月刊 水試ニュース

THE SUISHI-NEWS
月刊
ノリのバリカン症の犯人は!?
漁業生産研究所 栽培漁業グループ
水試ニュース
愛 知 県のノリ養 殖 漁場では、近 年バリカン症 が大 きな問 題 となっていま
す。バリカン症は、養殖されているノリの葉体が刈り取られたように切断さ
れてしまう障害で(図 3、4)、発生すると収穫量が大きく減少します。バリカ
ン症は河口 域漁場での発生が多いため低塩 分 の海水や都市排 水、また、
発行所:愛知県水産試験場(本場)
魚 類 やカモ類 による食 害 が発 生原 因 と疑 われていました。当 グループで
463 号
平成 27(2015)年 2 月
は、バリカン症 に悩 まされている矢 作川 河 口 域 でのモニタリングと、被害
軽減のための対策の試験を平成 25 年度から
平成 26 年の赤潮発生状況について
実 施 してい ま す。その 結 果 、防 御 網 を 水 中 に
本場 漁場保全グループ
設 置 すると被 害 軽 減 効 果 があったことから魚
赤 潮 はプランクトンの大量 繁 殖 や集積によって海 水 の色 が平常 時 と異 なる現 象 で、ノリの色落 ちや貧
ニタリングと防御網の効果の検証を行っていま
期的な観 測や他機関・現場からの情報を通じて、赤潮に関する情報を収集するとともに、ウェブページ等
す。 また 、本 場 の企 画 普 及 グループ と共 同 で
で外部に発信しています。
11 月に矢作川河口に近い知多半島東岸のノリ養殖漁場で駆除したヒドリガモ
平成 26 年の伊勢湾・三河湾における赤潮発生件数は 28 件(過去 10 年平均値:31 件)、赤潮発生延
べ日数は 229 日(同:194 日)でした。
件 50
減 少 したものの、延 べ日 数は増 加 しま
延べ日数
40
なっており、延 べ日 数 は減 少 傾 向 にあ
200
20
2)。
現在、当グループでは、三河湾のノリ
養 殖 に 大 き な 被 害 (色 落 ち )を 与 え る
100
10
発が必要です。
水産試験場研究発表会にご参加ください
本場 企画普及グループ
0
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
0
1 日
時:平成 27 年 2 月 26 日(木) 午後1時から 5 時まで
2 場
所:愛知県水産試験場 2 階研修室(蒲郡市三谷町若宮 97 電話 0533-68-5198)
H26
図 1 伊勢湾・三河湾における赤潮発生状況の経年変化
件8
80 日
H26(件数)
70
(1)三河湾における底生性魚介類の分布と環境(漁場改善グループ)
60
(2)自動観測ブイによる三河湾海況把握(漁場保全グループ)
係る予察技術の開発を平成 25 年度か
6
ら実 施 中 ですが、この予 察 技 術 の開
5
50
発 については、これまでの長 期 的 なモ
4
40
ニタリングデータの積み重ねがあること
3
30
2
20
1
10
H26(延べ日数)
赤潮発生状況を把握していきます。
0
0
2月
3月
4月
5月
6月
7月
3 記念講演:干潟実験施設を用いた生態研究(漁場環境研究部長)
10年平均値(件数)
10年平均値(延べ日数)
1月
水産試験場では、漁業関係者や県民の皆様に向けて日頃の研究成果を発表するため、次のとおり研
究発表会を開催いたします。多数の方々のご参加をお待ちしております。
7
的 なモ ニ タリ ングを 実 施 し、三 河 湾 の
れました。今後はより詳細な発生原因の解明とカモ類からの防除対策法の開
50
大 型 珪 藻 の ユーカ ン ピア の大 発 生 に
に よ って 可 能 となり ま す。 今 後 も定 期
から、魚 類 だけでなくカモ類 もバリカン症 の原 因 となっている可 能 性が考 えら
150
ム)の赤 潮 が長 期 間継 続 したため、延
べ 日 数 が 近 年 より も 増 加 しま した(図
図 4 バリカン症の
ノリ葉体
の前 胃 と砂 のうの内 容 物 を確 認 したところ、多 くのノリ葉 体 が確 認 できたこと
250
30
る と 考 えら れ ま す 。ただし 、 昨 年 は、 4
月∼5 月に渦鞭毛藻類(プロロセントラ
350
300
した(図 1)。経 年 変 化 を見 ると、発 生
件 数 は増 減 を繰 り返 しながら横這 いと
3cm
400 日
件数
過去 10 年平均値に比べ、発生件数は
図 3 バリカン症が発生
したノリ養殖網
(円内が重症部分)
による食 害 が疑 われ、今 年 度 も引 き続 いてモ
酸素水 塊、魚介類の大量斃死等の原因となっています。そのため、当グループでは月に 2 回以上の定
8月
9月 10月 11月 12月
4 発表内容:
(3)人工衛星情報によるシラス漁況予測(海洋資源グループ)
(4)伊勢湾東岸域におけるアサリ稚貝の定着性評価(栽培漁業グループ)
(5)ウナギの生息環境調査(内水面養殖グループ)
(6)絹姫サーモン生産における性転換雄アマゴの効率利用
(冷水魚養殖グループ)
5 案内ウェブページ
右記の URL からご覧下さい。 http://www.pref.aichi.jp/0000079805.html
図 2 平成 26 年の伊勢湾・三河湾における月別赤潮発生状況
http://www.pref.aichi.jp/suisanshiken/
本
場
漁業生産研究所
内水面漁業研究所
三河一宮指導所
弥富指導所
蒲郡市三谷町若宮 97
知多郡南知多町大字豊浜字豊浦 2-1
西尾市一色町細川大岡一の割 56-6
豊川市豊津町柳不呂 95
弥富市前ヶ須町野方 801-2
0533-68-5196
0569-65-0611
0563-72-7643
0533-93-1433
0567-65-2488