第21回肝血流動態・機能イメージ研究会

第21回肝血流動態・機能イメージ研究会
プログラム
2015 年 2 月7日(土)~ 8日(日)
日時 2月7日(土)12:00 ~17:50
2月8日(日) 8:40 ~14:20
本会場:
東京ビッグサイト「国際会議場」
場所
東京都江東区有明 3-1-1
サテライト会場:
大阪国際会議場10F「1009 会議室」
大阪府大阪市北区中之島 5丁目3-51
当番世話人: 九州大学 臨床放射線科学 本田 浩
参 加 費: 3,000円
*7 日夕、8日昼にお弁当をご用意します。
(なお、国公立等の施設にご所属の先生方におかれましては、
事前にご所属施設の規則等をご確認の上、ご対応いただき
ますようお願い申し上げます。
)
肝血流動態・機能イメージ研究会ホームページ
http://netconf.eisai.co.jp/kanketsuryu/
共催:肝血流動態・機能イメージ研究会/エーザイ株式会社
【顧問・世話人・事務局】
[発起人・第1回世話人]
故 板井 悠二(筑波大学 放射線科)
[顧問]
有井 滋樹(浜松労災病院)
[顧問]
神代 正道(久留米大学 理事長)
[顧問]
齋田 幸久(東京医科歯科大学 画像診断・核医学分野)
[顧問]
高安 賢一(前国立がん研究センター 放射線診断科)
[顧問]
松井 修(金沢大学 先進画像医学研究教育講座)
[顧問]
三浦 行矣(先端医療センター 映像診療科)
[代表世話人]
角谷 眞澄(信州大学 画像医学)
[世話人]
伊東 克能(川崎医科大学 放射線科)
[世話人]
蒲田 敏文(金沢大学 放射線科)
[世話人]
工藤 正俊(近畿大学 消化器内科)
[世話人]
國土 典宏(東京大学 肝胆膵外科 ・ 人工臓器移植外科)
[世話人]
坂元 亨宇(慶應義塾大学 病理学)
[第21回当番世話人]
本田 浩(九州大学 臨床放射線科学)
[世話人]
村上 卓道(近畿大学 放射線診断学)
[世話人]
森安 史典(東京医科大学 消化器内科)
[世話人]
吉満 研吾(福岡大学医学部 放射線医学教室)
[事務局]
信州大学 画像医学
(五十音順、敬称略)
【コメンテーター】
尾島 英知(慶應義塾大学 病理学)
鹿毛 政義(久留米大学病院 病理部)
河上 牧夫(聖隷佐倉市民病院 病理科)
近藤 福雄(帝京大学医学部 病理学講座)
中島 収(久留米大学病院 臨床検査部)
中沼 安二(静岡がんセンター 病理診断科)
中野 雅行(湘南藤沢徳洲会病院 病理診断科)
若狭 研一(石切生喜病院 病理診断科)
(五十音順、敬称略)
巻 頭 言
1995 年に第 1 回目の「肝血流動態イメージ研究会」が開催され、今年で 21 回目を数え
ます。12 回目に引き続き 2 回目の当番世話人を仰せつかりました。第 1 回目は平成 7 年
10 月 7 日、故板井悠二先生が当番世話人となりサテライトホテル後楽園で開催されました。
振り返って抄録集を見てみますと一般演題が 19 演題、特別講演が 2 演題で、当初は 1 日
のみの開催でしたが、予定時間が午後 1 時~(午後 10 時)と終了時間が括弧書きとなっ
ており、発足当時から肝疾患の本質に迫る議論を時間無制限でやっていこうという意気込
みが伝わってきます。
振り返ればこの 20 年余で肝画像の世界は飛躍的な進歩をとげました。1990 年代から
2000 年前後には肝細胞癌の流出静脈、多段階発育と血流との関係などが次々と明らかに
されました。2000 年代に入ると新しい造影剤が次々と開発され超音波ではリボビストや
ソナゾイド、MRI では SPIO や EOB が世に登場し、機能イメージという新たな局面に入っ
ています。それに伴い本会の演題内容も大きく様変わりしています。
今回のプログラムのシンポジウムでは「肝動脈閉塞下での血行動態の変化―B-TACE
から得られる知見―」
「肝内胆管癌の多様性を探る」の 2 つとしました。近年バルーン閉
塞下での TACE を施行する施設が増加していますが、これには肝動脈閉塞下で顕在化す
る側副路の理解が不可欠です。すでに明らかにされていることも多い領域ですが、本シン
ポジウムを通じて新しい知見が生まれ「温故知新」が達成できればと思います。肝内胆管
癌は、発生部位や腫瘍内の間質量により多彩な画像所見を呈します。しかし近年の前癌病
変 ・ IPBN・MCN の疾患概念の確立や混合型肝癌・細胆管癌研究の発展に伴い、その定
義や分類に多少の混乱があります。画像診断でもその影響を受けており、研究者間での齟
齬が生じています。同じ土俵で議論するには、放射線科、内科、外科、病理が一同に会す
る本研究会での討論が必要と考えました。肝内胆管癌の多様性を探り、その特徴を明らか
にすることで、上記のような類縁疾患との異同を明らかにできればと考えています。
本会では、主会場を東京ビックサイトに置き、大阪にサテライト会場を用意しました。
こうしたテレカンファレンスも時代の流れと思います。会場が 2 カ所に分かれましても、
本研究会での特徴である活発な議論をお願い申し上げます。
第21回肝血流動態 ・ 機能イメージ研究会 当番世話人 本田 浩
肝血流動態・機能イメージ研究会 開催歴
開催日程
開催場所
当番世話人
第1回 1995年10月7日
(土)
サテライト
ホテル
後楽園
板井 悠二
(筑波大学 放射線科)
第 2 回 1996年6月8日
(土)
ホテル
グランド
パレス
松井 修
(金沢大学 放射線科)
第 3 回 1997年2月1日
(土)
神戸
ポートピア
ホテル
一 般
演題数
特別講演・シンポジウム等
「肝外科と肝血流動態」
19
東京大学医学部 第 2 外科 幕内 雅敏
「肝 microcirculation と macrocirculation のかけ橋」
慶應義塾大学医学部 内科 織田 正也
24
「肝内微小血管構築 - 特に peribiliary plexus について -」
富山医科薬科大学 医学部 解剖学第一講座 大谷 修
「肝内血行異常の病理
-peribiliary plexus(胆管周囲脈肝叢)の変化に注目して -」
金沢大学医学部 第2病理 中沼 安二
工藤 正俊
(近畿大学 消化器内科)
32
「門脈圧亢進症の病理 - 肝内血管系の変化を中心に -」
久留米大学 第一病理 鹿毛 正義
「腫瘍血管の新生と癌の進展
-VEGF の意義と血管新生阻害剤の効果 -」
京都大学 第一外科 有井 滋樹
第4回
1998年1月31日
(土)
・
2月 1 日
(日)
神戸
ポートピア
ホテル
小林 尚志
(古賀病院 所長)
37
シンポジウム 1「HCC の発癌過程と腫瘍血流動態」
シンポジウム 2「HCC の流出静脈は何か?その臨床的意義は」
第5回
1999年2月6日
(土)
・
7日
(日)
東商ホール
高安 賢一
(国立がんセンター中央病院
放射線診療部)
40
シンポジウム 1「肝硬変の血流動態(肝実質と肝表面の変化)
」
シンポジウム 2「血流動態から見た肝癌の肉眼型(辺縁と内部構
造)とぞ時期診断の推定は可能か?」
第6回
2000年2月5日
(土)
・
6日
(日)
神戸国際会議場
三浦 行矣
(兵庫医科大学 放射線科)
45
シンポジウム 1「巨視的レベルよりみた肝微小循環動態 -本質は現象する-」
シンポジウム 2「腫瘍血流の流出動態」
第7回
2001年2月3日
(土)
・
4日
(日)
東商ホール
神代 正道
(久留米大学 病理学教室)
54
シンポジウム「肝細胞癌の血行動態はどこまで分かったか」
第8回
2002年2月2日
(土)
・
3日
(日)
東商ホール
板井 悠二
(筑波大学 放射線科)
33
シンポジウム 1「肝臓の "central zone" と "peripheral zone"」
シンポジウム 2「動門脈シャント:
画像での再評価と今日的意義」
東商ホール
有井 滋樹
(東京医科歯科大学 肝胆膵・
総合外科)
東商ホール
松井 修
(金沢大学 放射線科)
2003年2月1日
(土)
・
第9回
2日
(日)
2004年1月31日
(土)
・
第 10 回
2月1日
(日)
2005年2月5日
(土)
・
第 11 回
6日
(日)
工藤 正俊
パシフィコ横浜
(近畿大学 消化器内科)
37
シンポジウム 1「血流動態から肝の動脈・門脈二重血行支配を考
える」
シンポジウム 2「血流動態から病体を探り、診断・治療する」
「移植肝と肝血流」
京都大学大学院 移植免疫医学講座 田中 紘一
22
教育シンポジウム
「肝細胞癌-発癌・血管新生と血流イメージング」
パネルディスカッション
「肝血流異常と肝細胞性結節性病変 - 病理と画像の組み合わせ
による分類の試み」
35
Debate Session「肝癌の非手術的治療(TAE・RFA)後の治療測定
効果はどの modality が best か?」
特別シンポジウム「早期肝細胞癌の画像的診断基準を考える
-どこが治療の Critical Point か?」
第 12 回
2006年2月4日
(土)
・
5日
(日)
本田 浩
(九州大学 臨床放射線科学)
33
シンポジウム 1「肝癌の多段階発育」
シンポジウム 2「肝腫瘍と間質」
第 13 回
2007年1月27日
(土)
・
齋田 幸久
パシフィコ横浜
28日
(日)
(聖路加国際病院 放射線科)
33
シンポジウム 1「グリソン鞘:その中枢から末梢まで」
シンポジウム 2「最新の肝血流の画像診断とその展望: macro か
ら micro まで」
第 14 回
2008年1月26日
(土)
・
森安 史典
パシフィコ横浜
27日
(日)
(東京医科大学 消化器内科)
41
シンポジウム 1「肝癌の組織学的分化度診断と生物学的悪性度の
予知」
シンポジウム 2「画像診断ガイド下の肝癌治療」
48
シンポジウム 1「肝細胞癌治療における局所再発の抑制と Safety/
Surgical margin の必要性-画像による判定」
シンポジウム 2「混合型肝癌、細胆管細胞癌、硬化型肝細胞癌
(scirrhous)の病理と画像診断の考え方」
パシフィコ横浜
高安 賢一
2009年1月31日
(土)
・
第 15 回
パシフィコ横浜 (国立がんセンター中央病院
2月 1 日
(日)
放射線診断部)
一 般
演題数
特別講演・シンポジウム等
42
シンポジウム
「肝細胞癌多段階発癌の診断:慢性肝炎、異型結節、早期肝癌、
進行肝癌の個別化診断に向けて肝癌の組織学的分化度診断と
生物学的悪性度の予知」
53
シンポジウム「動注 CT の現況と将来」
ワークショップ「細胆管細胞癌の画像所見と腫瘍内間質」
三浦 行矣
(先端医療センター
映像診療科)
45
シンポジウム 1「肝硬変における構造と血流動態の変化」
シンポジウム 2「発癌の環境と肝細胞機能」
東京
ビッグサイト
有井 滋樹
(浜松労災病院)
41
シンポジウム 1「ICG 蛍光イメージの臨床活用」
シンポジウム 2「肝血流・機能イメージのバイオマーカー的意義
を探る」
大阪国際交流
センター
工藤 正俊
(近畿大学 消化器内科)
42
シンポジウム 1「肝の硬さ(線維化)診断に迫る」
シンポジウム 2「肝細胞腺腫の亜分類の新しい考え方」
開催日程
開催場所
当番世話人
第 16 回
2010年1月30日
(土)
・
31日
(日)
神戸
ポートピア
ホテル
第 17 回
2011年1月29日
(土)
・
角谷 眞澄
パシフィコ横浜
30日
(日)
(信州大学 画像医学)
第 18 回
2012年1月28日
(土)
・
29日
(日)
神戸
ポートピア
ホテル
第 19 回
2013年1月26日
(土)
・
27日
(日)
第 20 回
2014年2月15日
(土)
・
16日
(日)
坂元 亨宇
(慶應義塾大学 病理学)
*所属名は開催当時
1日目[ 2 月 7 日(土)12:00~17:50 ]
開会挨拶 12:00~12:05
本田 浩(九州大学 臨床放射線科学)
セッション 1.肝脂肪化・線維化診断
12:05~12:59
座長:飯島 尋子(兵庫医科大学 超音波センター・内科肝胆膵科)
兼松 雅之(岐阜大学医学部附属病院 高次画像診断センター)
1. 肝左葉・右葉、門脈うっ血係数による非侵襲的肝線維化評価の検討 (発表 5 分、討論 4 分)
森内 拓治 1)、馬場 みなみ 1)、森永 芳智 1)、田浦 直太 2)、中尾 一彦 2)、栁原 克紀 1)
1) 長崎大学病院検査部 2) 長崎大学病院消化器内科
2. 超音波検査で測定した肝門部門脈周囲腔径は肝線維化の評価に有用である
(発表 5 分、討論 4 分)
橋口 正史 、塩屋 晋吾 、平賀 真雄 、小田 耕平 、重田 浩一朗 、長谷川 将 1)、宇都 浩文 3)、
藤﨑 邦夫 1)
1)
2)
2)
3)
1)
1) 霧島市立医師会医療センター 消化器内科 2) 超音波検査部 3) 鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学
3. C 型慢性肝炎のインターフェロン治療効果から考える Strain elastography および
Shear wave elastography 同時観察による肝の病態把握の可能性 (発表 5 分、討論 4 分)
矢田 典久、工藤 正俊
近畿大学医学部消化器内科
4. NBNC 肝炎を対象とした肝癌サーベーランス戦略 (発表 5 分、討論 4 分)
青木 智子 1, 2)、西口 修平 2)、飯島 尋子 1, 2)
1) 兵庫医科大学 超音波センター 2) 兵庫医科大学 内科 肝胆膵科
5. Dual energy CT を用いた肝脂肪変性定量評価の有用性〜肝生検標本を用いた脂肪変
性定量との比較 (発表 5 分、討論 4 分)
岡部 純弥 1)、澤井 良之 1)、小来田 幸世 1)、井倉 技 1)、福田 和人 1)、磯谷 圭介 2)、藤田 典彦 2)、
今井 康陽 1)、辻川 華子 4)、阿部 時也 4)、橋口 明典 4)、坂元 亨宇 4)、村上 卓道 3)
1) 市立池田病院 消化器内科 2) 市立池田病院 放射線科 3) 近畿大学医学部 放射線診断学
4) 慶應義塾大学医学部 病理学
6. 慢性肝疾患症例における CAP(Controlled Attenuation Parameter)の有用性につい
ての検討 (発表 5 分、討論 4 分)
山本 浩之、田浦 直太、宮明 寿光、三馬 聡、柴田 英貴、本田 琢也、妹尾 健正、末廣 智之、
時村 郁子、高木 裕子、山島 美緒、中鋪 卓、原口 雅史、山道 忍、宮副 由梨、中尾 一彦
長崎大学病院 消化器内科
セッション 2.TACE(バルーン閉塞、ビーズ)
12:59~13:47
座長:池田 健次(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 肝臓内科)
吉満 研吾(福岡大学医学部 放射線医学教室)
7. バルーン非閉塞・閉塞下 CTA にて血流変化を確認し、マイクロバルーン閉塞下 TACE
(B-TACE)により、良好な治療効果を認めた低血流の肝細胞癌の1例 (発表 4 分、討論 3 分)
平川 雅和 1)、染原 涼 2)、宮嶋 公貴 2)、鶴田 悟 3)、酒井 浩徳 3)
1) 九州大学病院別府病院 放射線科 2) 別府医療センター 放射線科 3) 別府医療センター 消化器内科
8. 末梢肝動脈枝バルーン閉塞状態における血流動態の検討 (発表 5 分、討論 4 分)
喜多 竜一、遠藤 正嗣、福原 学、丸井 彩子、大原 芳章、坂本 梓、西島 規浩、斎藤 澄夫、
那須 章洋、西川 浩樹、米門 秀行、木村 達、大崎 往夫
大阪赤十字病院 消化器内科
9. 末梢肝動脈枝バルーン閉塞状態におけるリピオドールの挙動についての推測と治療適
応症例の拡大 (発表 5 分、討論 4 分)
喜多 竜一、遠藤 正嗣、福原 学、丸井 彩子、大原 芳章、坂本 梓、西島 規浩、斎藤 澄夫、
那須 章洋、西川 浩樹、米門 秀行、木村 達、大崎 往夫
大阪赤十字病院 消化器内科
10.門脈血栓、肝内胆管拡張に、流体の変化を伴い安全に B-TACE を行えた一例
(発表 4 分、討論 3 分)
出田 雅子 1)、小川 力 1)、野田 晃世 1)、荒澤 壮一 1)、久保 敦司 1)、石川 哲朗 1)、松中 寿浩 1)、
玉置 敬之 1)、柴峠 光成 1)、石川 亮 2)、荻野 哲朗 2)、工藤 正俊 3)
1) 高松赤十字病院 消化器内科 2) 高松赤十字病院 病理診断科 3) 近畿大学医学部 消化器内科
11.巨大な卵巣癌肝転移にビーズ TAE 後ラジオ波焼灼療法が有効であった一例
(発表 4 分、討論 3 分)
石井 政嗣、佐藤 新平、河井 敏宏、八島 陽子、杉本 貴志、佐藤 隆久、菅田 美保、
小尾 俊太郎
佐々木研究所付属杏雲堂病院 消化器肝臓内科
12.当院における肝細胞癌に対するディーシービーズⓇを用いた DEB-TACE の治療成績
(発表 5 分、討論 4 分)
渡口 真史 、鶴崎 正勝 、柳生 行伸 、沼本 勲男 、朝戸 信行 、山川 美帆 1)、任 誠雲 1)、
松木 充 1)、村上 卓道 1)、井上 達夫 2)、萩原 智 2)、南 康範 2)、上嶋 一臣 2)、工藤 正俊 2)
1)
1)
1)
1)
1)
1) 近畿大学医学部 放射線診断科 2) 近畿大学医学部 消化器内科
休憩(23 分)
13:47~14:10
セッション 3.画像による治療支援
14:10~14:37
座長:村上 卓道(近畿大学 放射線診断学)
森安 史典(東京医科大学 消化器内科)
13.EOB-MRI および 3D-volumetry を用いた肝細胞癌に対する肝切除術後 合併症予測に
関する検討 (発表 5 分、討論 4 分)
伊藤 心二 1)、調 憲 1)、栗原 健 1)、吉田 佳弘 1)、冨野 高広 1)、今井 大祐 1)、別城 悠樹 1)、王 歓林 1)、
木村 光一 1)、中川原 英和 1)、松本 佳大 1)、山下 洋市 1)、池上 徹 1)、吉住 朋晴 1)、川中 博文 2)、
