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テルモ株式会社 ものづくりWAYプロジェクト
繁田 一伸様 インタビュー
「ものづくりWAYプロジェクト(弊社名:理念・WAY共有プロジェクト)」について
導入から展開までの様子を、当時担当された
テルモ株式会社 繁田一伸様(現 総務部長)にお伺いしました。
ものづくりWAYプロジェクト導入の狙い~
「生産性向上の原点はモチベーションにある」
Q.まずはものづくりWAYプロジェクトをスタートされた理由をお聞かせください。
繁田
導入の理由は2つあります。当時、私は生産部門の人事を担当していましたが、工場の生産
性を向上させる企画をしたかった、ということ。もう一つ、当社では職場のモチベーションを調べる「働
きがいアンケート」を毎年行っていますが、「アソシエイトの働きがい(注:テルモでは社員のことを
アソシエイトと呼ぶ)」を向上させていきたい、という2つですね。
ものづくりWAYプロジェクトの内容~
「単なる研修会ではない。『大自慢大会』×工場長たちのプレゼンテーション・ムービ
ーで、テルモのものづくり力をあらためて発信した」
Q.WAYプロジェクトでは生産革新TIM大会(※以下TIM大会)で工場長のプレゼンテーショ
ン・ムービー上映・対話会を行いましたが、そこに至るまでのプロセスについて教えてくださ
い。
繁田
実は、はじめは生産性向上のための研修会を考えていました。しかし、ジェイフィールの
みなさんと一緒に議論してアイディアがどんどん膨らんで、自分たちのしていることを自慢する
場=「大自慢大会」のような場を作れば、彼らのモチベーションを高めるのに有効なのではとい
う考えに至ったのです。研修の形で行うのではなく、自分たちがしていることに自信を持ってア
ウトプットしてもらう場にしよう、と。
また経営方針として、今後、「カンパニー経営」をより明確に進めていくという意思表示が
されていました。弊社内の3つのカンパニーはそれぞれで競合が違います。競合と戦うためには
事業経営(事業軸)を強化しなければなりません。それと同時に、生産という機能軸、即ち「ものづくり
力」を維持・強化していくための仕掛けも、並行して作り上げておきたい、と思いました。そしてもうひ
とつ。工場同士、今まで生産という立場で連携はしてきましたが、工場長同士が話し合って、こ
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れがテルモの生産ですよ、という発信をしたことがないということにも気づきました。工場長た
ちが自分たちのしていることをアウトプットすれば、テルモのアソシエイトにとって大きなイン
パクトになるのではないかというアイディアもディスカッションで生まれました。
ということで「大自慢大会」をやって、工場長たちがテルモの「ものづくり」はこういうも
のだとプレゼンテーションをする、さらにムービーを作成・上映することで工場長たちの思いが
みんなに浸透していくといいね、というものづくりWAYプロジェクトとなりました。
Q.工場長の方たちが集まってひとつの「もの」を作り上げていくことは初めての経験ですよね。
プロセスでのご苦労など教えていただければと思います。
繁田
最初は工場長の皆さんも半信半疑だったと思うんですね。ですが、おそらく彼らにも、形
にできたらインパクトはあるだろうという漠然とした感覚、彼ら自身、自分たちがやってきたこ
とを発信したいという思いはあったと思うのです。ただ、皆さん忙しい方なので、確保できる議
論の時間にも制限があり、その限られた時間の中で意見を整合し、思いをまとめて形にしていく
ということが、最初はなかなか難しかったですね。
7月にスタートして11月末に大会がありましたが、11月半ば位まではどうなるかわから
ないという状況でした。ディスカッションが右へ行ったり左へ行ったり全然まとまらない、皆さ
んそれぞれが思い思いの丈を語る・・・。
それが、大会直前の合宿で一丸になれて一挙にムードが高まったのです。
というのも、実際に自分たちの言った内容を合宿で映像化していったのですが、それによってリ
アルさが増してますます本気になっていく、というのでしょうか。ここはもう、最後の追い込み
力も含めて直前の馬力というのがとても大きかったですね。
TIM大会を実施して~
「うれしかったのはムービーを見た人たちの感想発表のとき。彼らは生き生きと自信
に満ちて感想を発表してくれた」
Q.完成したムービーはTIM大会でお披露目されたわけですが、大会の様子を教えてくださ
い。
繁田
TIM大会そのものは経営幹部だけではなく、海外の生産に関わるアソシエイト、国内工
場のアソシエイトを含めて合計130名位で開催をしました。「大自慢大会」の趣旨も取り込み
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ましたのでみんな思いの丈を発信しようという、そういう点ではモチベーションが高まりやすい
仕掛けになりました。定例の事業所の事例発表プレゼンテーションだけではなく、工場長たちが
作ってきたムービーの上映は会そのものの緊張感・モチベーションをさらに一気に高めました。
