申し入れ書 - 醍醐聰のブログ

2015 年 2 月 10 日
NHK 経 営 委 員 会
委員長
浜田健一郎様
経営委員
各位
放送の自主・自立を堅持する意思と資質を欠く籾井会長の
即時罷免等を求める申し入れ書
NHK を 監 視 ・ 激 励 す る 視 聴 者 コ ミ ュ ニ テ ィ
共同代表
湯山哲守・醍醐
聰
h t t p : / / k g c o m s h k y. c o c o lo g - n i f t y. c o m / b l o g /
経 営 委 員 各 位 に お か れ ま し て は 、「 放 送 法 」 に 基 づ く 重 責 を 担 わ れ 、 日 々 、 ご 多
忙のことと存じます。
去 る 2 月 5 日 に 開 催 さ れ た N HK 会 長 定 例 会 見 に お い て 籾 井 勝 人 会 長 は 、 記 者 か
ら 、 戦 後 7 0 年 の 節 目 に あ た っ て NH K は 「 従 軍 慰 安 婦 」 問 題 を 取 り 上 げ る 可 能 性
はあるのかと聞かれたのに対し、この問題に関する政府のスタンスがなかなか見え
ない、夏にかけて政府のきちっとした方針が分かるのがポイントだろう、という趣
旨の発言をしました。
し か し 、 改 め て 指 摘 す る ま で も な く 、 NHK は 自 主 ・ 自 立 、 特 に 時 の 政 権 か ら の
独立を生命線とする公共放送であり、国営放送でも政府広報機関でもありません。
籾井会長が公式の会見の場で、放送の自主、自立を自ら放棄し「放送法」の基本
原 則 を 全 否 定 す る に 等 し い 上 記 の よ う な 発 言 を 行 っ た こ と は 、 籾 井 氏 が NHK 会 長
の職には堪え得ない資質の持ち主であることの決定的証しです。
さらに、強調しなければならないのは、今回の籾井発言は約 1 年前の会長就任会
見で同氏が語った「政府が右というものを左とはいえない」という発言と同根のも
のだということです。このことは、籾井会長の脳裏に、放送の自主・自立よりも、
政府の意向を忖度する思考が染みついていることを物語るものです。
しかも、籾井会長は会長就任会見における一連の暴言を「個人的見解」とかわ
し、今日に至るまで、その個人的見解を撤回しませんでした。
この意味で、籾井会長の「政府のスタンス」云々という発言は、会長就任当初か
ら持ち合わせた公共放送と相容れない資質が表に出るべくして出たものといっても
過言ではありません。
にもかかわらず、この 1 年間、浜田経営委員長は国会の委員会審議で委員から、
経 営 委 員 会 の 会 長 任 命 責 任 と 監 督 責 任 を 質 さ れ る 都 度 、「 籾 井 会 長 は 放 送 法 を 遵 守
し て 業 務 の 執 行 に 当 た る と 明 言 し て い る の で 、 そ れ を 見 守 り た い 」、「 経 営 委 員 会 と
しては、執行機関の今後の動きを監督し、助言し、必要に応じて苦言も呈して、委
員 会 の 職 務 を 一 層 果 た し て ま い り た い 」 と い う 答 弁 を 繰 り 返 し て き ま し た 。( 当 会
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が衆参委員会会議録で調べたところ、本年 1 月末までに浜田委員長は前者の発言を
延 べ 1 8 回 、 後 者 の 発 言 を 延 べ 2 7 回 繰 り 返 し て い ま す 。)
ま た 、 経 営 委 員 も 、 こ の 間 、 各 地 で 開 催 さ れ た 「 視 聴 者 の 皆 様 と 語 る 会 ~ NHK
経営委員とともに」において、籾井会長の言動に対して参加者から出た厳しい意見
に対して、
「籾井会長は、放送法を守って公共のための放送をこれからやっていきますと
いうことを再三明言していますので、籾井会長に私どもは頑張っていただきた
いと。経営委員会はしっかりと監視とか監督をやっていくということでご理解
を い た だ き た い と 思 い ま す 。」
( 2014 年 4 月 19 日 、 佐 賀 県 で の 語 る 会 。 石 原 委 員 )
「受信料をご負担いただいている視聴者の皆様、まさに視聴者の皆様を代表し