池田 哲夫 3)、西江 昭弘 4)、前原 喜彦 1)
1) 九州大学大学院 消化器・総合外科 2) 九州大学大学院 外科集学的治療学 3) 九州大学大学院 先端医工学 4) 九州大学大学院 臨床放射線科学
14.RFA 術前のシミュレーションに向けた教育システム (発表 5 分、討論 4 分)
小川 力 1)、野田 晃世 1)、荒澤 壮一 1)、出田 雅子 1)、久保 敦司 1)、石川 哲朗 1)、松中 寿浩 1)、
玉置 敬之 1)、柴峠 光成 1)、工藤 正俊 2)
1) 高松赤十字病院 消化器内科 2) 近畿大学医学部 消化器内科
15.plain cone-beam CT による肝動脈塞栓術の早期治療効果予測(第 2 報)
(発表 5 分、討論 4 分)
南 康範 、村上 卓道 、工藤 正俊
1)
2)
1)
1) 近畿大学医学部消化器内科 2) 近畿大学医学部放射線診断科
セッション 4.画像による病態解析
14:37~15:22
座長:伊東 克能(川崎医科大学 放射線科)
工藤 正俊(近畿大学 消化器内科)
16.Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 及び拡散強調画像の信号強度による肝細胞癌の悪性度及び
予後評価 (発表 5 分、討論 4 分)
岡村 修祐 1)、東南 辰幸 2)、住江 修治 1)、中野 聖士 1)、佐谷 学 1)、黒松 亮子 1)、鳥村 拓司 1)
1) 久留米大学病院内科学講座 消化器内科部門 2) 久留米大学病院 放射線医学講座
17.Early HCC の画像診断からみた非多血性肝細胞性結節の治療適応 (発表 5 分、討論 4 分)
安井 豊、土谷 薫、高田 ひとみ、樋口 麻友、権藤 興一、中岫 奈津子、松田 秀哉、浅野 侑、
玉城 信治、鈴木 祥子、細川 貴範、中西 裕之、板倉 潤、黒崎 雅之、泉 並木
武蔵野赤十字病院
18.Single-level dynamic CTHA(SLD-CTHA)のコンパートメントモデル解析(CMA)に
よる HCC の定量的血流動態解析:TACE 治療効果との比較 (発表 5 分、討論 4 分)
山田 哲 1)、上田 和彦 1)、鈴木 健史 1)、田端 克彦 1)、小松 舞 1)、小松 大祐 1)、高橋 正明 1)、
藤田 顕 1)、塚原 嘉典 1)、藤田 幸恵 1)、柳澤 新 1)、松下 剛 1)、黒住 昌弘 1)、藤永 康成 1)、
宮川 眞一 2)、角谷 眞澄 1)
1) 信州大学医学部画像医学教室 2) 信州大学医学部外科学教室(外科学第一 )
19.生体肝移植後のグラフト、残肝に対する拡散強調像の意義 (発表 5 分、討論 4 分)
森田 孝一郎 1)、西江 昭弘 1)、浅山 良樹 1)、石神 康生 1)、牛島 泰宏 1)、高山 幸久 2)、岡本 大佑 1)、
藤田 展宏 1)、池上 徹 3)、調 憲 3)、本田 浩 1)
1) 九州大学大学院医学研究院 臨床放射線科学 2) 九州大学大学院医学研究院 放射線医療情報・ネットワーク講座 3) 九州大学大学院医学研究院 消化器・総合外科
20.肝内胆管癌と細胆管細胞癌の比較検討 (発表 5 分、討論 4 分)
会澤 信弘 1)、飯島 尋子 1)、中野 智景 1)、長谷川 国大 1)、高田 亮 1)、青木 智子 1)、楊 和典 1)、
石井 昭生 1)、橋本 健二 1)、高島 智之 1)、坂井 良行 1)、池田 直人 1)、田中 弘教 1)、岩田 惠典 1)、
榎本 平之 1)、斎藤 正紀 1)、廣田 省三 2)、廣田 誠一 3)、裴 正寛 4)、藤元 治朗 4)、西口 修平 4)
1) 兵庫医科大学病院 肝胆膵内科 2) 兵庫医科大学病院 放射線科 3) 兵庫医科大学病院 病院病理部 4) 兵庫医科大学病院 肝胆膵外科
セッション 5.その他(造影技術、IRE、RFA)
15:22~15:49
座長:市川 智章(山梨大学 放射線科)
大﨑 往夫(大阪赤十字病院 消化器内科)
21.腹部造影 CT 検査における肝容積の違いが肝実質造影能に及ぼす影響 (発表 5 分、討論 4 分)
猪口 靖裕、糸瀬 哲也、岩佐 亜紀、小手 康博、植松 正裕
社会福祉法人 仁生社 江戸川病院 放射線科
22.肝に対する不可逆電気穿孔法(Irreversible electroporation, IRE)の各種超音波所見
と組織変化-ラジオ波治療との比較 (発表 5 分、討論 4 分)
小林 功幸 1)、杉本 勝俊 1)、竹内 啓人 1)、安藤 真弓 1)、佐野 隆友 1)、森 俊文 1)、古市 好宏 1)、
中村 郁夫 1)、大城 久 2)、森安 史典 1)
1) 東京医科大学 消化器内科 2) 東京医科大学 病理診断科
23.VirtuTRAX による仮想針先端表示を用いた確実かつ安全な RFA 治療―2 ステップ法お
よび大型 HCC に対するマルチポーラ RFA における有用性― (発表 5 分、討論 4 分)
葛谷 貞二、石上 雅敏、安田 論、川口 彩、加藤 幸一郎、新家 卓郎、今井 則博、阿知波 宏一、
山田 恵一、石津 洋二、本多 隆、林 和彦、石川 哲也、後藤 秀実
名古屋大学 消化器内科
休憩(21 分)
15:49~16:10
セッション 6.症例報告 血流
16:10~16:52
座長:上田 和彦(信州大学 画像医学)
坂元 亨宇(慶應義塾大学 病理学)
病理コメンテーター:近藤 福雄(帝京大学医学部 病理学講座)[病理提示演題:26, 28]
24.肝細胞癌に併発した門脈血流陽性結節を多発性に認めた C 型肝硬変の 1 例
(発表 4 分、討論 3 分)
城野 智毅 1)、永松 洋明 1)、水上 直久 2)、渡辺 次郎 3)、小野 典之 1)、鳥村 拓司 4)
1) 公立八女総合病院 肝臓内科 2) 公立八女総合病院 放射線科 3) 公立八女総合病院 病理診断科 4) 久留米大学 内科学講座 消化器内科部門
25.Peritumoral spared area に門脈血の残存を認めた肝細胞癌の一例 (発表 4 分、討論 3 分)
池田 敦之 1)、大岩 容子 1)、安原 裕美子 2)、西躰 隆太 3)、喜多 竜一 4)、國立 裕之 1)
1) 京都桂病院 消化器センター 消化器内科 2) 京都桂病院 病理診断科 3) 京都桂病院 消化器センター 外科 4) 大阪赤十字病院 消化器内科
26.FNH 様の異常門脈域などの示唆に富む病理所見を認めた HCC の一例 (発表 4 分、討論 3 分)
荒澤 壮一 1)、小川 力 1)、野田 晃世 1)、出田 雅子 1)、久保 敦司 1)、石川 哲朗 1)、松中 寿浩 1)、
玉置 敬之 1)、柴峠 光成 1)、南 貴人 2)、北村 好史 2)、西平 友彦 2)、石川 亮 3)、荻野 哲朗 3)、
近藤 福雄 4)、工藤 正俊 5)
1) 高松赤十字病院 消化器内科 2) 高松赤十字病院 消化器外科 3) 高松赤十字病院 病理診断科 4) 帝京大学医学部附属病院 病理診断科 5) 近畿大学医学部 消化器内科
27.Peritumoral fat-spared area を認めた 1 例 - US, CT, MRI の対比を中心に-
(発表 4 分、討論 3 分)
隈部 力 、藤井 麻衣 、中島 収 、黒松 亮子 、川野 祐幸 、相園 多美子 3)、橋本 好司 3)、
鳥村 拓司 4)
1, 2)
3)
3)
4)
3)
1) 隈部医院 2) 久留米大学医学部放射線医学講座 3) 久留米大学病院臨床検査部 4) 久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門
28.Corona 様濃染を呈し、early venous drainage を認めなかった PEComa の一例
(発表 4 分、討論 3 分)
西島 規浩 1)、喜多 竜一 1)、大原 芳章 1)、坂本 梓 1)、斎藤 澄夫 1)、那須 章洋 1)、西川 浩樹 1)、
米門 秀行 1)、木村 達 1)、大﨑 往夫 1)、有本 明 2)、嶋田 俊秀 3)
1) 大阪赤十字病院 消化器内科 2) 大阪赤十字病院 外科 3) 大阪赤十字病院 病理診断科
29.馬鈴薯肝を呈した特発性門脈圧亢進症の 1 例 (発表 4 分、討論 3 分)
喜田 恵治
喜田医院
セッション 7.症例報告 肝腫瘤 1
16:52~17:20
座長:國土 典宏(東京大学 肝胆膵外科・人工臓器移植外科)
蒲田 敏文(金沢大学 放射線科)
病理コメンテーター:尾島 英知(慶應義塾大学 病理学)[病理提示演題:31, 32]
30.類上皮型肝血管筋脂肪腫の一例 (発表 4 分、討論 3 分)
赤羽 武弘 1)、山本 康央 1)、松浦 真樹 1)、海野 純 1)、蒲 比呂子 1)、富永 現 1)、朝倉 徹 1)、高橋 徹 2)
1) 石巻赤十字病院 消化器内科 2) 石巻赤十字病院 病理部
31.術前画像診断が困難で外科的切除にて診断された肝多血性腫瘍の 1 例 (発表 4 分、討論 3 分)
田尻 和人 1)、峯村 正実 1)、河合 健吾 1)、杉山 敏郎 1)、川部 秀人 2)、松井 恒志 3)、塚田 一博 3)、
常山 幸一 4)、井村 穣二 4)
1) 富山大学附属病院 第三内科 2) 富山大学附属病院 放射線科 3) 富山大学医学部 第二外科 4) 富山大学医学部 診断病理学
32.発熱と腹痛を契機に発見された巨大肝腫瘍の 1 例 (発表 4 分、討論 3 分)
馬場 英、古家 乾、小泉 忠史、定岡 邦昌、関谷 千尋、澤田 尭史、岡田 尚樹、片山 知也、
中西 一彰、数井 啓蔵、杉浦 充、服部 淳夫
JCHO 北海道病院
33.急速に増大を示し、胆嚢転移をきたした肉腫様肝癌の一例 (発表 4 分、討論 3 分)
遠藤 正嗣、喜多 竜一、大﨑 往夫
大阪赤十字病院
セッション 8.症例報告 肝腫瘤 2
17:20~17:50
座長:斎藤 明子(東京女子医科大学 消化器病センター)
中島 収(久留米大学病院 臨床検査部)
病理コメンテーター:若狭 研一(石切生喜病院 病理診断科)[病理提示演題:34, 35, 36]
34.細胆管癌成分を含む混合型肝癌の 1 例 (発表 4 分、討論 3 分)
町田 卓郎 1)、目黒 高志 1)、堀田 彰一 1)、藤澤 良樹 1)、加藤 貴司 1)、碇 修二 1)、佐々木 清貴 1)、
山田 裕人 1)、加賀谷 英俊 1)、中村 英明 1)、田中 栄一 2)、藤田 美芳 2)、森田 高行 2)、高橋 利幸 3)
1) 北海道消化器科病院 内科 2) 北海道消化器科病院 外科 3) 北海道消化器科病院 病理部
35.肝硬変合併の混合型肝癌に関する検討 (発表 5 分、討論 4 分)
斎藤 聡 1)、川村 祐介 1)、小林 正宏 1)、池田 健次 1)、熊田 博光 1)、藤井 丈士 2)、井上 雅文 3)、
近藤 福雄 4)
1) 虎の門病院肝臓センター 2) 虎の門病院病理部 3)JCHO 東京新宿メディカルセンター病理診断科 4) 帝京大学病理診断科
36.約 5 年間の経過で腫瘍径が倍増した FNH の 1 切除例 (発表 4 分、討論 3 分)
馬場 英、古家 乾、小泉 忠史、定岡 邦昌、関谷 千尋、澤田 尭史、岡田 尚樹、片山 知也、
中西 一彰、数井 啓蔵、杉浦 充、服部 淳夫
JCHO 北海道病院
37.ソナゾイド超音波検査と造影 CT, MRI で解離した血行動態を示した肝原発平滑筋肉腫
の 1 例 (発表 4 分、討論 3 分)
野間 栄次郎 1)、植木 敏晴 1)、田中 志歩 1)、光安 智子 1)、大塚 雄一郎 1)、蓑田 竜平 1)、丸尾 達 1)、
松村 圭一郎 1)、松井 敏幸 1)、三上 公治 2)、前川 隆文 2)、池田 圭祐 3)、岩下 明徳 3)
1) 福岡大学筑紫病院消化器内科 2) 福岡大学筑紫病院外科 3) 福岡大学筑紫病院病理部
2日目[ 2 月 8 日(日)8:40~14:20 ]
エーザイ株式会社情報提供 8:40~8:50
板井賞表彰式 8:50~9:00
角谷 眞澄(信州大学 画像医学)
シンポジウム 1 「肝動脈閉塞下での血行動態の変化―B-TACE から得られる知見―」 9:00~11:10
司会:工藤 正俊(近畿大学 消化器内科)
(各講演 20 分)
吉満 研吾(福岡大学医学部 放射線医学教室)
1. 基調講演:肝二重血行支配再考
有井 滋樹(浜松労災病院)
2. 肝外動脈側副血行路の振る舞い
竹内 義人(京都府立医科大学附属北部医療センター 放射線科)
3. B-TACE における効率的な薬剤注入:腫瘍血管のサイズと血管構築構造
入江 敏之(日立総合病院 放射線科)
4. バルーン閉塞による肝内血流変化(CE-US による検討)
杉本 勝俊(東京医科大学 消化器内科)
5. バルーン閉塞による肝内血流変化の variation(CTHA による検討)
浅山 良樹(九州大学 臨床放射線科)
総合討論(30 分)
昼食(30 分)
11:10~11:40
シンポジウム 2 「肝内胆管癌の多様性を探る」
司会:坂元 亨宇(慶應義塾大学 病理学)
11:40~14:10
(各講演 20 分、質疑 5 分)
本田 浩(九州大学 臨床放射線科学)
1. 胆管細胞癌の分類における今後の方向
中沼 安二(静岡がんセンター 病理診断科)
2. 胆管細胞癌とその近縁疾患(細胆管癌と混合型肝癌を含む)の画像上の鑑別
蒲田 敏文(金沢大学 放射線科)
3. 胆管癌の超音波画像
喜多 竜一(大阪赤十字病院 消化器内科)
4. 胆管細胞癌における vascularity の多様性
1)病理の見地から
相島 慎一(佐賀大学 病因病態科学)
2)画像の見地から
藤田 展宏(九州大学 臨床放射線科)
5. EOB 時代の間質評価
角谷 眞澄(信州大学 画像医学)
閉会挨拶 14:10~14:15
本田 浩(九州大学 臨床放射線科学)
次回当番世話人挨拶 森安 史典(東京医科大学 消化器内科)
14:15~14:20
抄 録(一般公募演題)
1. 肝左葉・右葉、門脈うっ血係数による非侵襲的肝線維化評
価の検討
森内 拓治 1)、馬場 みなみ 1)、森永 芳智 1)、田浦 直太 2)、中尾 一彦 2)、栁原 克紀 1)
1) 長崎大学病院検査部 2) 長崎大学病院消化器内科
【目的】現在、超音波を用いた肝線維化の評価は肝右葉での実施が推奨されている。
しかし、超音波検査において左葉と右葉の形態的な違いを認識することがあり、左葉
と右葉の肝線維化の違い、その成因などについての報告は少ない。今回、我々は肝線
維化評価を肝両葉で行い、血液検査結果、門脈血行動態、生体要因別との関係を検討
したので報告する。
【対象・方法】2013 年 4 月~2014 年 9 月の期間、当院消化器内科を
受診した症例のうち、肝両葉で VTTQ を計測し、Portal vein congestion index(PCI)
を同時に計測した 79 名(男 42 名、女 37 名)
。門脈血行動態指標として PCI を用いて、
VTTQ との相関性を検討した。PCI については、仰臥位、安静呼吸状態で門脈本幹断
面積/門脈血流平均血流速を計測にて評価を行った。
【結果】対象症例は、慢性肝炎
71 名、肝硬変 8 名。年齢 59.2±13.4 才、全体の平均値は PCI 0.10±0.0、VTTQ(左葉)
1.92±0.7、VTTQ(右葉)1.81±0.8、脾臓長径 101.4±20.2mm、spleen index 3793±
1744、Plt 17.0±7.3 万 /μl、PT 81.5±21.7%、Alb 4.1±0.6g/dL、T-Bil 0.9±0.6mg/
dL、AST 42.4±38.2IU/L、ALT 45.3±54.9IU/L、FBS 108.8±38.0mg/dL、Ⅳ型コラ
ーゲン 141.2±115.3ng/ml、ヒアルロン酸 391.0±982.6ng/ml。左葉の VTTQ にて有意
な相関が見られたのは、PCI(r=0.244)
、Plt(r=-0.511)
、PT(r=-0.456)
、Alb(r=-0.333)
、
T-Bil(r=0.285)
、TC(r=-0.288)
、HDL-C(r=-0.397)
、FBS(r=0.277)
。右葉の VTTQ
で は、spleen index(r=0.312)、Plt(r=-0.462)、BUN(r=0.234)、Alb(r=-0.329)、
T-Bil(r=0.231)
、TG(r=0.318)
、FBS(r=0.287)だった。さらに、spleen index と肝両
葉の VTTQ と PCI 値の関連を検討すると、PCI と右葉 VTTQ の相関係数は、各々
r=0.30,r=0.31 と有意な相関が見られたが、左葉では有意な相関が見られなかった。
【結
語】VTTQ を用いて肝両葉の線維化を評価した結果、左葉と右葉の VTTQ は、高い
相関係数を認めるものの左葉の VTTQ は右葉よりも高い傾向がみられた。また、
spleen index と PCI と右葉の VTTQ は有意な相関が見られ、門脈圧の推測に有用で
ある可能性が示唆された。
―1―
[MEMO]
―2―
2. 超音波検査で測定した肝門部門脈周囲腔径は肝線維化の評
価に有用である
橋口 正史 1)、塩屋 晋吾 2)、平賀 真雄 2)、小田 耕平 3)、重田 浩一朗 1)、
長谷川 将 1)、宇都 浩文 3)、藤﨑 邦夫 1)
1) 霧島市立医師会医療センター 消化器内科 2) 超音波技師 3) 鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学
【背景と目的】肝硬変症の所見として,肝右葉と左葉内側区の萎縮,尾状葉と左葉外
側区の腫大が知られ,最も初期に起こる形態変化は肝左葉内側区の萎縮とされてい
る.MRI による検討で肝門部門脈周囲腔の拡大が早期肝硬変の診断に有用であると
報告されているが,超音波検査による検討の報告はない.本研究では,超音波で測定
した肝門部門脈周囲腔径が肝線維化予測に有用であるかを検討した.
