マーケットの底 流 を読 む 株式会社ジャパンエコノミックパルス Japan Economic Pulse Co., Ltd. 日銀 PKO にヘッジ F「売り仕掛け」減退 日本株 2 月相場、需給改善と TPP 合意の上値波乱 日本株 2 月相場は昨年 10.31「ハロウィン緩和」 による 3 兆円の日銀 ETF 購入枠に加え GPIF(年金積 立金管理運用独立行政法人)など公的年金の株式買 い増しなど需給改善にヘッジファンドの売り仕掛け 力が減退し、むしろファンドの売り仕掛け失敗後の 買い戻し「踏み上げ」や早ければ 2 月末 TPP「大筋 合意」などアベノミクス強靭化に 1 万 7200-1 万 8300 円で上値波乱の展開が見込まれよう。 ヘッジ F「踏み上げ」強いる日銀 ETF 買い 年明け原油急落に想定外の米小売り下振れ、さら にスイス中銀のフラン上限撤廃など「3 つのショッ ク」に 1 月「円高アノマリー」の投影から日本株は 足踏みを余儀なくされた。だが、すでに日米株価は デ・カップリングの様相を呈し、米国株安にもめげ ず日本株が粘り腰を見せる日が少なくない。 2 月相場入り週明け 2 日の日経平均も日米デ・カ ップリングの様相を呈した。先週末 30 日発表の米国 10-12 期 GDP 成長率が予想を下回り米ダウ平均は前 日比 251 ドル安で越週、米株安と円高を受けて売り が先行、一時 215 円安の 1 万 7459 円と 1 週間ぶりに 節目 1 万 7500 円を割り込んだ。 前週末 30 日の米ダウ平均は前日比 251 ドルの大幅 安である。しかも、世界経済の唯一の牽引役である 米国 10-12 月期 GDP が予想以上に下振れ、1 日発表 の中国製造業 PMI(購買担当景況感指数)が落ち込 むなど投資家心理の冷え込みで大幅安は必至と見ら れていた。 だが、2 日の日経平均は 200 円超安から押し目買 いに切り返し、一時上げに転じた。大引けこそ円安 一服により利益確定売りに反落したが、この日の底 堅さは他ならぬ日銀の上場投資信託(ETF)買い思惑 と節目 1 万 7500 円割れを下値とみた個人投資家の買 い出動だ。 「日銀の ETF 買いが事実上の PKO として作用し、 そこに個人のリスクマネーが押し目買いで参戦、ヘ ッジファンドの売り仕掛け力が大きく減退しつつあ る」 (あるファンド幹部) 。 日銀は「QQE2」 (量的・質的緩和 2 弾)の一環とし て猛然と ETF を購入、すでに 1 月累計買い入れ額は 3443 億円に達した。これは 2010 年 12 月の導入以来 の最高額であり、何より耳目を集めるのは、ETF 購 入 19 日のうち 10 日間が前日の米株安を受けた前日 比下落局面である。 つまり、日銀の ETF 買いは、相場下落局面で漏れ なく買い出動する事実上の PKO(株価維持策)戦略 と言っても過言ではない。 [email protected] 2015/2/4 実際、日経平均が 253 円下げた 1 月第 1 週(5-9 日) 、海外投資家は現物株を 4300 億円、日経均先物 と TOPIX 先物を 8900 億円、合計 1 兆 3200 億円も売 り越している。そして、1 月第 2 週(13-16 日)には ヘッジファンドを顧客に持つ欧州系証券が売りに大 挙、日経平均は前日比 333 円安の急落を余儀なくさ れた。 1 月 1-2 週だけでヘッジファンドは現物・先物合 わせて 2 兆円以上の日本株ショートを作ったとされ る。事実、東京証券取引所によれば、海外投資家は 1 月第 2 週(13-16 日)まで 3 週連続で売り越し、第 2 週の売越額は 4504 億円と前の週(4349 億円)から 拡大、昨年 8 月第 1 週以来約 5 ヶ月ぶり高水準の売 りポジションが形成された。 だが、海外投資家は 1 月第 3 週(19-23 日)に 4 週間ぶりに 682 億円の買い越しに転じ、おそらく 1 月第 4 週(26-30 日)も 2 週連続で買い越した。む ろん、海外投資家の 2 週連続の買い越しは売り仕掛 けの失敗による買い戻しと推察される。 ヘッジファンドの売り仕掛け失敗を示唆するのが 1 月第 2 週以降の日経平均である。1 月 13 日は 16 日の米国株の反発に 1 万 6970 円で寄り付き、安値 1 万 6592 円で切り返し、1 万 6864 円で越週、長目の 「下ヒゲ陰線」で越週している。 