て執行を監視・監督するのが経営委員の役割でありますので、その点、もう一
度 自 分 た ち の 役 割 を は っ き り 再 認 識 さ せ て い た だ い て 頑 張 り た い と 思 い ま す 。」
( 2014 年 5 月 24 日 、 青 森 県 で の 語 る 会 。 上 田 委 員 発 言 )
といった決意を表明されました。
し か し 、「 政 府 の ス タ ン ス が 決 ま る の を 待 っ て N H K の 番 組 編 成 の 判 断 を す る 」
と い う 籾 井 会 長 の 発 言 は 、 政 府 の 意 向 に よ っ て NHK の 番 組 が 規 律 さ れ る こ と を 進
ん で 受 け 入 れ る 意 思 を 表 明 し た に 等 し く 、「 放 送 番 組 は 、 法 律 に 定 め る 権 限 に 基 づ
く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と定めた
「放送法」第 3 条に真っ向から反するものです。
ま た 、 今 回 の 籾 井 会 長 の 発 言 は 、「 全 役 職 員 は 、 放 送 の 自 主 ・ 自 律 の 堅 持 が 信 頼
される公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる」と定め
た 「 NHK 放 送 ガ イ ド ラ イ ン 」 を 会 長 自 ら が 踏 み に じ る も の で す 。
こ れ ほ ど ま で 「 放 送 法 」、「 N H K 放 送 ガ イ ド ラ イ ン 」 に 背 く 言 動 を 繰 り 返 す 籾 井
会 長 に 対 し て は 、「 放 送 法 を 遵 守 し て 業 務 に あ た る と 言 っ て い る か ら 」 な ど と い う
か ば い 立 て は 通 じ ま せ ん 。 ま た 、 こ の よ う な 状 況 で な お 、「 執 行 機 関 に 対 す る 監 督
責任をしっかり果たしていく」などという口上は経営委員会の不作為責任を糊塗す
る空言にすぎません。
籾井会長に残された道は会長職を辞すこと以外になく、当人に辞職の意思が見受
けられない以上、会長任免権者である経営委員会が一刻も早く、籾井会長を罷免す
る の が NHK に 対 す る 視 聴 者 の 信 頼 を つ な ぎ と め る 唯 一 の 道 で す 。
そこで、当会は貴委員会に対し、以下のことを申し入れます。貴委員会が自らの
職責をこれ以上、懈怠せず、毅然たる対処をされるよう、強く求めます。
申し入れ
1 . 「 放 送 法 」 第 5 5 条 第 1 項 (「 経 営 委 員 会 は 、 会 長 ・ ・ ・ ・ が 職 務 の 執
行の任に堪えないと認めるとき、又は会長・・・・に職務上の義務違反
・ ・ ・ ・ が あ る と 認 め る と き は 、 こ れ を 罷 免 す る こ と が で き る 。」) に 基
づ き 、 籾 井 勝 人 氏 を NHK 会 長 の 職 か ら 罷 免 す る こ と 。
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そのため、すみやかに籾井会長の罷免を経営委員会の議題(協議事項)
とし、慎重のうえにも迅速な審議をすすめること。
2.
浜田経営委員長は、上記罷免協議を主導的に進め、籾井会長罷免決議
ができない状況に陥った場合は、経営委員長を自ら辞すること。
3.
今 回 、 籾 井 会 長 か ら 、 NHK の 自 主 ・ 自 律 を 貶 め る 発 言 が 出 た 一 因 と
し て 、 経 営 委 員 が 各 地 で 開 催 さ れ た 「 視 聴 者 の 皆 様 と 語 る 会 ~ NHK 経
営委員とともに」において参加者に約束した籾井会長に対する監督責任
を果たしてこなかったことが挙げられる。
また、浜田経営委員長が、国会で繰り返し明言した籾井会長に対する
監督責任を何ら果たしてこなかった責任は極めて重い。
こうした経営委員長以下、委員の任務懈怠責任に照らし、浜田委員長
ほか全経営委員は本年上半期の期末報酬を全額返上すること。
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