【対象】2013 年 7
月に当院で Echosens 社製 Fibro Scan 502 Touch(以下,FS)を用いた肝硬度測定お
よび超音波検査を施行した C 型慢性肝疾患患者 52 例(男性 17 例,女性 35 例)を対象
とした.【方法】肝門部門脈周囲腔径は,門脈左枝横行部腹側辺縁と肝 S4 実質背側辺
縁間の最大距離とした.肝線維化 staging は,FS の弾性度により,5.8kPa 未満を F0,
5.8 以 上 7.4kPa 未 満 を F1,7.4 以 上 10.4kPa 未 満 を F2,10.4 以 上 14.9kPa 未 満 を F3,
14.9kPa 以上を F4 とした.肝門部門脈周囲腔径と弾性度,血小板数,アルブミン値,
ヒアルロン酸,Ⅳ型コラーゲン,線維化 staging との関連を検討した.
【結果】肝門部
門脈周囲腔径は,弾性度(相関係数 0.68,P<0.001), ヒアルロン酸 , Ⅳ型コラーゲンと
正相関し,血小板数 , アルブミン値と負の相関を認めた.また,肝門部門脈周囲腔径
は,F0 と F1 に 有 意 差 は な く,F0 と F2-F4 間,F1 と F2-F4 間 に 有 意 差 を 認 め た.
ROC 解析では,F0-1 と F2-4 を鑑別する至適 cut off 値は 5.6mm で,感度 91.3%,特異
度 89.7%,AUC 0.957 と 高 い 診 断 能 を 示 し, 血 小 板(cut off 値 13.9 万 /μg,AUC
0.881),ヒアルロン酸(cut off 値 76ng/ml,AUC 0.914)
,Ⅳ型コラーゲン(cut off 値
133ng/ml,AUC 0.881)よりも優れていた.
【まとめ】超音波検査で測定した肝門部門
脈周囲腔径は,FS による弾性度と相関し,肝線維化 F2 以上の判別に有効であった.
F2 以上では発癌リスクが高まるため,その拾い上げは重要である.肝門部門脈周囲
腔径は通常の超音波検査で簡便に測定でき,繰り返しの施行が可能であることから,
臨床的有用性は極めて高いと考えられた.
―3―
[MEMO]
―4―
3. C 型慢性肝炎のインターフェロン治療効果から考える Strain elastography
および Shear wave elastography 同時観察による肝の病態把握の可能性
矢田 典久、工藤 正俊
近畿大学医学部消化器内科
【はじめに】Shear wave elastography による肝硬度はインターフェロン治療の経過に
より変化することが知られているが、線維化・炎症・うっ血・黄疸の影響を受けるた
め、Shear wave elastography だけでは、肝の線維化の改善がどの程度認められるの
か評価できない。そこで Strain elastography および Shear wave elastography の両方
を用いて肝を観察し、その変化と抗ウイルス効果とを比較し、肝の病態との関連につ
いて検討した。
【方法】2010/10 から 2013/7 の間、当院でインターフェロン治療を受けた C 型慢性肝
炎症例のうち、治療開始前、1 か月目、治療終了 6ヶ月時点に FibroScan と Real-time
Tissue Elastography(RTE)を同時に施行した 26 症例を対象とし、Liver Stiffness
(LS)、Liver Fibrosis Index(LFI)の変化と肝の病態との関連について検討した。
【結果】治療は、PEG 単独療法 1 例、PEG/RBV 併用療法 12 例、TVR/PEG/RBV 三剤
併用療法 13 例で、それぞれ 1 例(100%)
、9 例(78%)
、11 例(84.6%)で SVR が得られた。
全体では SVR 21 例、non-SVR 5 例であった。治療 1 か月目では、治療効果に関わら
ず殆どの症例で LS が低下したが、LFI には著変を認めなかった。治療終了 6 か月の時
点では、SVR 群では、2 例(9.5%)で LFI、1 例(4.8%)で LS が増加したが、その他の
症例ではともに低下した。LS および LFI が共に増加する症例は、全例 non-SVR 群で
あった。一方、Non-SVR 群でも、1 例で LS、2 例で LFI が低下した。また、インター
フェロン治療中に黄疸や心不全が出現した症例はいなかった。
【まとめ】LS が線維化と炎症、LFI が線維化のみの影響を受けると仮定すると次のよ
うに解釈できる。
「インターフェロン治療では比較的早期から炎症が軽快することを
反映し、LS は低下する。SVR が得られた場合、あるいは長期的に炎症が抑えられた
状態では、肝線維化も改善し LS だけではなく LFI も低下する。
」全例にインターフェ
ロン治療前後に肝生検を施行することは倫理上難しく、あくまで仮定を元にした解釈
ではあるが、原理の異なる elastography を同時に行うことで肝線維化の程度だけで
はなく炎症の程度も把握できる可能性を示唆する結果であると考えられる。
―5―
[MEMO]
―6―
4. NBNC 肝炎を対象とした肝癌サーベーランス戦略
青木 智子 1, 2)、西口 修平 2)、飯島 尋子 1, 2)
1) 兵庫医科大学 超音波センター 2) 兵庫医科大学 内科 肝胆膵科
【目的】NBNC 肝癌は増加しており、発癌リスクの高い症例の囲い込みが急務とされ
ている。非侵襲的検査で NBNC 肝癌の高危険群を囲い込めるか検討した。
【方法】2008/10~2013/12 に非侵襲的線維化診断(VTQ)を測定して追跡した発癌歴の
ない NBNC 肝炎 908 例を対象として、経過中に発癌した症例(発癌群 20 例)と発癌し
なかった症例(発癌なし群 888 例)の差異を多変量解析で比較検討した。
【成績】発癌例 20 例の内訳は、多量飲酒 8 例、少量飲酒 3 例、NASH4 例、AIH4 例、
その他 1 例であった。単変量解析では、性別(P=0.054)
、年齢(P=0.001)
、血小板(P
<0.001)、VTQ(P=0.003)
、FIB4 index(P<0.001)
、空腹時血糖値(FPG)
(P=0.007)
で 2 群に有意差を認めた。ROC 解析では、VTQ の AUROC が 0.832 と最大で、最適な
カットオフ値は 1.35m/s であった(感度 90%、特異度 72%、P<0.001)
。同様に年齢の
カットオフ値は 68.5 歳、FPG111.5mg/dl、血小板 15.0 万であった。これらの危険因子
をカットオフ値以上の群と未満の群で分けてダミー変数化し cox 回帰分析を行った結
果、肝発癌の hazard ratio は、VTQ ≧ 1.35m/s のとき HR17.2、FPG ≧ 111mg/dl のと
き HR6.5、年齢≧ 68 歳のとき HR4.4 となることが示された(P<0.01)
。VTQ<1.35m/
s かつ FPG<111mg/dl のとき肝発癌例は 0%(0/489)であり、VTQ ≧ 1.35m/s かつ
FPG ≧ 111mg/dl のとき肝発癌率は 12.9%(12/93)であった。VTQ<1.35m/s の症例の
発 癌 リ ス ク を 1 と し た 場 合、VTQ ≧ 1.35m/s か つ FPG ≧ 111mg/dl の 症 例 の HR は
33.1 であることが示され、2 つの因子を組み合わせることで肝発癌の高危険群を囲い
込むことができる可能性が示された。
【結語】Shear wave と FPG は非常に簡便で非侵襲的な検査であるが、両者を組み合わ
せると NBNC 肝炎症例の発癌予測に有用となる可能性が示唆された。
―7―
[MEMO]
―8―
5. Dual energy CT を用いた肝脂肪変性定量評価の有用性
〜肝生検標本を用いた脂肪変性定量との比較
岡部 純弥 1)、澤井 良之 1)、小来田 幸世 1)、井倉 技 1)、福田 和人 1)、磯谷 圭介 2)、
藤田 典彦 2)、今井 康陽 1)、辻川 華子 4)、阿部 時也 4)、橋口 明典 4)、坂元 亨宇 4)、
村上 卓道 3)
1) 市立池田病院 消化器内科 2) 市立池田病院 放射線科
3) 近畿大学医学部 放射線診断学 4) 慶應義塾大学医学部 病理学
【目的】近年、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
、特に非アルコール性脂肪性
肝炎(NASH)は進行性であることから我が国でも注目されているが、NAFLD の診
断は組織学的に行われているのが現状である。我々はこれまで Dual energy CT 撮影
データから multi-material decomposition(MMD)法で得られた物質弁別画像によっ
て肝実質の脂肪沈着の程度を推定し、その定量性について報告してきた。今回症例を
加え再度検討を行い、また、肝生検標本を用いた脂肪定量を行い、MMD 法による脂
肪量定量結果と比較検討した。【方法】対象は NAFLD 患者 39 例(男性 21 例、年齢 67
歳(median;48-82 歳)
、BMI 25.1(median;19.3-36.1)
、NASH 21 例)である。Dual
energy CT は、管球の高速電圧切替、および Gemstone を用いた高感度 detector を用
いる Gemstone Spectral Imaging(GSI)が可能な Discovery 750HD(GE Healthcare)
を用いた。MMD 法にて得られた物質弁別画像から肝実質の脂肪量を計測し、肝組織
HE 染色による NASH activity score(NAS)の脂肪化程度および肝脾 CT 値比と比較
検討した。 また、肝生検における脂肪化の割合を定量的に評価するため、EVG 染色
肝生検標本をバーチャルスライド装置によりデジタル画像化した。色素で染色されな
い領域の中から、円形度、面積を用いて大きい血管、アーティファクトを除外したも
のを脂肪領域として認識し、脂肪領域の面積を肝生検組織の全面積で割ることで、脂
肪化占有率を算出した。MMD 法にて得られた物質弁別画像から計測した肝実質の脂
肪量と、肝生検標本より計測した脂肪量とを比較検討した。
【結果】NAS 脂肪化程度 0,
1,2,3 症例の肝実質の脂肪量の中央値はそれぞれ 2.39%(1.34-9.27;n=8)
,10.4%
(1.53-17.8;n=19)
,14.0%(10.0-23.8;n=10)
,23.8%(8.52-23.8;n=2)であり、NAS 脂
肪化程度の増悪に伴い肝実質の脂肪量は高値となった(p<0.001:Jonckheere-Terpstra 検定)。肝実質の脂肪量と肝脾 CT 値と間には強い負の相関関係が認められた(p
<1.0×10-6,r=-0.851)
。また、MMD 法による肝実質の脂肪定量と肝生検標本を用い
た脂肪定量との間には正の相関関係が認められた(1.0×10-6,r=0.707)
。
【結論】Dual
energy CT のデータから MMD 法を用いて得た脂肪抽出画像は、肝脂肪変性の非侵襲
的な定量評価に有用と考えられた。
―9―
[MEMO]
― 10 ―
6. 慢性肝疾患症例における CAP(Controlled Attenuation Parameter)の有用性についての検討
山本 浩之、田浦 直太、宮明 寿光、三馬 聡、柴田 英貴、本田 琢也、妹尾 健正、
末廣 智之、時村 郁子、高木 裕子、山島 美緒、中鋪 卓、原口 雅史、山道 忍、
宮副 由梨、中尾 一彦
長崎大学病院 消化器内科
【目的】2010 年 Sasso らがフィブロスキャンによる非侵襲的な肝組織内脂肪沈着度測
定を報告した。以後、CAP(Controlled Attenuation Parameter)がフィブロスキャン
での測定が可能となり、非侵襲的な肝組織内脂肪沈着の測定に注目が集まっている。
本研究では、2014 年 1 月より当院において CAP を測定した慢性肝疾患症例を対象と
し、肝組織内脂肪沈着度と各種検査との関連について検討を行った。
【対象・方法】
2014 年 1 月~2014 年 8 月 の 期 間、 当 院 に て 慢 性 肝 疾 患 と 診 断 さ れ Vertual Touch
Tissue Quantification、CAP を計測した 82 名(男 54 名、女 28 名)
、B 型関連慢性肝疾
患 10 例(12%)、C 型慢性肝疾患 28 例(34%)
、非ウイルス性肝疾患 44 例(54%)を対
象 と し た。CAP 測 定 時 の 織 所 見(Steatosis grade を SO:10% 未 満、S1:10-33%。
S2:34-66%、S3:67%以上)と血液所見を比較検討した。
【結果】82 例中肝組織検
査が行われた 24 例で CAP と肝への脂肪沈着度を検討すると S0 が 204dB/m、S1 が 249
dB/m、S2 が 288 dB/m、S3 が 305 と S0 と比較し有意に S2,S3 の CAP 値が高値であ
った。さらに、CAP 中央値である 231 dB/m に寄与する因子についてロジスティック
回帰分析にて行ったところ、単変量解析では、BMI(23 kg/m2 以上:odds ratio 6.72,
P=0.001)、中性脂肪(100mg/dl 以上:odds ratio 4.32, P=0.017)
、脾臓 Vs(2.8 m/s 以上:
odds ratio 4.91, P=0.002)が有意な因子であった。これら有意であった因子と CAP と
の相関をみると、BMI r=0.641(P=<0.001)
、中性脂肪 r=0.164(P=0.081)
、脾臓 Vs
r=0.413(P=<0.001)であり BMI と脾臓 Vs にて相関が見られた。
【結語】CAP は、肝
組織内脂肪沈着量の増加に伴い有意な上昇がみられた。また、CAP 上昇に寄与する
因子として BMI、中性脂肪、脾臓 Vs が上げられ、これらは、肝組織の脂肪下の危険
因子と考えられた。
― 11 ―
[MEMO]
― 12 ―
7. バルーン非閉塞・閉塞下 CTA にて血流変化を確認し、マイ
クロバルーン閉塞下 TACE(B-TACE)により、良好な治療
効果を認めた低血流の肝細胞癌の1例
平川 雅和 1)、染原 涼 2)、宮嶋 公貴 2)、鶴田 悟 3)、酒井 浩徳 3)
1) 九州大学病院別府病院 放射線科 2) 別府医療センター 放射線科
3) 別府医療センター 消化器内科
低血流の肝細胞癌への通常 TACE では、薬剤集積に難渋する症例を経験するが、マ
イクロバルーン閉塞下 TACE(B-TACE)でも、良好なリピオドール(LPD)沈着が得
られる症例も、決して多くはない。今回、バルーン閉塞による血行動態変化を CTA
で確認し、低血流肝細胞癌ながら B-TACE による良好な LPD 沈着が得られた症例を
経験したので、B-TACE 中の動画を含めて報告させていただくと共に、低血流肝細胞
癌に対する TACE 治療効果向上への突破口としたい。症例は、80 歳台女性。C 型慢
性肝炎にて経過観察中、肝 S4/8 ドーム下に 2㎝弱の血流豊富な部分と低血流部分を有
する肝細胞癌を認めた。ミリプラチン(MPT)+LPD 懸濁液使用した B-TACE を施行
し、良好な LPD 集積を認めた。10 か月後の CT で、LPD の washout を認めたが、造
影 CT および Gd-EOB-DTPA 造影 MRI でも血流を確認できなかった。拡散強調画像
にて病変部は高信号を呈し、腫瘍マーカーの上昇を認めた。血管造影では、前回治療
した A8 は、開存しており、バルーン非閉塞下での血管造影および CTA で、明らか
な腫瘍濃染は指摘できなかったが、バルーン閉塞下での CTA で、AP shunt の顕在
化を認め、腫瘍部分に淡い増強効果を認めた。バルーン非閉塞状態での MPT+LPD
懸濁液の注入では、腫瘍への明らかなリピオドールの沈着は指摘できなかったが、
B-TACE では、非閉塞下で認められなかった栄養動脈および腫瘍への良好な LPD の
沈着を認めた。治療後の CT でも、良好な LPD 沈着が確認された。
― 13 ―
[MEMO]
― 14 ―
8. 末梢肝動脈枝バルーン閉塞状態における血流動態の検討
喜多 竜一、遠藤 正嗣、福原 学、丸井 彩子、大原 芳章、坂本 梓、西島 規浩、
斎藤 澄夫、那須 章洋、西川 浩樹、米門 秀行、木村 達、大崎 往夫
大阪赤十字病院 消化器内科
B-TACE の原理は肝流入血流が二重支配であることの利用と押し込み効果とされてい
るが、実際の注入が低圧下に微量ずつ行われているため、その血行動態を volume
data として把握することは困難である。今回われわれは、バルーン閉塞の有無によ
り CTHA や single level dynamic CTHA を同撮像条件下で比較することに加え、当
院倫理委員会承認のもと、以下の検討を行った。
(対象と方法)対象は肝細胞癌等の
多血性腫瘍 12 例。1)2 本のカテーテルを挿入し、一方は末梢栄養血管のバルーン閉
塞用に、他方は造影剤注入用に使用した。バルーン閉塞の有無により、総肝動脈から
の CTHA, single level dynamic CTHA, DSA, お よ び 上 腸 間 膜 動 脈 か ら の CTAP,
single level dynamic CTAP を撮りわけて検討した。2)バルーンカテーテル先端か
らの造影では、閉塞下の造影時には注入量を毎秒 0.1-0.2 ml とし、注入時間を延長し
て、 バ ル ー ン 非 閉 塞 下 撮 像 条 件 で の 造 影 剤 総 使 用 量 と 同 一 に な る よ う 調 節 し、
CTHA, single level dynamic CTHA の 画 像 を 比 較 検 討 し た。 バ ル ー ン 閉 塞 下 の
CTHA では、全量注入直後に撮像した。
(結果)1)栄養血管のバルーン閉塞下におけ
る動脈血流の変化は、以下の2パターンであった。① 閉塞領域の肝実質における動
脈血灌流は低下したが、領域内に減少した動脈枝の血流が確認された。腫瘍は造影さ
れなかった。② 周辺肝実質、腫瘍ともに造影された。バルーン閉塞による門脈血流
の変化は、AP シャント領域における門脈血流の回復を認めたが、それ以外の領域で
は変化を認めず、time-density curve でも確認した。2)バルーン閉塞下の撮像では、
いずれも腫瘍部のみへの強い造影効果が認められ、周辺肝への造影効果は乏しかっ
た。(考察)腫瘍栄養血管のバルーン閉塞により、門脈血流には変化を認めないが、
腫瘍周辺の動脈血流が周りの動脈枝との吻合を介して少し補填されることでバルーン
カテーテルから周辺肝への動注量が減少し、B-TACE における腫瘍への選択的動注効
果を高めていると考えられた。一方、この効果のみでは、腫瘍血流排泄路、いわゆる
コロナ様濃染域まではリピオドール沈着が及ばず、バルーン閉塞による圧入効果が
B-TACE において重要な働きをしていると思われる。
― 15 ―
[MEMO]
― 16 ―
9. 末梢肝動脈枝バルーン閉塞状態におけるリピオドールの挙
動についての推測と治療適応症例の拡大
喜多 竜一、遠藤 正嗣、福原 学、丸井 彩子、大原 芳章、坂本 梓、西島 規浩、
斎藤 澄夫、那須 章洋、西川 浩樹、米門 秀行、木村 達、大崎 往夫
大阪赤十字病院 消化器内科
B-TACE において、腫瘍の周辺に存在する動脈間吻合のために、他の動脈枝が栄養血
管となり閉塞効果が得られにくい症例が存在する。今回我々は、バルーン閉塞下にお
ける血流動態を調べた上で動注を施行したが、この時に得られた知見をもとに小細工
と治療適応症例の拡大を提案し、B-TACE の原理を推考する。
(症例と根拠)当院倫
理委員会承認のもと、肝細胞癌の末梢栄養血管をバルーン閉塞し、別のカテーテルを
使用して総肝動脈から造影剤を注入し、DSA および CTHA を撮像した。バルーン閉
塞区域の動脈血流は減少するも、腫瘍濃染は消失しない症例が見られた(5 症例)
。こ
のタイプの症例に対しては、
B-TACE が効きにくいことが予想されたにもかかわらず、
①閉塞を一旦解除、あるいは注入圧を調整することにより、注入初期に lipiodol の流
入を確認でき、②その後はバルーン閉塞下に通常 B-TACE 時と同様の注入と圧入を
完遂することができた。治療後の CT にてコロナ様濃染域まで lipiodol の沈着が及ん
でいることを確認した。また、バルーンカテーテル先端から注入スピードをおとして
造影した症例において、造影剤の滞留効果が高かった。
(考察)リピオドールは液体
ではあるが粘調であり、塞栓物質としての側面をもつ。フィルターにゴミが溜まって
いく現象と比較して考えると、注入スピードを落とすと、粘調な lipiodol がよどんだ
ゴミと同様に溜まりやすくなると思われる。また、②の現象に関して、バルーンカテ
ーテル先端からの lipiodol が支配領域内に充満することにより、側副路を介した動脈
血流も遮断されることにより、その影響が減少するのではないかと推測する。
(結語)
本来の肝動脈の激流に流されることなく lipiodol を注入できることで、腫瘍や周辺肝
実質に貯留しやすくしていること(フィルター目詰まり効果)も、B-TACE 効果の大
きな要因と考える。また、バルーン閉塞下の注入圧を調整することで、B-TACE が有
効である症例の範囲を広げることが可能と思われる。
― 17 ―
[MEMO]
― 18 ―
10. 門脈血栓、肝内胆管拡張に、流体の変化を伴い安全に BTACE を行えた一例
出田 雅子 1)、小川 力 1)、野田 晃世 1)、荒澤 壮一 1)、久保 敦司 1)、石川 哲朗 1)、
松中 寿浩 1)、玉置 敬之 1)、柴峠 光成 1)、石川 亮 2)、荻野 哲朗 2)、工藤 正俊 3)
1) 高松赤十字病院 消化器内科 2) 高松赤十字病院 病理診断科