そして、1 月 23 日週は 1 万 7000 円で寄り付いた 後、「大陽線」1 万 7532 円の高値引けで越週し、1 月第 2 週まで売り込んだヘッジファンドの「踏み上 げ」相場の様相を呈した。 日経平均のテクニカルな下値抵抗線は 1 万 7000 円台前半に数多あり底堅く、上値抵抗線は月足「ボ リンジャーバンド+2σ」1 万 8261 円、2007 年 7 月高 値 1 万 8295 円などに限られ上値の重荷は軽そうだ。 早ければ 2 月末にも成長戦略の要「TPP 大筋合意」 一方、ある政界筋は、「貿易・投資自由化による GDP 押し上げ効果のある成長戦略の要、TPP 交渉が早 ければ 2 月末にも『大筋合意』が実現しそうだ」と 打ち明ける。 確かに、TPP (環太平洋経済連携協定)の 2 月末 「大筋合意」説が実現すれば、日本株 2 月相場の上 値波乱要因として注視される。 実際、難航に難航をかさねた TPP の農産品を巡る 日米協議が、ここに来て収束に向かいつつある。安 価な米国産豚肉の 1 キログラムあたり最大 482 円の 関税を 50 円前後に下げ、輸入急増の際は約 2 倍の 1 キロ 100 円に戻すセーフガード(緊急輸入制限措置) 発動案を軸に最終詰めが行われている。米国の顔を 立てるべく輸入を増やしつつ国内生産者の打撃を回 避するよう苦心の跡がうかがえる。 さらに、究極の内需拡大策と称される「統合型リ ゾート(IR)推進法案」 (カジノ法案)も 2 月中の提 出が予定される。 超党派でつくる国際観光産業振興議員連盟の細田 博之会長(自民党幹事長代行)が 26 日、党本部で議 連幹部と会談し、今国会に「統合型リゾート(IR) 推進法案」を再提出する方針を確認した。月内にも 各党の議連幹部と会談、法案成立の理解を得る意向 だ。 一方、内閣府が 2 月 16 日発表する 10-12 月 GDP は前期比年率+4.0%と持ち直し、昨年 7-9 月期の同 -1.9%と 2 四半期連続マイナス成長からようやく水 面下に浮上する。 安倍首相が 15 年 10 月予定の消費税率 10%への引 き上げを 1 年半延期し、先行き景気回復の原動力は 原油安であり輸入品のコスト減少で企業収益が上が り、ガソリン代や電気代が下がって消費者にも恩恵 が大きい。原油値下がりで物価も伸びが鈍り、実質 賃金が上がって景気回復を後押しする。 大手証券の試算によれば、 主要 81 社の 14 年 10-12 月期決算の経常利益は前年同期比+11.9%と事前予 想平均 7%を大幅に上回った。1 月末現在の日経平均 の予想 PER(株価収益率)は平均 15 倍台であり、マ クロの成長率上振れの追い風を受ければ今後とも 2 ケタ増益の収益上振れ期待が維持され日本株 2 月上 げ相場を支援しよう。 <日経平均のテクニカルな節目> 【上値抵抗線】 1 万 8300 円 2007 年 2 月高値 1 万 8295 円 2007 年 7 月高値 1 万 8261 円 月足「「ボリンジャーバンド+2σ」 1 万 7699 円 日足「ボリンジャーバンド+σ」 1 万 7680 円 5 日移動平均 【下値支持線】 1 万 7516 円 日足「一目均衡表」転換線 1 万 7484 円 13 週移動平均 1 万 7377 円 25 日移動平均 1 万 7312 円 週足「一目均衡表」転換線 1 万 7267 円 日足「一目均衡表」雲上限 1 万 7253 円 日足「一目均衡表」基準線 1 万 7031 円 日足「ボリンジャーバンド-σ」 1 万 6610 円 26 週移動平均 1 万 6548 円 9 ヶ月移動平均 お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提 供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させる ことは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありませ ん。また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を 負いません。本レポートの内容は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的とし たものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。
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