被災土壌を使わず簡易で低コストな葉菜類 栽培法を開発する。 成果の概要 株ごと収穫する葉菜類に対し、市販セルトレイ※1 穴に 2 株を栽培する「セルト レイ式隔離栽培」方式を開発(資材費:約 3 万円/a(アール))。シュンギクでは約 13 万円/a、コマツナでは約 3 万円/a の粗利が見込める。また、摘み取りする葉菜類に 対しては、培土を入れたポリ袋で栽培する「独立袋栽培」方式(資材費:約 4 万円 /a)を利用し、モロヘイヤでは約 26 万円/a の粗利を見込める。 いずれの栽培方式も、土壌の 汚染状況に関わらず、かん水が 可能な条件であれば低コストで 葉菜類の栽培が可能であり、復 旧までの期間の非常用栽培方法 として有効である。 ※小さいポットが連結して並んでいる 育苗用のパネル 成果のHP 写真左:株穫り葉菜のセルトレイ式隔離栽培 写真右:摘み取り葉菜の独立袋栽培 http://www.k-agri.rd.pref.gifu.lg.jp/syuyoujigyou.html ⑥ 園芸作物の高品質生産を可能とする汎用性低コスト雨よけハウスの開発(中山間農業研究所) 開発の目標 風雪害や地震等により雨よけハウスが倒壊する事態を想定し、従来の雨よけハウ スより設置作業が簡易で低コストな雨よけハウスを開発する。また、開発した雨よ けハウスの平常時の活用についても併せて検討する。 成果の概要 一般的な雨よけハウスの約半分のコストで作成可能なハウスを開発し、生産現場 で広く利用頂けるよう「ハウス作成マニュアル」を作成した。本ハウスは、使用す る鉄製直管パイプを備蓄しておけば、いつでも自作と設置ができ、災害時でも早期 に営農復帰ができる(パイプの曲げ作業を含めた設置時間:2 名で 17.6 時間/a)。 また、開発したハウスは軽 量でかつ屋根部の脱着がで き、長期使用が可能であるた め、平常時においても降雨に よる病害の発生を抑え、高品 質化を目指す露地品目(スク ナカボチャなど)の栽培にも 写真左:単棟ハウス現地実証(アスパラガス) 適する。 写真右:連棟ハウス栽培状況(キク) 成果のHP http://www.k-agri.rd.pref.gifu.lg.jp/syuyoujigyou.html ⑦ バイオ燃料の効率的生産技術の開発(産業技術センター) 開発の目標 林産業で残材として処理されているスギやヒノキの枝葉部からバイオ燃料を作 出し、化石燃料の使用低減と未利用資源の有効活用を図る。 成果の概要 飛騨産業株式会社(高山市)と共同で、高圧水蒸気圧搾蒸留法により、スギおよ びヒノキ枝葉部からバイオ燃料(固形燃料)と精油(アロマオイル)を効率的に製 造する技術を開発した。 この技術は、単に固形燃料を製造するだけでなく、アロマオイルも同時に生成す ることができる。加えて、アロマオイルの抽出効率が通常より30~40倍と高く、 極めて経済効率が高い。 写真左:アロマオイル(小瓶)と 蒸留液(スプレー容器) 写真右:固形燃料 成果のHP http://www.iri.rd.pref.gifu.lg.jp/html/news/2014/news20150215-2.php ⑧ 森林の水土保全機能を高める森林制御方法の開発(森林研究所) 開発の目標 森林の水土保全機能の向上のために、森林の下層植生タイプごとに表土流亡の危 険性を明らかにし、間伐後の下層植生の回復手法を開発する。また、森林の低コス ト管理技術、間伐材の低コスト搬出手法を開発し、土砂災害等を防止する。 成果の概要 森林の表土が流出しやすい人工林を抽出する方法を開発した。この方法により間 伐を優先的に実施する箇所を選定することが可能になる。また、従来の間伐と群状 伐採(何本かをまとめた伐採)を組み合わせることによって、速やかに下層植生を 回復させ水土保全機能を高めるための間伐方法を提案した。 また、急傾斜地での間伐を安全、効率的に進めるため、森林管理に適した架線集 材の技術指針と、架線集材適地が判定できる地図を作製した。 成果のHP 写真 間伐実施後の植生回復状況 図 架線作業適地判定図(一部) http://www.forest.rd.pref.gifu.lg.jp/anzenanshin.html ◆各成果の問い合わせ先 No. 所属 担当部 担当者 電話番号 奥村・林(浩) 058-388-3151 棚橋・浅井 058-379-3300 ① 産業技術センター 繊維部 ② 情報技術研究所 情報システム研究部 ③ セラミックス研究所 技術支援部 岩田(芳)・安達 0572-22-5381 ④ 生活技術研究所 試験研究部 長谷川・木村 0577-33-5252 中山間農業研究所 試験研究部 袖垣・中西・田中 0577-73-2029 ⑦ 産業技術センター 食品部 鈴木・横山 058-388-3151 ⑧ 森林研究所 森林環境部 古川・渡邉 0575-33-2585 ⑤ ⑥
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