3) 近畿大学医学部 消化器内科
(症例)65 歳、男性(現病歴)IFN 治療で SVR 症例で、門脈血栓の既往歴あり。2006
年 に HCC を 指 摘 さ れ、 以 後 TAI、RFA 等 を 繰 り 返 し て い た。 今 回 2013 年 6 月 の
CECT にて S7 の RFA 後の辺縁に 23mm の再発を認めた。HCC 指摘時は Child-Pugh
C-10 点で治療困難と判断し、内服加療、食事療法等の保存的加療を行い、肝機能が
Child-Pugh B-9 点に改善した同年 11 月に精査加療目的にて入院となった。再発部位
の末梢の肝内胆管は軽度拡張し、Plt も低値であったため RFA は行わず、十分な IC
の 上 で ミ リ プ ラ チ ン を 用 い た B-TACE で の Angio 加 療 の 方 針 と し た。A7 か ら の
Selective TACE とし、加温ミリプラチンにて A7 からミリプラチン 30mg を B-TACE
にて注入し、1mm のジェルパートにて軽く塞栓を行った。ミリプラチンは加温の効
果から薬剤注入直後は小さな粒状であったが、その後流速の低下に伴い、ミリプラチ
ンと lipiodol の流体は大きく、伸長し、最終的には蛇状に腫瘍中心に流入、集積を認
めた。B-TACE を行うことにより通常のミリプラチンよりも多く薬剤は注入された。
治療効果判定の CT でも lipiodol の集積は良好であり、また治療後も末梢の肝内胆管
の増悪、肝機能の悪化は認めず、Child-Pugh B-9 のまま ENT となった。その後も肝
機能の悪化、肝内胆管の拡張の悪化は認めず、1 年以上経過しているが同部からの再
発は認めていない。一般に門脈血栓の症例や、末梢の胆管拡張を認める症例への
TACE は肝機能の悪化や、胆管周囲血管叢の血流障害によって胆管障害を引き起こ
し肝内胆管の拡張増悪を認めるとの報告が多いが、B-TACE による血行動態の変化に
より通常の TACE とは違い安全に行える可能性が示唆された一例を経験したため報
告する。
― 19 ―
[MEMO]
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11. 巨大な卵巣癌肝転移にビーズ TAE 後ラジオ波焼灼療法が有
効であった一例
石井 政嗣、佐藤 新平、河井 敏宏、八島 陽子、杉本 貴志、佐藤 隆久、菅田 美保、
小尾 俊太郎
佐々木研究所付属杏雲堂病院 消化器肝臓内科
患者は 57 歳、女性。2014 年 3 月他院で卵巣癌同時肝転移に対して卵巣両側切除、子
宮全摘施行された。4 月よりタキソール、カルボプラチン療法 3 クール施行するも肝
転 移 増 大 し、 ラ ジ オ 波 焼 灼 療 法(RFA)目 的 で 紹 介 さ れ た。 腫 瘍 径 は S8 に 最 大
9.0x7.5cm、その近傍に 1-2 cm の腫瘤が数個散在していた。造影 CT では腫瘍濃染軽
度であったが、ソナゾイド造影エコーでは腫瘍全体に濃染し、速やかに wash out さ
れた。大型病変であり RFA では治療困難と判断し、まずエンボスフィア ® を用いた
ビーズ TAE を先行させた。腫瘍は A8 より栄養されており、マイクロカテを A8 まで
挿入した。エンボスフィアは粒子径 100-300μm を使用し、造影剤 11ml で混和した後
希釈せず、1 分間に 1ml 程度の速度で用手で注入した。適宜造影しながら腫瘍濃染の
消失するまで注入し、計 15ml 注入し終了した。TAE 翌日の造影エコーでは腫瘍内部
の腫瘍濃染は消失していた。1 週間後の造影エコーでは腫瘍への血流の再開通を認め
たが元の腫瘍の約 1/2 は血流なく壊死と判断し、残り 1/2、腫瘍径では 7.0 x 4.0cm は
血流あり viable な領域と判定した。その領域に対して RFA を施行し、完全壊死を確
認し、治療は成功した。転移性肝癌は動脈血流が少なく、従来のゼラチンを使用した
TAE は効果不良であった。2014 年より転移性肝癌に対して球状塞栓物質のエンボス
フィア用いた TAE が保険適応になり、その効果はまだ未知数であるが RFA と併用す
ることで新たな治療のオプションになると考え報告する。
― 21 ―
[MEMO]
― 22 ―
12. 当院における肝細胞癌に対するディーシービーズⓇを用いた
DEB-TACE の治療成績
渡口 真史 1)、鶴崎 正勝 1)、柳生 行伸 1)、沼本 勲男 1)、朝戸 信行 1)、山川 美帆 1)、
任 誠雲 1)、松木 充 1)、村上 卓道 1)、井上 達夫 2)、萩原 智 2)、南 康範 2)、
上嶋 一臣 2)、工藤 正俊 2)
1) 近畿大学医学部 放射線診断科 2) 近畿大学医学部 消化器内科
背景と目的:ディーシービーズⓇが本邦でも使用可能となり、当院では本年 3 月より
臨床導入し、エピルビシン含浸 Drug eluting beads(DEB)として肝細胞癌に対する
TACE を行い始めた。今回我々は、当院における DEB-TACE の治療成績を検討する。
対象:のべ 22 例(20 人)の肝細胞癌症例に対してディーシービーズを用いた DEBTACE を行った。対象年齢は 51 歳から 85 歳(中央値:73.6 歳)
、性別は男性 13 例、女
性 9 例(7 人)、基礎疾患は B 型肝硬変 4 例、C 型肝硬変 11 例である。肝機能は ChildPugh 分類で A 16 例、B 6 例であった。肝細胞癌の病期は Stage Ⅰ 6 例、Stage Ⅱ 9 例,
Stage Ⅲ 5 例、Stage Ⅳ 2 例であった。16 例に Lip-TACE や TAI の治療歴があり、9
例が TACE 不応の定義に合致した。DEB-TACE の方法としては 100-300㎛サイズのデ
ィーシービーズ 2ml(=1 vial)にエピルビシン 50㎎を含浸させた DEB を事前に作成
し、マイクロカテーテルを責任血管まで挿入し適切な血流低下が得られるまで TACE
を行った。
結果:塞栓範囲は全肝が 1 例、その他多くが区域から1葉未満の範囲であり、ビーズ
使用量は、2 V 使用した症例が1例、その他は1 V 以内であった。ジェルパートによ
る塞栓を追加した例が 1 例あった。肝外動脈塞栓術は 3 例で行い、いずれも下横隔膜
動脈であった。治療効果は評価された 16 例のうち mRECIST にて、PR が 5 例、SD が
5 例、PD が 6 例であった。PD 症例のうち、TACE 不応例は 3 例であった。期間中に
肝不全の進行にて死亡した症例が 3 例あり、これらは門脈腫瘍栓や下大静脈浸潤を合
併していた。手技中の合併症は無く、術後も Grade3 以上の有害事象は見られなかっ
た。
結語:DEB-TACE を行った肝細胞癌症例の治療成績を報告する。ディーシービーズ
のみで病勢コントロールが良好な症例や、PD となりミリプラチン等の conventional
TACE に再移行した症例、RFA との併用で制御可能である症例など、ディーシービ
ーズの治療効果、適応範囲は様々である。
― 23 ―
[MEMO]
― 24 ―
13. EOB-MRI および 3D-volumetry を用いた肝細胞癌に対する肝
切除術後 合併症予測に関する検討
伊藤 心二 1)、調 憲 1)、栗原 健 1)、吉田 佳弘 1)、冨野 高広 1)、今井 大祐 1)、
別城 悠樹 1)、王 歓林 1)、木村 光一 1)、中川原 英和 1)、松本 佳大 1)、山下 洋市 1)、
池上 徹 1)、吉住 朋晴 1)、川中 博文 2)、池田 哲夫 3)、西江 昭弘 4)、前原 喜彦 1)
1) 九州大学大学院 消化器・総合外科 2) 九州大学大学院 外科集学的治療学
3) 九州大学大学院 先端医工学 4) 九州大学大学院 臨床放射線科学
【目的】EOB-MRI は造影剤が肝細胞に特異的に取り込まれることに着目した画像診断
で、肝臓領域での画像診断や肝機能評価に有用である。これまで我々は肝線維化評価
としての音響放射圧や血清糖鎖の有用性について報告してきた(Surgery 2012, J
Gastroenterol 2014)
。また、今回我々は、肝線維化と肝機能を総合的に評価しうる新
たな評価法として EOB-MRI、3D-CT volumetry に着目し、これらを用いた肝細胞癌
に対する肝切除における機能的残肝容積を測定し、術後合併症発症との関連について
検討を行った。【対象】当科にて施行した初発肝細胞癌に対す初回肝切除 112 例を対象
とした。【方法】EOB-MRI にて残肝部位の造影前および造影 20 分後の信号強度を測定
し、腸腰筋信号強度にて標準化した(Liver-to-Major-Psoas-Muscle Ratio:LMR)
。ま
た Synapse Vincent を用いた 3D-CT volumetry による残肝容積を測定し、機能的肝
容積を測定した。
【結果】平均年齢 67 歳、男女比 81:31。Child Pugh grade A:110 例、
B:2 例、肝障害度 A:97 例、B:15 例であった。肝 2 区域以上切除 29 例、肝区域切
除 22 例、肝亜区域切除 19 例、肝部分切除 42 例に施行した。Mortality は 0% であった。
肝障害度 B 症例、ICGR15 高値症例、組織学的肝硬変症例において LMR は有意に低値
であり、肝機能と肝線維化を反映した。区域以上肝切除 51 例においては、Clavien 分
類 Grade3 以上の術後胸水または腹水貯留症例で有意に機能的肝容積が低値であった。
【結論】EOB-MRI および 3D-volumetry を用いた機能的肝容積評価により、区域以上
肝切除における術後合併症の予測が可能となり、肝切除術式の治療支援に有用であ
る。
― 25 ―
[MEMO]
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14. RFA 術前のシミュレーションに向けた教育システム
小川 力 1)、野田 晃世 1)、荒澤 壮一 1)、出田 雅子 1)、久保 敦司 1)、石川 哲朗 1)、
松中 寿浩 1)、玉置 敬之 1)、柴峠 光成 1)、工藤 正俊 2)
1) 高松赤十字病院 消化器内科 2) 近畿大学医学部 消化器内科
腹部超音波検査は多くの advantage を持っているが、術者依存性であることと、客観
性 に 弱 い 点 で 問 題 が あ る。 そ の disadvantage を 補 う た め に RVS、V-NAVI 等 の
FUISION 機能が開発され、日常診療でその有用性は認識され、特に B モードで描出
困難な SOL の同定や穿刺治療の補助ツールとして用いられている。一方で FUSION
を備えた超音波装置は非常に高額で、一般病院では常備していても 1 台までであり、
簡便に誰もがいつでも使える装置ではない問題点がある。今回我々はその問題点を克
服する modality として、3 次元画像解析ソフトの VINCENT の中の仮想超音波と言う
アプリケーションの有用性を検討した。23 結節(平均腫瘍径 10.6mm)を V-NAVI、
VINCENT のそれぞれで描出するまでの時間を測定したところ、V-NAVI はセットア
ップから腫瘍の同定までに 5 分 48 秒であったのに対し、仮想超音波は 1 分 27 秒と有意
差をもって短縮し、実際の超音波では描出できない肺にかぶる病変等でも描出が可能
であった。仮想超音波は通常の電子カルテ PC からの操作が可能であり、ライセンス
契約をすれば US 室、外来、病棟等電子カルテのある場所であればどこからでも、い
つでも 1 分以内の立ち上げで使用することができる。また実際に患者さんがいなくて
も腫瘍の描出のみでなく、RFA の予想穿刺ラインのシミュレーション、および術中
US でのシミュレーションも行え、簡便で非常に有効な modality と考えられた。当院
では通常の肝腫瘍の描出のみならず、100 例以上の RFA 症例に仮想超音波のシミュ
レーションを併用し、一例も重篤な合併症を起こしておらず、術中 US を含めた教育
ソ フ ト と い て も 有 用 で あ る。 ま た 最 近 で は GE 社 の ワ ー ク ス テ ー シ ョ ン の AW
(Advantage Workstation)を用いた穿刺ライン、術中超音波のシミュレーションも併
用しているため実際の症例を提示し報告する。
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[MEMO]
― 28 ―
15. plain cone-beam CT による肝動脈塞栓術の早期治療効果予
測(第 2 報)
南 康範 1)、村上 卓道 2)、工藤 正俊 1)
1) 近畿大学医学部消化器内科 2) 近畿大学医学部放射線診断科
【背景】肝動脈塞栓術(TACE)直後に撮像した plain cone-beam CT では、注入した
Lipiodol の分布を確認することで治療終了の目安として用いられている。しかし、
TACE 直後に HCC 内に集積する Lipiodol が経過中に wash-out される場合も少なくな
く、治療効果を早期に予測できる方法が求められる。
【目的】TACE 直後に撮像した
plain cone-beam CT における治療効果判定の早期予測を評価する。
【対象・方法】
2011 年 4 月から 2014 年 7 月までに当院で TACE を施行した 169 症例 262 結節が対象で
ある。男性 125 例、女性 44 例で平均年齢は 73.9 歳、腫瘍径は 2.3 ± 1.5 cm であった。
TACE は、通常の手順に従い選択的にマイクロカテーテルを進めたうえで、Epirubicine と Lipiodol の混合液を動注後に Gelpart にて塞栓を行った。使用した cone-beam
CT 装置は Innova4100IQ Pro(GE Helthcare 社製)
。投薬後に plain cone-beam CT を
撮像し、再構成された三次元画像において腫瘍の最大割面全体に関心領域(ROI)を
設定しボクセル値を計測し、標的結節治療効果度(TE)に従って結節毎に評価した。
【結果】plain cone-beam CT でのボクセル値と TE 評価について ROC 解析をしたとこ
ろ AUC は 0.862 であり、cut-off 値は 184 であった。算出された cut-off 値をもとに TE 4
に対する感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率がそれぞれ 89.5%、74.6%、90.5%、
72.6% であった。さらに「cut-off 値」と「均一な集積」の条件では感度、特異度、陽性的
中率、陰性的中率が 91.2%、94.7%、97.7%、82.8% とそれぞれ向上した。
【結語】plain
cone-beam CT におけるボクセル値は CT 値のような絶対値ではないためにその数値
はおおよその目安であることを留意しなければならない。しかし、腫瘍内のボクセル
値と Lipiodol 集積形態から効果的に治療効果を予測することができた。特にボクセル
値が低い部位では Lipiodol が wash-out されやすいことを考慮して、次回の治療方針
に役立てたい。
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[MEMO]
― 30 ―
16. Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 及び拡散強調画像の信号強度によ
る肝細胞癌の悪性度及び予後評価
岡村 修祐 1)、東南 辰幸 2)、住江 修治 1)、中野 聖士 1)、佐谷 学 1)、黒松 亮子 1)、
鳥村 拓司 1)
1) 久留米大学病院内科学講座 消化器内科部門 2) 久留米大学病院 放射線医学講座
< 背景と目的 > 肝細胞癌の治療方針は、腫瘍因子として主に腫瘍径と腫瘍数により決
定される。それ以外に腫瘍悪性度に関連する因子として、病理学的脈管侵襲(MVI)
、
組織分化度等が知られているが、治療前診断が困難であり治療選択における確立され
た因子ではない。今回、
Gd-EOB-DTPA 造影 MRI 及び拡散強調画像の信号強度により、
悪性度及び予後評価が可能かどうかを検討した。< 方法 >2008 年 7 月~2012 年 4 月に
初発(3cm3 個以下で肉眼的脈管侵襲や肝外転移なし)で切除が行われた 75 例を対象
とし、悪性度(MVI/ 組織分化度)及びと MRI 信号強度(動脈 / 肝細胞相及び拡散強調
画像)との関連性を評価した。多発症例は主結節を評価対象とした。腫瘍の信号強度
計測は ROI を用い、傍脊柱筋群で補正した LMSI(liver-to-muscle signal intensity)を
用いて相対的造影効果(RE)=(Post LMSI-Pre LMSI)/Pre LMSI を算出し評価し
た。拡散強調画像については、ADC 値を測定し評価した。< 結果 > 組織分化度評価
では、AP-RE 値(動脈相の RE)は中・低分化は高分化より有意に高く(中央値;高 /
中 / 低:0.288/0.751/0.740)
、HBP-RE 値(肝細胞相の RE)は組織分化度間に有意差は
みられなかった(中央値;高 / 中 / 低:0.287/0.168/0.191)
。ADC 値に関しては、低分
化は高・中分化より有意に低く、かつ分化度が低くなるとともに低下する傾向がみら
。MVI の術前予測について、
れた(中央値;高 / 中 / 低:1.328/1.218/0.995×10-3mm2/s)
MRI 信号強度の他、患者因子を含め解析を行った結果、ADC 値のみが独立した予測
因 子 と し て 示 さ れ た(P<0.001)
。 さ ら に ROC 解 析 を 行 い AP-RE 値、HBP-RE 値、
ADC 値における best cut off 値を求め、高低の二群に分け再発に関する予後解析も行
った。結果、ADC 値のみに有意差がみられ、低 ADC 値群は高 ADC 値群に比べ有意
に再発率が高いことが示された(P=0.031)
。< 結論 > 拡散強調画像は腫瘍悪性度及び
予後予測の双方において有用で、治療方針決定の一助となる。
― 31 ―
[MEMO]
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17. Early HCC の画像診断からみた非多血性肝細胞性結節の治
療適応
安井 豊、土谷 薫、高田 ひとみ、樋口 麻友、権藤 興一、中岫 奈津子、松田 秀哉、
浅野 侑、玉城 信治、鈴木 祥子、細川 貴範、中西 裕之、板倉 潤、黒崎 雅之、
泉 並木
武蔵野赤十字病院
【目的】EOB-MRI で検出される非多血性小型結節の治療適応についてのエビデンスは
確立していない。一方で、境界明瞭な多血性肝細胞癌では 2cm 以下であっても 27%
に顕微鏡的門脈侵襲を伴う(Nakashima et al. Hepatology, 1995)ことが報告されてお
り、非多血性肝細胞癌を多血化前に治療することは局所根治につながる。
【方法】病
理学的に肝細胞癌の診断が得られた 3cm 以下の 211 例 219 結節を対象とし、非多血性
肝細胞癌 72 例における Early HCC と Progressed HCC の画像所見とを比較した。
【成
績】非多血性肝細胞癌 72 結節のうち、Early HCC/ Progressed HCC 22(31%)/ 50
(69%)であった。Progressed HCC の分化度の内訳は高分化型 / 中分化型 / 低分化型
が 27(38%)/ 19(26%)/ 4(6%)結節であり、中低分化型は 32%であった。Early
HCC とその他の乏血性肝細胞癌で比較すると、Early HCC に有意な画像所見は MRI
拡散強調像非高信号(6% vs 53%, p=0.003)のみであり、他の画像所見の陽性率(CEUS
Kupffer 相低エコー(57% vs 76%)
、MRI T2 強調像高信号(12% vs 31%)
、EOB-MRI
肝細胞相低信号(92% vs 93%)
)に有意差は無く単独の画像所見では鑑別は困難であ
った。そこで、CEUS Kupffer 相低エコー、T2 強調像高信号、MRI 拡散強調像高信
号を 1 点とすると、Early HCC の頻度は 3 点 0%、2 点 28%、1 点 31%、0 点 50%で
あった。また、3 点の結節は 67%が中低分化型 HCC であった一方で、0 点の結節のう
ち中低分化型 HCC は 7%であった。
【結論】非多血性小型結節であっても、CEUS
Kupffer 相低エコー、MRI 拡散強調像高信号、T2 強調像高信号を満たす結節は中分
化型以上の肝細胞癌が多く、腫瘍生検もしくは治療検討が必要である。一方で、これ
らの 3 所見をいずれも満たさない結節は特に肝予備能低下例においては治療適応はな
い。
― 33 ―
[MEMO]
― 34 ―
18. Single-level dynamic CTHA(SLD-CTHA)のコンパートメントモデル解
析(CMA)による HCC の定量的血流動態解析:TACE 治療効果との比較
山田 哲 1)、上田 和彦 1)、鈴木 健史 1)、田端 克彦 1)、小松 舞 1)、小松 大祐 1)、
高橋 正明 1)、藤田 顕 1)、塚原 嘉典 1)、藤田 幸恵 1)、柳澤 新 1)、松下 剛 1)、
黒住 昌弘 1)、藤永 康成 1)、宮川 眞一 2)、角谷 眞澄 1)
1) 信州大学医学部画像医学教室 2) 信州大学医学部外科学教室(外科学第一 )
【目的】Lip-TACE による局所制御が良好な HCC にはどのような血流動態の特徴があ
るか,SLD-CTHA の CMA を用いて明らかにする.
