超音波検査の新人教育 公立学校共済組合 東海中央病院 ○石原茂秀 【はじめに】当院超音波検査の現状と、新人教育の進め方、新人教育おける問題点や課題について報告 する。 【超音波検査の現状】全技師数は 17 名(男性 11 名、 女性 6 名)で、腹部又は乳腺超音波検査がで きる技師が 14名(男性9、女性5)と、8 割の技師が超音波検査に関わっている。日本超音波医学会 認定の超音波検査士の取得状況は、消化器が 10 名、体表が 4 名、泌尿器が2名、健診が 4 名である。 外来、病棟超音波に 2 名(男性と女性)で 1 日 20~30 件程度、ドック腹部超音波 に 2 名(男性又は 女性)で、午前 30~45 件程度、ドック乳腺超音波 に 2 名(女性のみ)で、火、木曜の午後 20~25 件程度行っている。 【研修の進め方】最初に研修者を決定し、その後、研修者の能力にあった指導者を決定する。研修者は、 技師経験が 3 年以上経過している者で、腹部の場合は CT 検査の担当経験があり、乳腺の場合はマンモ グラフィの担当経験がある者、特に研修する本人に習得意欲がある事。指導者は超音波検査の経験が3 年以上あり、超音波検査士の認定を取得している者。研修指導に意欲があり、立候補があれば立候補者 を優先し決定します。研修は最初に指導者が研修者と一緒に到達目標を決める。次に指導者が研修スケ ジュール、指導内容を詳細に記載した指導計画書を作成し、技師長が計画書を確認し許可後に開始する。 通常の研修は人間ドックから開始し、検査手順や所見の有無が理解できるまで見学する。スタッフに協 力してもらい、ルーチン検査画面が綺麗に出せるように練習を返し、同時に参考書などを使用し専門知 識の学習も行う。3 ヶ月頃に指導者の判断で実際にドック受診者の検査を行い、受診者には研修である 説明をして指導者による見直しも行う。その後 3 ヶ月間ドックで研修し、半年頃から病棟、外来検査の 研修を始める。特に甲状腺や血管系の検査を覚え、同時に所見用紙の書き方を覚える。その後、指導者 の判断で、完全に独り立ちし、外来、病棟検査を2~3ヶ月程度担当する。独り立ち後しばらくの間は、 指導者が画像と所見を空いた時間にチェックする。このように、当院ではおよそ 10 ヶ月程度研修に時 間をかけます。 【研修の課題と問題点】研修期間だけでは経験できる症例が少ないため、研修終了後しばらく、フォロ ーが必要である。研修期間が他のモダリティーに比べて長いため指導者に負担がかかる。個人の能力差 により習得に差がある。検査時間が長くなることが多く患者からクレームが出やすい。超音波検査がで きる技師を増やすほど、担当になる機会が減り、経験値が下がるなどの多くの課題や問題点がある。 【まとめ】超音波検査の研修は、個人の能力差を考慮する必要があり、指導者は研修者のレベルを理解 して目標を設定する事が大切である。独り立ちしてからも、質問や相談ができる職場の環境が大切で、 所見については CT など他の検査所見と比較検討し、指導者と一緒に答え合わせを繰り返す事が上達す るために必要である。
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