そのムービー放映後、世代別・職種別に6つのグループでディスカッションをしてその代表
者に壇上に出てもらって、彼ら自身の感想を語ってもらったのですが、皆生き生きとしている、
しかも誇りに満ちている。あらためて、自分たち、自分たちの先達がやってきた実績を再認識し
て、胸を張ってこれからの抱負を語ってくれました。私はそれが1番うれしかったです。自分の
自慢に大きな付加価値が付いた、更なる自信に繫がったのじゃないかな、と。
4ヶ月間ディスカッション重ねて作り上げた成果のムービーなので、私たちなりに自信のある内
容がアウトプットとして用意はされていたのですが、それを受けた生産アソシエイトがどう考え
てどう反応するかは、蓋を開けてみなければ分からない、最大の不安要素だったわけです。視聴
感想の発表者の自信に満ちた表情や堂々たる発言を聞いて、あ、これはうまく伝わったなと、や
って良かったなということを、実感できた瞬間でした。
TIM大会終了後の展開~
「全社にムービー(DVD)を配布。家族からも多くの感動の声が」
Q.TIM大会に出席できなかった方々向けの、各工場での展開の仕方・反応などを教えてく
ださい。
繁田
大会には各工場から一部の代表者しか来ておりませんので、是非工場の全員にムービーを
見てもらいたいと思いました。11月末に大会を開きましたので、12月月初の合同朝礼で全員
に見てもらいました。また、ムービーの合間に各工場長がそれぞれ生の声で語ってもらいました。
結果として非常に影響力があって、感動したという声を沢山もらいました。家族にも是非見せた
いという要望も沢山受けましたので、急遽ムービーをDVDディスクにして生産のアソシエイト
全員に配布、お正月休みに家族とも一緒に見て下さい、ということを行いました。
Q.どのような感想が繁田さんのところに寄せられましたか。
繁田
テルモって思っていた以上にいい会社だとか、社員に対してこういう思いで接してくれ
ているんだ、ということを再認識した、あらためて感動したという評判をあちこちから聞きま
した。(※座談会記事をご参照ください)
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予想していなかった作用~
「生産部門だけではなく、本社部門・営業部門・海外部門と全社的な広がりを見せ
た」
Q.ものづくりWAYプロジェクトを実施して、当初期待していたこととは他に副次的な作用な
どございましたか。
繁田
生産職場をターゲットにしたムービーだったわけですが、本社・営業・海外と、テルモの
他の事業所・他部門からも是非見たいと。そういう声が想像以上にあり想定外でした。
海外では、それぞれの事業所が英語や中国語やベトナム語に翻訳して、海外のアソシエイト
に見てもらっていました。営業の方々からは、テルモの生産をあらためて再認識した、営業の皆
さんが販売するときの励みになった、熱い思いで作られている商品だからもっと自信を持って売
っていこうという、そのような感想も聞こえてきました。あるカンパニーでは、生産は営業を理
解し営業は生産を理解し、海外は日本を理解し、と相互理解のツールとして活用してくれました。
当初はまったく想定もしていなかったのですが、テルモグローバルアワードという当社の中
で最も名誉ある賞であり、グローバルに貢献した実績に対しての表彰対象の1つに選ばれました。
これは大変嬉しく思っております。
今後の展開について~
「中堅クラスにものづくりWAYプロジェクトを具体化するワークショップを展開」
Q.TIM大会はひとつのステップだと思うのですが、今後の動きについても教えてください。
繁田
今回は工場長にプレゼンテーション・ムービー作成をしてもらったのですが、今後は
階層別に議論してもらって、彼らのモチベーションに繋げていくことが我々にとって重要なポイ
ントです。
順番からいくと、工場長の次は、部課長クラスをやるべきかと思いますが、工場長たちと議
論した結果、2014年度はすべての中堅クラス(主任とか技術員、職長)を対象にワークショ
ップを行うことにしました。
理由は2つありまして、1つは、今年度から当社はカンパニー経営・事業軸の経営をより鮮
明に打ち出し、行っています。新しい連携の構築が求められる中、部課長は工場内の連携では
なくカンパニーにおける連携をして欲しいと私たちは考えました。生産内の連携は中堅職にと、
役割を分けました。2つめの理由は、生産現場のモチベーションにもっとも影響力のある担い
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手は誰なのだろうかと考えると、生産では、やはり日頃から一般アソシエイトと直接に接して
いる中堅職クラスだなということで、彼らを対象にしたワークヨップを行うことで大きな効果
が得られると思ったわけです。
ムービーの力で、工場長の思いを一段飛びで中堅アソシエイトにも、直接つなぐことができ
たので、次は、彼らがその思いに応えてくれることを期待しています。
※
テルモ株式会社様の「ものづくりWAYプロジェクト」は、弊社では「理念・WAY共有プロジェク
ト」の事例としてご紹介しております。
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