【方法】画像的に HCC と診断され,
SLD-CTHA 施行後にエピルビシン・リピオドール・ゼラチンスポンジを用いた LipTACE により治療された連続 26 患者を対象とした.得られた SLD-CTHA 画像上に関
心領域を設定し,肝動脈および HCC の時間濃度データ,Ca(t)および Ct(t)を計測し
た.これらを以下の微分方程式,dCt(t)/dt = K1Ca(t)- k2Ct(t)で表されるコンパ
ートメントモデルに当てはめ,HCC の定量的血流動態指標である K1 および k2 を求
めた.ここで K1 は流入血流速度定数 [1/s],k2 は流出血流速度定数 [1/s] である.さら
に HCC の血流動態と組織構築との関係を評価するために,外科切除標本により組織
学的に HCC と診断された 77 例の SLD-CTHA データによって事前に学習された単純
ベイズ分類器を用いて,HCC が特定の組織構築の subtype(trabecular, pseudoglandular, compact type) で あ る 後 確 率(PB-trabecular, PB-pseudoglandular,
PB-compact)を K1 および k2 から求めた.最終的に TACE 施行後の局所再発時間を目
的 変 数, 病 変 径・K1・k2・ 分 布 容 積(= K1/k2)
・PB-trabecular・PB-pseudoglandular・PB-compact を説明変数としたステップワイズ回帰分析を行い,TACE 治療効
果に有意な影響を与える画像バイオマーカーを検索した.
【結果】ステップワイズ回
帰分析の結果,PB-trabecular のみが TACE 治療効果に有意な影響を与える画像バイ
オマーカーであった(R = 0.41, P = 0.036)
.[ 局所再発時間(日)] = 665 x [PB-trabecular] - 79.また trabecular type の HCC は他の組織構築の subtype と比較して高い流
入血流量および高い分布容積を示す傾向がみられた.
【結論】Lip-TACE による局所
制御が良好な HCC は,高い流入血流量および高い分布容積を示し,これらは trabecular type の HCC に特徴的である.
― 35 ―
[MEMO]
― 36 ―
19. 生体肝移植後のグラフト、残肝に対する拡散強調像の意義
森田 孝一郎 1)、西江 昭弘 1)、浅山 良樹 1)、石神 康生 1)、牛島 泰宏 1)、
高山 幸久 2)、岡本 大佑 1)、藤田 展宏 1)、池上 徹 3)、調 憲 3)、本田 浩 1)
1) 九州大学大学院医学研究院 臨床放射線科学
2) 九州大学大学院医学研究院 放射線医療情報・ネットワーク講座
3) 九州大学大学院医学研究院 消化器・総合外科
目的:生体肝移植後のレシピエントのグラフトとドナーの残肝の apparent diffusion
coefficient(ADC)値と再生率を比較し、生体肝移植における拡散強調像の意義につ
いて検討する。対象と方法:対象は 2011 年 1 月から 2012 年 12 月にかけて当院で生体
肝移植を受けたレシピエント 15 名、ドナー15 名。すべての症例において、術後 1-2 週
間に b=0,500,1000s/mm2 での single-shot echo-planar 法による拡散強調画像および
CT が撮影された。肝実質の ADC 値は b 値 0-500、500-1000、0-500-1000 を用いてそれ
ぞれ算出された。肝の再生率は術後 CT での肝臓容積 / 手術時のグラフトあるいは残
肝の容積で算出した。再生率と ADC の相関は回帰分析にて解析され、レシピエント
のグラフトとドナーの残肝の ADC 値の平均値は、paired-t 検定を用いて比較された。
結果:肝の再生率と ADC 値の間には、b 値 0-500-1000 で相関係数 -0.58(P<0.01)
、b 値
0-500 で相関係数 -0.50(P<0.01)と有意な負の相関が見られた。ただし、b 値 500-1000
を用いた場合は有意な相関は見られなかった。また、b 値 0-500 で算出された ADC 値
の平均は、ドナー(1.718±0.109)がレシピエント(1.427±0.104)と比較して有意に高
かった(P=0.041)
。b 値 500-1000 で算出された ADC 値の平均には両者に有意差は見ら
れなかった。再生率はレシピエント(2.58±0.61)がドナー(1.47±0.31)より有意に高
かった(P<0.01)
。結論:再生率が高いレシピエントの方が、ドナーと比較して灌流
が低下していることが示唆された。生体肝移植後早期の拡散強調像により、グラフト
や残肝の再生の程度や灌流の状態を推測することが可能と考えられ、有用な検査とな
りうる。
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[MEMO]
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20. 肝内胆管癌と細胆管細胞癌の比較検討
会澤 信弘 1)、飯島 尋子 1)、中野 智景 1)、長谷川 国大 1)、高田 亮 1)、青木 智子 1)、楊 和典 1)、
石井 昭生 1)、橋本 健二 1)、高島 智之 1)、坂井 良行 1)、池田 直人 1)、田中 弘教 1)、岩田 惠典 1)、
榎本 平之 1)、斎藤 正紀 1)、廣田 省三 2)、廣田 誠一 3)、裴 正寛 4)、藤元 治朗 4)、西口 修平 4)
1) 兵庫医科大学病院 肝胆膵内科 2) 兵庫医科大学病院 放射線科
3) 兵庫医科大学病院 病院病理部 4) 兵庫医科大学病院 肝胆膵外科
はじめに:肝内胆管癌は線維化が強い腫瘍として知られ画像では転移性肝癌との鑑別
が重要である。さらに細胆管細胞癌は肝細胞癌や肝内胆管癌に類似した組織が混在す
ることも知られこれらの鑑別は治療を行う上で重要なポイントとなる。今回、当院で
過去 5 年間に細胆管細胞癌と診断した腫瘍径 3cm 以下の 4 症例と肝内胆管癌と診断し
た腫瘍径 3cm 以下の 7 例について画像、病理を検討した。
対象:当院で過去 5 年間に細胆管細胞癌と診断した 4 症例(年齢:46~77 歳,男性 3 例,
女性 1 例、手術症例:3 例、生検診断:1 例)肝内胆管癌と診断した 7 例(年齢:63~
80 歳,男性 3 例,女性 4 例、手術症例:7 例)を対象とした。
結果:細胆管細胞癌は CT、MRI の動脈相では全症例で造影効果を認めたが、いずれ
も淡い染まりであった。肝内胆管癌も、全例造影効果を認めたが、うち 5 例は辺縁の
み染影された。細胆管細胞癌は門脈相で染影が遷延した症例は 2 例で、いずれも全体
ではなく部分的に染影を認めた。平衡相では 3 例で等~低吸収となり、1 例は低吸収
を呈した。肝内胆管癌では 4 例に造影効果の遷延を認めたが、3 例は周囲肝と同等で
あった。EOB-MRI を施行した 9 例とも、拡散強調画像では高信号、肝細胞相で低信
号を呈した。(肝内胆管癌の 1 例は等~低信号)細胆管細胞癌、肝内胆管癌いずれも
Sonazoid 造影超音波検査では動脈優位相、門脈優位相とも CT、MRI と同様の造影パ
ターンであった。いずれの症例も Kupffer 相では明瞭な defect を呈した。病理組織で
は細胞密度が高い部分は比較的造影効果は強く見られた。また、門脈血流が少し残存
している症例や、線維性間質が比較的多い部分は遷延傾向を示した。
まとめ:肝内胆管癌と細胆管細胞癌において、腫瘍径が比較的小さいものでは、造影
検査の動脈相で染影を認めるが、肝内胆管癌では辺縁にのみ造影効果を認める症例が
多かった。門脈相では遷延傾向を認めない症例もあり鑑別は困難であった。線維性間
質の程度、局在により染影のパターンが異なり、単一の画像診断による鑑別が困難で
ある一因と考えられた。
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[MEMO]
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21. 腹部造影 CT 検査における肝容積の違いが
肝実質造影能に及ぼす影響
猪口 靖裕、糸瀬 哲也、岩佐 亜紀、小手 康博、植松 正裕
社会福祉法人 仁生社 江戸川病院 放射線科
背景・目的
従来、腹部造影 CT 検査におけるヨード投与量は、異なる個体間の造影能差をなくす
ため、患者毎にヨード量 / 体重(mgI/kg)の計算式で算出し適正化が計られてきた。
肝臓は人体最大容積を誇る臓器であり、肝腫瘍を描出させるためのヨード投与量の報
告は多岐にわたり、異なる個体間のヨード投与量の適正化は、今後も必須と考えられ
る。
そこで今回は、個体間の肝容積の違いに着目し、腹部造影 CT 検査における肝容積の
違いが肝実質造影能に及ぼす影響について検討する事を目的とした。
方法
1, 2013/7/1~2013/7/31 の間で、ヨード投与量を 600mgI/kg の計算式で算出し、注入
時間 50s 撮影タイミング 90s で腹部造影 CT 検査を行った、体重 40kg~61.5kg の非肝
硬変患者 28 症例について、造影後から造影前の肝実質の CT 値を引いた値を算出し、
肝実質造影能の平均値(標準偏差)を求めた。
2, 1 の結果から肝実質造影能が、50Enhancement Unit(EU)を下回った症例それぞれ
の肝容積(LV)と標準肝容積(SLV)の値から肝腫大率(LV/SLV)を算出し、肝実質
造影能との相関関係を調べた。
結果
1, 肝実質の平均値(標準偏差)は 52.08(8.73)EU となった。
2, 肝実質造影能が 50EU を下回った症例は 11 症例で全体の 39%であった。LV/SLV
は肝実質造影能が低くなるにつれ大きな値を示し、これらの相関係数は -0.84 となり
負の相関を示した。
結語
腹部造影 CT 検査時の肝実質造影能は、従来のヨード量 / 体重(mgI/kg)の計算式で
算出する事である程度の適正化は計られるが、標準肝容積よりも肝容積の大きい患者
では、肝実質造影能が低下する恐れがある事が示唆された。
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[MEMO]
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22. 肝に対する不可逆電気穿孔法(Irreversible electroporation,
IRE)の各種超音波所見と組織変化-ラジオ波治療との比較
小林 功幸 1)、杉本 勝俊 1)、竹内 啓人 1)、安藤 真弓 1)、佐野 隆友 1)、森 俊文 1)、
古市 好宏 1)、中村 郁夫 1)、大城 久 2)、森安 史典 1)
1) 東京医科大学 消化器内科 2) 東京医科大学 病理診断科
【目的】IRE は,ラジオ波焼灼療法(RFA)とは異なり、高圧電流により細胞膜に不可
逆的なナノサイズの小孔を開け、細胞のアポトーシスを惹起する非熱的アブレーショ
ン治療として期待されている。通電領域での血管、胆管などは障害を受けにくいとい
う特徴が報告されている。今回我々は,
IRE および RFA を各種超音波にてモニターし、
その組織学的変化と併せて対比検討した。
【方法】3 頭の健常ブタの肝臓に対し,全身
麻酔、開腹下で IRE(NanoKnife)による焼灼域を計 9 か所,RFA による焼灼域を計 3
か所作製した。各焼灼領域に対し,治療直後、2時間後に B モード,Shear Wave
Elastography(SWE)
, ソ ナ ゾ イ ド 造 影 超 音 波 を 行 っ た。 摘 出 肝 に は 各 種 染 色
(NADPH, Hep-Par1 等)を行い、超音波画像所見と病理学的所見との比較を行った。
超音波診断装置は Aplio500 および Aixplorer を使用した。
【成績】IRE 直後の B モード
画像では,焼灼域辺縁に淡い辺縁高エコー帯を認めた。SWE にて焼灼域(44.0±18.9
kPa)は正常肝実質(5.0±0.7 kPa)と比べ肝硬度が上昇していた。造影超音波動脈相
で焼灼域は乏血領域として描出されたが,既存血管は開存していた。門脈相では,焼
灼域がより明瞭に描出された。2 時間後の B モード画像では焼灼域辺縁は明瞭な辺縁
高エコー帯を呈し,内部の輝度も上昇していた。SWE では軽度肝硬度は上昇してい
た(64.2±4.7 kPa)
。一方,RFA 直後の B モード画像では,IRE と比べ焼灼域は明瞭
であり,SWE にて同部の肝硬度(203.6±44.4 kPa)は IRE と比べ高度であった。造影
超音波では,同部は無血流領域として描出された。病理組織所見では,IRE では血管
構築は保たれ,肝細胞のアポトーシス、類洞内のうっ血所見を呈する一方、RFA で
は肝細胞壊死、蛋白変性所見が著明であった。
【結論】IRE と RFA 後早期の超音波所
見および組織学的所見は異なっていた。IRE 後の早期治療効果予測には造影超音波が
有用である可能性が示唆された。
― 43 ―
[MEMO]
― 44 ―
23. VirtuTRAX による仮想針先端表示を用いた確実かつ安全な RFA 治療
―2ステップ法および大型HCCに対するマルチポーラRFAにおける有用性―
葛谷 貞二、石上 雅敏、安田 論、川口 彩、加藤 幸一郎、新家 卓郎、今井 則博、
阿知波 宏一、山田 恵一、石津 洋二、本多 隆、林 和彦、石川 哲也、後藤 秀実
名古屋大学 消化器内科
RFA にて HCC を治療する際、治療の一連の過程において針先端位置の確認は確実か
つ安全に治療を行う上で重要である。GE 社の LOGIQ E9 に搭載された Volume Navigation system の一つである VirtuTRAX は、磁気センサーを用いエコー上に仮想針
先端および穿刺ラインを表示する機能である。今回、2 ステップ法および大型 HCC に
対するマルチポーラ RFA における VirtuTRAX の有用性を検討した。VirtuTRAX を
用いた 2 ステップ法による RFA を 45 症例、59 結節に施行した。2 ステップ法は、縦
方向に外筒針の位置調節を行う機会が多い手技であるが、いずれの治療過程において
も安心して針先端位置の調節や確認ができ、仮想針表示は全例において有用であっ
た。とくに、焼灼で生じたバブルの影響で腫瘍が高エコーとなった後の治療過程にお
いて、外筒針先端の位置調節する際に有用であった(腫瘍の手前側の追加焼灼、肝表
面の焼灼、肝表面への再挿入の際など)。VirtuTRAX を用いた大型 HCC に対するマ
ルチポーラ RFA を 5 例、5 結節(最大腫瘍径 40-60mm)に施行した。CelonPOWER は
中央絶縁部の高エコー輝度のため、針先端の同定が困難なケースが多いとされるが、
仮想針先端表示により針先端位置の調節や確認が容易で、針刺入時、焼灼前の針先端
位置の再確認、バブルが生じた後の肝表面の焼灼において特に有用であった。確実か
つ安全に 2 ステップ法および大型 HCC に対するマルチポーラ RFA を施行する上で、
VirtuTRAX による仮想針先端表示は有用と考えられた。
― 45 ―
[MEMO]
― 46 ―
24. 肝細胞癌に併発した門脈血流陽性結節を多発性に認めた C
型肝硬変の 1 例
城野 智毅 1)、永松 洋明 1)、水上 直久 2)、渡辺 次郎 3)、小野 典之 1)、鳥村 拓司 4)
1) 公立八女総合病院 肝臓内科 2) 公立八女総合病院 放射線科
3) 公立八女総合病院 病理診断科 4) 久留米大学 内科学講座 消化器内科部門
【はじめに】肝細胞癌(HCC)は進行程度により様々な血流段階が存在し、その中には
門脈血優位な段階も存在する。今回、HCC に併発した門脈血流陽性多結節を有する
症例を経験したので報告する。【症例】82 歳、女性。C 型肝硬変症にて経過観察中、
2013 年 5 月肝 S3 に腫瘍径 15mm の HCC を指摘され、近医にて PEIT を施行された。
その後肝内に多発する結節がみられ、精査治療目的に当院紹介受診となった。腹部造
影 CT にて肝 S3 に動脈相で造影効果を認め、門脈相で wash out する腫瘍径 25mm の
結節を認めた。また、肝両葉に動脈相で defect、門脈相では周囲肝よりも造影効果を
認める結節を多数認めた。ソナゾイド造影超音波検査では肝 S3 の血管相にて造影さ
れる結節のほか造影効果のない結節が多数認められた。後期血管相では血管相で造影
された結節のみ低 echo で、ほかの多結節はやや高 echo であった。EOB-MRI におい
て、肝 S3 に動脈相で造影される結節と造影効果のない多結節、門脈相にて wash out
される結節と濃染される多結節を認めた。肝細胞相において造影効果のあった結節は
低吸収域、造影効果のない多結節は高吸収域としてみられた。動注 CT では CTAP で
defect される腫瘍径 28mm の結節と、造影される多結節、CTHA では CTAP で defect
された結節は造影され、delay でコロナ様濃染を示し、ほか多結節は、defect として
みられた。CTHA で造影される結節と defect された結節をそれぞ肝腫瘍生検を行い、
前 者 は moderately differentiated hepatocellular carcinoma 、 後 者 は hyperplastic
foci と診断された。【まとめ】今回、典型的は HCC の画像所見を示す結節と門脈血優
位な多結節が混在する症例を経験した。今後門脈血優位な結節がどのように変化する
か注意して観察する必要があると考えられた。
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[MEMO]
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25. Peritumoral spared area に門脈血の残存を認めた肝細胞癌
の一例
池田 敦之 1)、大岩 容子 1)、安原 裕美子 2)、西躰 隆太 3)、喜多 竜一 4)、國立 裕之 1)
1) 京都桂病院 消化器センター 消化器内科 2) 京都桂病院 病理診断科
3) 京都桂病院 消化器センター 外科 4) 大阪赤十字病院 消化器内科
【症例】症例は 56 歳男性。近医で糖尿病、高脂血症、高血圧、睡眠時無呼吸症候群に
て加療中。スクリーニング目的の US で肝腫瘍を指摘され当院へ紹介。US にて肝外側
区に長径約 40mm の高エコー腫瘤を認め、周囲には低エコー域を伴っていた。背景に
は脂肪肝を認めた。EOB-MRI では早期相で濃染し、後期相で wash out、肝細胞相で
defect となり、肝細胞癌と考えられた。腫瘍内部と背景肝は T1 opposed phase にて
信号低下を認めたが、腫瘍周囲には信号変化なく、US の所見と合わせて peritumoral
spared area と考えられた。造影 US では、腫瘍は早期濃染を示し、その後周囲にコロ
ナ濃染を認め、Kupffer 相では defect となった。腫瘍は CTAP にて欠損像を呈し、
CTA 第 1 相では濃染を、第 2 相ではコロナ様濃染を認めた。peritumoral spared area
はコロナ様濃染を越えて広がり、CTA 第 2 相において淡染領域となった。この領域
は CTAP にて defect は呈さないものの、背景肝に比して CT 値は約 15HU 低下してお
り、門脈血流は軽度減少が示唆された。病理組織所見では内部に脂肪沈着を伴う、線
維性被膜を有する中分化肝細胞癌の所見であった。peritumoral spared area と考え
られた領域には脂肪化は認めなかった。
【考察】peritumoral spared area は、腫瘍からの動脈血の排血領域となっており、脂
肪化を免れたと考えられるが、門脈血流は低下しつつも残存していた。一般に、
spared area には門脈血の流入は認めず、このことが spared area の発生につながると
考えられている。本症例では、門脈血のわずかな低下が spared area の形成につなが
っていると考えられ、脂肪化の成因を考える上で興味深い症例であった。
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[MEMO]
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病理提示演題
26. FNH 様の異常門脈域などの示唆に富む病理所見を認めた
HCC の一例
荒澤 壮一 1)、小川 力 1)、野田 晃世 1)、出田 雅子 1)、久保 敦司 1)、石川 哲朗 1)、
松中 寿浩 1)、玉置 敬之 1)、柴峠 光成 1)、南 貴人 2)、北村 好史 2)、西平 友彦 2)、
石川 亮 3)、荻野 哲朗 3)、近藤 福雄 4)、工藤 正俊 5)
1) 高松赤十字病院 消化器内科 2) 高松赤十字病院 消化器外科
3) 高松赤十字病院 病理診断科 4) 帝京大学医学部附属病院 病理診断科
5) 近畿大学医学部 消化器内科
症例は NBNC の 82 才、男性。既往歴に HT、DM、DM 性腎症があり、今回検診の単
純 CT で偶然 S6 に 54mm の SOL を指摘された。EOB-MRI の肝細胞相では取り込みは
iso~少し亢進し、一部低下のみ低下を呈する約 50mm の多血性腫瘍とのことで、精
査加療目的で当院紹介受診となった。B モードでは腫瘍の内部は高エコーを呈し、ソ
ナゾイド超音波検査では、vascular phase にて多血性腫瘍も肝血管腫は否定的なパタ
ーンであった。Post vascular phase(Kupffer phase)では B モードで高エコーな結節
であり、defect の評価はやや困難であった。CTHA では腫瘍の中心に向かう太い肝動
脈の流入を認めたが、明らかな中心瘢痕や early drainage vein は認めなかった。ま
た被膜様構造を認め FNH に典型的な画像所見ではなかったが完全には否定できなか
った。腎機能が悪いため CTAP は行わず。また OATP1B3 の発現が低下していない
HCC の除外が必要であったため経皮的肝生検を施行の上、肝外に突出する腫瘍で
rupture の risk もあることより、肝後区域切除術を行った。病理診断は肝細胞癌(中
分化型>高分化型)であったが、GS はびまん性に陽性,β-catenin 核内集積を認め、
SAA,CRP も一部陽性であった。また最外層に FNH(-like lesion)は認めなかったが、
切除標本内に FNH(-like lesion)で認められる異常門脈域の存在および、腫瘍内外の
境界部で異常に動脈が太い Glisson 鞘(門脈域)を認めた。以上示唆に富む病理所見を
呈した HCC の一例を経験したため報告する。
― 51 ―
[MEMO]
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27. Peritumoral fat-spared area を認めた 1 例
-US,CT,MRI の対比を中心に-
隈部 力 1, 2)、藤井 麻衣 3)、中島 収 3)、黒松 亮子 4)、川野 祐幸 3)、相園 多美子 3)、
橋本 好司 3)、鳥村 拓司 4)
1) 隈部医院 2) 久留米大学医学部放射線医学講座 3) 久留米大学病院臨床検査部 4) 久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門
【症例】20 歳代,男性.主訴は腹痛と発熱.検査成績では ALT,CRP の軽度上昇と高
脂血症を認めた.HBs 抗原と HCV 抗体は陰性.AFP,
CEA および CA19-9 は基準値内.
【画像所見】US の B-mode では肝は高輝度で深部減衰,脈管不明瞭化と肝腎コントラ
スト増強を認めた.S3 に 10mm 強の薄い隔壁様構造を伴う低エコー域(a 領域)を,
その周囲に軽度低エコー域(b 領域)を認め,全体として約 20mm の辺縁不整,境界
がやや不明瞭な低エコー腫瘤が認められた.造影 US の血管相で早期に a 領域は不整
な管腔が存在する如き濃染を認め,やや遅れ b 領域に造影効果を認めた.また,b 領
域の肝表側にも楔状に造影効果(c 領域)を認めた.数分後に b,c 領域は周囲肝と同
等に造影された.後血管相では a 領域のみ低エコーであった.CT と MRI の造影では
a 領域は早期に高度濃染され,後期相の造影効果は減弱するも遷延し,EOB 造影 MRI
肝細胞相は低信号であった.同領域の T1 強調像は低信号,脂肪抑制 T2 強調像は高信
号,拡散強調像は等~極軽度高信号で ADC は視覚的に高値域であった.一方,b, c
領域は造影早期相と後期相で軽度の造影効果を呈した.背景肝は T1 強調像 opposed
phase で信号が低下したが b, c 領域は高信号で,脂肪抑制 T2 強調像は背景肝と等信
号であった.以上より背景肝は脂肪肝,a は high-flow hepatic hemangioma,b は
peritumoral fat-spared area,c は腫瘤末梢の血流異常による fat spared area と診断
した.なお,臨床症状と CRP は自然軽快した.
【まとめ】背景肝が脂肪肝の場合,肝
の門脈主幹外静脈還流域に限局性低脂肪化域(focal fat spared area)を生じることが
あり,また,腫瘍が存在すると腫瘍周囲に低脂肪化域(peritumoral fat-spared area)
を認めることがある.本邦では脂肪肝は増加の傾向にあり,同様の症例を経験する機
会も増えると思われる.Peritumoral fat-spared area の US,CT および MRI 画像所見
の理解は診断の一助として意義があると考え報告する.
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[MEMO]
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病理提示演題
28. Corona 様濃染を呈し、early venous drainage を認めなかっ
た PEComa の一例
西島 規浩 1)、喜多 竜一 1)、大原 芳章 1)、坂本 梓 1)、斎藤 澄夫 1)、那須 章洋 1)、
西川 浩樹 1)、米門 秀行 1)、木村 達 1)、大﨑 往夫 1)、有本 明 2)、嶋田 俊秀 3)
1) 大阪赤十字病院 消化器内科 2) 大阪赤十字病院 外科
3) 大阪赤十字病院 病理診断科
肝血管筋脂肪種(AML)は 3 種の構成成分の存在比によりさまざまな画像を呈するた
め、しばしば診断に難渋する。以前より平滑筋成分のみからなる AML は悪性 potential をもつことがあるとされていたが、近年これらは PEComa と呼ばれるようになっ
た。今回我々は、PEComa としても非典型的な画像を呈した症例を経験したので報告
する。(症例)55 歳、女性。健診腹部超音波検査にて肝腫瘤を指摘され、精査目的に
て 当 院 紹 介 と な っ た。 血 液 検 査 に て、 肝 炎 ウ イ ル ス マ ー カ ー は 陰 性、AFP・
PIVKA-2 は陰性であった。腹部超音波検査にて、肝 S5 に径 3.0cm 大の低エコー結節
を認めた。同結節は、単純 CT でやや低吸収、dynamic CT 早期相で高吸収、後期相
で低吸収を呈した。MRI では T1W in phase 低信号 ,out phase 低信号 ,T2W 高信号 ,
DWI 高信号を呈し、EOB-MRI 肝細胞相は低信号を呈した。腹部血管造影では、DSA
で明瞭な tumor stain を認め、early venous drainage は認めなかった。CTAP は明瞭
な defect を、CTHA1 相目は濃染、2 相目は corona 様濃染を呈した。肝細胞癌に矛盾
しない画像所見と思われたが、DWI が著明な高信号を呈したことも含め、肝生検を
施行した。腫瘍組織は類円形核と淡明な好酸性細顆粒状細胞質を有する紡錘形の中~
大型細胞から成り、免疫組織染色では AE1/AE3:陰性、CK7:陰性、CK20:陰性、
S-100:弱陽性、Melan-A:強陽性、HMB-45:陽性、αSMA:陽性であった。病理
組織からは PEComa と考える所見であった。
(考察)PEComa は、血管周囲に存在し
多分化能をもつ平滑筋様細胞である PEC がクローナルに増殖したものと考えられて
おり、血管筋脂肪種も PEComa family に属する。本症例では PEComa にて通常観察
される early venous drainage を認めず、corona 様濃染を呈した。腫瘍の排血路が肝
細胞癌と同様に、腫瘍周辺の肝実質還流を経由するため、上記画像所見を呈したもの
と考えられる。PEComa には悪性例の報告もあり、本症例でも悪性成分が混在する可
能性を考慮して切除予定である。発表時には摘出標本と画像を対比して示す予定であ
る。
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[MEMO]
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29. 馬鈴薯肝を呈した特発性門脈圧亢進症の 1 例
喜田 恵治
喜田医院
症例:46 歳、男性。2012 年 2 月肝障害で近医受診。2013 年 2 月 27 日 AST/ALT
25/25、γGT 566、ALP 3612。治療はウルソ 600 mgとベザトール 400 mgの投与で
開始した。2014 年 5 月 8 日肝生検し、病理診断はアウトフローブロック + 胆管障害で
あった。2014 年 5 月 22 日 AST/ALT 22/22、γGTP 214、ALP 1384 と改善傾向を
示したが胆道系酵素の値が高かった。2014 年 6 月 24 日当科初診。エコーでは肝は馬
鈴薯肝の形態であった。門脈血流少なく動脈血流が優位で血流障害が病態の主体と思
われた。脾腫は中等度で巨脾ではなかった。2014 年 8 月 19 日MRI撮影。肝臓はま
んじゅうの様に外側の被膜様のゾーンと内側の実質に分かれ、外側は動脈相で早く濃
染し、肝細胞相では内側の実質が濃く染まっていた。2014 年 10 月 9 日血管造影施行。
上腸間膜動脈造影の門脈相では門脈血流は求肝性ではあったが肝内では先細りしてい
た。腹腔動脈造影では肝動脈は拡張し、肝の辺縁で動脈同志の吻合があり、まず辺縁
の実質が濃染した。選択的に肝動脈造影すると逆に内側の実質が先に濃染した。肝辺
縁部の内圧が高く、相対的に肝動脈造影圧が低いことによると思われた。肝静脈造影
ではしだれ柳様で特発性門脈圧亢進症にみる所見のようであった。楔状肝静脈圧は肝
辺縁部で測定したが驚くことに 135 mHgで動脈圧であった。総合的に考えると特発
性門脈圧亢進症で肝動脈が肝辺縁で吻合するため 2 層性をなし馬鈴薯肝を呈したと思
われた。血液検査で胆道系酵素が高値であることの説明は困難であった。
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[MEMO]
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30. 類上皮型肝血管筋脂肪腫の一例
赤羽 武弘 1)、山本 康央 1)、松浦 真樹 1)、海野 純 1)、蒲 比呂子 1)、富永 現 1)、
朝倉 徹 1)、高橋 徹 2)
1) 石巻赤十字病院 消化器内科 2) 石巻赤十字病院 病理部
【症例】40 歳女性【既往歴】H23 年子宮筋腫・両側卵巣嚢腫手術。子宮内膜症。
【現病歴】
H25 年 8 月右側腹部痛が出現し近医受診。腹部造影 CT で肝細胞癌が疑われ 8 月 30 日
当科紹介となる。【採血所見】肝機能正常。肝炎ウイルスマーカー陰性。腫瘍マーカ
ー正常。【エコー所見】肝 S5~6 に、40x30mm 大の分葉状の、辺縁が高エコー・内部
は等エコーの腫瘤を認め、ソナゾイド造影では血管相で腫瘤は均一に強く濃染し、そ
の後右肝静脈への還流が認められた。Kupffer 相では造影欠損を呈した。
【CT 所見】
S5~6 の腫瘤は動脈相で均一に濃染し、平衡相で wash out されたが、wash out は弱
く一部造影が遷延した。腫瘤に被膜形成は認めなかった【MRI 所見】腫瘤は T1WI で
低信号、T2WI で高信号を示し、T1WI の in phase と out of phase で信号強度の変化
がなく脂肪成分に乏しい腫瘤と判断した。EOB 造影の肝細胞相では明瞭な低信号を
示した。【血管造影所見】腫瘤は A5A6 枝から栄養され、Main Feeder である A5 枝は
著明に拡張していた。明瞭な腫瘍濃染像に引き続き周囲肝への濃染のしみだしを認
め、その後右肝静脈への還流が淡く認められた。Single level dynamic CTHA でも同
様の周囲肝への造影剤のしみだし(コロナ様濃染)を認めた。CTAP では腫瘤+コロ
ナ様濃染に一致して明瞭な欠損像を認めた。以上の画像所見から肝限局性結節性過形
成は否定され、背景肝が正常であること・流出静脈が肝静脈であることから肝細胞癌
の可能性も低いと考えた。脂肪成分に乏しい類上皮型の肝血管筋脂肪腫を一番に疑っ
たが確定診断にはいたらず肝腫瘍生検を施行し、肝血管筋脂肪腫と診断された。
【考
案】脂肪成分に乏しい肝血管筋脂肪腫の診断は難しいとされているが拡張蛇行した腫
瘍血管は特徴的と思われる。血行動態を過去の報告とあわせ考案する。
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[MEMO]
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病理提示演題
31. 術前画像診断が困難で外科的切除にて診断された肝多血性
腫瘍の 1 例
田尻 和人 1)、峯村 正実 1)、河合 健吾 1)、杉山 敏郎 1)、川部 秀人 2)、松井 恒志 3)、
塚田 一博 3)、常山 幸一 4)、井村 穣二 4)
1) 富山大学附属病院 第三内科 2) 富山大学附属病院 放射線科
3) 富山大学医学部 第二外科 4) 富山大学医学部 診断病理学
【症例】29 歳男性。線維筋痛症で通院中。微熱・嘔気にて当院総合診療部を受診し、
CT 検査を受けたところ肝 S7 に多血性腫瘍を指摘された。4 年前と比較し増大傾向が
確認された。DyCT では動脈相で早期濃染し、平衡相で洗い出しあり。EOB-MRI で
は T1 低信号 , T2 軽度高信号で、動脈相で早期濃染し、肝細胞相で辺縁が高信号・中
心部が低信号であった。背景に高度の脂肪肝を認めた。CT-AP では門脈血流は欠損し、
CT-HA では濃染と遷延造影がみられ、早期静脈環流の所見を認めた。また腫瘍の中
心部に動脈の入り込みがみられ、中心瘢痕様の構造の存在も示唆され、FNH, AML,
Adenoma が鑑別となった。SPIO-MRI では Kupffer 細胞の存在が示唆され FNH が最
も疑われ、MRI での経過観察となった。半年後の EOB-MRI では肝細胞相で軽度の
EOB 取り込みがあり、辺縁~周辺実質で低信号を示すように画像所見が変化してお
り、取り込み低下域でみれば病変は増大傾向となっており、Adenoma との鑑別が問
題となった。更に半年後には肝細胞相で全体が低信号となっており、画像診断困難で
あり、腹腔鏡下肝部分切除術が施行された。組織では、拡張しない空に赤血球を豊富
に容れた血管が増生している部と、径が縮小し、間質の増生を伴い陳旧化を伴ったこ
とが示唆される部を認めた。内皮細胞の類上皮増生は見られず、異型も明らかでなく、
HMB-45 は陰性であり、FNH 様の所見も認めず、血管腫と診断された。背景肝は肝
硬変様であった。
【考察とまとめ】EOB 肝細胞相の所見も経時的に変化し、画像上確
定診断が困難であった。他部位に小さな同様の結節の残存あり、今後も慎重な経過観
察が必要である。背景にある線維化の進行した高度脂肪肝状態が画像所見に影響を及
ぼした可能性はあり、さらなる症例の蓄積・検討が必要と思われる。
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[MEMO]
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病理提示演題
32. 発熱と腹痛を契機に発見された巨大肝腫瘍の 1 例
馬場 英、古家 乾、小泉 忠史、定岡 邦昌、関谷 千尋、澤田 尭史、岡田 尚樹、
片山 知也、中西 一彰、数井 啓蔵、杉浦 充、服部 淳夫
JCHO 北海道病院
症例は 50 歳代女性.平成 24 年 6 月下旬より右上腹部痛が出現し、7 月上旬に当院初診
となった.既往歴,生活歴に特記することはなく、4ヶ月で 8kg の体重減少を認めた。
触診では右季肋部に圧痛と熱感があり、腫瘤を触知した。血液検査では WBC9020 /
μl,Hb10.0 g/dl,Pl41.1
万 /μl,TB0.2 mg/dl,Alb3.0 g/dl,AST/ALT/γ
GTP12/23/22 U/l,PT117.5 %,PIVKA-II662 mAU/l,CA19-951.3U/ml, AFP,
CEA は正常範囲,HCVAb と HBsAg は陰性であった.腹部エコーでは胆嚢体部に接
するように肝右葉に 73×67mm 大の腫瘤像を認めた.辺縁に低エコー帯を伴い、内部
エコーは不均一であった.Dynamic CT では,単純で low, 動脈相で辺縁が淡く不整に
造影された.門脈優位相から平衡相にかけて徐々に腫瘍辺縁が濃染されていったが,
中心部は LDA の部分が残存した.EOB-MRI では T1low,T2 中心部 high で腫瘍辺縁
は low,CT と同様の染影パターンで,肝細胞相では low intensity を示した.腫瘍部
分以外の肝臓は CT や MRI の動脈相でまだらに造影された.Sonazoid 造影エコーで
は 比 較 的 fine な 血 流 が 辺 縁 よ り 求 心 性 に 急 速 に 染 影 さ れ た.Kupper phase で は
defect となった。以上より fibrolamellar carcinoma、硬化型肝癌,混合型肝癌,細胆
管癌などを疑い、肝拡大後区域切除術、胆嚢摘出術を行った. 病理所見では胆嚢粘
膜は壊死・剥離脱落し、硝子化・肥厚した胆嚢壁内に中から高分化腺癌の浸潤増殖が
あり、そこから肝床を越えて浸潤する癌は扁平上皮癌の形態で、肝臓浸潤先端部分に
かけては肝細胞癌に類似した索状構造をとった癌へと移行していた。上記より胆嚢腺
扁平上皮癌と診断した.また、周囲の肝臓では中心静脈の狭窄、うっ血所見が見られ
た.今回の初発症状の痛みの原因としては,腫瘍の急速な増大のほか、肝中心静脈閉
塞症の関与も疑われた.今回腫瘍及び周辺肝が特異な造影所見を示した原因に関し
て,病理学的所見を含めて考察する.
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[MEMO]
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33. 急速に増大を示し、胆嚢転移をきたした肉腫様肝癌の一例
遠藤 正嗣、喜多 竜一、大﨑 往夫
大阪赤十字病院
【症例】59 歳男性。糖尿病および非 B 非 C 肝障害にて近医通院中、2012 年 6 月に造影
CT で乏血性腫瘍(S8 10mm)を指摘されたが、2013 年 2 月に EOB-MRI で同病変が多
血化、増大(S8 16mm)したため、当院へ紹介。2013 年 4 月の血管造影検査にて同病
変は CTHA で高吸収(2nd phase で corona 像を呈する)
、CTAP で等吸収を呈したた
め、肝細胞癌に矛盾ないと考え、経カテーテル治療を施行。背景肝は画像・生検(F4/
A2)より肝硬変であり、経過からは NASH が疑われた。2014 年 4 月、EOB-MRI にて
上記病変の再発(S8 15mm 早期濃染)の他、右葉に早期濃染結節を多数認めた。また、
辺縁が早期濃染される結節(S4/8 20mm)が出現し、これらに対して経カテーテル治
療を施行。手術は肝予備能不良のため施行できず、経過観察となった。2014 年 7 月、
EOB-MRI にて S4/8 結節は 32mm と増大し、さらに 8 月、血管造影検査施行時には
60mm と急激な増大を示した。これと連続して静脈腫瘍栓、門脈腫瘍栓を認め、また
胆嚢には 2 か所の造影効果を伴う結節(15mm/8mm)が出現し、胆嚢転移が疑われた。
主病変に対して DEB-TACE(DC-beads)を施行。S4/8 病変は治療前に生検を施行し
たが、免疫組織染色結果(AE1/AE3、Vimentin 陽性、SMA、S-100、CD34 陰性など)
と併せ、肉腫様変化をきたした低分化癌と考えられた。
【考察】肝細胞癌が各種治療
により肉腫様変化などの悪性転化することはよく知られている。また、比較的早期よ
り脈管浸潤を来し肝外転移も多く認めるが、胆嚢転移は稀である。本症例は主病変が
肉腫様変化をきたした結果、急激に進行したと考えられるが、胆嚢近傍に存在した腫
瘍から胆嚢静脈を経由して逆行性に転移した可能性が高いと考えられた。胆嚢静脈の
還流は脂肪肝における focal spared area に関与することが知られているが、本症例で
は逆行性転移に関与したと考えられ興味深い。本症例での経過につき、過去の文献と
併せ考察する。
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[MEMO]
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病理提示演題
34. 細胆管癌成分を含む混合型肝癌の 1 例
町田 卓郎 1)、目黒 高志 1)、堀田 彰一 1)、藤澤 良樹 1)、加藤 貴司 1)、碇 修二 1)、
佐々木 清貴 1)、山田 裕人 1)、加賀谷 英俊 1)、中村 英明 1)、田中 栄一 2)、
藤田 美芳 2)、森田 高行 2)、高橋 利幸 3)
1) 北海道消化器科病院 内科 2) 北海道消化器科病院 外科
3) 北海道消化器科病院 病理部
<症例>80 歳女性<現病歴>糖尿病、高血圧、心房細動のため、他院 follow 中。平
成 23 年 11 月、上腹部痛にて受診。胆道系酵素の上昇を認めた。肝左葉に腫瘤を認め
精査目的に当院紹介となった。<画像所見>肝左葉外側区域に 60mm 大の不整形で境
界 不 明 瞭 な 腫 瘤 を 認 め、 左 肝 内 胆 管 の 拡 張 を 認 め た。 単 純 CT で low density、
dynamicCT では早期に腫瘍の大部分は造影され、その後 wash out される所見であっ
た。MRI では T2WI High, T1WI low, 肝細胞相で low を示し、CT 同様早期相でわず
かに染まり、その後一部 wash out された。腹部超音波検査ではやや low echoic で不
整形の腫瘍であった。<経過>胆管細胞癌、または混合型肝癌を疑い、肝左葉+尾状
葉切除を施行された。<病理診断>腫瘍は最大径 6.2cm の白色、充実性の腫瘍であり、
一部では肝細胞様の組織像を示し、一部では細胆管様の小型、淡明な胞体をもつ腫瘍
細胞が管状、吻合状構造を形成する組織像を呈する部分もあった。さらに、両者の中
間的な性格を持つ腫瘍細胞の増殖も認めた。また、胆管内に腫瘍栓を形成していた。
免 疫 染 色 で は、HepPar-1 陰 性、CK19 陽 性、EpCAM 陽 性、Muc1/DF3 一 部 陽 性、
EMA 陽性、NCAM 陰性であった。HepPar-1 陰性であったが、胆汁産生、胞体内硝
子滴などお特徴を示す肝細胞癌成分を一部に認めた。以上より、Combined hepatocellular and cholangiocellular carcinoma with stem cell features, cholangiolocellular subtype と診断された。
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[MEMO]
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病理提示演題
35. 肝硬変合併の混合型肝癌に関する検討
斎藤 聡 1)、川村 祐介 1)、小林 正宏 1)、池田 健次 1)、熊田 博光 1)、藤井 丈士 2)、
井上 雅文 3)、近藤 福雄 4)
1) 虎の門病院肝臓センター 2) 虎の門病院病理部
3)JCHO 東京新宿メディカルセンター病理診断科 4) 帝京大学病理診断科
肝硬変は肝細胞癌のハイリスクグループである。一方、混合型肝癌は発生頻度も低く、
肝硬変のハイリスクグループとはされていない。また、混合型肝癌には WHO 分類に
よると肝細胞癌に比べて病理組織学的にバリエーションが大きいと考えられる。そこ
で、今回我々は、肝硬変にみられた混合型肝癌につて病理学的な検討をもとに画像診
断に関して検討した。対象は 2008 年~2014 年までに肝硬変合併混合型肝癌として肝
切除を施行した 9 例である。肝硬変は B 型 4 例、C 型 3 例、NASH1 例、アルコール性
1 例である。6 例は肝硬変として定期的なフォローアップ(F/U)を行っていた。腫瘍
径 は 中 央 値 20mm(range:14~80mm)
(F/U 群 中 央 値 18mm)
、 年 齢 中 央 値 54 歳
(range:45~73 歳)。画像診断では 78%がダイナミック CT では表面凹凸で、内部不
均一な多血性腫瘍であり、遅延性造影は一部のみに 22%、被膜様の濃染像なく、
EOB-MRI では均一な低信号結節であった。組織学的には肝細胞癌成分の占める割合
が 10~90%(中央値 70%)と肝細胞癌成分が多かった。経過観察では同時および異時
的に肝細胞癌合併が 78%に胆管細胞癌が 22%にみられた。肝硬変に合併する混合型
肝癌は肝細胞癌の多中心性発癌の一亜型である可能性が考えられるが、幹細胞マーカ
ーも含めた各細胞マーカーの特殊染色および免疫染色と画像の関係に関してして検討
中である。肝硬変が存在するため、肝細胞癌のスクリーニング検査が施行されていた
症例が多く、比較的小型な混合型肝癌が主体で有り、基礎肝疾患のない症例とは異な
る特徴を有していると思われた。
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[MEMO]
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病理提示演題
36. 約 5 年間の経過で腫瘍径が倍増した FNH の 1 切除例
馬場 英、古家 乾、小泉 忠史、定岡 邦昌、関谷 千尋、澤田 尭史、岡田 尚樹、
片山 知也、中西 一彰、数井 啓蔵、杉浦 充、服部 淳夫
JCHO 北海道病院
症例は 70 歳代女性.2008 年の健康診断で肝腫瘍を指摘されたため、当院初診となっ
た。 血 液 検 査 で は WBC5330 /μl,Hb13.9 g/dl,Pl19.9 万 /μl,TB0.7 mg/dl,
Alb3.9 g/dl,AST/ALT/γGTP20/19/21 U/l,PT96.1 %,AFP,PIVKA-II は 正 常
範囲,HCVAb と HBsAg は陰性であった.腹部エコーでは肝 S5/6 に 19.5mm の low
echoic な腫瘤を認めた.カラードプラーでも feeder と spoke wheel appearance を示
す血管構築が確認され,FNH と考えた.以後定期的に腹部エコーにて経過を観察し
て い た が,2010 年 11 月 に は 26.4mm,2012 年 11 月 に は 35.6mm,2013 年 3 月 に は
41mm と明らかな増大傾向を認めた.2013 年 3 月の Dynamic CT では,肝の形態は正
常で,S5/6 に 33×29mm の動脈相で強く染まりその後の phase では不明瞭化する結節
を認めた.このほか、肝内に 8mm 程度の同様の結節を認めた.EOB-MRI では T1iso,
T2 軽度高信号,dynamic study では CT と同様の染影パターンで,肝細胞相では iso
intensity を示し同定は不能であった.拡散協調画像では軽度高信号(ADC 値 =1.18)
を示した.Sonazoid 造影エコーでは肝 S5/6 に 41mm の low echoic な腫瘤を認めた.
カラードプラーでも feeder と spoke wheel appearance を示す血管構築が確認された.
造影パターンは CT や MRI と同様で,wash out は認めなかった.Kupper Image では
iso からわずかに high echoic であった.以上より FNH を強く疑うが明らかな増大傾
向を示すため,患者と相談の上,2013 年 4 月に当院外科にて肝部分切除術を施行した.
病理結果は中心部に星芒状のグリソン鞘の瘢痕を伴い,周辺部にも小さな中心性瘢痕
状のグリソン鞘を散見し,境界の線維性被膜はなく、結節部からやや密な肝細胞索の
延長があり,FNH と診断した.約 5 年間の経過で急速な増大をきたした FNH であり,
過去の報告では血管奇形による動脈の拡張や血流の増加などが原因として指摘されて
おり,画像や病理所見から原因について考察を加えて報告する.
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[MEMO]
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37. ソナゾイド超音波検査と造影 CT,MRI で解離した血行動態を
示した肝原発平滑筋肉腫の 1 例
野間 栄次郎 1)、植木 敏晴 1)、田中 志歩 1)、光安 智子 1)、大塚 雄一郎 1)、
蓑田 竜平 1)、丸尾 達 1)、松村 圭一郎 1)、松井 敏幸 1)、三上 公治 2)、前川 隆文 2)、
池田 圭祐 3)、岩下 明徳 3)
1) 福岡大学筑紫病院消化器内科 2) 福岡大学筑紫病院外科
3) 福岡大学筑紫病院病理部
肝原発の 20mm 大の平滑筋肉腫で,示唆に富む画像所見を呈した症例を経験したので
報告する。症例は 70 歳代女性,高血圧で当院循環器内科通院中,検診目的の腹部超
音波検査にて肝S4に 20mm 大の低エコー腫瘤を指摘され当科紹介となった。生活
歴,既往歴に特記事項なし。血液生化学検査では AST、ALT は正常で,肝予備能の
低下は認めなかった。HBV の既感染パターンで腫瘍マーカーも全て正常範囲内であ
った。造影ダイナミック CT では S4 の腫瘍内部は動脈相から静脈相まで造影効果を認
めず,辺縁が門脈相から静脈相でわずかに造影された。MRI では T1 強調像は低信号
T2 強調像は高信号で拡散強調は拡散の低下はなかった。EOB- プリモビスト造影では
動脈相から肝細胞相まで乏血性であった。ソナゾイド超音波では血管相早期で腫瘍内
部が濃染され,後期では周囲肝と同等で辺縁にやや濃染が残存していた。後血管相で
は腫瘍は明瞭な低エコーであった。造影超音波検査と CT および MRI の造影効果の所
見が解離しており,確定診断に至らなかったため肝腫瘤生検を施行した。病理学的に
異型性を伴った紡錘形の細胞が束をなして走行しており,免疫染色と合わせても平滑
筋肉腫と診断した。肝左葉切除を施行し,摘出された腫瘤は内部に出血や壊死はなく,
ほぼ腫瘍成分で占められていた。腫瘍内部の血管はビクトリアブルーHE 染色やα
-SMA 染色で染まる太い血管は少ないものの,CD34 では腫瘍内の毛細血管が周囲肝
より多く染色された。ソナゾイド超音波検査は分解能が高いため,CT や MRI で検出
されなかった微細な血流を描出できた可能性が示唆された。
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[MEMO]
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抄 録(シンポジウム1)
シンポジウム1:肝動脈閉塞下での血行動態の変化―B-TACE から得られる知見―
1. 肝二重血行支配再考
有井 滋樹
浜松労災病院
外科手術において肝動脈が切離され、それが唯一の動脈であるならば門脈血流が正
常でも肝動脈再建が必須であり、その再建に失敗すれば致死的である。肝移植がこの
ことを証明するわかりやすい例である。ところが下記のような文章に遭遇した。
「門
脈と肝動脈は互いに一方の血流が減少すると他方がこれを補うという相互補完関係に
ある。しかし、肝循環の主役は門脈である。これは肝動脈結紮が重篤な肝障害を起こ
さないことからみても明らかである」
。
血流の本質的役割は酸素を組織に運搬することであり、それは動脈が担っている。
肝臓でも例外ではなく、門脈の酸素飽和度は静脈血に近い。肝動脈は肝のすべての構
造物を還流することにより各々の組織に酸素を供給し、最後に類洞に注ぎ、肝細胞に
酸素を届ける。栄養血管と称される所以である。一方、腸管由来の種々の基質を豊富
に含んでいる門脈は肝の構成組織を還流することなく、まっしぐらに類洞に流入しそ
れを肝細胞に運搬する。それを受けて肝細胞は代謝の中心臓器として仕事をする。し
たがって機能血管と呼称される。
門脈血流が途絶えた場合、その領域の肝実質に動脈血が多量に流入する像が CT な
どで観察される。類洞への門脈血の流入が減弱すれば肝動脈から類洞への流入が増加
することは容易に理解できる。その逆はどうか。肝動脈血が途絶した場合、門脈血が
Peribiliary plexus に流入はしない。多少流入したとしても酸素飽和度は低い。した
がって相互補完関係はない。上述のごとく、肝動脈が必要ないならば肝切除、肝移植
はどれほど容易になるであろう。移植後 7 日以内の肝動脈閉塞が劇症肝炎、Wilson 病
の急性増悪と並んで肝移植適応基準最優先の UNOS のⅠとなることもないであろう。
以上の骨子はたしか 3 年前に本研究会で講演させていただきましたが、今回再度同
じことを申し述べることになり、大変恐縮していますが、ご容赦ください。
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[MEMO]
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シンポジウム1:肝動脈閉塞下での血行動態の変化―B-TACE から得られる知見―
2. 肝外動脈側副血行路の振る舞い
竹内 義人
京都府立医科大学附属北部医療センター 放射線科
肝動脈狭窄や肝がんの発生に伴う動脈性側副血行路の発達は、臨床例においてしばし
ば経験される。古典的な外科解剖学的研究によれば肝動脈に対する側副血行路は 26
経路存在することが知られており(Michels NA, Am J Surg 1966)
、それらの潜在性
については CT アンギオを用いた放射線医学的研究により証明されており、その内訳
は右下横隔動脈 85%、左下横隔動脈 83%、上腸間膜動脈 50%、腹腔動脈 20%、左胃
動脈 17%であった(Takeuchi Y et al, Radiology 1998)
。画像診断やカテーテル技術
のめざましい進歩とともに、求められる精度が高まりつつある経動脈的治療において
は、肝外動脈側副血行路の振る舞いに関するこのような知見は充分に踏まえておくべ
き事項の一つである。
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[MEMO]
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シンポジウム1:肝動脈閉塞下での血行動態の変化―B-TACE から得られる知見―
3. B-TACE における効率的な薬剤注入:
腫瘍血管のサイズと血管構築構造
入江 敏之 1)、倉持 正志 1)、鴨志田 敏郎 2)、高橋 信行 3)
1) 日立総合病院 放射線科 2) 日立総合病院 内科 3) つくば記念病院 放射線科
B-TACE を開始して 6 年が経過した。B-TACE ではリピオドールが癌結節に高濃度
に集積することはすでに報告した。現在当院では標的 B-TACE の標準手技はシスプ
ラチン溶解液、ミリプラチンリピオドール、破砕ジェルの 3 段階注入であり良好な成
績を得ている。しかしながら当院でも TACE 症例の約 60%は 7 個以上の多発、腫瘍
栓併発、胆道浸潤併発、TACE 後の再発等の TACE 不応・困難症例といわれるもの
である。これらのうち多発症例は B-TACE である程度の成績向上を認めた。が、
B-TACE を繰り返すうちに、水溶性抗がん剤と混合したリピオドールに起因する
biloma のリスク上昇が問題となった。B-TACE とリピオドールは切り離せない関係
であったが、リピオドールに頼りすぎたことを反省し、リピオドールを使用しない
B-TACE の可能性を追求した。具体的にはシスプラチンの癌結節に高濃度・長時間停
滞させる方法の開発である。バルーン閉塞下に動注を行うと理論上は癌結節内の抗が
ん剤濃度は高く保てる。問題点はバルーン閉塞時に肝内側副路による非還流域が出来
てしまうことである。これを克服する方法を開発し、現在臨床応用中である。当日に
はある程度の臨床データを供覧予定である。
バルーン閉塞下のリピオドール注入時に血管撮影モードを多用したこともあり、鋳
型状血管モデル様の画像データが蓄積されている。これに加え、当院では 64 列 CT で
の CTA(カテーテル留置による)で栄養血管同定を行っており、両方の画像データの
組み合わせにより腫瘍血管の構造とサイズを検討することが出来た。当日は理論的観
点からジェルの理想的なサイズやリピオドールの阻血効果、ビーズの問題点や改良す
べき点にも言及したい。
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[MEMO]
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シンポジウム1:肝動脈閉塞下での血行動態の変化―B-TACE から得られる知見―
4. バルーン閉塞による肝内血流変化(CE-US による検討)
杉本 勝俊 1)、佐口 徹 2)、森安 史典 1)
1) 東京医大 消化器内科 2) 東京医大 放射線科
マイクロバルーン閉塞下肝動脈化学塞栓療法(B-TACE)の原理は,バルーン閉塞下
での薬剤注入による逆流防止および吻合枝への注入により,従来の TACE と比べ高
密度塞栓が可能になると考えられている。しかし,B-TACE 施行時に適切な治療を行
うには,バルーン閉塞下における肝腫瘍および肝臓の血行動態を評価する必要があ
る。最も評価に適しているのは CTHA だと思われるが,バルーン閉塞下での造影に
よる腫瘍濃染の peak は症例により異なり,至適な撮像タイミングでの CTHA の撮像
は困難である。さらに,頻回に撮像することによる被ばくの問題もある。そこで我々
は,ソナゾイドを用いた造影エコーによるバルーン閉塞前後での肝腫瘍および肝臓の
血流動態の変化を視覚的に評価する方法を考案した。本講演では,ソナゾイド造影超
音波によるバルーン閉塞前後の肝腫瘍および肝臓の画像を提示し,血流動態の変化と
B-TACE による治療効果のとの関連について考察する。
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[MEMO]
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シンポジウム1:肝動脈閉塞下での血行動態の変化―B-TACE から得られる知見―
5. バルーン閉塞による肝内血流変化の variation(CTHA による
検討)
浅山 良樹、西江 昭弘、石神 康生、牛島 泰宏、高山 幸久、岡本 大佑、藤田 展宏、
森田 孝一郎、本田 浩
九州大学 臨床放射線科
【目的】B-TACE における短期再発の予測因子となる血管造影および CTHA 所見を明
らかにする。【対象と方法】2014 年 5 月から 2014 年 8 月までに B-TACE を施行した 29
例 35 結節を対象とした。バルーン閉塞前と閉塞後で CTHA をそれぞれ 2 相撮像した。
CTHA 所見は以下の 3 グループに分類した。A. 閉塞下では閉塞前と同等以上に濃染
し、バルーン閉塞下でコロナ濃染が認められない(n=8)
。B. 閉塞下では閉塞前と同
等以上に濃染し、バルーン閉塞下でコロナ濃染が認められる(n=10)
。C. 閉塞下では
閉塞前より濃染が減弱または欠損する(n=15)
。短期再発の有無は治療後 1~4ヶ月後
の造影 CT で判定し、RECICL に従い TE1/2 および TE3/4 に分類した。検討項目:過
去の治療歴(TACE もしくは経皮的治療)の有無、腫瘍の局在(S4/1 vs. それ以外)
、
バルーン閉塞部位(亜区域枝より末梢か中枢)
、CTHA 所見、治療直後の腫瘍 CT 値の
各項目と短期再発とを比較した。
【結果】35 例中、TE1/2 は 20 例(57%)
、TE3/4 は
15 例(43%)であった。中枢側でのバルーン閉塞 12 例中 10 例が TE1/2 であり、末梢
側での閉塞にくらべ有意に TE1/2 症例が多かった(p=0.034)
。治療直後の CT 値は
TE1/2:712±74、TE3/4:958±86 と TE1/2 で有意に低かった(p=0.037)
。治療歴
の 有 無 や 腫 瘍 の 局 在 に 有 意 差 は な か っ た。CTHA 所 見 で は グ ル ー プ C で 有 意 に
TE1/2 が多く、グループ A で TE3/4 が多かった(p=0.01)
。
【結語】バルーン閉塞部位
や治療後の腫瘍 CT 値、CTHA 所見は短期再発の予後予測に有用である。
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[MEMO]
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抄 録(シンポジウム2)
シンポジウム2:肝内胆管癌の多様性を探る
1. 胆管細胞癌の分類における今後の方向
中沼 安二
静岡がんセンター 病理診断科
肝内胆管癌(胆管細胞癌)の多くは腺癌であるが、発生する部位を反映して、病態
が均一ではない。例えば、細胆管に近い領域に発生する、あるいは類似の病態を示す
症例では、肉眼的に塊状型で、また細胆管や肝幹細胞に発現する分子を発現する。一
方、肝門部に近い肝内胆管癌は、肝門部胆管癌あるいは肝外胆管癌と類似の像を示し、
膵管癌に似た病理像を示し、肉眼的には、胆管浸潤型あるいは結節浸潤型の形態を示
す。これと中間型あるいは混在した症例もみられる。一方、これとは別に、肝門領域
あるいは肝内大型胆管に発生する肝内胆管癌の一部は、胆管内発育型の形態を示し、
膵の管腔内乳頭状粘液性腺癌に類似する。また、粘液嚢胞性腫瘍に由来する肝内胆管
癌もある。今後、肝内胆管癌は、発生部位、前癌病変を基盤として、再分類が進むと
思われる。
このシンポジウムでは、これらの観点から肝内胆管癌の分類における今後の方向を
述べる。
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[MEMO]
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シンポジウム2:肝内胆管癌の多様性を探る
2. 胆管細胞癌とその近縁疾患(細胆管癌と混合型肝癌を含む)
の画像上の鑑別
蒲田 敏文
金沢大学 放射線科
胆管細胞癌(Cholangiocellular carcinoma:CCC)は肝内胆管癌(intrahepatic cholangiocarcinoma)とも呼ばれ,肝内胆管 2 次分枝あるいはそれより末梢の肝内胆管に
発生する胆管癌である。Hering 管~細胆管に発生する癌は細胆管癌と呼ばれ胆管細
胞癌とは区別されている。胆管癌は肉眼的には腫瘤形成型,胆管浸潤型,胆管内発育
型に分類されている。腫瘤形成型は末梢肝に胆管浸潤型ならびに胆管内増殖型は肝門
部の比較的太い胆管から発生する。肝内発育型は IPNB に分類される考え方もある。
本講演では,腫瘤形成型の胆管細胞癌の画像所見と鑑別診断を中心に解説する。
腫瘤形成型は分葉状の形態を呈し,腫瘍細胞に富んだ充実部は辺縁優位であり,腫
瘍中心部は線維性間質に富んでいる。この組織学的な特徴を反映して,ダイナミック
CT やダイナミック MRI では,腫瘍辺縁部にはリング状の濃染を呈する。一方,中心
部は動脈相では乏血性であり,平衡相で遅延性に濃染する傾向にある。この所見は線
維性間質に富む腺癌の特徴でもあり,消化器癌の肝転移も同様の濃染パターンを示す
ことが多い。胆管細胞癌では末梢肝内胆管の拡張や腫瘍内を Glisson 鞘(門脈枝)が貫
通する所見を認めることが転移よりも多い。肝転移以外でも硬化型肝細胞癌や混合型
肝細胞癌,炎症性偽腫瘍などの乏血性腫瘍も鑑別が必要である。また,線維成分が少
ない胆管細胞癌では,ダイナミック CT/MRI の動脈相で比較的強い濃染を示す場合
があり,肝細胞癌や細胆管癌とも鑑別が必要である。本稿では,典型的な胆管細胞癌
の画像所見(CT, MRI, CT-angio)を呈示し,次いで前述した肝腫瘍との鑑別のポイン
トについても症例を呈示して解説する。
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[MEMO]
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シンポジウム2:肝内胆管癌の多様性を探る
3. 胆管癌の超音波画像
喜多 竜一
大阪赤十字病院 消化器内科
胆管癌には、肝外胆管を主座とする狭義の胆管癌と、肝内胆管癌(または胆管細胞癌)
を含む広義のものが含まれる。胆管閉塞による症状を主訴に医療機関を訪れることが発
見の契機となるが、健診やドック、あるいは肝胆膵系の定期フォローにおいて発見され
ることもある。血液生化学データは胆道系酵素の異常や胆道系腫瘍マーカーの高値を示
し、画像は乏血から種々の多血性を呈する。
超音波診断は侵襲が無く、腹部画像診断において最初に施行されるmodality であるが、
そこで如何に拾い上げて以降の検査に繋げていくかが重要である。胆管癌においては、
腫瘍自身の描出が明瞭でないことも多く、末梢胆管の拡張など周りの肝実質の像を調べ
ることから病変の形状や存在範囲を推定することも必要である。超音波検査においても
他の modalityと同様に、単純像に加えて造影検査により血流を評価することができるよ
うになった。CT や MRIなどの volume dataに比較して客観性に欠ける面は否めないが、
特定断面の連続画像における精緻な時間空間分解能から得られる情報も多い。
胆管癌は従来、乏血性腫瘍として扱われることが多かったが、微細な血流を評価すると
多血を示すこともしばしば経験する。特に造影超音波の動脈相ではしばしばさまざまな
多血性を呈し、多血性肝細胞癌との鑑別が困難なこともある。一方、造影 CT 等が線維
性間質の存在を反映して緩徐な造影効果を呈するのに対して、造影超音波の後期相では
明瞭に低エコーを呈する頻度が高い。肝内胆管癌の診断において、造影超音波は CT や
MRIに比して誤診率が高いとの報告もみられるが、modality や造影剤により多血の描出
性や線維成分の影響に差があることを認識したうえで診断に臨むとそれぞれの診断精度
を上げることができると思われる。
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[MEMO]
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シンポジウム2:肝内胆管癌の多様性を探る
4. 胆管細胞癌における vascularity の多様性
1)病理の見地から
相島 慎一
佐賀大学医学部 病因病態科学 診断病理学分野
現在、肝内胆管癌として分類される癌腫の中には、発癌するまでの背景や進展様式
が異なるものが含まれているため、癌の発生部位や組織像をもとにその由来が想定さ
れる胆管を含めた分類が試みられてきた。肝内胆管癌は大型胆管に由来し主に肝門部
付近を占拠するタイプ Perihilar large duct type(L-type)と小型胆管に由来主に肝末
梢部を占拠する Peripheral small duct type(S-type)の二つに大別されると考えられ、
二つのタイプにおいては腫瘍内血管の種類、密度、分布なども異なると思われる。
血管の種類:L-type では既存の門脈域の腫瘍内残存がほとんどなく、動脈性血管も
非常に少ない。一方で S-type では腫瘍が大きくなると腫瘍内の門脈域や動脈性血管
は少なくなるが、腫瘍が小さいうちは豊富な動脈性血管が介在している。
血管密度:静脈性血管から毛細血管の密度には両者で有意な差はみられないものの、
腫瘍内の線維化の程度や、線維化の種類(線維芽細胞優位型、瘢痕優位型など)に依
存することも多く、S-type では腫瘍辺縁に多く腫瘍中心に少ない傾向がある。
腫瘍内動脈が少ない L-type では、広範な壊死(腫瘍の 50%以上を占める)をきたし
た症例では高率に門脈浸潤や門脈腫瘍栓が存在しており、門脈腫瘍栓により虚血性の
腫瘍凝固壊死をきたことが推測される。一方、Small duct type では大型の門脈内腫
瘍栓があれば壊死をきたすが、壊死の程度がが弱いようである。
リンパ管は L-type の大型グリソン鞘内外に分布しておりリンパ節転移の経路とな
っていると思われるが、腫瘍内でのリンパ管新生は低いと考えられる。
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シンポジウム2:肝内胆管癌の多様性を探る
4. 胆管細胞癌における vascularity の多様性
2)画像の見地から
藤田 展宏 1)、浅山 良樹 1)、西江 昭弘 1)、石神 康生 1)、牛島 泰宏 1)、岡本 大佑 1)、
森田 孝一郎 1)、本田 浩 1)、高山 幸久 2)、調 憲 3)、田中 ゆき 4)、小田 義直 4)、
相島 慎一 5)
1) 九州大学 臨床放射線科 2) 九州大学 放射線医療情報・ネットワーク講座 3) 九州大学 消化器・総合外科 4) 九州大学 形態機能病理学 5) 佐賀大学 診断病理学
【目的】腫瘍の vascularity を反映する dynamic CT の動脈相における造影パターンと
肝内胆管癌(ICC)の悪性度との関連を検討すること。
【対象】外科的切除が施行された ICC 47 例(mass forming(MF)type 37 例 , MF+
periductal infiltrating(PI)type 10 例)
。
【方法】ICC を dynamic CT の動脈相の所見により、周囲肝実質と比較して腫瘍の半分
以上が増強される群(Group A, n=16)、辺縁がリング状に増強される群 (Group B, n
=18)、全体に低吸収な群(Group C, n=13) に分類した。これらと臨床病理学的因子
との比較検討を行った。
【結果】各群と病理学的因子との比較では、リンパ管侵襲(Group A=0/16, B=1/18,
C=8/13)、神経周囲浸潤(Group A=3/16, B=7/18, C=11/13)
、胆管侵襲(Group A
=5/16, B=6/18, C=10/13)であり、Group C では Group A、B よりこれらの頻度が
有意に高かった。脈管侵襲、肝内転移、リンパ節転移の頻度は 3 群間で有意差はなか
った。MF+PI type の頻度は Group A=0/16、B=2/18、C=8/13 で Group C で有意
に高かった。また Group C は Group A、B より有意に無再発生存率が低かった。
【結語】Group C は大型胆管由来とされる MF+PI type の頻度が高く、Group A、B
と比較して生物学的悪性度が高かった。
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シンポジウム2:肝内胆管癌の多様性を探る
5. EOB 時代の間質評価
角谷 眞澄
信州大学 画像医学
肝悪性腫瘍の中で、古典的肝癌(進行肝細胞癌)が多血性の代表であり、肝内胆管
癌(胆管細胞癌)は乏血性の代表である。肝病変の vascularity は、造影剤の分布を経
時的に追跡することで類推できる。動脈性に投与する CT angiography(CTA)が最
も精度が高いが、経静脈性に投与するいわゆるダイナミックスタディ(dynamic study)
でも評価可能である。細胞外液に分布する非特異性造影剤は組織還流を繰り返しなが
ら血管の内外で平衡状態に達するが、造影剤投与後 3~5 分以降に撮像される造影晩
期相は、一般に平衡相と呼称されている。この平衡相で病変内に造影剤が停滞してい
る状態は、遅延性濃染あるいは遷延性濃染として捉えられ、肝内胆管癌(胆管細胞癌)
を示唆する特徴的な画像所見の一つとされている。
肝細胞胆道系造影剤である Gd-EOB-DTPA は、細胞外液に分布するだけではなく、
脂溶基(EOB)を有するため細胞膜に発現するトランスポーター(OATP1B3)によって
肝細胞に取り込まれ、排泄系トランスポーター(MRP2)によって胆汁中に排泄され
る特徴がある。したがって、従来の細胞外液性造影剤と同様に、dynamic study によ
って病変の vascularity の評価が可能であると同時に、造影 20 分後(肝細胞胆道相)に
は肝細胞に取り込まれた造影剤によって病変の肝細胞機能の評価が可能である。
Gd-EOB-DTPA は細胞外液性 Gd 製剤と同様、T1 短縮効果によって分布域は T1 強
調像では高信号を呈するため、肝実質は T1 強調像で高信号を示し、肝細胞性結節性
病変(一部の肝細胞癌や限局性結節性過形成)などを除けば、病変は一般に低信号に
描出される。したがって、肝内胆管癌は大腸癌の肝転移と同様腺癌であることから、
肝細胞胆道相では低信号を呈すると想定されるが、細胞外液にも分布することから遅
延性濃染が反映され信号が上昇する可能性が残されている。この点を中心に画像を提
示する。
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